最近の雇用動向について

「日経新聞」21日付に、最近の派遣やパート、アルバイトの雇用動向についての記事が載っていた。

「非正社員雇用 頭打ち鮮明」という見出しだが、詳しく見ると、臨時雇用(日雇いを除く1年以内の有期雇用)は、前年同月比で6か月連続で減少といっても、6月にはほぼ前年と同水準になっている。その一方で、人材派遣の実稼働者数も減っている。だから、派遣から有期雇用への切り替えが進んでいることを反映している可能性もあるのだが、記事自体は、全体として、日雇い派遣禁止の動きに対して、そんなことをしたら「雇用全体のパイ縮小を招く」といって、牽制する色合いが濃いものになっている。

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GDPマイナス2.4%に大きく落ち込む

13日に内閣府が発表したGDP速報値が、実質で前期比マイナス0.6%、年率換算でマイナス2.4%と落ち込んでいて、大きな衝撃を呼んでいる。

これまで日本の景気は“外需頼み”と言われてきたが、その外需がマイナス2.3%(実質)と大きくへこんだうえに、ようやく回復しかけていた家計消費もマイナス0.7%(帰属家賃を除く実質家計最終消費支出)と落ち込み、日本経済は八方ふさがりの状態になってしまった。“外需頼み”経済の脆さが露わになった形だ。

見逃せないのは、GDPデフレーターが前年同期比1.6%と再び下落幅を拡大していること。ふたたびデフレが忍び寄りつつあるのかも知れない。

4-6月実質GDP、年率マイナス2.4% 1年ぶり減(NIKKEI NET)

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6月失業率4.1% 1年6カ月ぶりの水準に

6月の失業率は0.1ポイント悪化して4.1%に。これは1年6カ月ぶりの水準。新規有効求人も減少しています。

他方で6月の消費支出は前年比実質-1.8%で、こちらは4カ月連続で前年比マイナスです。とくにガソリン、パン、カップ麺の消費が減っていることが目立つとのこと。いよいよ物価が上がり始め、庶民はますます消費を節約するしかありません。

6月の失業率4.1%に悪化 0.1ポイント上昇(NIKKEI NET)
6月全世帯消費支出は前年比実質‐1.8%=総務省(ロイター)

総務省発表のデータはこちら↓。どちらもPDFファイルが開きます。
労働力調査(速報)2008年6月分結果の概要 (PDF:55KB)
家計調査報告(二人以上の世帯)2008年6月分速報(PDF:40KB)

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製造業の税負担率のきなみ低下

本日の「日経新聞」1面トップに、こんな記事が載っていました。

「製造業の税負担率最低 前3月期38.9%」

税制論議のなかで、日本の法人税の実効税率は40%だと言われますが、日経新聞の調査では、製造業の企業の税負担率は平均で38.9%。最低はHOYAの15.3%で、松下電器産業は26.3%、新日本製鉄36.9%、トヨタ自動車は37.4%など、軒並み40%を下回っています。

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米大手住宅ローン会社インディマックが破綻。米政府系住宅金融機関はどうなる?!

サブプライムローン問題に端を発したアメリカの金融危機をめぐる動きが急だ。11日は、米カリフォルニア州の地方銀行で、住宅ローン大手のインディマック・バンコープが破綻。資産規模は約320億ドル。政府系住宅金融機関の不安もある。しばらく注意しておく必要がありそう。

7/15付日経記事によれば、米政府系住宅金融機関の債券を、日本の3大銀行(三菱UFJ、みずほ、三井住友)だけで4.7兆円、生保4社も住宅ローン担保証券を含めて4兆円以上保有しているらしい。サブプライムローンとは違って、いちおう信用の裏付けがあるとしているが、はたしてどうなるか。

米住宅金融大手破たん 資産320億ドル 銀行では過去3番目(読売新聞)
米インディマックが窓口業務再開、預金引き出しに数百人の列(NIKKEI NET)
〔焦点〕米インディマックが業務停止、さらなる米銀破たんの公算=アナリスト(ロイター)
〔焦点〕米GSE支援策には財政悪化・米資産離れのリスク、ドル見通し改善せず(ロイター)
米GSEの経営危機、今回が最後とはならず=ソロス氏(ロイター)
GSE支援策でも警戒感払しょくできず、投資家責任のあり方に関心(ロイター)

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そりゃ儲かるはず セブン・イレブン・ジャパン 加盟店に仕入れ値知らせず

コンビニエンスストア・セブン・イレブンの加盟店が、「セブン・イレブン・ジャパン」を相手取って、商品仕入額を報告するように求めて提訴していた裁判で、最高裁が、加盟店側の要求を認め、請求を棄却した2審判決を取り消し、審理のやり直しを命じた。

そもそも、加盟店がコンビニ本部に商品仕入額の報告を求めるというのは一体どういうことか? と思ったら、セブン・イレブンでは、加盟店は、本部に商品を注文し、本部が一括発注している。そしてその代金は、本部が支払い、加盟店に請求するのだが、加盟店は仕入れ単価や値引き情報など、一切知らされないというのだ。

これでは、自分の店の仕入れがいくらか、加盟店の店長にはさっぱり分からない。仕入れ単価に上乗せされているかどうかも分からない。コンビニエンスストアのフランチャイズ契約をめぐっては、いろいろなトラブルがあるけれども、これほど本部がやりたい放題やっていたとは…。

セブン?イレブン:仕入れ価格、加盟店へ報告義務 最高裁が2審破棄、審理差し戻し(毎日新聞)
セブン―イレブンは加盟店へ仕入れ値報告を 最高裁判断(朝日新聞)

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投機マネーはどれくらいあるのか?

いったい世界中で投機マネーはどれぐらいあるのでしょうか? もちろん正確・正式な統計調査などはありませんが、調べてみると、それを推測させるいろいろな数字が分かりました。

まずこれ↓は、世界の金融資産と名目GDPとを比較したグラフ。これによると、90年には名目GDPの1.7倍しかなかった金融資産が、2006年には3.2倍に膨らんでいます。

金融経済vs.実物経済(水野和夫・三菱UFJ証券チーフエコノミストによる)

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国内金融機関、サブプライム関連で1兆2000億円の損失

みずほフィナンシャルグループが5650億円の損失を出したほか、国内の金融機関だけで1兆2000億円の損失。

欧米の金融機関に比べれば、日本は、みずほFGを除いて、“傷が浅かった”といえますが、その割には株価は下がったまま。このあたりに、サブプライム問題だけに還元できない日本経済の脆弱性が表れていると思います。

サブプライム関連損失、国内金融機関で1兆2000億円に(読売新聞)

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ここでも原因は企業にある!!

今朝の「日経新聞」。「ニッポンの停滞 海外の厳しい目」と題して、6面全部を使って、英誌『エコノミスト』(2008年2月23-29日号)の日本特集JAPAiN(JAPANとPain〔痛み〕をかけたものらしい)を紹介しています。

そのなかで、「なぜ日本は失敗し続けるのか」という見出しで、日本の景気がなぜ本格的に回復しないのか、次のように分析しています。

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追加資金400億円は高額預金者の預金を税金で払うだけになるのでは?

「新銀行東京」について、ペイオフの対象となる預金が、法人・個人で9610件、477億円、個人だけだと9523人315億円になるということが明らかにされた。

新銀行東京:清算なら新たに千億円必要 野党は反対姿勢(毎日新聞)

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日本の外貨準備1兆ドル

日本の外貨準備が2月末で1兆ドルを突破したことが明らかに。

日本が2003年?04年春に約35兆円の大規模な円売り・ドル買い介入をしたというのは、要するに、世界中で投売りされるドルを日本政府が必死に買い支えた、ということ。その結果がこれだ。

2月末の外貨準備、1兆ドル突破・ドル安で資産目減り懸念も(日経新聞)
2月末外貨準備高、最高の1兆79億ドル・財務省発表(NIKKEI NET)

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それなら経済の軸足を本当に国民生活の側に移せ

福田首相が、3月6日付の「福田内閣メールマガジン」第21号で、「構造改革」の成果が「給与として、国民に、家計に還元されるべきときがやってきている」、「企業にとっても、給与を増やすことによって消費が増えれば、経済全体が拡大し、より大きな利益を上げることにもつながる」として、給与引き上げへの期待を表明。

日本経済が本格的な回復の道をすすむためには、国民経済の6割を占める国民の消費生活を本気で上向かせる必要がある、ということは、ここでも繰り返し指摘してきたこと。ついに首相も、それを認めざるをえないところに追い込まれた、ということだ。

しかし、福田内閣がやっていることは、それと真っ向から対立することばかり。もし、福田首相が本気でそれを考えているのであれば、いまこそ政府の経済政策の軸足を大企業から国民生活の側に移し、4月からの後期高齢者医療制度の実施凍結、社会保障予算の毎年2200億円削減の見直しをおこなうべきだし、給与水準を全体として引き上げるために、最低賃金の大幅引き上げとともに、雇用の規制緩和を見直し、非正規雇用の拡大をおさえて正規雇用の拡大に踏み切るべきだ。

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6大銀行で5291億円の損失

サブプライムローン問題で、6大銀行の損失額が5291億円になったことが明らかに。

大手行の損失5300億円 米住宅ローンで業績悪化(中国新聞)
サブプライム関連損失365億円=あおぞら銀の07年4-12月期(時事通信)
みずほFGがサブプライム関連損失を倍増、通期予想を下方修正 (ロイター)
新生銀:3月期予想を下方修正、サブプライム損失拡大も(ロイター)

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まだまだ終わらないサブプライムローン問題

サブプライム問題で、みずほFGが2500億円の損失計上へ。昨日は、三井住友FGが990億円の損失。ほかにモノラインがらみで100億円の損失も計上されている。

みずほ、2000億円追加支援・傘下証券にサブプライム関連で(NIKKEI NET)
三井住友FG、サブプライムで990億円損失・4-12月期(NIKKEI NET)

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東証1万3000円割れ はたしてこれはサブプライム問題の影響だけ?

東証平均株価が1万3000円割れ。昨年7月の1万8261円から5500円以上下落というのは下落率にして30%以上。米サブプライムローン問題の影響だというけれど、アメリカでもこんなには株価は下落してません。むしろ日本の景気が腰折れしている方が問題なのでは?

世界同時株安の様相 東証1万3000円割れ 欧州、アジアも急落(東京新聞)
日本の株価下落率 世界2位(NHKニュース)

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損保ジャパンが340億円支払いの可能性

損保ジャパンが、アメリカのサブプライムローン関連の金融商品にたいして、元本や利子の支払いを保証する「金融保証保険」なるものを引き受けていたために、最大で340億円の支払いが生じる可能性が明らかになった。

金融商品に、それとは別に元本や利子の支払いを保証する「保険」をかける(つまり、金融商品が値上がりした場合は、支払いの必要がないので、保険会社は保険料の分だけ丸儲けになるが、金融商品が値下がりすると、損失を補填する必要が生じるわけだ)とは…。「金融的術策」とはいうけれど、いったいどこまで手が込んでいるのか。これだから、サブプライムローン問題の被害がどこまで広がるか、いまだにはっきりしないわけです。

損保ジャパン、サブプライムローン関連の金融保証保険で最大340億円支払いの可能性(FNNニュース)

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サブプライム 大手銀行6グループの損失3000億円

サブプライム問題で、国内大手銀行6グループの損失が3000億円にのぼる見通し。また、邦銀のサブプライム・ローンを含む金融商品の保有額は1.3兆円にのぼることも明らかに。

さらに、サブプライムに次ぐ「オルトA」というローンでも、同じように焦げ付きがでる可能性も取り沙汰されています。はたしてどうなりますやら…

国内大手銀6グループ サブプライム損失3000億円 3月期見通し 中間利益は45%減(東京新聞)
大手6行:最終益半減 成長戦略、立ち往生 サブプライム直撃、「海外証券化」で損失(毎日新聞)
サブプライム問題:邦銀の保有額は1兆3000億円(毎日新聞)
サブプライム、世界規模損失32兆円 OECD試算(中日新聞)

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サブプライム問題 日本でもまだまだ続く

サブプライム・ローン問題、日本への影響も段々と明らかになってきた。

住友信託銀、サブプライム損失190億円…3月期見通し(読売新聞)
イーバンク銀、サブプライム損失18億円(朝日新聞)
サブプライム 見通し甘く(読売新聞)

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みずほ証券、サブプライム問題で1000億円の損失か?!

サブプライム問題、みずほ証券が1000億円を越す損失を出し、新光証券との合併延期、と日経が報道。

これについて、みずほ証券は「合併期日の変更を決めた事実はない」とコメントを発表したが、サブプライム問題での損失について触れていない分、逆にこれは事実ということか。

みずほ証券、サブプライム損失1000億円超・新光と合併延期へ(NIKKEI NET)
合併期日の変更を決めた事実はない=一部報道でみずほ証・新光証(ロイター)

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