群馬県前橋市と東京都江東区で、学校選択制を見直すことに。特定の学校に生徒が極端に偏ったり、地域のつながりが希薄になったり、学校選択制にすればすべてうまくいくという訳にはいかないようです。
学校選択制を小中とも廃止、生徒数極端な偏り 23年度から 前橋市(産経MSNニュース)
学校選択制:東京・江東区が見直し 小学校は学区内を原則(毎日新聞)
学校選択制を小中とも廃止、生徒数極端な偏り 23年度から 前橋市
[産経MSNニュース 2008.9.28 02:07]
群馬県前橋市教育委員会は、通学区域外の小中学校を選択できる「学校選択制」を平成23年度から廃止することを決めた。学校間で児童・生徒数の偏りが生じたためで、廃止は県内初、全国でも珍しいという。
市教委によると、学校選択制は平成16年度に導入された。小学校は自宅から直線距離で4キロ、中学校は6キロ以内であれば、原則として自由に希望校を選択できる。しかし、ある中学校では入学生徒数が毎年約30人ずつ減少し、導入後の5年間で全校生徒数が約300人から約150人に半減。生徒数が減少した学校がある一方、大規模校では100人以上増加するなど、極端な偏りが生じた。
生徒数が減少したために教師数も減り、1人の教師が複数の教科を掛け持たなければならなくなるケースも現れた。入学生徒数の減少で部活動にも支障が出ていた中学校もあった。
このため、市教委では約2年前から学校選択制の見直しを検討。「地元の子供と地域社会の関係が希薄になるという新たな問題も出てきた」(市教委)として、廃止に踏み切ったという。
市教委は学校選択制の廃止について、保護者にチラシを配布して通知するほか、今後、市の広報などを通じて周知する方針。
学校選択制を実施した場合には、前橋市の例のように、生徒減→教師減→教育水準の低下→生徒減→教師減→…とマイナスのスパイラルにならないように、生徒が減った学校にこそ予算や人員を配置して、教育内容を充実させる施策がないと、いったん生徒が減り出すと止まらなくなります。結果的に、生徒が集中した学校の教育環境も悪化する訳で、みんなが損をすることになります。
学校選択制:東京・江東区が見直し 小学校は学区内を原則
[毎日新聞 2008年9月26日 東京夕刊]
東京都江東区は、区内全域から希望校を選択できる「学校選択制度」を一部見直し、来年度から小学校については、住所で決まる通学区域の学校への入学を原則とすることにした。選択制で地域と子供たちのかかわりが薄れてきたとの住民の指摘を受けた措置で、選択制度が全国に広がる中、議論を呼びそうだ。
区教委によると、小学校は「徒歩で通える学校」を原則とする。しかし、親の希望などに配慮して選択制は残し、通学区域外への入学も認める。中学校はこれまで通り、全区域から選ぶことができる。
区教委は02年度、「学校ごとに特色を出し合い、教師の意識改革や学校の活性化につながる」などの理由で学校選択制を導入した。他区域を選ぶ割合が徐々に増え、今年度の新1年生は小学校では22%、中学校では37%が通学区域外に入学した。しかし、一方で、区民から「地元の学校に地域の子供が少なくなっている」などの意見が寄せられるようになったという。
区教委は「制度を6年間やってきたが、地域と子供の関係が希薄になっている。子供たちが、地域とのかかわりを強めることを重視したい」と話している。【吉永磨美】
都市部では、小学校の親同士のつながりというのは、地域社会を支える土台のようなもの。町内会に参加してない人でも、子どもがいれば、学校には必ずつながっています。それを選択制でズタズタにしてしまえば、地域社会の土台が崩れて、結局、行政の負担が増えてゆくことに鳴るのではないでしょうか?