難しい… 佐藤勝彦『アインシュタインが考えた宇宙』

佐藤勝彦『アインシュタインが考えた宇宙』

出張中におもしろい話を聞いたので、ひさびさに宇宙論にかんする本を買ってきました。ビッグバン宇宙国際研究センター長の佐藤勝彦氏の最新著『アインシュタインが考えた宇宙』(実業之日本社、2005年12月刊)。

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雑誌記事から

最近読んだ雑誌記事から、いくつか紹介。

1つめは、『前衛』5月号に載った『えひめ丸事件』(ピーター・アーリンダー著、薄井雅子訳・共著、新日本出版社)の紹介。

書かれているのは元衆議院議員の春名直章さん。春名さんは、事件当時、四国比例ブロック選出の衆議院議員で、羽田空港で事件の第一報を聞き、ただちに宇和島水産高校にかけつけたそうです。それだけに、情感のこもった文章で読ませてくれます。

2つめは、『経済』5月号に掲載された故・都留重人氏の追悼文。
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読んでいます 中公版・日本の歴史『開国と攘夷』

小西四郎『開国と攘夷』(?公文庫 日本の?史<19>

先日の歴史教科書シンポジウムの討論のときに、琉球大学教授の高嶋伸欣さんが、日本の対アジア観という大事な問題に関連して、小西四郎著『開国と攘夷』(中央公論社版日本の歴史<19>、親本は1966年刊)を紹介されていました。ちょうど中公文庫で改版新刊が出たとろだったので、早速読み始めました。

高嶋氏が紹介していたのは、幕末に、日本がアメリカやイギリス、フランスなどに開国をせまられたとき、列強の植民地にならずにすんだのはなぜかという問題。この問題は、しばしばインドや中国が「遅れていた」のにたいし、日本は「進んでいた」から植民地化の危機を乗り越え、アジアで唯一独立をたもち、「近代化」にも成功した、というふうに論じられるのですが、高嶋氏は、そういう独りよがりな見方でよいのか、そういうところこそ、アジアが日本の歴史認識の問題としていちばん注目するところだというのです。
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読み終えました。『マルクスの使いみち』

稲葉振一郎・松尾匡・吉原直毅『マルクスの使いみち』

稲葉振一郎・松尾匡・吉原直毅『マルクスの使いみち』(太田出版)を、とりあえず読み終わりました。

いまでもマルクスは有効だと思っている僕の目から見ると、松尾匡>吉原直毅>稲葉振一郎 の順で、言われていることに納得。第2章で、搾取理論を捨てたとされるローマーにたいし、「搾取概念にこだわっていく」とする松尾氏が、置塩先生の「マルクスの基本定理」に依拠しながら次のように指摘されているのに注目したいと思います。

マルクスの『経済学批判要綱』(1857?58年)でみてとれる『資本論』体系の根本的なストーリーは、資本主義というのは相対的剰余価値生産を推進するのだと。相対的剰余価値生産とは、人々が生活物資を作るための直接間接の労働生産性が上昇していって、人々の生活を再生産するためにどうしてもしなければならない労働が減少することですが、マルクスはこうして自由時間がつくられるのだといっています。人間が個性を開花させ、その能力を全面的に発揮して、本当に人間らしく生きることができるのは、この自由時間のなかにおいてだというわけです。マルクスのなかには、この自由時間を最大化することが人類の目的だというような志向があり、これは確かに、投下労働価値の森嶋流の定式化である労働最小化とぴったり合致します。マルクスにいわせれば、この、本来だったら自由時間になったはずの時間が、資本主義のもとでは他人のために働かされる時間になる。これが搾取だというロジックになっています。どこまでも自由を希求するのがマルクスの基本的価値観で、僕もそれを引き継いで先ほどから述べている搾取論解釈をとっているのです。(本書、100ページ)

現実の搾取を、そのたびに「本来の自由時間」と比較する必要はないと思いますが、マルクスの搾取論がそういう意義をもっていることは、松尾氏の指摘するとおりだと思います。

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稲葉振一郎ほか『マルクスの使いみち』

稲葉振一郎・松尾匡・吉原直毅『マルクスの使いみち』

先日、コンサートの帰りに本屋で見つけたのが、稲葉振一郎・松尾匡・吉原直毅『マルクスの使いみち』(太田出版、本体1800円)。「人文系ヘタレ中流インテリのためのマルクス再入門」というコピーが気になって、ついつい買ってしまいました。(^_^;)

「人文系ヘタレ中流インテリ」というのは、「マルクス主義の資本主義批判に何らかの意義、正しさのあることを直観しながら、他方において知的体系としてのマルクス主義の正統性喪失に途方にくれている人々」(同書、18ページ)のこと。稲葉振一郎氏の命名だけれども、半分は自分たちのことを自嘲気味に?いっているのだろうと思います。

要するに、こういうヘタレ中流インテリのために、「主流派経済学〔=新古典派のこと――引用者〕の道具立てで、かつてのマルクス経済学が追究していたテーマを新たに定式化し直し、きちんと論じよう」というのが本書の立場です。その立場から、稲葉振一郎氏を中心にして、数理マルクス派の松尾匡氏や吉原直毅氏とが対談をしながら、マルクス経済学の再解釈を論じています。

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表紙の明るい絵に惹かれて

東京新聞社会部編『あの戦争を伝えたい』

仕事帰り、駅前の書店に見つけました。広島の原爆ドームの上に広がる明るい青空。しかし、そこには2つの大きな飛行機の機影が…。そして、「あの戦争を伝えたい」という文字。

東京新聞に2005年3月から年末まで、「新聞記者が受け継ぐ戦争」というサブタイトルで連載された企画です。連載中も、なんどもうんうんひきこまれた記事があったことを思い出しました。

取材したのは、東京新聞社会部の30代、40代の記者17人。「戦争を知らない」世代である記者たちは、「取材経験、人生経験、感性、知識は人それぞれで、戦争に対する思いも一様ではない。その記者一人一人と企画担当デスクによる記憶を受け継ぐ作業の集大成」だという(はじめに)。東京大空襲、キリスト教徒弾圧、沖縄戦、原爆投下、回天特攻、加害と向き合う・中国編、同韓国編、満州棄民など、「できる限り取材相手の記憶の現場を歩く」という企画のテーマは多岐にわたります。それを生き延びた人たちの体験や“思い”が、記事から伝わってきます。
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またまたいろいろ買うてしもうたがな…

1カ月以上間が開いてしまいました。こうなると、自分でも何を買ったのか、さっぱりわかりません。ということで、山積みになった本をひっくり返しつつ…。

  • 都留重人『市場には心がない』(岩波書店、2月刊)
  • 藤原正範『少年事件に取り組む――家裁調査官の現場から』(岩波新書、2月刊)
  • 金子雅臣『壊れる男たち――セクハラはなぜ繰り返されるのか』(岩波新書、2月刊)
  • 西原博史『良心の自由と子どもたち』(岩波新書、2月刊)
  • 三島憲一『現代ドイツ――統一後の知的軌跡』(岩波新書、2月刊)
  • 町田健『チョムスキー入門――生成文法の謎を解く』(光文社新書、2月刊)←ちょっと期待外れ
  • 小町文雄『サンクト・ペテルブルグ』(中公新書、2月刊)
  • 的場昭弘『マルクスに誘われて』(亜紀書房、2月刊)←早くも思想的自伝を出版なさるとは…。的場先生も偉くなられたもんで。
  • 速水敏彦『他人を見下す若者たち』(講談社現代新書、2月刊)
  • 姜尚中『姜尚中の政治学入門』(集英社新書、2月刊)
  • 牧野雅彦『マックス・ウェーバー入門』(平凡社新書、2月刊)
  • 保阪正康『昭和陸軍の研究』上下(朝日文庫、2月刊)←とりあえず上を読了。下に取りかかれるか…?
  • 藤本一勇『批判感覚の再生――ポストモダン保守の呪縛に抗して』(現代書館、2月刊)
  • 山本明利・左巻健男『新しい高校物理の教科書』(ブルーバックス、2月刊)←1月からシリーズで4冊でてます。
  • 杵島正洋・松本直記・左巻健男『新しい高校地学の教科書』(ブルーバックス、2月刊)

以上は2月分だけ。それ以前の分は続きをどうぞ。(^_^;)
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『世界』3月号 特集「景気の上昇をどう見るか」

雑誌『世界』3月号が、「景気の上昇をどう見るか――格差拡大の中で」という特集を組んでいます。中身は以下の通り、なかなか読み応えがありました。

  • 高杉良・佐高信:対談 偽りの改革とメディアの責任を問う
  • 丹羽宇一郎:インタビュー 「第二の踊り場」に来た日本経済
  • 橘木俊詔:格差拡大が歪める日本の人的資源
  • 高橋伸彰:「景気回復劇」の舞台裏で――何が回復したのか
  • 山家悠紀夫:「実感なき景気回復」を読み解く
  • 町田徹:小泉改革が煽る「独占の波」
  • 藤田和恵:ルポ 郵政民営化の大合唱の陰で――郵便局の労働現場はいま

この中で一番面白かったのは、伊藤忠商事会長・丹羽宇一郎氏へのインタビュー。日本経済の現状について、丹羽氏は次のように指摘。

 日本経済の現状についてですが、私は「一段高い踊り場に来ている」と思います。「踊り場を脱したのか脱しないのか」という議論がありますけれども、過去の低いところの踊り場は脱しているだろう、しかしその原因はエネルギー価格の高騰、素材関係の高騰という風が中国を発信源として吹いてきたということで、本当に日本経済が力強い回復を開始し始めたというとやや疑問です。……そして、日本経済の先行きについて、やや疑問になる点も出てきました。

その疑問点というのは、貿易収支に翳りがでるのではないか、ということ。国民経済論では、S(貯蓄)-I(投資)=X(貿易収支)という恒等式がありますが、この間、日本の貯蓄率は低下(1991年に15%だったものが、2005年は8%、2010年には3%になるといわれている)。そうなると、恒等式から貿易収支が縮小することになる、というのです。

そこで丹羽氏は、「経済成長を2%から2.5%の範囲で維持するためには、国内の消費を増やさないといけない」と主張。日本経済がいまの「踊り場」を脱却するためには、「輸出の減少を国内の消費で埋めていかなければならない」と指摘されています。

さらに格差拡大の問題について、丹羽氏は、財務省の法人企業統計調査データにもとづいて、次のように主張されています。

これでみると、過去10年間の法人企業従業員1人当たりの給与所得はどうか。中小企業・零細企業というのは、資本金1億円以下の企業です。この人たちの平均給与が過去10年間で、16%下がった。資本金が1億円から10億円の間の中堅企業の平均給与は、9%下がりました。そして、資本金10億円以上の大企業の人たちの給与は1%上がりました。内閣府はジニ係数を使って実態は変わっていないといっているけれど、この財務省の調査データをどうみるか。日本は、中小企業・零細企業が、全法人企業従業員の70%を占めている。そこが16%も下がっているんですよ。私が言いたいのは、貧富の差が拡大にしているとうことです。

その上で、丹羽氏は、アメリカのような弱肉強食の社会が「果たして、日本を本当に強くするのか」が問われていると指摘。安定した中間層の存在が、良質の労働者、欠陥品の少ない商品をつくり、高い技術を共有し、理解度が高く、倫理感の強い人たちが日本社会を支えてきたのではないかと問いかけ、「踊り場」ということばの中には、この日本の国をどうするのか、それを「所得の再配分である税体系、税制をどうするかによって決めていかなければなりません」、そういう選択の意味も込められていると述べています。
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『えひめ丸事件』 東京新聞「こちら特報部」で大きく取り上げられました!

『えひめ丸事件』(新日本出版社)カバー

愛媛県の水産高校の実習船「えひめ丸」が米軍原潜グリーンビルに衝突され沈没した事故から5年。最近、出版された『えひめ丸事件』(ピーター・アーリンダー著、薄井雅子・翻訳共著、新日本出版社)については、このブログでも前に紹介しましたが、今朝の「東京新聞」の「こちら特報部」で大きく取り上げられています。

えひめ丸事故 隠れた“深層”(東京新聞)
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「えひめ丸事件」とは何だったのか

『えひめ丸事件』(新日本出版社)カバー

『えひめ丸事件』(新日本出版社)を読み終えました。というか、ずっと前に読み終えていたのですが、いろんな思いが僕の中で渦巻いて、なかなかブログに感想を書き込めないでいました。でも読んでいていちばん強く思ったのは、この本を読んで初めて、「えひめ丸事件」がどういう事件だったか分かった、ということです。この本がなかったら、「えひめ丸事件」の真相を知らないままだったのではないかと思えるほどです。

米軍による事件・事故は、この間の横須賀の事件、八王子のひき逃げ事故など、いろいろありますが、しかし、えひめ丸事件は、訓練とはいえ米軍の正規の作戦行動中に引き起こされた事故だという点で、はるかに重大な意味を持っています。
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腰痛4日目…吉田孝『歴史のなかの天皇』

今日は、職場の机の並び替え作業をおこないました。といっても、僕は腰痛なので、机を運んだり動かしたりするのは他の人に任せ、パソコンとLANの配線を担当。机を動かすために、いったん外したパソコンのケーブルやらLANやらをつなぎ直して回るだけなのですが、各種ケーブルが束になってごちゃごちゃからまってしまっていて、結構手間がかかってしまいました。

そのせいか、午後になって再び腰が痛み始めてしまいました。う〜む、これは困った…。

吉田孝著『歴史のなかの天皇』(岩波新書)

ところで、出勤途中の電車の中で、1月の岩波新書、吉田孝著『歴史のなかの天皇』を読み終えました。古代史が専門の吉田先生ですが、中世、近世から近代、現代の天皇制まで話が及んでいます。古代については、いろいろ勉強になることがいっぱいありました。

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不覚にも

『えひめ丸事件』(新日本出版社)カバー

今日は、朝から肉体労働な一日。右肩の痛みを気にしつつ、本棚やらロッカーやら中に詰まった荷物やらを軽トラに積んで運びました。事務所の前が、先週土曜日の雪がかちんこちんに凍ったままで、つるつる滑るので、荷物の積み卸しの足下が危なっかしい…。しかも、うちの事務所のビルのエレベーターが狭いので、なかなか荷物が上手く入ってくれません。四苦八苦の一日でした。(^^;)

さて、帰りの電車の中で、『えひめ丸事件』(新日本出版社、1月刊)を読み始めました。先日、訳者・共著者のサイン入りの本をいただいたものです。

えひめ丸事件というのは、もう5年前になりますが、2001年2月9日、愛媛の宇和島水産高校の生徒たちがのりこんだ実習船えひめ丸が、ハワイ沖で米海軍原子力潜水艦グリーンビルに衝突され沈没した事件です。助かった生徒や乗組員の証言から事件を再現した第1章を読んでいて、通勤電車の中であるにもかかわらず、涙がこみ上げるのが我慢できず、思いっきりずずず〜〜〜っとやってしまい、隣のOLに不審がられてしまいました。(^^;)

世の中には、絶対に読むべき本と、仕方なく読む本と、できれば読みたい本と、読まなくて良い本とがあるのだと思うのですが、この本は、文句なく絶対に読むべき本です。詳しい内容はまたあらためて紹介したいと思いますが、本書からは、事件によって被害を受けた人々にあくまで寄り添おうという気持ちと、理不尽な事件に対する深い憤りが伝わってきます。

【『えひめ丸事件』関係で書いたもの】
『えひめ丸事件』 東京新聞「こちら特報部」で大きく取り上げられました!
「えひめ丸事件」とは何だったのか

【書誌情報】書名:えひめ丸事件――語られざる真実を追う/著者:ピーター・アーリンダー/翻訳・共著者:薄井雅子/出版社:新日本出版社/出版年:2006年1月刊/定価:本体2200円+税/ISBN4-406-03236-3

政府、経済格差の拡大を否認

経済活性化のためには多少の格差もやむをえないと言うならともかく、経済格差の拡大そのものを否認してしまったのでは、「負け組」は切り捨てられっぱなしで救われません。

経済格差「確認できない」/内閣府、関係閣僚会議で(四国新聞)

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最近買い込んだ本

1か月ぶりですが、最近買ったをリストアップ。たまに、ちゃんと書き込んでおかないと、だんだん訳が分からなくなってしまいます。(^_^;)

  • 岩波講座『アジア・太平洋戦争<3>動員・抵抗・翼賛』(岩波書店、本体3400円、2006年1月刊
  • T・A・ビッソン(内山秀夫訳)『敗戦と民主化 GHQ経済分析官の見た日本』(慶應義塾大学出版会、本体3200円、2005年12月刊)
  • 高橋伸彰『グローバル化と日本の課題』(岩波書店、本体2600円、2005年12月刊)
  • 鯵坂真編著『ジェンダーと史的唯物論』(学習の友社、本体2400円、2005年12月刊)
  • 大西広『中国はいま何を考えているか ナショナリズムの深層』(大月書店、本体1300円、2005年12月刊)
  • 渡辺治『構造改革政治の時代 小泉政権論』(花伝社、本体2500円、2005年12月刊)
  • 磯崎新『磯崎新の思考力』(王国社、本体2000円、2005年12月刊)
  • 丸屋豊二郎・丸川知雄・大原盛樹『メイド・イン・シャンハイ 躍進中国の生産と消費』(岩波書店、本体1800円、2005年12月刊)
  • 松原隆一郎『分断される経済 バブルと不況が共存する時代』(NHKブックス、本体1020円、2005年12月刊)
  • 川喜田敦子『ドイツの歴史教育』(白水社、本体1900円、2005年11月刊)
  • 萩原伸次郎・仲本悟『現代アメリカ経済 アメリカン・グローバリゼーションの構造』(日本評論社、本体2400円、2005年5月刊)
  • 小倉和夫『吉田茂の自問 敗戦、そして報告書「日本外交の過誤」』(藤原書店、本体2400円、2003年刊)
  • 原彬久編『岸信介証言録』(毎日新聞社、本体2800円、2003年刊)
  • 下斗米伸夫『ソ連=党が所有した国家』(講談社選書メチエ、本体1500円、2002年刊)
  • 植村邦彦『「近代」を支える思想 市民社会・世界史・ナショナリズム』(ナカニシヤ出版、本体3500円、2001年3月刊)
  • 川合光『はじめての<超ひも理論> 宇宙・力・時間の謎を解く』(講談社現代新書、本体800円、2005年12月刊)
  • 養老孟司『無思想の発見』(ちくま新書、本体720円、2005年12月刊)
  • 松井孝典『松井教授の東大駒場講義録 地球、生命、文明の普遍性を宇宙に探る』(集英社新書、本体700円、2005年12月刊)
  • 大庭健『「責任」ってなに?』(講談社現代新書、本体740円、2005年12月刊)
  • 金子勝『粉飾国家』(講談社現代新書、本体700円、2004年7月刊)
  • トクヴィル『アメリカのデモクラシー』第1巻上・下(岩波文庫、2005年12月刊)
  • 東谷暁『金融庁が日本を滅ぼす 中小企業に仕掛けられた罠』(新潮文庫、本体438円、2006年1月刊)
  • H・B・デーヴィス(藤野渉訳)『ナショナリズムと社会主義』(岩波書店、1969年刊)←古本
  • 萩原伸次郎『アメリカ経済政策史 戦後「ケインズ連合」の興亡』(有斐閣、1996年)←古本
  • 大嶽秀夫『アデナウアーと吉田茂』(中公叢書、1986年刊)←古本
  • J・R・ヒックス『経済学の思考法 貨幣と成長についての再論』(岩波書店、1999年)←古本
  • 朱建栄『江沢民の中国 内側から見た「ポスト鄧小平」時代』(中公新書、1994年刊)←古本
  • 『鄧小平文選1975?1982』(東方書店、1983年)←古本
  • 『鄧小平は語る 全訳・日本語版「鄧小平文選」』上・下(風媒社、1983年)←古本
  • 東京大学近代中国史研究会訳『毛澤東思想万歳』上・下(三一書房、1974年)←古本
  • 『毛沢東選集』第1巻?第4巻(東方書店)←古本
  • 山崎隆三『地主制成立期の農業構造』(青木書店、1961年)←古本

ここにあげた本は「買った」だけであって、「読んだ」訳ではありません。こんなに読めるはずがない!

ユン・チアン『マオ 誰も知らなかった毛沢東』下

ユン・チアン「マオ 誰も知らなかった毛沢東』について、記事を書いていましたが、下巻を走り読みし始めた段階で書いたもので、きちんと評価できていなかったので、全部削除しました。感想については、改めて掲載します。(2006/02/06)

大嶽秀夫『再軍備とナショナリズム』

大嶽秀夫『再軍備とナショナリズム』カバー

下斗米伸夫『アジア冷戦史』(中公新書、2004年)とか松原隆一郎『分断される経済』(NHKブックス、2005年12月)とか、年末年始に読み終えたまま感想を書き込めないでいる本がいろいろ溜まってしまいました。

それらは順番に、ということで、まずは、大嶽秀夫『再軍備とナショナリズム――戦後日本の防衛観』から。もとは1988年に中公新書『再軍備とナショナリズム――保守、リベラル、社会民主主義者の防衛観』として刊行されたものですが、昨年12月に、サブタイトルだけ変更して、講談社学術文庫から再刊されました。テーマは、朝鮮戦争の時期における日本の再軍備をめぐる議論。警察予備隊から保安隊にいたる時期の吉田茂首相(保守派)、芦田均・石橋湛山・鳩山一郎ら(「リベラル」)、それに日本社会党の防衛論議を検討しています。

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やっぱり肩が痛い… 『「資本論」も読む』も読む

一昨日、新日本フィルのコンサートに行く前あたりから、またぞろ右肩から右上腕部にかけてじわ〜〜〜っと痛み出す。我慢できない訳じゃないけど、我慢し続けるのはちとつらい、という感じで、時々その痛みが腕先にまで響いたりするので、ただただじっと堪えるのみ。

ということで、土曜日、予約を入れてはいなかったけれど病院に電話して、診察していただきました。で、しばらく星状神経節ブロックによる治療を続けてみようということに…。前回診察していただいたときは、どちらかといえば五十肩の症状が出ていたということでしたが、今日、診察していただいたときは五十肩より肩の凝りによる痛みの方が強く出ているという感じで、症状の方も一定しない様子。困ったもんです。

宮沢章夫『「資本論」も読む』

年末から新年にかけていろんな本を読んだので、それらについて書きたいのですが、肩が痛くて、なかなかキーボードに向かうのがしんどいのが実情。そんななかで、宮沢章夫氏『「資本論」も読む』(WAVE出版)を読んでいます。『資本論』の解説やら経済学的な検討をしようというようなものではなく、劇作・演出家の宮沢氏が、ともかく「せめて『資本論』を読んでから死にたい」と、『資本論』(テキストとされているのは大月書店国民文庫版の邦訳)にチャレンジして悪戦苦闘されている様子をそのままエッセイとして連載されたもの。

しかし、『資本論』を茶化したりするようなのとはまったく違って、ともかく『資本論』を読んでみたいという高校生以来の「純粋野望」に突き動かされた真面目な格闘記。リンネルとは何か、エレとは何か、また、「舌」に関するマルクスの注へのこだわりなど、なるほど経済学者では思いつかないような、真剣な読みっぷりに感動すら覚えてきます。

ナチ絶滅収容所長との対話

表紙カバー

ギッタ・セレニー『人間の暗闇―ナチ絶滅収容所長との対話』(小俣和一郎訳、岩波書店)。まだ100ページほど読んだだけですが、ナチス・ドイツがポーランドに設けた絶滅収容所長にたいするインタビュー。原書は、1974年にまず英語で出版されたそうです(邦訳は、1997年のドイツ語版から)。著者は、イギリス在住のジャーナリスト、歴史研究者(女性)で、1967年から1970年にかけて、西ドイツでおこなわれたナチ裁判を傍聴し、1970年に終身刑の判決を受けた元レブリンカ収容所長フランツ・シュタングルにたいする70時間にわたってインタビューしたもの。

1対1のインタビュー記録ではなく、他の関係者へのインタビューや記録とつきあわせて、シュタングル(あるいはその他の収容所関係者)の言い分が事実に合致しているのかどうか、確かめながら、なぜ普通の人間が、ヒトラーによる「ユダヤ人最終解決」を担うことになったのか。その心理に迫っています。
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菊池英博『増税が日本を破壊する』

菊池英博『増税が日本を破壊する』

 書店でたまたま見かけたので買ってみたのですが、これがなかなか面白い。ぜひとも財政学の専門家の意見を聞いてみたいと思いました。

 著者の主張は、第1に、「日本は財政危機ではない」ということ。つまり、日本の政府の長期債務は国・地方あわせて795兆円あると言われるが、実はこれは「粗債務」。ところが、政府は480兆円の金融資産を持っているから、純債務は315兆円で、対GDP比(債務の国民負担率)は実質60%程度。この水準はユーロやドイツ並みで、日本だけがとびきり財政赤字が大きいわけではない。
 第2に、毎年財政赤字を続けるアメリカでも、政府の純債務は増加している。しかし、名目GDPが増えているから、債務の国民負担率は低下している。ところが、日本は、デフレで名目GDPがマイナスになっている。そのために、債務の国民負担率が大幅に増えたのである。
 第3に、したがって、債務の国民負担率を減らすためには、積極財政をとってデフレからの脱却をはかるべきである。それにもかかわらず、小泉首相は「構造改革」と称して、緊縮財政・増税路線をすすめている。その結果、デフレが深刻化し、国民経済は縮小、税収は落ち込み、結局、財政赤字はさらに拡大。名目GDPの減少と相まって、債務の国民負担率を大きくしている。

 小泉首相の「構造改革」路線が国民経済を冷え込ませ、デフレを深刻化しているという指摘は、その通りだと思います。それに、巨額の外為資金がアメリカの国債購入にあてられていることや、これだけ財政赤字がありながら、貿易収支では日本は巨大な黒字となっていることなど、いったいどう考えたらいいんだろうと思っていたので、政府の債務は「粗債務」ではなく「純債務」で考えるべきだという指摘は、なかなか興味深いものがあります。

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またまた買い込んでしまった…

11月は、約3万円の出超。買いすぎが原因であることは明らか… 大変だ〜〜〜

  • ゲアリー・マーカス『心を生みだす遺伝子』(岩波書店、5月刊、本体2800円)
  • 新岡智・板木雅彦・増田正人編『国際経済政策論』(有斐閣、8月刊、本体2300円)
  • 萩原伸次郎『世界経済と企業行動 現代アメリカ経済分析序説』(大月書店、3月刊、本体2900円)
  • 江夏由樹・中見立夫・西村成雄・山本有造編『近代中国東北地域史研究の新視角』(山川出版社、10月刊、本体4000円)
  • 井村喜代子『現代日本経済論<新版> 戦後復興、「経済大国」、90年代大不況』(有斐閣、2000年刊、古本)
  • 井村喜代子『恐慌・産業循環の理論』(有斐閣、1973年、古本)
  • 井村喜代子『「資本論」の理論的展開』(有斐閣、1984年、古本)
  • 『岩波講座 アジア・太平洋戦争<2> 戦争の政治学』(岩波書店、12月刊、本体3400円)
  • 丸山真男・加藤周一『翻訳と日本の近代』(岩波新書、1998年、本体700円)
  • 下斗米伸夫『アジア冷戦史』(中公新書、2004年刊、本体760円)
  • 前田朗『侵略と抵抗 平和のための戦争犯罪論』(青木書店、11月刊、本体2500円)
  • 田原総一朗編『日本はなぜ負ける戦争したのか。朝まで生テレビ』(アスキー、2001年刊、古本)
  • 高尾翠『天皇の軍隊と平頂山事件』(新日本出版社、11月刊、本体1800円)

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