秋葉原での連続殺傷事件について。
どんな理由があろうと、殺人は許されない。しかし、何が彼をそうしたところに追い込んだのか。それについては、大いに考えなければならない。派遣で製造工場で働いている人たちの多くは、派遣会社が借り上げたアパートなどに住んでいる。家賃もけっして安くないうえ、テレビや布団代などを(場合によっては正体不明の経費まで)天引きされる。挙げ句の果てに、「契約解除」になれば、即ホームレスだ。
彼の場合、派遣会社(日研総業)は、「彼はリストラの対象になっていないと伝えた」と言っているが、実態はどうだったか。「当面は働いてもらうが…」みたいな言い方だと、今月はクビにならなくても、来月は分からない。ストレスは相当なものだったかもしれない。
秋葉原殺傷事件、非正規雇用者の実情に広がる懸念(AFPBB News)
通り魔 一方的に解雇への不安(NHKニュース)
秋葉原殺傷:加藤容疑者、流転の人生 はい上がる道失い(毎日新聞)
誰でもよかった:秋葉原通り魔事件/上(その1) 孤独な心情、サイトに(毎日新聞)
秋葉原殺傷:9日前に「解雇」通告 「不要」扱い怒り?(毎日新聞)
東京・秋葉原無差別殺傷事件 加藤容疑者の同僚「人員削減が悩みになっていると思う」(FNNニュース)
秋葉原殺傷事件、非正規雇用者の実情に広がる懸念
[AFPBB News 2008年06月13日 15:15 発信地:東京]【6月13日 AFP】東京・秋葉原の路上で17人を殺傷した加藤智大(Tomohiro Kato)容疑者(25)が、「人生に疲れた」ことが犯行の決意につながったと供述していることが明らかになり、増加する非正規雇用者の境遇に懸念が広がっている。
加藤容疑者は銀行員の息子として生まれ、県内有数の進学校に通ったが大学受験で失敗。短期大学を卒業後、派遣社員となるが職場を転々とした。携帯サイトの掲示板には「高校出てから8年、負けっ放しの人生」と書き込んでいた。
聖学院大学(Seigakuin University)の作田明(Akira Sakuta)客員教授(犯罪心理学)は、加藤容疑者のケースは、本人の性格と非正規雇用者が置かれた絶望的な状況が絡み合ったものとみられると指摘。終身雇用制度によって日本企業と社員が得ていた一体感は、いまや消滅しつつあると述べた。
1999年以降の数回にわたる派遣規制緩和に伴い、厚生労働省の統計で98年に90万人だった非正規雇用者は、2005年には250万人にまで膨れ上がった。
町村信孝(Nobutaka Machimura)官房長官は「(派遣社員だった加藤智大容疑者の)身分上の不安定さが犯行に駆り立てた理由であったのなら、できるだけ常用雇用化していくという問題意識で考えないといけない」と述べ、事件の背景に非正規雇用の問題があるのか明らかにする必要があるとの認識を示した。
通り魔 一方的に解雇への不安
[NHKニュース 6月17日 4時54分]東京・秋葉原で起きた通り魔事件で、逮捕された男は「リストラで仕事をくびになると思っていた」と供述していることが新たにわかりました。実際は解雇の対象になっておらず、警視庁は、雇用に対する不安を一方的に募らせたことが犯行の1つのきっかけになった疑いがあるとみてさらに調べを進めています。
この事件で、逮捕された加藤智大容疑者(25)は、派遣社員として静岡県の自動車車体工場で働いていましたが、警視庁のこれまでの調べに対し、「最近、仕事のことでむしゃくしゃしていた。職場に不満があった」と供述していました。警視庁でさらに加藤容疑者を追及したところ、不満の具体的な内容について「近いうちにリストラされ、仕事をくびになると思っていた」と供述していることが新たにわかりました。登録していた派遣会社などによりますと、工場では先月ころから人員を大幅に減らす計画が進められていましたが、加藤容疑者は解雇の対象にはなっておらず、本人にもそのことを伝えていたということです。警視庁は、加藤容疑者が、雇用や将来に対する不安を一方的に募らせたことが犯行の1つのきっかけになった疑いがあるとみて、さらに動機の解明を進めています。また、加藤容疑者が、携帯電話からインターネットの掲示板に書き込んでいた犯行予告の内容を事件の直前に一部書き換えていたことがわかり、警視庁は、詳しいいきさつを調べています。
秋葉原殺傷:加藤容疑者、流転の人生 はい上がる道失い
[毎日新聞 2008年6月16日 22時53分(最終更新 6月17日 0時06分)]午前5時半過ぎ、バスが市内を回って男たちを拾う。国道を北上する間、晴れていれば朝日に輝く富士が左手に見え隠れする。だが、窓の外を眺める者はいない。
6時過ぎ、静岡県裾野市の関東自動車工業東富士工場に着く。日本経済を支えるトヨタ自動車の子会社。6時半、始業の合図で派遣社員の一日が始まる。東京・秋葉原の17人殺傷事件の加藤智大(ともひろ)容疑者(25)は、塗装の汚れを肉眼で調べる工程を担当していた。
わずかなほこりの付着も許されない。10分間のトイレ休憩と45分間の食事を除き8時間立ち詰めで、数時間の残業もざら。汚れを見逃せば工程長が飛んでくる。下手をすれば始末書を書かされる。
「塗装面をにらんでいると、すぐに目が痛くなる。手でこするから目が真っ赤になる。初日で辞める者もいるが、やつはまじめだった」。一緒に働いた20代の派遣社員が言う。「トヨタの期間工(契約工員)になりたいと言っていた」。応募したが、不採用。
はかない夢だった。
5月半ばリストラのうわさが流れた。同22日、工場の空調が壊れ、ふだん物静かな加藤容疑者が「暑い」とイライラを爆発させた。
今月3日、派遣社員200人を50人に減らすと伝えられた。米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)や原油高の影響で工場は生産を15?20%縮小する。そんな理由は知らされない。「月末で辞めてもらう」。150人がそのひと言で収入を断たれることになった。
何かが決壊した。5日の出社後に暴れ、姿を消した。□ □
青森市の名門、県立青森高校(青高=せいこう)を卒業して、流転の人生が始まった。
人口8500人の岐阜県坂祝(さかほぎ)町。入学した中日本自動車短大の周囲は里山と田畑が広がる。夜になるとカエルが鳴き、街の灯が遠くに見えた。イタリアの国立フェラーリ工業専門学校と提携し、整備士を目指す若者が全国から集まっていた。
加藤容疑者は併設の学生寮に入った。周辺にはコンビニと、中華料理店が1軒。
短大を出て、派遣社員として各地を転々とする。埼玉と茨城では派遣会社の借り上げ社宅で暮らした。
埼玉の社宅を見せてもらった。3DKのマンションに3人で住む。6畳間3部屋を1部屋ずつ使い、キッチン、風呂、トイレは共用。だが、キッチンの流しに食器はなく、生活臭がまるでない。誰もが6畳間にこもり、音漏れに細心の注意を払うせいか、部屋全体が静まり返っている。
茨城の社宅では、疲れきって帰宅した40代の派遣社員がこぼした。「事件で派遣に偏見を持たれたら迷惑だ。正社員になれず、仕方なくやっている」□ □
津軽半島の海沿いに、加藤容疑者の母親(53)の実家はあった。才媛(さいえん)とうたわれて青高へ進む。「地元の弘前大に行くくらいなら……」と県外の国立大を受けたが、かなわず、金融機関に就職した。
父親(50)は青森市に育ち、県立高から同じ金融機関へ。2人は間もなく結ばれ、男児2人をもうけた。加藤容疑者は長男だ。
父親は努力を重ね、学歴のハンディをはね返し、各支店の営業を統括する役職に上り詰めた。教育熱心な母親は、祖父母に「教育には口を出さないで」とくぎを刺した。「子供は必ず大学へやる」。高卒の夫婦は厳しい態度でわが子に臨んだ。
期待通り青高に合格し、母親は実家に「智大が合格した」と喜びの電話を入れた。
高校1年の夏。「成績が振るわない」。母親は沈んだ顔で親類に打ち明けている。夫婦仲は冷えた。
両親は10日、報道陣の前に姿を見せ、母親は地面に崩れた。テレビで見た親族が電話すると、母親は「亡くなられた方に償いきれない」と泣いた。
よりどころとなるべき家は壊れ、派遣社員としてどこにも根を張れずに流れていく。浮き草が最後にたどり着いたのは、虚実入り乱れる「アキバ」だった。【まとめ・井上英介】
誰でもよかった:秋葉原通り魔事件/上(その1) 孤独な心情、サイトに
[毎日新聞 2008年6月10日 東京朝刊]◇<希望ある奴にはわかるまい> 派遣先「削減」が引き金
<彼女がいれば、仕事を辞めることも(中略)携帯依存になることもなかった 希望がある奴(やつ)にはわかるまい>。東京・秋葉原で起きた通り魔事件。逮捕された加藤智大(ともひろ)容疑者(25)は、昼夜を分かたず携帯サイトの掲示板に心の軌跡をつづっていた。加藤容疑者が書き込んだとみられる掲示板をたどった。
<希望がある奴にはわかるまい>。アクセス記録によると6日午前3時9分。犯罪者の気持ちに理解を示す表現もある。<「誰でもよかった」 なんかわかる気がする>(5日午後0時5分)。無差別にナイフを振り上げるに至るまでの孤独な「実況中継」は、凶行直前まで続いた。
加藤容疑者は人材派遣会社から07年11月、静岡県裾野市の関東自動車工業の東富士工場に派遣され、車体の塗装面のチェックなどを担当してきた。時給1300円だが、仕事ぶりはまじめで勤務評価は「中の上」。今年も契約は更新され、派遣ではベテランだった。
だが、工場は今月2日、派遣社員200人のうち150人を削減すると発表した。加藤容疑者は翌3日、「青森に帰って安い時給の仕事でもするか」と同僚に語っていた。直後に、偶然工場前で出会った派遣元の担当者に「あなたは契約継続です」と伝えられた。
加藤容疑者は5日朝、まじめな態度をひょう変させる。「おれのつなぎ(作業着)がないぞ」。出社し更衣室で突然叫んだ。「会社はなめている」。手近にあったハンガーを投げ散らし、姿を消した。
掲示板には6日、こう書き込まれた。<人が足りないから来いと電話が来る 俺(おれ)が必要だから、じゃなくて、人が足りないから 誰が行くかよ>
関東自動車工業幹部は9日の会見で、派遣社員削減について「切る」と口を滑らせ、慌てて「契約解除」と言い直した。
<平日の昼間からふらふらしている俺ってなんなんだろうね><いつも悪いのは全部俺>。自虐的な言葉が続くが、ネット上で励まされたこともあった。
5月下旬、匿名の相手から<自分に値段をつけたら?>と聞かれて<無価値です ゴミ以下です リサイクルできる分、ゴミの方がマシです>と答える。それでも<努力は人を成長させてくれるよ>などと元気付けられた。匿名の仲間から励まされた男が恋を成就させるネット小説「電車男」のようなやり取りが続く。だが、小説の主人公とは逆に徐々に心を閉ざしていった。
高校時代の担任教諭は、テレビに映った教え子の姿を見て「ほおがこけたな」と思った。記憶ではもっとふっくらし、柔和だった。
「あんな目つきではなかった」◇加藤容疑者か、別掲示板にも――事件前5?7日の様子
携帯電話のサイトに通り魔事件を予告する書き込みをしていた加藤容疑者とみられる人物が、同じサイトの別の掲示板にも、事件前の5?7日の行動や心の軌跡を書き込んでいた。「工場で大暴れした」など、加藤容疑者の供述や事件直前の行動と符合するものが多い。書き込みは5日午前11時51分の「犯罪者予備軍って、日本にはたくさん居る気がする」を皮切りに「やりたいこと…殺人 夢…ワイドショー独占」などと続いている。
◇携帯電話の履歴消す
警視庁万世橋署捜査本部の調べで、加藤智大容疑者(25)の携帯電話のアドレス帳から、電話番号やメールアドレスが消去されていたことが分かった。メール送受信の履歴も消去されていた。
加藤容疑者が通り魔事件の実行前に、自分の関係先を分からないようにしたとみられる。
捜査本部は、履歴などを消去した目的などを追及する。◇ダガーナイフ、法の規制外
東京・秋葉原の通り魔事件で使われた凶器は、野外で日常用具として使われる片刃のサバイバルナイフでなく、武器として設計された両刃のダガーナイフ(短剣、刃渡り13センチ)だった。刃渡り15センチ以上の刃物所持を許可対象とする銃刀法の規制外で、販売店やインターネットで容易に購入が可能だ。日常用具ではない対人武器が若者にも販売されている。
東京都中野区で刃物販売店を経営する丹羽義典さん(46)によると、ダガーナイフは野外の日常用具としても使う片刃のサバイバルナイフに比べ、刃の切れ味は劣るが、突き刺して相手を殺傷する能力は優れている。2500円程度から、デザインの凝った1本数十万円の物まである。ミリタリーファンを中心に人気があるという。
銃刀法は刃渡り6センチ以上の刃物を理由なく持ち歩くことを禁じているが、15センチ未満だと所持には規制がない。15センチを超える場合は都道府県公安委員会の許可が必要になる。
警察庁は昨年12月に銃刀法を改正し、刃物の不法携帯を「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」から「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」にした。今回の事件で、警察庁は「ナイフの一律な規制強化は難しい」と規制には否定的だ。【遠山和彦】==============
■事件予告とは別の掲示板に加藤容疑者が書き込んだとみられる記述要旨(原文のまま)
<5日>
午前11時51分 犯罪者予備軍って、日本にはたくさん居る気がする
午後 0時05分 「誰でもよかった」 なんかわかる気がする
午後 0時33分 トラックで行くのは無謀かもしれん<6日>
午前 1時44分 あ、住所不定無職になったのか ますます絶望的だ
午前 2時48分 やりたいこと…殺人 夢…ワイドショー独占
午前 2時54分 工場で大暴れした
午前 3時10分 いつも悪いのは全部俺
午前 5時04分 出勤時間になると目がさめてしまう もう行かないんだから寝かせてくれ
午前 6時41分 とりあえず出発しよう
午前 7時06分 飛び込み自殺で東海道線がとまりました 何もかもが私の邪魔をします
午前11時01分 福井に向かってみる
午前11時14分 買い物 通販だと遅いから福井まででてきた
午後 1時09分 買い物終了 たったこれだけのために往復2万とか、バカじゃないですよ
午後 2時39分 店員さん、いい人だった
午後 2時42分 人間と話すのって、いいね
午後 7時27分 帰ってくると現実に引き戻される気がして嫌だ
午後 8時49分 ナイフを5本買ってきました<7日>
午前 6時37分 さあ出かけよう
午前 8時03分 今日は秋葉原 お金をつくりに行く
午前 9時14分 隣の椅子が開いてるのに座らなかった女の人が、2つ隣が開いたら座った さすが、嫌われ者の俺だ
午前 9時19分 そういうことされると、殺したくなる
午前10時45分 秋葉原ついた
午前11時14分 買取32000は舐めてるだろ
午前11時41分 定価より高く売れるソフトもあった さすが秋葉原
午後 1時14分 レンタカーに空きがなかったトラックじゃ仕方ないかも
午後 1時43分 さあ帰ろう 電車に乗るのもこれが最後だ
午後 1時50分 大きいのが無かったら普通のでいいや できれば4tが良かったんだけど
午後 3時35分 大きい車を借りるにはクレジットカードが要るようです どうせ俺は社会的信用無しですよ
午後 4時01分 小さいころから「いい子」を演じさせられてたし、騙(だま)すのには慣れてる 悪いね、店員さん
午後 4時03分 無事借りれた 準備完了だ
午後 8時34分 もっと高揚するかと思ったら、意外に冷静な自分にびっくりしてる
午後 8時53分 中止はしない、したくない
「ツナギなくなったこと引き金に」と供述
[TBS News-i 2008年6月12日17:54]東京・秋葉原の無差別殺傷事件、逮捕された男が犯行のきっかけについて供述を始めました。男は「派遣先の工場をリストラされると一旦通告された上、自分のツナギがなくなったことが一つの引き金になった」と供述しているということです。
秋葉原の歩行者天国で無差別に17人を殺傷した加藤智大容疑者(25)。その後の調べに対し、犯行のきっかけについて供述していることが新たに分かりました。
直前まで加藤容疑者が働いていた静岡県の自動車部品工場。加藤容疑者は今月いっぱいでの解雇を告げられていました。工場側は今月に入り解雇を撤回。雇用契約は延長されましたが、加藤容疑者はこうしたことが犯行のきっかけだったと供述したのです。
「派遣先の工場をリストラされると一旦通告された上、自分のツナギがなくなったことが一つの引き金になった」(加藤智大 容疑者)
加藤容疑者は過去にも職場での待遇について不満を漏らすことが多かったといいます。
青森県屈指の進学校を卒業した加藤容疑者は、岐阜県の自動車短大へ進学。その後は、仙台や埼玉、茨城などで働きます。去年の1月から9月までは、再び地元青森に戻ってアルバイトとして2トントラックの運転手をしていました。当時は職歴に納得せず、涙を見せることもあったといいます。
「高校はいい高校を出たのに、自分の希望の仕事にも就けなくて、自分の仕事、やっている事、やってきた事に納得していない。そういう話をすれば、ドーンと沈んじゃうんですよ。泣いちゃうんですよね」(運送会社の元同僚)
また、当時、「社員にしてくれない。アルバイトのままだ」と会社側への不満も漏らしていたといいます。
「『社員さんになりたいんだけどな』、『してくれねーんだよな』って。『お前だけじゃねーよ』って、みんなしゃべっていましたけど」(運送会社の元同僚)
加藤容疑者について運送会社側は、「働き始めてから3カ月で正社員にした」と話していますが、結局、この会社も自ら辞めたといいます。各地を転々として働くものの、いずれも長続きせず、不満を募らせていったのか・・・。
調べに対し、「会社が悪い、親が悪い、社会が悪い」などと責任を転嫁するような供述もしているということです。
「『2ちゃんねるのサイトをよく見ている』と。誰かが書き込んだ“犯行予告”とか、休憩の時とか周りに見せていた。『こういう“犯行予告”があるんだけど』とか」(同僚)
事件前からネットの「犯行予告」に関心を見せていたという加藤容疑者。自分で書いた「犯行予告」については、「犯行を誰かに止めてほしかった」と供述しているということです。
秋葉原で正午から始まる歩行者天国を待ってトラックごと突っ込んだあの日。現場近くの防犯カメラが犯行時刻の4分前、12時26分に捉えた加藤容疑者のトラック。このおよそ10分前にも、やはり加藤容疑者のトラックが走る様子が捉えられていました。
同じところを周っていた理由は?「犯行」をためらったためか?それとも確実に実行しようと「下見」していたのか?
「誰にも理解されない」「いつも悪いのは俺」。自分の思いを書き連ねた携帯サイトについては、「携帯は自分の生活の一部のようなもので、その都度書き込んでいた」と供述しているということです。
秋葉原殺傷:9日前に「解雇」通告 「不要」扱い怒り?
[毎日新聞 2008年6月11日 2時30分(最終更新 6月11日 2時30分)]東京・秋葉原で8日、7人が殺害された事件で、派遣社員の加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が警視庁万世橋署捜査本部の調べに対し、「これまでの人生が嫌になった」と供述していることが分かった。事件の9日前、職場の現場責任者から、解雇の見通しを通告されていたことも判明。捜査本部は、職場への不満や不安が無差別殺人へと駆り立てるきっかけとなったとみてさらに動機を追及している。
加藤容疑者は東京都内の人材派遣会社に登録し、自動車組み立て・生産大手の関東自動車工業東富士工場(静岡県裾野市)に派遣され働いていた。工場の職場関係者によると、今年5月中旬から大量解雇のうわさが広まっていたという。そのため、責任者が先月30日、派遣社員十数人を集めて「(当面は)休まず働いてほしいが、派遣社員の中には解雇される人も出る」と説明した。加藤容疑者ら2人はこの説明会に遅れて参加。責任者に「急に言われても何と言っていいか分からない」と返答に困った様子だった。同じ塗装工程で働く同僚にこの後「青森に帰って時給の安い仕事でもみつけようかな」と皮肉っぽく漏らしたという。
ただ、今月3日に一転して雇用継続が伝えられ、加藤容疑者は翌4日「辞めなくてもよくなった」とこの同僚に打ち明けたが、「良かったじゃないか」という同僚の言葉には無反応だったという。同僚は「どうして喜ばないのか不思議だった」と振り返る。
翌5日午前6時15分ごろ、加藤容疑者は工場更衣室で「つなぎ(作業着)がないぞ」と突然大声を出し、壁を殴るなどして暴れ、職場から飛び出した。この1時間半前に携帯電話サイトの掲示板に「おれが必要なんじゃなくて、とりあえずクビ延期」と不満をぶつけていた。6日には福井市でダガーナイフなどナイフ6本を購入し事件の準備を始めた。
工場側の説明では、派遣社員を今月末で200人から50人に減らす計画があったが、加藤容疑者は対象ではなく、そう伝えられていた。また、なかったという作業服は更衣室付近にあった。しかし、加藤容疑者は現場責任者との面談の前の先月22日にも、職場の暑さに「ふざけるな」と大声を上げるなどいら立っていたという。雇用継続を伝えられても、加藤容疑者の職場や仕事へのいら立ちは解消されなかった可能性が高く、捜査本部で詳しい経緯を調べている。【川上晃弘、浜中慎哉山田毅】
青年が派遣されていた関東自動車工業と彼を派遣していた日研総業のコメントは以下のとおり。
2008 年6月9 日
関東自動車工業株式会社6 月8 日秋葉原通り魔事件の報道についてこの度の事件で犠牲者となられた方々とその家族の方々に心から哀悼の意を表します。
また、怪我をされた方々の一日も早いご回復をお祈りいたします。お騒がせして誠に申し訳ありません。
加藤容疑者は、人材派遣会社・日研総業株式会社の社員として、平成19 年11 月より弊社東富士工場の塗装工程に派遣されておりました。勤務態度は6 月4 日(水)までは欠勤も無く、真面目に仕事に取り組んでおりました。 また、日常のミーティングを通じコミュニケーションを図り、管理、監督に努めている中では変わった様子はみられませんでしたので、今回の事件に対しては弊社としても非常に驚いております。
今後、人材派遣会社に対しては、このような不祥事が二度とないように、人材の確保、管理、監督について要請していきたいと思います。
また、弊社としましても管理、監督を含めて良い職場づくりに努めていきたいと思います。以上
2008 年6 月10 日各 位
日研総業株式会社
代表取締役社長 清水 真一秋葉原の事件について6 月8 日に発生した秋葉原の事件につきましては、犠牲となりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様には心より哀悼の意を表します。
また怪我をされた方々の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。
逮捕された容疑者は、2007 年11 月より弊社の派遣スタッフとして静岡県の自動車車体製造業の会社に勤務しておりました。勤務態度も6 月4 日までは欠勤もなく真面目な仕事ぶりであったことから、弊社にとりましても大きな驚きであり、また真面目に働いている多くの派遣スタッフのためにも残念でなりません。
関係各位の皆様方には、多大なご迷惑をおかけすることになり、心からお詫び申し上げる次第です。弊社では、引き続き当局の調査に全面的に協力するとともに、二度とこのような悲惨な事件が繰り返されることのないよう、派遣スタッフの管理体制を改めて見直してまいります。
東京・秋葉原無差別殺傷事件 加藤容疑者の同僚「人員削減が悩みになっていると思う」
[FNNニュース 06/09 23:49]東京・秋葉原で男女7人が死亡した通り魔事件で、逮捕された25歳の男は事件当日、携帯サイトの掲示板に犯行を予告する書き込みをしていたことがわかった。
加藤智大容疑者(25)は、白昼、秋葉原の歩行者天国で17人を死傷させ、逮捕された。
逮捕の際には、計3本のナイフが押収されたが、9日の捜査で、トラックの運転席に置かれたリュックサックから、新たにナイフ2本と特殊警棒1本が押収された。
加藤容疑者は、「ナイフは犯行数日前に福井で買った」と供述しているという。
加藤容疑者は、勤務先でのさまざまな不満を口にしていたという。
加藤容疑者の同僚は「『会社はなめてる』とか、そんなことを言ってたらしいです」と話した。
また、加藤容疑者が派遣されていた工場では、リストラも検討されていたという。
加藤容疑者の同僚は「人員削減のことが多分、悩みになってると思いますし」、「(加藤容疑者が冗談で)青森に帰って、また安い時給のバイトでも見つけるとか言ってました」と話した。
加藤容疑者は、調べに対し「犯行を2?3日前に決意した」、「世の中がいやになった。誰でもよかった」と供述している。
加藤容疑者は、生い立ちを話すときなど、時折涙を浮かべているというが、被害者に対しての反省の言葉は、いまだない。
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