7月15日、日本経団連が、改憲にむけて「国の基本問題検討会」の初会合を開きました。「国の基本問題検討会」は、今年5月の第3回総会で設置が決められたものです。
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日商「憲法問題懇談会」初会合
財界諸団体が改憲に向けた動きを強めていますが、7月6日に、日商(日本商工会議所)が「憲法問題にかんする懇談会」の初会合を開きました。毎日新聞によれば、同懇談会は、10月に「中間とりまとめ」を行なう予定。
船曳建夫氏の「改憲的護憲論」
今朝の「毎日新聞」で、東大の船曳建夫氏が、憲法9条をめぐる改憲論議について、注目すべき発言をされています。すなわち、9条改憲の理由としてよく、“9条は現実と合わない。だから現実に合うように改正すべきだ”という議論が持ち出されますが、これにたいして船曳氏は、次のように反論されています。
例えば憲法9条が国際紛争を解決する手段としての武力行使を放棄している以上、自衛隊のインド洋やイラクへの派遣は無理があります。だからといって憲法を現実に合わせるべきでしょうか。憲法はその国が目指すべき姿を表す原則だと考えます。現実というものは、原則に反せざるをえない側面がある。逆に原則を現実に合わせたら、どうしようもなくなる。
例えば、男女の平等が現実には完全でないとしても、不平等を認めるように原則を直すことはしない。いかに平等を実現するかを考えなければならない。差別の問題や生存権など現実と憲法が一致していないことは9条以外にもあるが、未来志向の正しい原則は直す必要はない。
これは、非常に分かりやすい反論だと思います。現実との乖離があるからと言って、原則を現実に合わせていたのでは、原則の意味がありません。
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最上敏樹氏の指摘
イラク「主権移譲」問題について、ICU教授の最上敏樹氏が「東京新聞」7/7夕刊で論文を書かれています。曰く、
国際法の知識を持つ者なら、この言葉に多少とも違和感を覚えずにはいられないだろう。戦争が合法だった時代ならばともかく、今やそれが違法になり、他国の軍事占領も原則としてありえなくなった。だから、いままで主権を奪っていたと言い、それを移譲すると言っても、それが法的にどう説明できるのか、専門家であればあるほど、よく分からなくなるからである。
最上氏は、1700人以上にのぼる職員を抱えた米国大使館が米英占領当局(CPA)にとって替わり、占領軍が多国籍軍と名前を変えるだけで、「形式的に『占領』は終わるかもしれないが、実質的には何も変わらない」と指摘されています。
では、「主権が移譲されて、なおかつ占領が実質的に終わらないのだとすれば、いったい主権とは何なのだろうか」と問われ、次のように“20世紀の主権論”を展開されています。すなわち……
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押しつけ「マッカーサー」から「アーミテージ」に
今日の東京新聞「こちら特報部」は、27日のNHK党首討論での小泉首相の「改憲で集団的自衛権を」という発言をとりあげ特集をくんでいます。その中で、政治評論家の森田実氏は、憲法改正のねらいについて「米国の従属国になることだ。“マッカーサー憲法”から“アーミテージ憲法”への転換といえる」と発言しています。
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自民・公明・民主の憲法改定案
自民党、公明党、民主党の憲法改定にむけた「論点整理」「中間報告」があいついで出されました。自民党も民主党も、憲法第9条の明文改憲を打ち出しています。公明党は、またいつもの“両論併記”。「公明党にもいいこと言う議員がいるじゃん」なんて思っていたら、いつのまにか改憲賛成に持って行かれてしまいます。改憲論にこそ、公明党の本音があるのをお忘れなく。
※自民党の「論点整理」についても、自民党のホームページに公開されたものに更新しました。
東京新聞の世論調査
今日の「東京新聞」におもしろい世論調査が出ていました。
1つは、憲法「改正」問題。全体として憲法「改正」をありうることとして容認する議論が増加する傾向にありますが、そのなかで注目されるのは9条改正反対が多数であること。「改正すべき点はあるが9条改正には反対」と「9条を含めて改正反対」を合わせると、9条改正反対は66%になります。これは「朝日」やTBSの世論調査と基本的に同じ数値です。
2つ目は自衛隊の多国籍軍参加について。自衛隊のイラク派遣を容認する人も含め、77%が「多国籍軍には参加すべきでない」と回答していることは注目できます。これも、大枠で、この間、発表された「毎日」「朝日」の世論調査結果と同じです。
3つ目に、年金制度改革法について78%が「評価しない」と答えています。他の世論調査でも、法案成立後も7?8割が「評価しない」「反対」を表明しています。年金問題での不信は相当根深いものがあると言えます。
最後は、小泉内閣の支持率。3年前の参院選のときは、小泉内閣成立直後ということもあって、共産党支持層でも半分以上が小泉内閣を支持するなど、異常な「小泉人気」にわいていました。しかし3年たってみて、与党の自民党、公明党支持層では引き続き80%以上の支持を集めていますが、民主党、共産党、社民党支持層では17?27%に低下しました。無党派層のなかでも、支持率は83%から43%へとほぼ半減しています。要するに、小泉内閣は、国民の支持という面でも、「自公」政権に“純化”してしまったということです。