先日見てきた写真展「ジョセフ・クーデルカ プラハ1968」の図録を、なんとか手に入れることができました!!
「美術」カテゴリーアーカイブ
あらためて社会主義の道を踏み外したソ連の犯罪性を実感
東京都写真美術館で開催中の写真展「ジョセフ・クーデルカ プラハ1968」を見てきました。
1968年8月20日、ソ連とワルシャワ条約機構5カ国の軍隊が、チェコスロヴァキア共和国に侵入に、プラハの街を占領し、共産党や政府の幹部をモスクワに連れ去って、チェコスロヴァキアの自主的な改革の動きを踏みつぶした事件を撮影したものです。
私たちが、ソ連は本当に社会主義といえるのか? と考え始める出発点ともなった重大な事件なので、ぜひ見たいと思っていました。木・金は夜8時まで開場しているというので、仕事帰りに恵比寿にまで出かけてきました。
見てきました ブリューゲル版画の世界
渋谷Bunkamuraミュージアムで、「ブリューゲル 版画の世界」を見てきました。
ブリューゲルは16世ネーデルランドの画家。同時に、「聖アントニウスの誘惑」に代表されるような奇妙奇天烈、奇々怪々な版画でも有名です。今回は、そのブリューゲルの現存する版画全作品を、同時代の作品とともに展示するというので、見逃す手はないと出かけてきました。
対テロ抗議の現代アートがターナー賞を受賞
2007年1月15日、ロンドンのテート・ブリテン内に展示されたマーク・ウォリンガー氏の作品『State Britain』とその前を歩く同氏。(AFPBB News)
イギリスの優れた現代美術に送られる「ターナー賞」は、対テロ戦争への批判を表現したマーク・ウォリンガー氏の作品「State Britain」が受賞。
見てきました 「子どもは天才!」写真展
以前紹介した、横浜市立盲特別支援学校の生徒たちが撮影した写真展「Kids Photographers 子どもは天才!」を、ようやく見てきました。
横浜での写真展を見逃してしまい、残念に思っていたのですが、好評だったということで、9月12日まで、日比谷三井ビルディング1階のフォトエントランス日比谷でも写真展が開かれています。
↑上は、会場で買ってきた写真集の表紙。永井咲生ちゃん(小2)が写した弟の写真ですが、彼女が弟のことをどんなふうに思っているか、素直に伝わってくるほほえましい作品です。
これはぜひ見に行かねば…
さっきNHKの首都圏ネットワークで紹介していたのですが、こういう写真展が横浜の日本新聞博物館で開かれます。
この写真展は、横浜市立盲特別支援学校に通う小学生から高校生まで23人が写した作品の展示会です。彼ら&彼女たちは、生まれてはじめてカメラに触れる人がほとんど。視覚の閉ざされた彼ら&彼女たちが、心の眼を通じて写した写真は、いったいどんなものなのか?! ぜひ見てみたいと思います。
Kids Photographers 子どもは天才!
盲学校に通う子どもたちの写真展
期間:2007年7月3日(火)?8月26日(日)
場所:日本新聞博物館2階
参加費:無料
↓写真展の案内(PDFファイルが開きます)
Kids Photographers 子どもは天才!
東京都現代美術館 デュマス展&岡本太郎「明日の神話」
ちっとは連休らしいことをしようと、こどもの日、東京都現代美術館に行ってきました。お目当ては、南ア出身の現代女性アーティスト、マルレーネ・デュマの展覧会。
で、実際に見た感想ですが、う〜む、ちょっと期待が過ぎたのかなぁ…、という感じ。「エロスと死」というテーマも分からなくはありませんが(たとえば、「レザーブーツ」などは、何かあふれ出るエネルギーのようなものがあって、よかったのですが)、それよりも、ポスターにもなっている女性の絵(「邪悪は凡庸である」というタイトルは凡庸ですが)や、「マグダレーナ」と題された油彩画の方が面白いと思いました。
なんにせよ、写真を見ながら絵を描く、という方法に、いま一つピンと来ないものがあって、困ってしまいました。(^_^;)
公式サイト:
→MarleneDumas
で、「ついでに」と思って立ち寄ったのが、特別常設展の岡本太郎「明日の神話」。
↑岡本太郎「明日の神話」の中央部分。クリックすると大きな画像を表示します。
ジャコメッティ展を見てきました
集会のあと、横須賀から逗子を経由して、神奈川県立近代美術館葉山で開かれている「20世紀美術の探究者:アルベルト・ジャコメッティ――矢内原伊作とともに」を見てきました(7月30日まで)。
アルベルト・ジャコメッティは、チラシにも使われている矢内原伊作の石膏像で有名ですが、今回の美術展では、50年代から60年代までの彫像がいろいろ展示されていました。一番特徴的なのは50年前後につくられた彫像。前後の厚みと上下のフォルムはあっても、左右が極端に薄っぺらな作品は、いったい何を描いているのでしょう? 矢内原伊作とであった56年ころからは、相変わらず縦長ですが、そんな極端な薄っぺらさはなくなります。このへんの変化はいったいなんだったのか。今回の展示はテーマ別だったので、そのあたりはいまいちよく分かりませんでした。(^_^;)
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行ってみたい美術展
忙しくてなかなか余裕がないのですが、ぜひ行ってみたい美術展です。
20世紀美術の探求者アルベルト・ジャコメッティ(神奈川県立近代美術館 ?7/30)
ルーヴル美術館展?古代ギリシア芸術・神々の遺産?(東京芸術大学美術館 ?8/20)
《明日の神話》完成への道(岡本太郎美術館 6/29?)
光の魔術師:インゴ・マウラー展(東京オペラシティアートギャラリー 7/8?)
で、これは美術展じゃないけれど、ひさしぶりに佐倉まで出かけてみるのもよいかも。
早く見たいよ? 岡本太郎「明日の神話」修復完成
故・岡本太郎氏の壁画「明日の神話」の修復作業が完了しました。
「明日の神話」は、68?69年にメキシコのホテルのために作成されたものですが、その後ホテルの倒産などで行方不明になっていました。しかし、2003年9月にメキシコ市郊外の資材置き場で100個ほどの破片となって放置されていたところを発見され、昨年7月、日本に運ばれ修復作業がおこなわれていました。
原爆をテーマにした、縦5.5メートル、横30メートルの巨大な作品。ぜひ早く見てみたいものです。
よく分かりませんでした… エルンスト・バルラハ展
昨日のケーテ・コルヴィッツ展に続けて、今日は、上野へ行って、エルンスト・バルラハ展を見てきました。
エルンスト・バルラハは、1870年生まれのドイツ人の彫刻家。いわゆるドイツ表現主義の代表的作家です。しかし、結論からいうと、ドイツ表現主義って何?という感じで、よく分かりませんでした。(^_^;)
というのも、今回の展示作品の大部分は、個人的な作品というか、非常に宗教的な作品で、1920年代後半になってつくられるようになった、第1次世界大戦の犠牲者の追悼碑的な作品は4点のみ※で、なぜ、どういうきっかけでバルラハが、このような反戦的、厭戦的なモニュメントをつくるようになったのかという、一番肝心な問題が分からなかったからです。もちろん、これら犠牲者追悼碑の諸作品から伝わってくるものは圧倒的なのですが、それだけに、なぜバルラハがこのような作品の作成にすすんでいったのかを知りたかったというのが正直な感想です。
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ケーテ・コルビッツ展
今日は、昼から町田の国際版画美術館に出かけて、ケーテ・コルビッツ展を見てきました。
ケーテ・コルビッツは1867年生まれのドイツの女性版画家です。歴史研究者には、石母田正氏の『歴史と民族の発見』(東京大学出版会、1952年)の装丁でお馴染ですが、美術展で実物を見るのは初めて。やっぱり見逃すわけにはゆきません。
で、第一印象は“小さい!”というもの。とくに彼女が初めて広く認められることなった「織工の蜂起」なんて、A4ほどもないちっちゃな作品です。事実上最後の作品である「種を粉に挽いてはならない」でも、せいぜい画用紙程度。作品の圧倒的な存在感から、勝手にもっと大きなものを想像していました。
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行ってみたい美術展
最近、美術館にはとんと御無沙汰していますが、やっぱりこれだけは忘れずに見に行っておきたいです。
エルンスト・バルラハ展(東京芸術大学美術館)
ケーテ・コルヴィッツ展(町田市国際版画美術館)
イサム・ノグチ 世界とつながる彫刻展(横浜美術館)
ケーテ・コルヴィッツの版画は、歴史研究者にとっては、石母田正『歴史における民族の発見』の表装でよく知られたもの。でも、実物は見たことがないので、ぜひ見ておきたいです。(^_^;)
いただきましたm(_’_)m
先日、写真展「ベトナム そこは、戦場だった」を最終日に見に行ったばっかりに、図録が買えなかったと書いたところ、本日、後輩のM田君から譲っていただくことができました。ありがとうございます。m(_’_)m
ともかく書いて見るもんですねぇ。(^_^;)
見てきました 写真展「ベトナム そこは、戦場だった。」
見たい見たいと思っていた写真展「VIET NAM ベトナム―そこは、戦場だった。」を、最終日になってようやく恵比寿の東京都写真美術館に出かけ、見てきました。
この写真展の特徴は、米軍に従って南側から入り込んだカメラマンたちが撮った写真とともに、北ベトナム側の写真が一緒に展示されていること。北の写真には、いかにも「社会主義」の宣伝用というものも並んでいますが、しかし、ある写真では、米軍の爆撃でハイフォン市の労働者街が灰燼に帰した様子が映されていましたが、その中で、瓦礫の中から顔や手、脚だけが、破壊された壁や屋根と同じ無機物であるかのように見えているのに、思わず立ち止まってしまいました。
最終日だったからなのか、それとも日曜日だったからなのか、会場はけっこう混み合っていました。そのなかで、年配のお客さんが多かったことが意外でした。それも、ベトナム反戦デモなどをやっていた“団塊の世代”よりもさらに上の世代――60代とか70代、あるいはそれ以上と思われる人が目立ちました。その中でも、杖をついたり、腰の曲がったお婆さんが食い入るように写真を眺め、解説を読み、年表に見入っていらっしゃるのが、とても印象的でした。
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写真展 岡本太郎の視線
2・11集会のあと、恵比寿の東京写真美術館へ行き、「写真展・岡本太郎の視線」を見てきました。
岡本太郎の写真展といいつつ、Part1は、岡本が初めて渡仏した1930年代に交流のあった写真家(当然、ヨーロッパの)の写真が並べられているだけなので、ここはぱらぱらっと眺めて、さっさとPart2へ。
Part2では、1950年代末に『藝術新潮』の「藝術風土記」にのったものを中心に岡本の作品が展示されています。面白いのは、それとともに、コンタクトプリントが、非常にでっかく引き延ばされて展示されていることです。岡本がどんなふうにシャッターを切っていったかが分かるので、興味深く見ました。でも実際には、展示されたコンタクトがフィルム1本分しかなかったので、イマイチ、岡本が何をどうとらえてシャッターを切っていったか、よく分からなかったのですが…。(^_^;)
「灰と記憶」 鈴木邦弘写真展
インターネットで偶然見つけたのですが、中国人強制連行の生存者と日本国内の労働現場や収容所跡の現況を撮影した作品だというので、27日(金)、仕事を早めに切り上げて、見に行ってきました。
鈴木 邦弘写真展「灰と記憶」
銀座ニコンサロン 1/16(月)?1/28(土)
作品の一部はこちらからも見ることができます。↓
http://www.aperture.org/store/portfolioreview.aspx#picks
左側の「Kunihiro Suzuki–Survivors:Forced Labor in Japan」をクリックしてください。
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岡本太郎「明日の神話」復元!
原爆投下をテーマにした岡本太郎氏の「明日の神話」が復元されました。縦5.5m×横30mの巨大壁画。来年7?8月に東京で公開されるとのこと、是非実物を見てみたいものです。
岡本太郎の壁画を復元 メキシコで放置された「明日の神話」(共同)
↓こっちが岡本太郎「明日の神話」再生プロジェクトのオフィシャルホームページ。修復作業の様子なども詳しく紹介されています。
岡本太郎 – 明日の神話オフィシャルページ [Hobo Nikkan Itoi Shinbun Partnership]
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李禹煥「余白の芸術」(横浜美術館)
雨の中、横浜美術館の李禹煥「余白の芸術」展を見てきました。
李禹煥(リ・ウファン)の作品を見るのは初めて。1936年、韓国慶尚南道生まれ。1956年に来日、日本を拠点に創作活動をおこなってきた現代アーティストです。今回は、回顧展ではなく、最近の作品を中心に構成ということで、展示は、チケットにもなっているような、薄いクリーム色のカンバスにグレーの点(というかスクウェア)を書き入れたような作品(いちおう絵画だそうです)と、石と鉄板などによって構成された造形、の2種類です。
絵画の方は、カンバスの大部分は圧倒的に「余白」で構成されています。グレーの点は、一方は白に近く、微妙なグラデーションになってますが、近寄って見ると、筆の跡やカスレ、顔料の盛り上がりなどがあって、不思議な力強さがあります。
厚さ3センチほどの鉄板と、その前におかれた石の組み合わせ。石が自然を、鉄板が人工を表しているとのこと。石は、形や色はいろいろでも、自然のまま置かれているのにたいし、鉄板は、重ねられていたり、熔接されていたり、すこし曲げられていたりして、微妙に加工されていて、その2つが不思議な距離感と緊張感をもって組み合わされています。たぶん、これらはシンメトリーになるような位置から見るようになっているのでしょうが、床に置かれているだけなので、その周りをぐるぐる自由に歩き回って好きなポジションから眺められます。
そういえば、横浜美術館の展示室の床は、コンクリー剥き出しになっていて、それも含めて、石と鉄板の質感が伝わってきました。最後に、ビデオが上映されていて、今回の作品の展示準備の様子も紹介されていました。横浜市内の鉄工所で鉄板を加工し、クレーンで運び込んで据えつけて、会場で熔接していたのは、ちょっと驚き。その様子こそ見たかったですねぇ。
それから、美術館の前にも、石と鉄板からなる造形が3点、展示されていました(あんまり見ている人はいなかったけど)。その1つに、「6者協議」という作品がありました。もちろん、あの「6カ国協議」のことだと思われますが、もう1つと「鉄の壁」という作品(鉄板で作られた高さ3メートルほどの壁の周りに石が置かれているほか、石が2つ、壁のうえにも置かれています)ともども、いまの朝鮮半島情勢に向き合う作者の気持ちを見たように思いました。
屋外の展示3作品については、こちらのブログで写真を見ることができます。
→はろるど・わーど:李禹煥 「関係項」(3種) 横浜美術館「余白の芸術」にて
※チケット以外の画像は、横浜美術館のホームページより(過去の展示会での作品を撮影したもののようです)。
国立近代美術館:アジアのキュビズム
国立近代美術館の「アジアのキュビズム――境界なき対話」に行ってきました。
この展覧会は、アジアの芸術家がキュビズム的動向をいかに受け入れ、いかにそれに応えてきたかという問題に焦点を当てる世界で初めての試みであり、アジア11カ国約120点の作品を「テーブルの上の実験」、「キュビズムと近代性」、「身体」、「キュビズムと国土(ネイション)」という4つのテーマから紹介します。本展が、アジアにおけるモダニズム絵画の諸相を綜合的に捉えなおす絶好の機会となり、さらには、キュビズムとは何か、近代芸術とは何か、という問いに対する私たちの側からの応答となることを願っています。(同展のチラシから)
で、いかにもキュビズムといった絵から、これがキュビズム?という絵まで、いろんな絵がありましたが、1つ気がついたのは、日本のキュビズム受容が1930年代なのにたいして、アジア諸国のそれが1950年代だということです。その理由は、もちろん明白で、戦前のヨーロッパ諸国の植民地支配、そして1940年代前半の日本の占領と戦争、そして1945年の日本の敗北から独立までの激変です。民族独立と近代化との独特の重なり方が、アジアのキュビズムの特徴かも知れません。
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