マスコミで、「出直しを余儀なくされた」とか「遅れは必至」などと書かれたからでしょうか。自民党が、来年4月末までに憲法「改正」草案の試案を取りまとめる方針を決めました。
「憲法」カテゴリーアーカイブ
改憲案作成自衛隊幹部、口頭注意のみ
24日、防衛庁は、自民党憲法調査会の中谷元・改憲案起草委員会座長の求めに応じて憲法改正案を作成・提出していた陸上自衛隊幹部にたいして口頭注意したことを発表。
「組織的な行為はなく、個人が休日などに作っただけ」「業務時間中に自衛隊のファックスを使ったのが悪いだけ」とのことですが、個人的な関与なしに組織的関与などありえません。二佐(昔で言えば中佐)のこのような政治的発言が許容されるならば、自衛隊員があっちこっちで政治的発言を始めても、それをダメだという歯止めがなくなります。
それに、休日などにやったことだから問題なし、というなら、東京・中央区で休日に選挙のビラ配りした社会保険庁職員を逮捕した事件はどうするの? 勤務時間外の自衛隊員のところへビラを配りに行くのをなぜ禁止するの? 全然理由が通りませんね。政権与党に賛成する政治的行為は許されるが、反対するのは犯罪だ、などという恣意的な基準は許されません。
民主党案も参考にして 小泉首相
自民党の新憲法制定推進本部の設置に関連して、記者団に質問された小泉首相は、「民主党も準備しているそうだから、自民党のみならず野党第一党の案も参考にお互いに協力しながら良い憲法をつくることができればと願っている」と発言したそうです。
あっちも「改憲」、こっちも「改憲」で、国民は置いてけぼりのまま。こんな問題での「協力」は御免です。
日商が「憲法改正についての意見」(中間とりまとめ)を発表
17日、日本商工会議所(日商、山口信夫会頭)が、「憲法改正についての意見」(中間とりまとめ)を発表。安全保障問題で、「9条の全面改正」を主張し、自衛権、「戦力の保持」の明記、「国際協力活動に自衛隊の派遣」の追加を提起しています。
→「憲法改正についての意見」(中間とりまとめ)=全文(pdfファイル)
「憲法改正についての意見」(中間とりまとめ)を発表(日本商工会議所ニュース)
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自民党・新憲法制定推進本部が初会合
本日午前、自民党の「新憲法制定推進本部」が初会合を開きました。本部長は小泉首相(総裁)、起草委員長は森喜朗・前首相。
自民党憲法調査会の憲法改正草案大綱(素案)を読む(2)
参院側の反発で、「棚上げ」された恰好の「自民党憲法改正草案大綱(たたき台)」だが、彼らのホンネが書かれたものとして、内容を見ておくことは引き続き重要だろう。
彼らは、「基本的考え方」の第一に、新しい憲法は、日本の「国柄」、をふまたものでなければならないと強調している。では、その「国柄」とは何か?
そう言われて真っ先に思い起こすのは、戦前の「国体」であるが、彼らも、そういう「誤解」を避けるために、わざわざ「従来意味してきたような復古的なもの(1895年?1945年までの戦前の一時期に考えられた「国体」)ではなくて」と断っている。で、代わりに彼らが主張するのは、「草木一本にも神が宿るとして自然との共生をも大事にするような平和愛好国家・国民という『国柄』」であり、そこには「第二次世界大戦における敗北の歴史も含めたもの」と書いている。
「草木一本にも神が宿る」という以上、この「国柄」が宗教的観念を含むものであることは明らか。このような宗教的観念の上に憲法原理を組み立てるというのは、現憲法で「侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に」保障された「思想・良心の自由」「信教の自由」を侵害する。
さらに、この「国柄」論からすれば、「我が国の歴史・伝統・文化といった『国柄』」を体現した天皇が「元首」として座るのも当然であり、したがって、天皇が現在は皇室内部の私的な行事としておこなっている「宮中祭祀」を天皇の「公的行為」として認められるし、政教分離原則も、「我が国の社会的又は文化的諸条件に照らし社会的儀礼又は習俗的行事とされる範囲」内であれば国などが宗教的活動をおこなってもかまわない、とする議論につながっている。
しかし、「草木一本に神が宿る」などというのは、まるっきりのアニミズム(「animism 事物には霊魂(アニマ)など霊的・生命的なものが遍在し、諸現象はその働きによるとする世界観。また、原始宗教・民間信仰における雑多な神霊の信仰。精霊崇拝。霊魂信仰」――『大辞林』三省堂)。こんな融通無碍なものが日本の「国柄」であり、その範囲内であれば「宗教」行為であっても「政教分離には違反しない」などと言うことになったら、事実上、際限がなくなる。
彼らは、こうした「国柄」論を「己も他もしあわせ」になるための「共生憲法」だと言っているが、「神が宿る」はずの草木をなぎ倒し、乱開発をすすめてきたのは、一体誰なのか? 高速道路建設のために山々を崩し、工業団地のために海岸を埋め立て、「リゾート開発」だといって自然を破壊する。「国柄」には、「相互に助け合う」国民性も含まれると言いながら、社会保障は「自立」を促すといって切り捨てる。そんな先頭に立ってきた自民党が「共生憲法」だとは、まったく呆れてしまう。
改憲勢力の矛盾の現われだが
自民党憲法調査会のまとめた「憲法改正案大綱素案」が、「白紙撤回」扱いされることになったようです。参院を従属的地位に降ろした内容などに反発が強かったためですが、「白紙撤回」といっても、来年11月に向けて自民党の改憲案作成の流れは変わっていません。
しかし、9条改憲を軸としながらも、それを国民の目からごまかすために、“あれもこれも”と「改憲」テーマを盛り込もうとした改憲勢力の矛盾の現われといえます。
自民党が首相をトップにした憲法改正協議機関を設置へ
いよいよ自民党をあげて、改憲案づくりに取りかかるつもりのようです。
個人的であっても許されないこと
陸上自衛隊の幹部隊員が自民党憲法調査会の中谷元・改憲案起草委員会座長に「憲法改正案」を提出していたのは、「個人的なもの」であったとしても、自衛隊員の政治的関与そのものだ。個人的であれ、政治に向かって意見を述べないというのが、「文民統制」の基本。公務員たる自衛隊員が、特定政党の政治活動に協力するのは、公務員の政治的中立義務に違反している。
それに、自衛隊制服組を防衛問題の「専門家」だと総理大臣が認めてしまったのでは、「文民統制」が吹き飛んでしまう。そこに線を引かないと、制服組の政治関与のけじめがなくなってしまうだろう。
自民党憲法調査会の憲法改正草案大綱(素案)を読む
17日に明らかになった自民党憲法調査会の憲法改正草案大綱の素案なるものは、内部向けの「たたき台」というだけあって、つぶさに読んでいくと、いろいろ彼らの「ホンネ」が書かれていて面白い。
たとえば現在の憲法9条にかんする部分。「平和主義」と「国際協調」の原則を掲げるというのですが、その仕組みは、戦争と武力の行使・威嚇は「国際紛争を解決する手段」としては「放棄する」と言いながら、「自衛」または「国際貢献」のための武力行使については「必要かつ最小限の範囲」であれば認めるというもの(これを彼らは「武力行使の謙抑性」と言っています)。そのために、「国際協調」の項を立てて、次のように「国際活動への積極的参加」を謳っています。
我が国は、確立された国際的機構の活動その他の国際の平和と安全の維持及び回復並びに人道的支援のための国際的な共同活動に、積極的に参加するものとすること。
これだけ読むと、「国連がやっている平和維持活動や人道支援活動に積極的に参加しよう」と主張しているように読めますが、ここに、以下のような但し書きがついています。
「確立した国際的機構の活動」とは、現時点では国際連合によるものを念頭に置いているが、将来的にはそれにとどまるものではなくて、EUのような機関がアジアにも誕生するようなことがあれば、それもこれに含まれることになる。もちろん、現時点でも、「その他の国際の平和と安全の維持……ための国際的な共同行動」とあるから、国連の活動だけに限定されているわけではない。
つまり、「国際活動」は国連の平和維持活動などにはまったく制限されない、というのです。たとえば米軍のアフガニスタン、イラク攻撃のようなものだって、「国際の平和と安全」という名目で、「自衛軍」の参加は可能だというのです。また、「国際の平和と安全の維持及び回復」と「人道的支援」とが明確に区別されている以上、「国際の平和と安全の維持及び回復」が武力行使を伴うものであることは明白です。ここに、彼らの一番のホンネがあることを見逃してはなりません。
法律用語としては、「及び」と「並びに」では、「並びに」の方が大きい接続、「及び」が小さい接続を表わします。だから、素案の本文は、<1-1>国連などのおこなう国際平和維持活動だけでなく、<1-2>「その他の」つまり国連以外の勢力――たとえばアメリカ――が主体となった「平和維持活動」にも積極的に参加するし、さらに、<2>「人道支援のための国際的な共同行動」――これについては「確立された国際的機構」が主体である必要は全くない――にも参加するという構成になっています。
こういう“仕掛け”を仕込んでおきながら、国民向けには「国際活動への積極的参加」といって上っ面を飾ろうというのは、「衣の下から鎧」どころか「鎧の下から鎧」というべきでしょう。
自民党憲法調査会、素案の「徴兵制禁止」明記に異論
自民党憲法調査会が、19日、憲法改正草案大綱の「素案」について討議したところ、「徴兵制の禁止」を明記することに、早くも異論が出されたそうです。
結局、彼らにとって、「徴兵制」は必要があったら導入すればいいという問題でしかないということです。
自民党・新憲法草案大綱の素案
毎日新聞が掲載した「自民新憲法草案大綱の素案」です。自民党の「素案」の報道としては一番詳しいものなので、紹介しておきます。
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自民党憲法改正素案(続報)
自民党憲法調査会の改正素案についての続報。
いまただちに徴兵制にふれることは否定しているとはいえ、「国家の独立と安全を守る責務」をもりこむとしている。韓国では「国を愛する義務」にもとづいて徴兵制が敷かれていることからも分かるように、これが憲法にもりこまれれば、将来的には徴兵制も拒否できないことになる。
自民が憲法改正素案 「自衛軍」設置、女性天皇は容認(朝日新聞)
自民憲法調査会:草案大綱素案 集団的自衛権の行使を明記(毎日新聞)
「自衛軍」が秩序維持 女性天皇認める 自民が改憲大綱素案(産経新聞)
自民改憲素案 海外での武力行使容認/『自衛軍』設置を明記(東京新聞)
それから、読売新聞が、自民改憲素案は「新憲法へ一つのたたき台になる」と持ち上げる「社説」を掲載。
集団的自衛権に踏み込んで、なにが平和主義か!
自民党の「憲法改正大綱」の原案が明らかになりました。
まず第1に、憲法3原則は守ると言いながら、自衛軍の保持を明記し、集団的自衛権――つまりアメリカと共同での軍事行動もおこなうとするのは、まったく矛盾している。
また、基本的人権を保障すると言いながら、天皇を「国家元首」とする、国家緊急事態における基本的人権の制限を主張するなど、復古的・国家主義的側面が濃厚だ。
自民党憲法調査会、「戦力の保持」明記で一致
「戦力の保持」を憲法に明記したのでは、たんに「自衛隊の合憲性を明確にする」なんてもんじゃすまないでしょう。戦力は保持するが戦争は放棄するなどというのは、自衛隊の存在以上に「矛盾」です。つまるところ、戦力保持、戦争も放棄せず…ということになるのは必然です。
こんどはパウエル
こんどはパウエル国務長官が、常任理事国になるなら憲法9条見直しが必要と発言。7月にアーミテージ国務副長官が同様のことを発言したとき、アメリカ政府はあわてて「個人的意見だ」と否定して見せましたが、アメリカの本音はやっぱり9条改憲にあることがあらためて証明されたといえます。
九条の会発足講演会
大江健三郎、加藤周一、鶴見俊輔、小田実氏ら9氏によって呼びかけられた「九条の会」の発足講演会が、24日、東京で開かれ、1000人が参加しました。
- 「九条の会」のオフィシャル・サイトも開設されました。
→http://www.9-jo.jp/ - 「九条の会」アピールの全文はこちらから。
→http://www.9-jo.jp/appeal.html
新聞各紙は、社会面で小さく(東京新聞は2段見出し31行)扱うのみ。インターネットでニュースサイトを検索しても、読売新聞の配信記事と、時事通信が配信した公演中の大江健三郎氏の写真ぐらいしか見つかりません。政治家や財界首脳の改憲発言ばかりデカデカと報道する、その基本姿勢が問われます。
経団連夏季フォーラム
日本経団連の夏季フォーラム(7/22?23、静岡県小山町)で、奥田会長が、日本がリーダーシップをとるためには「軍事力充実も必要」などと発言。
自民党が改憲案の「起草委員会」設置
自民党が、憲法調査会内の「憲法改正プロジェクトチーム」を格上げし、改憲案の「起草委員会」を新設する方針を決め、具体的な改憲案の「素案」づくりをすすめるようです。
9条改憲でアメリカ詣で
アーミテージ米国務副長官が、憲法第9条は「日米同盟関係の妨げ」と発言しました。しかし、アーミテージは、2000年にいわゆる「アーミテージ報告」を発表し、日本に「集団的自衛権」行使をせまっている当の人物です。昨今の憲法改正論議は、このアーミテージ報告から始まったものです。
しかし、集団的「自衛権」といいながら、その実態が、米軍の先制攻撃戦略に自衛隊も参加していくという集団的「先制攻撃」にほかなりません。