お婆ちゃんの初恋? 映画「ラヴェンダーの咲く庭で」

ラヴェンダーの咲く庭で

「ピアノマン」の登場ですっかり手垢が付いてしまった感がありますが、渋谷Bunkamuraル・シネマで、ジュディ・デンチとマギー・スミスが主演するイギリス映画「ラヴェンダーの咲く庭で」を見てきました。(ことし15本目)

イギリスの海辺の片田舎に住むジャネット(マギー・スミス)とアーシュラ(ジュディ・デンチ)の姉妹。嵐の翌朝、若い男性(ダニエル・ブリュール)が浜辺に打ち上げられているのを見つける。若者は英語がはなせないけれども、ドイツ語でポーランド出身でアンドレアと名のる。アーシュラは、そんなアンドレアをかいがいしく世話する。回復したアンドレアは見事なヴァイオリンの腕前を発揮する。

そんなある日、アンドレアの演奏を聴いた若い女性画家オルガ(ナターシャ・マケルホーン)が登場。オルガの兄は伝説の名ヴァイオリニスト。アーシュラとジャネットは、アンドレアとドイツ語で親しげに会話するオルガに心中穏やかでない…。

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日フィル第571回定期演奏会/ショスタコーヴィッチ:チェロ協奏曲第2番

16日(金)、サントリーホールで日本フィルハーモニー交響楽団の第571回定期演奏会を聴いてきました。プログラムは、

  • ショスタコーヴィッチ:チェロ協奏曲第2番 ト短調 作品126
  • ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」

指揮は飯守泰次郎さん、チェロは堤剛さんでした。

この日の出色は、やっぱり何といっても前半のショスタコーヴィッチ:チェロ協奏曲第2番でした。これまでCDでしか聴いたことがなかったのですが、しかし、CDで聴いていたのではさっぱり分からない曲で、期待して聴きに行きました。

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文化住宅とは… 関西と関東の違い

関西でいうところの文化住宅。実態は木造モルタル2階建ての木賃アパートのことなんですが、東京では、大正?昭和初期に山の手の新築一戸建ての住宅を「文化住宅」と呼んだそうです(玄関脇に洋間をつけたのが新しかったらしい)。

ほんま?関西伝説 昔文化住宅 今コーポ?(朝日新聞)
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映画「ザ・インタープリター」

ザ・インタープリター

ニコール・キッドマン主演の「ザ・インタープリター」をようやく見てきました。公開前から新聞の映画評は酷評さくさくで、しかも公開直後にみてきた職場の先輩が「結末がイマイチ…」などとネタばれ的なことを言っちゃったもんだから、見る気をそがれて、とうとう今日になってしまいました。(^^;) ということで、今年見た14本目の映画。

国連の通訳を務めるシルヴィア(ニコール・キッドマン)は、偶然、アフリカのマトボ共和国大統領の暗殺計画が話し合われているのを聞いてしまう。通報を受け、シークレットサービスの捜査官ケラー(ショーン・ペン)が事件の調査を始める。ケラーは、彼女に疑いをもつが、ある夜、彼女のアパートの外階段に不審者が現われ、シルヴィアの本格的警護が始まる。しかし、ある朝、シルヴィアは不審な行動をとる…。

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おめでとう〜〜〜〜!

サッカー日本代表

W杯出場決定! やった〜〜

前半戦はちょっとジリジリしましたが、後半、1点目、柳沢選手、ドンピシャでした。2点目、大黒へのパスは、北朝鮮がずっとオフサイドを狙っていたので、その裏をかいたという感じですね。

あらためて、日本代表チームがしっかり力をつけていることを実感しました。

日本語の3つの条件

作家の阿刀田高氏が、「東京新聞」夕刊の文化欄で、日本語の3つの条件を書いています。その3つの条件というのは、<1>明快で、<2>的確で、<3>美しい、というもの。

<1>明快、というのは、「言葉遣いも構文もわかりやすいこと」。やさしい表現が望ましいけれども、ある程度の豊富さは絶対に必要だ、とも言っておられます。<2>的確とは、「対象を過不足なく表わしていること」。これは非常にわかりやすいですね。過不足なく表現するためには、語彙の豊富さを必要とすると指摘されていますが、なるほど大事なポイントですね。<3>美しいということについては、「大ざっぱなものさし」として、「言葉として美しいこと、イメージが美しいこと、趣きがあること」が上げられています。

さらに、「あえて韜晦を選ぶこと」、「あえて不充分のままでおくこと」、「あえて異端の美しさに訴えること」もあると、実に的確な指摘。阿刀田氏の指摘は、文学を中心としたものでしょうが、論文を書くときも心がけたいものです。

ストラヴィンスキー「火の鳥」全曲版/日フィル定期

当日のプャ??ラム(イラスト:小澤一雄)

3日、サントリーホールで日本フィルハーモニー交響楽団の第570回定期演奏会を聴いてきました。プログラムは、

  • 北爪道夫:「様々な距離」 本フィル・シリーズ第39作(初演)
  • モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364(320d)
  • ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(1910年全曲版)

この日の秀逸は、何といっても、「火の鳥」全曲版。正直言って、ストラヴィンスキーの曲はあまり好きではなかったのですが、この日の演奏を聴いて、自分の不勉強を痛感しました。(^^;) そもそも「火の鳥」は1919年の組曲版しか聴いたことがなく、全曲版を聴いてみると、まったく印象が違うのに驚きました。

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生涯、漫才師…喜味こいしさんの話

今日の「東京新聞」夕刊(5/27付)の2面「あの人に迫る」に、大阪の漫才師・喜味こいしさんが登場されています。とくに最後に記者が「ぜひ伺いたいのが戦争です」と尋ねたのに、こんなふうに答えられているのが印象に残りました。

原爆や戦争の話はいやなんです。僕ら生きているからよろしいで。でも僕の代わりに誰かが死んでいる。一兵卒から戦争は起きません。えらい方が起こすのが戦争で、一番エライ目をするのが兵隊。戦争は人間がやるもんやない、というて人間がやっている。だから言うだけむなしい。

「僕の代わりに誰かが死んでいる」という気持ち、戦争の話をするのを恥と思う心持ち。ある世代から上の人は、みな、こういう心情を持っておられると思います。

他にも、いかにも「いとし・こいし」らしい話がいろいろ登場します。
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新日定期でもらったチラシ

ところで、新日の定期で、プログラムにはさんで配られていたチラシ。

みちよしの盆休み

一瞬、どこの噺家だろう?と思ってしまったのは僕だけでしょうか。(^^;)

「みちよしの盆休み」と題されたこのコンサート。キャッチコピーは、

みちよしが 夏の暑さを忘れさす 涼感霊感六十分
?新日本フィルハーモニー交響楽団 サマーコンサート?

しかも、「当日会場にて(17時?)――“音楽家たち出品のフリーマーケット開催”」というオマケ付き。みなさん、いかが?
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正統派? ハウシルト&新日本フィル/ブルックナー交響曲第7番

昨日の都響定期に続いて、今日は、新日本フィルの定期トリフォニー・シリーズへ。

  • ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出のために」
  • ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調(ノヴァーク版)

指揮はヴォルフ=ディーター・ハウシルト、ヴァイオリンは戸田弥生さん。

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終わりよければ… 都響定期/マーラー:交響曲第2番「復活」

その都響定期ですが、ジェイムズ・デプリースト氏の常任指揮者就任後、初の定演登場ということで、上野の文化会館も9割方埋まる盛況ぶりでした。プログラムは、マーラーの交響曲第2番「復活」。

ソリストは、ソプラノ澤畑恵美さん、メゾソプラノ竹本節子さんで文句なし。合唱は、晋友会合唱団。その指導にあたってこられた関屋晋さんは去る4月9日急逝されたばかりでもあり、「復活」という演目が意味深く思われたりしました。

「復活」をナマで聴いたのは3回目ですが、曲が曲だけに、どうしても「そう易々と、曲に乗せられてなるものか」と構えてしまうのは、生来の天の邪鬼? デプリースト氏の指揮は、明快、平易というべきで、マーラーだからといってことさらにしかめっ面するようなところはどこにもありません。それは好感が持てたのですが…

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ジャン・フルネ氏引退

都響定期で文化会館に来ていますが、会場に「謹告」として張り紙がしてありました。
曰く、ジャン・フルネ氏が今年12月20、21日の都響定演を最後に、引退を決意された、と。当日のプログラムも変更され、愛弟子の伊藤恵さんを迎えてモーツァルトのピアノ協奏曲第24番が演奏されます。

ジャン・ルフネ氏は93歳。引退後もオランダやフランスで指導は続けるとのことですが、長い間ご苦労様でした。

追記:
12月24?26日の都響の「第九」公演は、主席客演指揮者・小泉和裕氏が指揮をとることになりました。

映画「エレニの旅」

エレニの旅

午後、突然雨が降り出しましたが、それがやんだあと、日比谷シャンテでギリシャ映画「エレニの旅」を見てきました。長回しで、静かに時間が流れていく…そんな感じの不思議な映画でした。

1919年、ロシア革命に追われて、オデッサから一群のギリシャ人たちが引き上げてくる。「お前たちは何者だ?」との誰何に、彼らの長らしき男性が「入国の許可を1カ月待った。許可がおりて、東へすすめと言われた」と答える。そこには、オデッサの街で助けた少女エレニがいる。それからおよそ10年後、エレニが養母ダナエに連れられて、〈ニューオデッサ〉に帰ってくる。叔母カッサンドラはダナエに「すべて済んだ?」「生まれた双子は?」と問う…。

ゆったりとした長回しのカメラアングルで映画はすすんでいきます。ストーリーも克明に描くというより、象徴的なスタイルで、不思議な雰囲気を醸し出してゆきます。哀調を帯びたアコーデオンの音楽も印象的です。そして、やがて水没するニューオデッサの街。〈白布の丘〉の狭い住民の集落のあいだを通っていく蒸気機関車、それに廃墟となったニューオデッサの街と、それをおおう“河”と“水”が、くり返しくり返し登場し、その間に、少しずつギリシャの〈歴史〉が動いていきます。そんな不思議な時間と空間をたっぷり堪能してください。

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「フレンチなしあわせのみつけ方」

フレンチなしあわせのみつけ方

連休ど真ん中の4日、渋谷シネ・アミューズでフランス映画「フレンチなしあわせのみつけ方」を見てきました。今年12本目。

仏の人気俳優イヴァン・アタル演じる自動車ディーラーのヴァンサンは、妻ガブリエル(シャルロット・ゲンズブール)と息子ジョゼとの3人暮らし。いかにもしあわせ風なのだが、ガブリエルは、夫が浮気をしていることを直感する…。

ということで、シャルロット・ゲンズブールが、不動産業者として仕事をしつつ、子育てもするし、夫の浮気に悩みもするという“健気な”女性を好演。明るいんだけれども、ちょっと憂いも感じさせるキャラクターが魅力的です。

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映画「コーラス」

映画「コーラス」

 昨日、日比谷公会堂で開かれた憲法集会に参加して、そのあと参加者5000人で、日比谷公会堂から内幸町ホールの前を通ってガードをくぐり、西銀座から数寄屋橋交差点を通って、東京駅八重洲口前を通過し、日本橋常磐公園まで、1時間あまり「憲法改悪反対」「9条を守れ?」とアピールしながらパレードしてきました。

 で、パレードが終わると、また銀座までとって返して、シネスイッチ銀座へ。フランス映画「コーラス」を見てきました。

 1949年、元音楽教師のクレマン・マチュー(ジェラール・ジュニョ)は、「池の底」という名前の寄宿学校に着任する。生徒たちは、親を亡くしり素行に問題ありとして預けられた子どもたち。いたずらばかりする“悪ガキ”にたいし、校長(フランソワ・ベルレアン)は“やられたら、やり返せ”をモットーに容赦のない体罰を加える。マチューは、ささくれだった子どもたちの気持ちを何とかしようと、子どもたちに合唱を教える。しかし、生徒のピエール・モランジュ(少年時代、ジャン=バティスト・モニエ)は、そんなマチューに反発する。
 ある晩、誰もいないはずの教室から“奇跡の声”が聞こえてきた…。

 ということで、悪童たちがみるみる合唱がうまくなるあたりは“話が出来すぎ”ですが、まあそうでないと映画になりませんから、そのあたりは目をつぶるとして、少年モランジュを演じるジャン=バティスト・モニエのボーイ・ソプラノは、実際、素晴らしい。彼がソロで歌う「キリエ」などは、映画のお話とは関係なしに、切なく癒されるほどで、本当に心に染みいってくるようです。

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都響定演 追記

  1. 上野の文化会館は、サントリーとはまた客層がちょっと違う…。僕は、2階のR席で聞いていましたが、近くに、雪駄履きで来られていたおじいちゃんがいました。僕も、ジーンズでコンサートに行く方ですが、さすがに雪駄履きのお客さんを見たのは初めて…。
  2. 演奏会が終わったあと、文化会館の出口を出たところで、「都響楽員を応援してくださった皆様」というチラシをいただきました。配っていたのは都響のオケのみなさん。演奏会直後だったのでみなさん燕尾服のままでの“ビラ配り”のようでしたが、直接お客さんに、支援感謝の気持ちを伝えたいというオケのみなさんの気持ちも伝わったのではないでしょうか。都響のみなさん、本当にご苦労さまでした?