さて、福田新政権、国民の期待にこたえてくれるかどうかが問われるとともに、財界の要望にどう対応するかも注目したい。新生発足にあたって、財界の要望は、とりあえず「改革」の続行、法人税の引き下げ、など。
「改革停滞は信頼失う」 産業界が新内閣に希望(産経新聞)
中小の相続税軽減など要望、税制改正で経済団体(NIKKEI NET)
改革の推進へ実行力を期待 経済3団体(東京新聞)
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福田新内閣の発足にあたって?構造改革の継続・加速に向け、揺るがぬ意志を示せ?:経済同友会
「改革停滞は信頼失う」 産業界が新内閣に希望
[Sankei WEB 2007/09/25 21:14]25日発足した福田内閣に対して、産業界では小泉、安倍政権が進めた構造改革にどう取り組むかを注視している。構造改革の継続で経済成長を確保することが産業界にとって大きな関心事だからだ。改革が後退すれば、海外の投資家などからの信用を失う恐れもある。消費税増税などの課題に早期に取り組むなど、スピード感のある政策の実現を求める声が高まっている。
日本製紙連合会の鈴木正一郎(王子製紙会長)会長は、自民党が大敗した参院選以降、「(政策が)過去のばらまき型になろうとしている」との懸念を表明し、福田内閣に対して構造改革の継続を強く訴える。
日立製作所の古川一夫社長も「改革が停滞した場合、日本経済は内外の信頼を失い、世界から取り残されてしまう。今の日本に政治の空白は許されない」と指摘し、新内閣には政策実現に向けた具体的な取り組みを求めている。
日本経団連は、平成20年度の税制改正で、法人税の実効税率を欧米並みの30%に引き下げるほか、研究開発促進税制の控除(現行20%)拡大など、国際競争力の強化に向けて法人税減税を要望している。また、消費税をめぐっても平成27年度までに段階的に税率を10%程度まで引き上げ、財政再建につなげる政策を求めている。
だが、福田内閣は、成長戦略や税制のあり方について、法人税減税も消費税もスタンスを明確にしていない。このため、日産自動車の志賀俊之COO(最高執行責任者)は「早くいろいろな国会審議が行われ、国民が不安に感じていることが決まればいい。国民の期待に応える政治運営をお願いしたい」と述べ、具体的な経済政策の提示が必要との認識を示す。
経済同友会の桜井正光代表幹事も「財政健全化に伴い、今までの改革で手の届かなかったことを是正し、国民の豊かな生活をつくることは、経済界だけでなく国民全体の願いだ」として福田内閣に強い期待を示した。
中小の相続税軽減など要望、税制改正で経済団体
[NIKKEI NET 2007/09/25 07:02]日本経団連、日本商工会議所は2008年度税制改正に関する要望をまとめた。経団連は研究開発を促進するための税制の拡充を求めた。日商は中小企業の経営者が事業を承継しやすくするための相続税負担の軽減措置を要望している。
経団連は持続的な発展には先端技術の開発など「イノベーション」が不可欠とし、企業の研究開発費の一部を法人税から税額控除できる額の拡充を求めた。現行は法人税額の20%が控除額の上限だが、これを緩和すべきだとしている。
改革の推進へ実行力を期待 経済3団体
[東京新聞 2007年9月24日 朝刊]自民党新総裁に福田康夫氏が選出されたことを受け、経済三団体のトップが二十三日、それぞれコメントを発表した。日本経団連の御手洗冨士夫会長は「野党の理解を得ながら、政府・与党が一致団結して、改革を着実に進めてほしい。経団連としても難局の乗り切りに向けた新総裁の行動に最大限の協力をする」と、野党が参院第一党に躍り出た「逆転国会」の論戦に向けて、新総裁の実行力を期待した。
経済同友会の桜井正光代表幹事は「国民生活にかかわる政策課題が山積している中、これ以上の政治の停滞は許されない」と指摘。組閣に向けて「(福田新総裁は)自身が支えた第一次小泉政権の例にならい、政権運営の基本方針と自らの内閣で実現を目指す政策課題、改革への強い決意を国民に明確に示し、説明すべきだ」と注文した。
日本商工会議所の山口信夫会頭は「必要な改革を推し進め、経済成長戦略を維持するとともに、地域経済や中小企業に対して温かみのある政策を実行していただきたい」と求めた。
経済同友会の要望項目を紹介すれば、以下のとおり。財界の要望としては、いまのところ、経済同友会のものが一番詳しい。
- 歳出・歳入一体の財政改革
- 年金、医療、介護を含む社会保障の一体改革
- 公的部門の解体・民営化
- 「地方分権」
- 国際競争力の強化
- 国際社会への貢献(テロ特措法延長を含む)
最後に「国民本位・政策本位の透明な政治の実現を」とあるが、国民が一番望んでいる「政治とカネ」はなし。