米下院が金融安定化法案を否決。
そのため、NY株式市場は777ドルもの下落。ドルも1ドル=103円まで下落して、文字通り八方ふさがりの状態。日銀は、主要国中央銀行と連携して、ドル供給を続けているが、インターバンクの貸し渋りは別の要因でおきているのだから、ドル供給を増やしただけでは解消するはずもない。しかも、ドル供給を続ければ、当然ながら、ドル安が加速する。
アメリカの「双子の赤字」を放置し、投機マネーを容認してきた各国政府、自分たちもそれで儲けてきた各国財界にそのツケが回ってきたのだが、投機マネーの破綻はともかく、それが実体経済に跳ね返ったときに痛い目にあわされるのは国民だ。
当面、アメリカ政府は公的資金による不良債権の買い取り、資本増強に向かうことになるのだろうが、それらのコストは、金融術策で儲けを得てきた大企業、金融資産家に負担させなければならない。「大変だ、大変だ」といって、あたふたと公的資金投入や財政バラマキをすすめるだけでは、問題解決にならない。このさい、投機にたいする規制、金融・証券業界の業務の透明性の確保など、きちんと対策をおこなう必要がある。
米下院、金融法案否決 NY株史上最大の下げ – CNN.co.jp
米下院、金融安定化法案を228対205で否決(ロイター)
欧州3銀行が国有化 独政府は不動産金融救済(中日新聞)
東京株が全面安、日経平均の午前終値544円安(読売新聞)
日米の株価急落、国内経済にも打撃 外需や雇用、悪化の恐れ(NIKKEI NET)
日銀、短期市場に2兆円供給 10日連続、累計20兆円超(NIKKEI NET)
東京円:急伸し、一時103円台 ドル売り込まれ(毎日新聞)
米下院、金融法案否決 NY株史上最大の下げ
[CNN.co.jp 2008.09.30 Web posted at:10:27 JST Updated – CNN/AP]
米下院は29日、最大7000億ドル(約75兆円)の公的資金による不良資産買い取りを盛り込んだ金融安定化法案を、賛成205、反対228で否決した。共和党と民主党は、相互批判を展開している。
法案は米政府による経済介入として、1929年の大恐慌以来最大規模とされる。米政府と議会指導者らは28日、段階的な公的資金の投入と、納税者保護の条項も盛りこんだ修正案で合意。 しかし巨額の税金を投入することに対し、下院議員らの抵抗は強かった。
フラット大統領副報道官は、ブッシュ米大統領が法案否決を受けて「非常に失望した」と語った。大統領は顧問らと会合を開き、議会指導者らを呼ぶ考えという。また、ポールソン米財務長官は、引き続き議会指導者らとの協議を通じて法案をあらためて策定し、可決を目指す方針を明らかにした。
米大統領選の民主党候補のバラク・オバマ上院議員は、下院での否決を厳しく批判。一方、共和党候補のジョン・マケイン上院議員の陣営は、オバマ氏と民主党が「国より政治を優先した」と批判した。
民主党のペロシ下院議長は、法案可決を促す演説の中で、7000億ドルは莫大な数字であるものの「ブッシュ政権の経済政策の失敗のつけに過ぎない」と発言。共和党は法案否決後、共和党の支持を「毒した」とペロシ議長の発言を批判した。
しかし下院金融委員長で民主党のバーニー・フランク氏は、「(共和党は)感情を傷つけられたとの理由で、国家を処罰することを決めたのか」とコメントし、法案支持を十分固められなかった共和党指導部が、矛先をペロシ議長に向けているとの認識を示した。
法案否決を受けて週明け29日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、前週末終値比777.68ドル安の1万0365.45ドルと急反落し、史上最大の下げ幅を記録した。
米下院、金融安定化法案を228対205で否決
[ロイター 2008年09月30日 08:52 JST]
[ワシントン 29日 ロイター] 米下院本会議は29日、金融安定化法案を反対228票・賛成205票で否決した。共和党の下院議員は3分の2以上が反対した一方、民主党議員は過半数が賛成した。今回の否決について、両党は互いを批判している。
ペロシ下院議長は「きょうの事態は容認できない。前に進む必要がある。われわれは市場の安定に努力し、納税者を保護するためにここにいるのだ」と述べた。
ユダヤ教の新年にあたる祝日の休会後、上院は10月1日に、下院は2日に再開する。休会中の採決はできないが、議会スタッフは休会中も修正案の策定を進めることができる。
欧州3銀行が国有化 独政府は不動産金融救済
[中日新聞 2008年9月30日 朝刊]
【ロンドン=松井学】米国発の金融危機は29日、経営難に陥った欧州の金融機関が相次ぎ国有化される事態に発展した。英政府は同日、株価が急落している英中堅銀行ブラッドフォード・アンド・ビングレー(B&B)を一時国有化すると発表、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3カ国政府はベルギー最大の金融グループ、フォルティスを共同で部分国有化すると表明した。アイスランド政府はグリトニル銀行の株式75%を6億ユーロ(約920億円)で取得し、事実上国有化すると発表した。
いずれも信用収縮が続く市場を落ち着かせ、取り付け騒ぎを回避するには国有化が必要だと判断したもようだ。米国に次ぐ欧州での金融混乱で世界的な景気後退への悪影響も避けられなくなった。
一方、独政府は同日、資金繰りが悪化していた不動産金融大手ハイポ・リアル・エステートに対し、民間銀行団と協調して最大350億ユーロ(約5兆3000億円)の融資枠を設定する救済策で、同行の経営破たんを回避したと発表した。
英国での銀行国有化は、今年2月の英中堅銀行ノーザン・ロック以来。B&Bは住宅ローン大手だが、不動産価格の下落とサブプライム住宅ローン問題に伴う証券化商品の損失拡大で業績が悪化した。
株価は今年に入り9割超下落していた。英政府はB&Bの全株を取得、約200の支店網を含めた一部事業はスペイン最大手のサンタンデールに売却する。
フォルティスについて3カ国政府は、共同で公的資金から計112億ユーロ(約1兆7000億円)を出資、同社株の49%を握る。同グループは欧州を中心に幅広く銀行事業などを展開し影響が大きいため、異例の「共同国有化」となった。
東京株が全面安、日経平均の午前終値544円安
[2008年9月30日11時20分 読売新聞]
30日の東京株式市場は、米緊急経済安定化法案の否決を失望した売りで全面安となっている。
日経平均株価(225種)は一時、前日終値に比べて582円78銭安の1万1160円83銭まで値下がりし、取引時間中の今年最安値を更新、2005年6月以来、約3年4か月ぶりの安値を付けた。
日経平均の午前の終値は前日終値比544円54銭安の1万1199円7銭。
日米の株価急落、国内経済にも打撃 外需や雇用、悪化の恐れ
[NIKKEI NET 2008/09/30 12:21]
米下院の金融安定化法案の否決を受けて日米の株価が急落、国内の市場関係者は「想定以上に金融危機が深刻化してきた」と不安を募らせている。法案は修正協議を経て成立するとの見方が根強いが、調整が遅れれば危機の世界的な波及が避けられない。国内は既に生産や雇用が悪化しつつあり「金融危機で外需がさらに減退すれば実体経済への打撃も大きい」との懸念も強まっている。
30日の東京株式市場では、日経平均株価が取引時間中の年初来安値を下回った。銀行株などに売り注文が殺到。傘下銀行が米ワコビアと業務提携しているみずほフィナンシャルグループは取引開始から27分、三菱UFJフィナンシャル・グループは30分値がつかなかった。
保有する証券化商品の価格下落が業績悪化につながりかねないとの懸念から、投資家に嫌気されている。米金融危機が一段と深刻になり、日本株も当面は下値を模索する展開になるとの声が広がっている。
日銀、短期市場に2兆円供給 10日連続、累計20兆円超
[NIKKEI NET 2008/09/30 10:17]
日銀は30日、短期金融市場に即日で2兆円の資金を供給する公開市場操作(オペ)を実施した。米下院が金融安定化法案を否決し、米金融システムへの不安が強まったことで、多めの資金供給が必要と判断したとみられる。
日銀による即日の資金供給は米大手証券リーマン・ブラザーズが経営破綻してから10営業日連続で、総額は20兆1000億円に達した。金融機関が日々の資金をやりとりするコール市場では30日、一部の外国銀行が無担保コール翌日物の取引開始直後に日銀の誘導目標(0.5%)を大きく上回る0.70?0.80%で取引した。
日銀は29日、米欧の主要中央銀行と連携してドル資金を市場に供給する協調策の拡充を決めている。30日は円資金だけを供給する予定だが、当面は円・ドル両面で潤沢な資金をいつでも供給できるようにする。
東京円:急伸し、一時103円台 ドル売り込まれ
[毎日新聞 2008年9月30日 11時53分(最終更新 9月30日 12時17分)]
30日の東京外国為替市場は、米金融安定化法案の下院否決を受けてドルが売り込まれ、円相場は一時、1ドル=103円50銭に急伸し、5月下旬以来約4カ月ぶりの円高・ドル安水準をつけた。正午時点は、前日午後5時比1円98銭円高・ドル安の1ドル=104円15?17銭。【辻本貴洋】