民主党憲法小委、9条改正の「4原則2条件」

9条改正に条件を付けているように見えるけれど、実際には、<1>集団的自衛権を認める(「国連憲章上の『制約された自衛権』の明記」)、<2>国連決議があれば海外での武力行使に参加する、というもの。

いま焦点になっているのは、アメリカが「集団的自衛権」の名のもとに日本に対し、自衛隊の海外での武力行使にふみだすよう求めていること。「制約された」といっても、自衛権を制約するというのではなく、いま国連憲章に書かれている「自衛権」が、そもそも制約されたものだという認識を示すだけ。国連憲章に集団的自衛権も含め明記されている以上、「制約された」の限定は、集団的自衛権に関しては、何も制限していない。

9条改正で4原則2条件 民主憲法小委が提起(共同通信)
続きを読む

今日の憲法9条・大橋巨泉さん

『サンデー毎日』のシリーズ憲法の第6回、大橋巨泉さんが登場しています(5/29号)。

巨泉さんは、東京の下町生まれ。3月10日の東京大空襲は「ものすごかった」と。家族は千葉に疎開していたけれど、東京に残った父親と連絡がつかず、お母さんは「半狂乱だった」。そして、丸2日たってようやくお父さんが目を真っ赤にして疎開先に帰ってきたそうです。「僕は生きている限り、あの日の親父の顔と目を忘れることはできない」という言葉が印象に残りました。もし自分が総理大臣だったら改憲に費やすエネルギーを逆につかう、日本国憲法は「数百万人という同胞の命と引き換えに得たものですから、そう簡単に変えられてたまるか」とも発言されています。

興味深く読んだのは、巨泉さんが民主党参議院議員だったこと(2001年7月の参院選で当選、半年後、党議拘束に背いて「テロ特措法」に反対し辞職)に関連して、自分の率直な気持ちを語っておられるところです。

続きを読む

集団的自衛権を考える

◆藤田久一著『国連法』(東大出版会、1998年)

51条の集団的自衛権規定は、地域取決とは無縁な、単純ではあるが破壊的な構造をもつものであった。(295ページ)

51条の集団的自衛権の論理構造の解釈として、

  1. 共同防衛
  2. 他国の権利の防衛
  3. 他国にかかわる重要な法益の防衛

の三つのパターンがある(祖川武夫の分類による)。

続きを読む

今週の「九条の会」(5月22日まで)

続きを読む

九条の会講演会、鎌倉市が一転して後援取り消し

東京新聞に載っていた記事。

鎌倉市が一転後援取り消し 「九条の会」講演会

 神奈川県鎌倉市在住の作家井上ひさしさんらが呼び掛け人の「鎌倉・九条の会」の発足記念講演をめぐり、鎌倉市がいったん出した後援を一転して取り消したことが、19日分かった。会は憲法9条改正を阻止しようと発足したが、同市は「内容が後援の基準になじまないと判断した」と説明。同会準備会は「鎌倉市は全国に先駆けて平和都市宣言をし、平和市民憲章をもっている。平和都市にふさわしくない行為」と反発している。
 東京で昨年六月、梅原猛さんや大江健三郎さんなど哲学者や作家らが「九条の会」をつくったが、井上さんらは「平和都市にふさわしい鎌倉にも」と呼び掛け、会発足の記念講演会を計画した。
 準備会は、市から3月27日付で後援を取り付け、ポスターやチラシなども「後援・鎌倉市」と入れた。ところが4月下旬、後援取り消しの通知が届いたという。準備会事務局は「後援を取り消す明確な説明がない」としている。
 講演会は、井上さんをはじめ経済評論家内橋克人、老人党提唱者で作家なだいなだ、三木睦子(三木武夫元首相夫人)の各氏を招き6月10日午後7時から鎌倉芸術館大ホールで開く。入場無料。[東京新聞 2005/05/20朝刊]

あの「マガジン9条」もブログ開始!

人気のマガジン9条ですが、そこでもブログが始まりました。

『マガジン9条』のブログ

マガジン9条の入り口での“憲法9条は「変えるべき」「変えるべきではない」「分からない」”のクリック選択。4月の集計では、61%が「変えるべきでない」だったそうです。これから、毎月1回、集計データを紹介していくとのこと。この先、このパーセンテージがどう変化していくか、楽しみです。

迷走… 自民党新憲法起草委

4月に各小委員会がまとめた要綱をもとに、条文化の作業をすすめる自民党新憲法起草委員会をめぐるニュース。

自民憲法起草委 「森試案」条文化を断念(中日新聞5/20付)

「象徴天皇制」は維持 自民憲法起草委(東京新聞5/19付)
続きを読む

日本海新聞の社説

憲法問題での新聞各紙の社説・論説を拾ってゆきたいと思います。

1回目は、日本海新聞の社説(5/16付)。「鳥取でも憲法論議を」と呼びかける入り口に、鳥取県内での「九条の会」の動きが取り上げられています。憲法問題については両睨みで書かれた部分もありますが、焦点の憲法9条にかんしては、「米国のように『先制攻撃権がある』と主張している国との同盟強化につながることには、慎重でありたい」と明言していることに注目。

日本海新聞:社説 鳥取でも憲法論議を(5/16付)
続きを読む

自民党新憲法起草委員会、諮問会議の初会合開く

11月の自民党大会での改憲草案公表にむけて、自民党新憲法起草委員会が諮問会議の初会合を開催。6月中に、小委員会要綱の両論併記の一本化を図りたいという。

<自民新憲法起草委>改正要綱一本化で初会合(毎日新聞)
続きを読む

辺野古と座間から憲法9条を考える集い

5月26日、「辺野古と座間から憲法9条を考える集い」が開かれます。

日時
5月26日(木) 午後6時開場 午後6時半開会 (入場無料)
場所
南大塚ホール(JR山手線大塚駅南口)
報告
「辺野古勝利への展望」:渡具知裕典さん(元名護市長)
「米軍再編をはねかえそう」:武尾昌子さん(元座間市議)
「国会活動半年の経験から」:糸数慶子さん(参議院議員・沖縄選挙区)
その他
琉球舞踊:でいごの会
司会:木瀬慶子さん(呼びかけ人)
主催
糸数慶子さんを支える会
協賛団体
沖縄などから米軍基地をなくす草の根運動、オルタ・フォーラムQ、基地のない平和な沖縄をめざす会、基地はいらない女たちの全国ネット、9条連、自然と人間、自由法曹団、たんぽぽ舎、地球平和公共ネットワーク、日本国際法律家協会、日本平和委員会、命どぅ宝ネットワーク、一坪反戦地主会関東ブロック
連絡先
保田・河内法律事務所内(03-5978-3784)

「九条の会」各地の動き

5月3日の憲法記念日の集会は、数がたくさんなので省略。それ以外のニュースをピックアップ。

続きを読む

伊勢崎賢治『武装解除』

伊勢崎賢治『榨??解除』本カバー

現在、立教大学教授の伊勢崎賢治さん(正確には、伊勢崎の「崎」は上が「立」)は、国際NGOのシエラレオネ現地事務所長を皮切りに、西アフリカで4年間活動した後、1999年10月に始まった東チモールでの国連PKOに参加し、インドネシアと国境を接するコバリマ県で国連暫定政府から全権委任された知事として地方行政と、国連平和維持軍、文民警察を統括。2001年5月からは、ふたたびシエラレオネの国連PKOのミッション(UNAMSIL)のDDR(Disarmament〔武装解除〕、Demobilization〔動員解除〕 & Reintegration〔社会再統合〕)の責任者として、武装解除を遂行。帰国後、2002年4月から立教大で教鞭を執るが、2003年2月から1年間、日本政府がアフガニスタンですすめる「復員庁構想」の統括者を務めた、という経歴を持っておられます。

最初、書店でこの本をみたときは、帯に書かれた「職業:『紛争屋』」というコピーから、勝手に“軍事オタク”の本だと思い込んで手にも取らなかったのですが、5月13日付「東京新聞」夕刊にのった同氏の「軍事のコストと文民統制」を読んで認識を一新。さっそく買い込んで読んでみました。
続きを読む

通販生活が「憲法9条大論争」を特集

カタログハウスの通販生活2005年夏号で、「憲法9条大論争」として、作家の井上ひさし氏と自民党衆議院議員の保岡興治氏が対談というか論争。

もう1つは、「日本の常任理事国入りに賛成ですか?反対ですか?」。いろんな人が賛否両方の立場から発言していますが、そのなかで漫画家の江川達也氏が、9条改憲や常任理事国入りに疑問を提示しているのに注目。

カタログハウスのウェブサイト:「通販生活」2005年夏号

「通販生活」って、定期購読しなくても買えるのかなぁ…?

朝日新聞の憲法世論調査

今朝の朝日新聞に、憲法問題の世論調査が掲載されています。

憲法「自衛隊規定を」7割、9条改正反対51%(朝日新聞)

憲法に自衛隊にかんする規定を盛り込むというと、すぐ9条改定だと思ってしまう僕のような人間には、ちょっと混乱させる結果ですが、詳しく見ていくと、いまの憲法問題に対する関心のあり方が見えてきます。

続きを読む

5月3日 九条の会を広げる埼玉の集い

明日、「九条の会を広げる埼玉の集い」が、さいたま市大宮のソニックシティで開催されます。

ここまで来た改憲の動き 九条の会を広げる埼玉の集い

日時
5月3日(火) 午後1時30分開会
会場
ソニックシティ 4階第2集会室
プログラム
第1部 講演
「ここまで来た改憲動向」 講師:三輪 隆 さん(埼玉大学教員・憲法学者)
「国民投票法案の問題点」 講師:大久保賢一さん(弁護士)
第2部 県内各地からの報告と討論(予定)
資料代
1000円

琉球新報が憲法問題で世論調査

琉球新報が憲法問題で沖縄県内の世論調査を実施。

憲法改正そのものについては「見直した方がよい」が52%を占めましたが、9条については「堅持すべき」56.0%が、「見直すべき」40.4%を大きく上回りました。

「憲法見直し」52% 9条堅持は過半数 本紙世論調査(琉球新報)

続きを読む

東京新聞の社説

憲法記念日を前に、東京新聞が「問題の因は憲法理念を実現する政治がされていないから」「新権利をうたう改憲、いいね、と軽やかに考えて、実は九条が主眼の改憲が成る時、どんな危険が後世を覆い、他者・近隣国に痛みとなるか、思いをはせたい」との「社説」を掲載しています。ご一読あれ。

社説:『活憲』が先だろうに いま 憲法を考える(東京新聞)
続きを読む

戦争放棄を明確にするための改憲論

北海道新聞の世論調査。

憲法改正について、容認派77.0%にたいし護憲派21.2%だとしていますが、改憲容認派に憲法9条1項の「戦争放棄」について聞いたところ、「自衛戦争も含めてすべての戦争放棄を明記」が39.0%で最多で、「自衛のための戦争であれば良いことを明記」の37.9%と拮抗したとのことです。つまり、「戦争放棄をより明確にするために九条改正を求める『護憲的』改憲派が相当数いる」というのです。この点は、僕も読売の世論調査に関連してそういう可能性があると指摘しましたが、北海道新聞の世論調査でその点が明確に裏づけられたと言えます。

改憲容認が77% 本紙世論調査、戦争全面放棄、自衛戦争容認に二分(北海道新聞)

続きを読む