南京大学で、南京虐殺事件の学術シンポが開かれました。どんな議論がおこなわれたのか、中国の研究状況がどうなっているのか、ぜひ詳しく知りたいものです。
南京虐殺:来月70年 中国、客観的な研究重視 異なる主張、党も容認(毎日新聞)
南京大虐殺めぐり日中研究者がシンポ(朝日新聞)
南京虐殺:来月70年 中国、客観的な研究重視 異なる主張、党も容認
[毎日新聞 2007年11月27日 東京朝刊]◇各国の史料集め出版へ
1937年の南京虐殺事件から12月13日で70年を迎えるのを前に、事件の起きた中国江蘇省南京の南京大学で24、25の両日、「南京大虐殺史料学術シンポジウム」が開かれた。日中両国の研究者約70人が参加し、意見を発表した。中国側からは日中間の政治問題を極力排除し、現存する各国の関連史料の分析に力点を置く客観的な研究が目立った。中国共産党は「抗日戦争勝利」を強調する宣伝活動は堅持しながらも、研究分野では史料に基づく「客観的歴史観」を許容する方針のようだ。【南京で大谷麻由美】
シンポジウムは05年12月に次ぎ2回目。来月、「南京大虐殺史料集」(29?55巻)が出版されるのに合わせて開かれた。事件当時の中国側史料だけでなく、日本、米国、ドイツ、英国から集め、中国語に翻訳した。
史料集には、虐殺事件のあった地区の範囲について、中国当局が主張してきた内容とは一部、異なる史料も含まれるなど、「史実」重視の考えが示された。だが、党から反対意見はなく、順調に出版にこぎつけた。
史料集の責任者でシンポジウムの呼び掛け人、張憲文・南京大学教授は毎日新聞などに「本物の史料は歴史を明確に語ってくれる」と史料集の価値を強調した。
張教授は「歴史はかがみだ。誰が見ても明確な歴史にする作業は、政治家ではなく歴史学者の仕事であり責任だ」と話す。「中国ではこれまで史料に基づく研究が不足していた」とも認め、史料収集と研究の重要性を説いた。張教授は「大規模虐殺があったことと、国際法に違反する非人道的行為があったことの2点が共有できれば、日中間の研究も交流も推進できる」と前向きだ。
史料集の日本側責任者の笠原十九司・都留文科大学教授は「(日中関係が改善した)今は事実に基づいた研究をする方向にあり、討論しやすくなった」と評価している。
一方「南京大虐殺記念館」は、党の主導により、12月13日の再開館に向けた工事が進められており、面積も3倍に拡張される。
南京大虐殺めぐり日中研究者がシンポ
[asahi.com 2007年11月25日18時51分]12月の南京事件70周年にあわせて、日中の研究者が新たな研究成果を発表する「南京大虐殺史料学術シンポジウム」(南京大学南京大虐殺史研究所主催)が24、25の両日、中国江蘇省の南京市内で開かれた。
日本から大学教授や市民団体代表ら約30人が参加。都留文科大学の笠原十九司教授は、旧日本兵の遺族から新たに入手した当時の日記や写真を紹介し、虐殺の実態を解説した。中国側研究者の一人は、事件直後に埋葬された死体数の計算にかなりの重複がある点を指摘、「従来の認識よりも少なくなる可能性がある」と話した。