日経新聞の朝刊で、今日から「働くニホン 現場発」の連載開始。第1回の今日の記事ではこんなことが書かれていました。
金融危機で経済がどん底だった97年。それから10年で雇用は大きく姿を変えた。06年度の全産業の経常利益は54兆円と倍増した。その一方で雇用者全体の報酬は6%減り、残業時間は15%増えた。会社が伸びればすべての社員が満たされるという「正の方程式」が崩れ、社員は惑い、会社も悩む。
また、富士通の成果主義について、こんな記述も。
日本型経営からの脱却を目指す企業の先頭を切り、成果主義の人事制度を導入した富士通だが思わぬ副作用もあった。
「みんな自分のことで頭がいっぱいだった」。01年に富士通を退社した小野寺一浩(31)は振り返る。人事評価は最高ランクだったが頑張るほど仕事が増えていく。ついに吐血したが、周囲からかけられた言葉は「お前の仕事、計画通り進むのか」。ばらばらの職場に見切りをつけた。
孤立した社員に過剰な仕事が降りかかる。富士通から依頼を受けた米シンクタンクは「社員が『死の抱擁』にとりつかれている」と指摘した。できる社員に負荷が集まり、倒れるまで止まらない恐れがある――。
で、面白いのは、9面の続きの記事に掲載された「本社ネット調査」。
たとえば、「2?3年前に比べ仕事量は増えているか」との問いには、「大幅に増加」「少し増加」が合わせて52%。「変わらない」28%、「少し減少」「大幅に減少」は計20%しかありません。他方で、「2?3年前に比べ意欲は高まっているか」という問いには、「高まっている」も23%ある一方で、32%が「低下している」と回答。忙しくなっている割に、テンションは下がっている、という実態が浮かび上がります。
また、仕事が原因で「精神の健康を害したことがあるか」に、5人に1人が「ある」と回答しているというのも恐ろしい話です。
管理職に限ると、負荷が「非常に高まっている」「高まっている」が56%もあり、しかもその理由として「仕事自体が増加」57%だけでなく、「人員が減少」46%、「管理以外の仕事を任される」46%など、人員が減らされて管理職に矛盾が集中している様子がうかがえます。
アンケートについては、↓こちらを参照。
「仕事量が増えた」52%、働く人の負担感高まる–ネットPLUS会員調査(1):日経ネットナビ