今日も渋谷で映画を見てきました。「変身」――カフカの原作を映画化したものです。
「ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した」(新潮文庫版、高橋義孝訳「変身」)という書き出しは、あまりに有名。この、人間が虫に変身するという不条理の世界をどう視覚化するのか? 興味津々で見てきました。
映画は、原作に登場するエピソード(たとえばグレーゴルがカベや天井をはいずり回り、天井からぶら下がるのを楽しむ様子とか)をほとんど忠実に映像化しています。主人公のグレーゴルを演じたのは、エヴゲーニイ・ミローノフという俳優。「ロシア演劇界のプリンス」(プログラムの「解説」による)だそうです。で、彼は、どのように変身するか? それは見てのお楽しみなのですが、もうそろそろ上映終了なので、ネタばれになりますが、書いてしまいます。結論からいうと……
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