「産経新聞」に載っていた記事。インターネットでは流れていないようなので、全文採録しておく。
で、おもしろいのは、その記事の中で、情報保全隊について、これまでは「国内勢力に関する情報」に力点を置いていた、と説明されていること。日本共産党が暴露した情報保全隊の内部資料は、まさに、こうした「国内勢力」の動きを調査したものだからだ。情報保全隊が、もともと国民監視を主たる任務とした組織となっていたことをあらためて裏づけたものといえる。
いちおう「中日新聞」には、共同の簡単な配信記事が載っている。
隊員の家族の思想信条の調査をおこなうというが、隊員本人はともかく、家族だからといって、自衛隊が勝手に思想調査をしていいということにはならない。国の機関による国民の思想調査そのものであり、絶対に許されない。
防衛省計画 退院と家族の思想信条調査 「情報保全隊」に部署
[産経新聞 2007年8月4日付]防衛省が来年度設置を目指している防衛相直轄部隊「情報保全隊本部」に、退院とその家族の思想信条などの情報収集を主任務とする部署を置くことを計画していることが3日、分かった。海上自衛隊のイージス艦中枢情報流出事件を契機に情報漏洩防止が求められるためだが、自衛隊制服組などから反発する声も出始めている。
防衛省は、内局と統合幕僚監部の主導で情報保全隊の機能強化策について検討を進めている。従来力点を置いていた国内勢力に関する情報からカウンターインテリジェンス(対諜報)に収集の重点を移す。事務次官を委員長とする委員会、防衛政策局長を幹事長とする幹事会を防衛相の下に組織し、統幕長と陸海空幕僚長とともに監督・指揮する組織として「情報保全隊本部」を運用する構想だ。
本部には、対諜報に関する情報収集、分析などを担当する調査第1部(監督は統合幕僚長)と、基地警備に関する情報収集や隊員の適格性などの情報収集を担当する第2部を置く。
第2部は具体的に、各幕僚長の監督のもとで、隊員と家族の思想信条などの情報を収集、分析する。すでに組織改編を行うために必要な防衛相訓令の骨子案も作成、来年度予算に経費を盛り込む。
しかし、こうした情報部門の組織改編の動きに対し、「官邸主導の対米配慮」「実際に機能するか疑問が多い」(空自幹部)など制服組を中心に難色を示す声が漏れている。
特に、外国籍の配偶者の有無など隊員の個人情報については、陸海空自衛隊とも「すでに把握済み」としており、情報保全隊本部への情報提供について慎重な意見や否定的な姿勢を見せる動きも出ている。
↓中日新聞の記事でも、情報保全隊は「外部の情報収集」を担当することになっている。
秘密保持の新組織創設へ イージス艦事件で防衛省
[中日新聞 2007年8月3日 17時39分]防衛省は3日、情報管理を徹底し秘密情報の流出などを防ぐため、陸海空の自衛隊ごとに分かれている情報保全の部隊を統合した防衛相直属の新組織を創設する方針を固めた。
海上自衛隊で3月、イージス艦の中枢情報流出事件が発覚。情報管理の甘さに米国が強い懸念を示していることを踏まえ、新たな対策を打ち出して不信感を解消する必要があると判断した。2008年度予算の概算要求に関連経費を盛り込む予定。小池百合子防衛相が近く訪米し、構想を説明する意向だ。
防衛省の情報保全にかかわる部隊には、自衛隊内の刑事事件を捜査する「警務隊」と、外部の情報収集や隊員との接触を監視する「情報保全隊」の2つがある。いずれも陸海空に個別の組織があるため(1)6つの組織がばらばらに活動し、情報共有や連携が不十分(2)「身内意識」が働き、捜査や調査が不公正になりかねない――など問題点が指摘されていた。(共同)