米紙「ワシントンポスト」に、こんな記事が出ていました。ドイツでマルクス『資本論』が売れているそうです。
Karl Marx's book sells as Germany economy sinks – The Washington Post
経済危機の中、マルクスの『資本論』が売れ行き伸ばす: AFPBB News
Karl Marx's book sells as Germany economy sinks
[The Associated Press Friday, October 17, 2008; 2:45 PM]
By PATRICK McGROARTYBERLIN — Some Germans seem to be seeking solace in the words of their countryman Karl Marx amid the global financial crisis _ to the delight of a small academic publisher.
The Karl-Dietz Verlag has sold 1,500 copies of Marx's "Das Kapital" this year, making the annotated edition of the dense text an unlikely hit for the Berlin publisher. It moved 200 in September, as many as it used to sell in a year.
"It's definitely in vogue right now," Joern Schuetrumpf, the publisher's director, told The Associated Press. "The financial crisis brought us a huge bump."
Schuetrumpf said Karl-Dietz's yearly sales for the work that Marx wrote in 1867 once barely cracked the double digits. But he has noted a steady upward trend since 2005, when 400 copies were sold, to a total of 1,300 sales in 2007.
Schuetrumpf theorized that younger Germans are disenfranchised with the direction that their parents have led the country _ and the way their leaders have responded to global financial troubles.
"There's a younger generation of academics tackling hard questions and looking to Marx for answers," Schuetrumpf said.
But newfound fans are not the only sign of Marx's legacy in a country divided for more than four decades into capitalist West Germany and the communist East.
Socialist principals still guide the platform of a resurgent Left Party, and Marx's writings have inspired everyone from peaceful student activists to the radical leftist Red Army Faction.
Karl-Dietz is not the only German-language publisher of "Das Kapital," as the book long ago entered the public domain.
But German media have reported that bookstores across Germany have seen a 300 percent increase in sales of the book in recent months.
Schuetrumpf did not seem eager to fuel the fad, instead offering a prediction about those who may already have turned to Marx for answers to their financial woes.
"I doubt they will read it all the way to the end, because it's really arduous," Schuetrumpf said.
ヘッポコ訳です。
マルクスの本が、ドイツ経済の落ち込みで売れている
[パトリック・マクグロアティ AP通信 Friday, October 17, 2008; 2:45 PM]
ベルリン――ドイツには、世界金融危機の真っ直中で、同国人カール・マルクスの言葉の中に慰めを求める人たちがいる。それは小さな学術出版社を喜ばせている。
カール・ディーツ出版社は、今年、マルクスの『資本論』1500部を売って、びっしり文字の詰まった注釈付き版を、ベルリンの出版社にとってはありそうもないヒットにした。9月には200部が売れたが、それは従来なら1年かかって売れた部数だ。
「それは、いまや完全に流行している」と同社のイェルン・シェトルンプ社長は、AP通信に語った。「金融危機は我々に大きな衝撃をもたらした」。
シェトルンプは、次のように語った。1867年にマルクスが書いた著作〔『資本論』のこと〕のカール・ディーツ社の年間販売部数はかつてはかろうじて2ケタを数える程度だった。しかし、400部を売った2005年以来、着実な上向線を描き、2007年には全部で1300部が売れた。
より若いドイツ人たちが、親たちが国を導いてきた方向や指導者たちが世界金融不安に対応したやり方によって市民権を奪われている、とシェトルンプは考えている。
「大学人のなかに、難しい問題にとりくみ、マルクスに回答を求める若い若い世代がある」とシェトルンプはいう。
しかし、新しいファンは、40年以上にわたって資本主義と共産主義の東西ドイツに分断されてきた国に、ただマルクスの遺産が残っている、ということを示すだけではない。
社会主義の原則は、よみがえった左翼党の政綱を今でも導いているし、マルクスの著作は、平和的な学生活動家から極左赤軍派まで、みんなに霊感を吹き込んでいる。
カール・ディーツ社は、『資本論』をドイツ語で出版する唯一の出版社ではない。同書は、ずっと前からパブリック・ドメイン〔著作権の切れた状態のこと〕になっている。
しかしドイツ・メディアの報道によれば、同書の販売部数は最近数カ月で300%の増加をみせた。
シェトルンプは、しきりに熱狂をあおっているようには見えなかった。その代わり、金融危機にたいする答えを求めてこれまでにマルクスに目を向けた人々について、1つの予言を提供した。
「彼らが『資本論』を最後まで全部読むかどうかは疑問だ。実際、それは根気がいるからだ」――シェトルンプはそう言った。
経済危機の中、マルクスの『資本論』が売れ行き伸ばす
[AFPBB News:2008年10月18日 18:21 発信地:フランクフルト/ドイツ]
【10月18日 AFP】流行か、あるいは時代のすう勢か、ドイツの経済学者・哲学者カール・マルクス(Karl Marx)の著書『資本論』の売れ行きが伸びている。ドイツ中西部フランクフルト(Frankfurt)で15日開幕した世界最大の書籍見本市「フランクフルト・ブックフェア(Frankfurt Book Fair 2008)」に参加した、共産主義関係の書籍を専門に扱う出版社が17日明らかにした。
出版社「Karl Dietz Verlag」のJoern Schuetrumpf社長は、マルクスやドイツの社会主義運動の先駆者ローザ・ルクセンブルク(Rosa Luxembourg)のポスターが飾られたブースで、1867年に初出版されたマルクスとフリードリヒ・エンゲルス(Friedrich Engels)の歴史的著書『資本論』を前に、「2005年以降、わが社の売り上げが伸びている。05年は500冊、06年は800冊、07年は1300冊売れた。08年も9月までですでに1500冊が売れている。数自体はそれほどでもないが、その増加ぶりに驚いている」と話した。
多数の先進国が景気後退の瀬戸際に立たされる中、「カール・マルクスを再び読む必要性を感じている社会は、経済に懸念を感じている社会だ」とSchuetrumpf氏は指摘した。