グッドウィル「二重派遣」事件(続き)

グッドウィル社の違法な「二重派遣」事件の続報。

逮捕された課長が「違法だと知っていた」と供述していること、グッドウィルと東和リースが法律で定められた書面を交わしてなかったこと、派遣先企業が記入すべき「確認票」の代筆がおこなわれており、支店ぐるみで「二重派遣」をやっていた可能性があること、厚生労働省の改善命令後も違法な「二重派遣」を続けていたこと、「二重派遣」は全国34支店でやられ、違法派遣先は100社にのぼること、等々――グッドウィル全社で違法派遣が繰り広げられていたことをうかがわせる事実が明らかになっている。

しかも、グッドウィル社は、支店長といっても名ばかりで、実権は本社がにぎっていたことが指摘されている。ということは、支店ぐるみどころか、本社ぐるみで違法派遣をくり返していた可能性が大ということ。すでに、元社長が任意で事情聴取を受けているというが、やっぱり一番の責任者は折口雅博・GWグループ元会長なのでは?

「違法と知っていた」逮捕の課長供述 グッドウィル事件(朝日新聞)
「支店長名ばかり、本社が実権」グッドウィル経験者証言(朝日新聞)
グッドウィルと東和リース、業務内容などの書面交わさず(読売新聞)
労働者が「確認票」代筆 グッドウィル 支店レベルで隠す?(中日新聞)
グッドウィル:二重派遣、常態化か 改善命令後も継続(毎日新聞)
「グッドウィル」違法派遣事件 違法派遣先はおよそ100社に(FNNニュース)
違法派遣 全国の34支店でも(NHKニュース)
グッドウィル前社長らを任意聴取、逮捕の課長「利益優先」(NIKKEI NET)

「違法と知っていた」逮捕の課長供述 グッドウィル事件
[asahi.com 2008年06月04日09時50分]

 日雇い派遣大手グッドウィルが派遣した労働者を港湾関連会社の東和リースが二重派遣したとされる事件で、職業安定法違反の幇助(ほうじょ)容疑などで逮捕されたグッドウィル事業戦略課長上村泰輔容疑者(37)が警視庁の調べに、「東和は昔からの顧客で、利益も多く、違法と知っていたが派遣を続けた」と供述していることがわかった。同庁は同社上層部の関与についても解明を進める。
 保安課の調べでは、北関東エリアマネージャーだった上村容疑者らは06年5月?07年6月、港湾荷役会社2社に二重派遣していた東和リースに、労働者5人を27回にわたって派遣し続けた疑い。
 関係する4社の間では、労働者1人当たりの「リベート」が決められていたという。正規の手数料とは別に、港湾荷役会社から東和に1人2千円、東和からグッドウィルには5千円が渡っており、グッドウィルは東和からのリベートで月100万円前後の純利益を得ていたとみられる。
 上村容疑者は、ともに逮捕された野上敏弘容疑者(35)の前任のEV(イベント)新宿支店長で、その後同支店を含む13支店を管理する立場にいた。東和との契約は、グッドウィルが02年ごろに吸収合併した別の派遣会社が結んだものを引き継ぎ、多くのグッドウィル幹部がかかわった「重要案件」だったという。同支店にとっては屈指の契約企業だったとされる。
 東和の元常務江川隆一容疑者(47)は今年1月の警視庁による家宅捜索の直後、朝日新聞の取材に「二重派遣を続けた理由はコメントできないが、グッドウィル側も知っていた」と話していた。

「支店長名ばかり、本社が実権」グッドウィル経験者証言
[asahi.com 2008年06月04日15時01分]

 日雇い派遣大手グッドウィルの派遣労働者を港湾関連会社が二重派遣したとされる事件では、グッドウィルの当時の支店長やその統括役が職業安定法違反の幇助(ほうじょ)容疑で逮捕された。ただ、支店長経験者は「大口契約では実質的権限を本社が握っている」と証言する。警視庁は歴代役員を含む同社幹部らから事情を聴くなどして、かかわりを調べている。
 「どこの支店でも社員は2?3人で、支店長とは名ばかり。契約企業については本社が権限を握って指示しており、責任は重い」。関東地方でグッドウィルの支店長を3年近く務めた20代の男性は内情を話す。
 男性は05年に入社。直後に、支店で支店長に次ぐサブマネージャーになった。「入社から5日間研修を受けたが営業の話ばかり。守らなければならない法律についてはほとんど説明を受けなかった。採用翌日から支店長の人もいた」。半年足らずで支店長に昇任し近くの支店に異動。別の支店でも支店長を務めた。
 関係者によると、支店の社員は支店長とサブマネージャーの2人しかいないことも多い。あとはアルバイトが、数十人から数百人の派遣労働者と派遣先企業との連絡など実務に当たる。
 男性は「派遣先との細かい交渉はブロック長やエリアマネージャー、統括部長など支店を統括する立場の人がする。大手からは多額の現金が払われるため役員が直接交渉することもあった」と明かす。本社には、労働災害や行政指導などトラブルに対処するためのリスクマネジメント課という組織図に載っていない部署もあったという。
 支店の仕事は営業が主で、繁忙期には泊まり込んだ。ブロック長からだけでなく役員からも契約企業を増やすよう指示するメールや電話がよく届いた。「支店にもランクがあり、競わされた。退職率が高く、その度に入社間もない社員が支店長になっていた」
 本社幹部に華やかな場所に連れて行ってもらうことも多く「感覚がまひしていった人もいた」と話す。必要な資格を持つ支店長らが名義を貸して、無資格の社員が実質的に支店長を務めている支店もあったという。
 グッドウィルには派遣先の業種により、運転手ならEX(エクスプレス)、パチンコ店ならAM(アミューズメント)、飲食店ならFC(フードキャスティング)など様々な支店の区分があった。だが形式だけで、人が足りないと貸し借りしていたという。
 「派遣は日本の雇用に不可欠で、派遣業はなくてはならない業態。グッドウィルの反省を生かし、労働者中心の業界にしないといけない」。男性はグッドウィルが家宅捜索を受けたあと、小さな派遣会社に移った。派遣業の健全化を願い、捜査を見詰める。(小林誠一、伊藤和也)

グッドウィルと東和リース、業務内容などの書面交わさず
[2008年6月4日09時13分 読売新聞]

 日雇い派遣大手「グッドウィル」(東京都港区)による職業安定法違反事件で、労働者を二重派遣していた港湾関連会社「東和リース」(同)とグッドウィルの間では、労働者派遣法で義務付けられた派遣労働者の仕事の内容などを記載した書面を交わさず、労働者の氏名も伝えられていなかったことがわかった。
 警視庁では、こうした実態からも同社が東和リースから他社への派遣を前提として労働者を送り込んでいたことは明らかとみて、調べを進めている。
 同庁幹部らによると、東和リースを担当したグッドウィル新宿第五オフィス(支店)は、同法で定められた派遣労働者が働く場所や仕事の内容などを記載した書面を作らずに契約。派遣自体も原則1年間とされている法定期間を約1年9か月間も超えて続けていたという。
 また、同支店から派遣された労働者は、首都圏の十数支店からの応援要員も含めて、東和リース側には氏名や性別がほとんど伝えられていなかった。

労働者が「確認票」代筆 グッドウィル 支店レベルで隠す?
[中日新聞 2008年6月4日 朝刊]

 日雇い派遣大手「グッドウィル」(GW、東京)から労働者の派遣を受けた港湾運送業「東和リース」による二重派遣事件で、本来東和リースが記入すべき労働者の「就業確認票」を、GWに登録するベテラン派遣労働者が記入していたことが分かった。
 就業確認票は、1日の業務完了を示す書類。二重派遣先に東和リース社員がいないため、代筆が行われたという。警視庁保安課は、GWが支店レベルで二重派遣を隠ぺいしていた可能性があるとみて調べている。
 就業確認票は2枚つづり。あらかじめ派遣労働者が自分の名前などを書き、仕事の後に派遣先の担当者に渡して就業時間、勤務態度、会社名、サインを記入してもらった上で1枚を受け取る。もう1枚は派遣先が管理。同票は派遣先で勤務した証明書になり、労働者がGWの登録支店に提出して日給を受け取る仕組みだ。
 ところが関係者によると、東和リースを介して二重派遣されていた労働者の多くは業務開始前、リーダー格のベテラン派遣労働者に就業確認票を提出、東和リースの担当者名を代筆してもらっていたという。
 GWの広報室は「捜査中のことに関係するため回答は差し控える」としている。

グッドウィル:二重派遣、常態化か 改善命令後も継続
[毎日新聞 2008年6月4日 東京朝刊]

 日雇い派遣大手「グッドウィル」(東京都港区、GW)による労働者の違法派遣事件で、GWが05年6月に厚生労働省から「偽装請負」などで事業改善命令を受けた後も、職業安定法で認められていない「二重派遣」を繰り返していたことが分かった。警視庁は違法派遣が常態化していたとみて、GW上層部の関与についても追及する。
 調べでは、05年の行政処分は、この年の4月に東京都渋谷区のビル改修工事現場で発生した作業員7人の一酸化炭素中毒事故がきっかけだった。負傷した作業員はGW池袋支店から建設業者へ派遣され、労働者派遣法で禁じられている建設業務に従事していたことが判明。さらにGW池袋支店と建設業者が請負契約を結んでいたにもかかわらず、実際は建設業者が作業員を指揮する「偽装請負」だったことが分かった。厚生労働省は同年6月、GWに事業改善命令を出した。
 今回、職業安定法(労働者供給事業の禁止)違反ほう助容疑で逮捕されたGW事業戦略課長、上村泰輔容疑者(37)らは、港湾運送会社「東和リース」(港区)が別の派遣先に二重派遣することを知りながら、労働者を派遣した疑いが持たれているが、この二重派遣は04年10月から07年6月まで、新宿など5事業所で行われていた。また、静岡や千葉県内などの62事業所も07年8月まで、建設業務への派遣や二重派遣を繰り返していた。
 厚労省の事業改善命令を受けた後も、全国各地で違法な二重派遣を繰り返していたことになる。このことについて、GWは「(行政処分を受け)違法派遣を防止するためのチェックシートの導入を進めていたが、契約内容などの確認が不十分だった」と釈明している。【武内亮、町田徳丈】

「グッドウィル」違法派遣事件 違法派遣先はおよそ100社に
[FNNニュース 2008/06/04 13:27]

 日雇い派遣大手の「グッドウィル」が違法な派遣を繰り返していたとして幹部らが逮捕された事件で、違法な派遣先は、およそ100社にのぼることが明らかになった。
 この事件は、港湾運送業務に二重派遣されることを知りながら、労働者を派遣したなどとして、グッドウィルの幹部ら4人が、3日に逮捕されたもの。
 グッドウィルの内部資料によると、違法な派遣先はおよそ100社にのぼり、一部の支店では、グッドウィルの名前を伏せるなどの指示をしていた。
 派遣されていた男性は「グッドウィルの名前の報告書を出さないでくれと言われて、作業完了の報告書の下にグッドウィルの名前があるが、定規で切り取った状態で担当者に渡してくださいと言われた」と話した。
 警視庁は、グッドウィル経営陣の関与についても追及している。

違法派遣 全国の34支店でも
[NHKニュース 6月4日 6時20分]

 日雇いの人材派遣会社大手、グッドウィルの支店長らが違法な労働者の派遣を認識していたとして逮捕された事件で、グッドウィルでは、ほかにも全国の34の支店で同じような労働者の派遣が行われていたことがわかり、警視庁は売り上げを伸ばすために違法な派遣が繰り返されていたとみて調べています。
 この事件で、グッドウィルのイベント新宿支店の支店長、野上敏弘容疑者(35)らは、東京の運送会社「東和リース」が労働者を違法に別の会社に派遣することを知りながら労働者を派遣していたとして、職業安定法違反のほう助の疑いで、3日、逮捕されました。関係者によりますと、グッドウィルが違法な労働者の派遣が明らかになった去年夏に内部調査を行った結果、ほかにも全国の34の支店で同じような労働者の派遣があわせて51件行われていたことがわかりました。
 これまでの調べによりますと、グッドウィルは1人の労働者を派遣すると数千円のあっせん料を得ていたとみられ、警視庁は売り上げを伸ばすために違法な派遣が繰り返されていたとみて、詳しいいきさつを調べています。

グッドウィル前社長らを任意聴取、逮捕の課長「利益優先」
[NIKKEI NET 2008/06/04 16:01]

 日雇い派遣大手、グッドウィルを巡る二重派遣事件で、同社課長の上村泰輔容疑者(37)=職業安定法違反ほう助容疑で逮捕=が警視庁保安課の調べに「二重派遣は違法と知っていたが、(派遣先の)東和リースは大口の取引先で利益を優先したかった」と供述していることが4日、分かった。両社は約5年前から取引があったという。
 同課は両社の関係の深さが違法派遣を助長した背景にあるとみて調べるとともに、グッドウィルの神野彰史前社長ら同社幹部を任意で事情聴取して上層部の関与の有無を捜査している。

こういうときに、親会社であるグッドウィル・グループは、グッドウィルの売却を考えているという。文字どおりの“トカゲの尻尾切り”ではないか!! こんな“逃げ得”は絶対に許されない。

しかし、すでにグッドウィル・グループの株自体が外資によって売却されようとしている。

グッドウィル:日雇い派遣、売却を検討(毎日新聞)
グッドウィル株、UTが売却方針・取得後、自身の株価低迷で(NIKKEI NET)

グッドウィル:日雇い派遣、売却を検討
[毎日新聞 2008年5月19日 東京夕刊]

 人材派遣大手のグッドウィル・グループ(GWG)が、100%子会社で日雇い派遣最大手のグッドウィルの売却を検討していることが19日分かった。日米の投資ファンドや人材派遣会社など数社に打診しており、来月中にも決定する見通し。売却額は100億円程度とみられる。同社は米大手ファンドなどの支援を受けて経営再建中で、技術・製造分野の人材派遣に経営資源を集中させる考えだ。
 グッドウィルは違法派遣などが発覚し、厚生労働省から1月に2?4カ月の事業停止命令を受けたことで派遣者が激減。1月中旬時点で全国約770カ所あった事業所を約400カ所に減らした。5月18日からほぼ全事業所で営業を再開したが、日雇い派遣には社会的批判もあるため、自力再建を断念したとみられる。【小倉祥徳】

グッドウィル株、UTが売却方針・取得後、自身の株価低迷で
[NIKKEI NET 2008/05/28 16:00]

 グッドウィル・グループ(GWG)筆頭株主で半導体製造請負のユナイテッド・テクノロジー・ホールディングス(UT)は28日に開催した決算説明会で、保有するGWG株を売却する方針を明らかにした。
 UTは3月にGWG株を取得し業務提携を持ちかけたが、5月に交渉が決裂していた。UT自身の株価がGWG株の取得以降低迷しており、「早期に出口(売却先)を見つけ、事業成長に必要な分野に資金を振り向けたい」(若山陽一社長)としている。

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