メリル4兆円、シティ6兆円の損失!!

サブプライムローン問題で、アメリカのシティグループはグループ全体で6.2兆円の損失、メルリリンチメリルリンチも年間4兆円超の損失を計上した。このほか、JPモルガンは黒字になったとはいえ、サブプライムローンがらみの評価損、破綻したベア・スターンズの吸収合併に絡んで、合わせて16.4億ドルの損失を計上。

影響は、イギリス、フランスの銀行にも及んでいる。

米シティグループ:サブプライムで損失、累計6.2兆円 欧米金融で最大規模(毎日新聞)
メリルリンチ赤字 4四半期連続、年間損失4兆円超 (朝日新聞)
米JPモルガン:純利益52%減(毎日新聞)
仏銀のサブプライム関連損失は150億ユーロ、クレディ・アグリコールめぐる報道行き過ぎ=仏経財相(Reuters)
サブプライム影響 英中堅銀に経営不安(読売新聞)

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米大手住宅ローン会社インディマックが破綻。米政府系住宅金融機関はどうなる?!

サブプライムローン問題に端を発したアメリカの金融危機をめぐる動きが急だ。11日は、米カリフォルニア州の地方銀行で、住宅ローン大手のインディマック・バンコープが破綻。資産規模は約320億ドル。政府系住宅金融機関の不安もある。しばらく注意しておく必要がありそう。

7/15付日経記事によれば、米政府系住宅金融機関の債券を、日本の3大銀行(三菱UFJ、みずほ、三井住友)だけで4.7兆円、生保4社も住宅ローン担保証券を含めて4兆円以上保有しているらしい。サブプライムローンとは違って、いちおう信用の裏付けがあるとしているが、はたしてどうなるか。

米住宅金融大手破たん 資産320億ドル 銀行では過去3番目(読売新聞)
米インディマックが窓口業務再開、預金引き出しに数百人の列(NIKKEI NET)
〔焦点〕米インディマックが業務停止、さらなる米銀破たんの公算=アナリスト(ロイター)
〔焦点〕米GSE支援策には財政悪化・米資産離れのリスク、ドル見通し改善せず(ロイター)
米GSEの経営危機、今回が最後とはならず=ソロス氏(ロイター)
GSE支援策でも警戒感払しょくできず、投資家責任のあり方に関心(ロイター)

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投機マネーはどれくらいあるのか? (3)

よくは分かりませんが、「YUCASEEマネー」という投資運用情報会社の流しているニュースによると、BIS発表として、先物取引市場での金融先物取引やオプションの名目契約残高は、2008年9月末期日物で95兆ドル。2005年12月末期日の58兆ドルから64%増。店頭市場での金融先物、スワップ、オプション、その他のデリバティブ取引の名目契約残高は、2007年6月末時点では516兆ドル、2005年12月末の298兆ドルから74%増。

他方、特に投機的だといわれているヘッジファンドはどれくらいあるのか? 業界誌?の調査によると、1本10億ドル以上のものだけで世界中で391本あって、総額は2.65兆ドルになるらしい。

デリバティブ取引急増でシステミック・リスク拡大(YUCASEEマネー)
世界のヘッジファンド運用額、27%増の2.65兆ドル―日本のファンドは流出超(HEDGE FUND KLUG)

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投機マネーはどれくらいあるのか? (2)

こんどは、ブリュノ・ジュタン『トービン税入門』(社会評論社、2006年、原著2002年)に載っていたグラフ。

為替市場と貿易・国際投資

低い方のグラフは、「世界貿易の年間総額+対外直接投資の年間総額」。それにたいして、上の方のグラフは、世界の為替取引の年間総額(1日の取引額×250日として計算)です。

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投機マネーはどれくらいあるのか?

いったい世界中で投機マネーはどれぐらいあるのでしょうか? もちろん正確・正式な統計調査などはありませんが、調べてみると、それを推測させるいろいろな数字が分かりました。

まずこれ↓は、世界の金融資産と名目GDPとを比較したグラフ。これによると、90年には名目GDPの1.7倍しかなかった金融資産が、2006年には3.2倍に膨らんでいます。

金融経済vs.実物経済(水野和夫・三菱UFJ証券チーフエコノミストによる)

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食糧高騰が途上国を襲う

2008年4月8日、ハイチ・ポルトープランスで起こった物価高騰に対する抗議デモ(AFP BBNews)

今日の「毎日新聞」と「日経新聞」が、穀物価格の急騰を大きく特集で取り上げていた。

投機資金の流入などで、国際的な穀物相場が高騰。その結果、発展途上国では食糧が買えないと、暴動まで起こっている。IMFも「このまま続けば、戦争の危険もある」と警告しているし、アジア開発銀行の黒田総裁も、アジア諸国への影響はサブプライムローン以上だと指摘。日経記事によれば、タイ米の価格が1トン1000ドル(約10万2000円)を突破するのは確実だとされている。

日本も、“食糧は輸入すればよい”などとは言っていられない。もっと農業に社会的資本を使って、食糧自給率を本格的に引き上げる取り組みを始めるべき時期に来ているといえる。

クローズアップ2008:穀物急騰、途上国を直撃(毎日新聞)
“穀物高騰 途上国に打撃”(NHKニュース)
インド:FAO代表「食糧不足は非常事態」(JanJanNews)
洞爺湖サミット/食料安保を共通認識に(日本農業新聞)

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“崩れるドルの力”

何年か後になってみると、「あのとき、ドルの基軸通貨としての地位は失われた」と言われることになるかも知れない。

混迷:米国発・金融危機 崩れるドルの力(毎日新聞 3/21)
円建て外債、3倍超に・今年度発行、欧米での調達避ける(日経新聞 3/22=夕)
欧州、公的支援で“安定”・サブプライム危機(日経新聞 3/23)

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サブプライムローン問題の損失、世界全体で78兆円!!

サブプライムローン問題に関連した損失が世界全体で8000億ドル(約78兆円)に上るとの試算を、IMFが発表。昨年9月には、2000億ドルとの試算を発表していたのが、わずか半年で4倍化した結果に。

サブプライム損78兆円/IMF試算 保険会社にも拡大(読売新聞)
損失の全容つかめず/サブプライム 9月予想の4倍(読売新聞)

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サブプライムローン 公表損失20兆円超

米財務省の発表によれば、サブプライムローン問題での損失は、これまでに公表された分だけで2000億ドル(約20兆円)を超える見込み。

しかも、これで終わりという訳ではなさそう。

サブプライム、公表損失額20兆円超に(TBS News-i)
サブプライム損失「年末にかけ拡大も」・EU財務相理が採択へ(NIKKEI NET)
米経済の最大のリスクはサブプライムローンのデフォルトと多額の債務=NABE調査(ロイター)
年金積立管理運用 7924億円の赤字に転落(MSN産経ニュース)

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EUが「株安の原因はアメリカの赤字」と批判

EUのアルムニア欧州委員(経済・通貨担当)が、「世界的な株安の原因は、アメリカが貿易赤字と財政赤字を放置していることにある」と批判。

現在の株安が、たんに米サブプライムローン問題によるものだけではない、ということを示している。

また、この批判に「EUは大丈夫」ということをアピールする狙いがあることも事実だが、大もとには、アメリカがこれ以上貿易赤字と財政赤字を放置するなら、ドルは基軸通貨としての地位を失うぞという根本的な批判が含まれている。いまやドル不安が世界経済の一番の不安定要因になっているということだ。

EU“株安 原因は米の赤字”(NHKニュース)

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終息しそうにありません…

サブプライムローン問題は、まだまだ終息しそうにありません。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、シティグループとメリルリンチが巨額増資を検討していると報道。シティグループの増資は最大で140億ドル(1兆5000億円以上)。メリルリンチは、昨年末に62億ドル(約7000億円)の資本増強を発表したばかりです。

シティグループとメリルリンチ、巨額増資か 米紙報道(朝日新聞)
「市場不安解消を」 米金融保証大手が10億ドル資本増強(MSN産経ニュース)
メリルリンチ、7000億円資本増強・シンガポール投資ファンド出資(NIKKEI NET)
欧州中銀、金利据え置き サブプライムで7カ月連続(中日新聞)
米FRB議長、大幅な追加利下げ示唆(NIKKEI NET)

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先進国の経済こそ監視せよ―貧困国が富裕国にお説教

昨年10月22日付のニューヨークタイムズ紙に、「形勢が逆転: 貧しい国々が豊かな国々の鼻先で指を振る」という論評が出ています。「鼻先で指を振る」というのは、「チッチッチー」などといって相手の鼻先で指を振って、相手にお説教をたれる、映画やアメリカン・アニメでお馴染みの動作です。つまり、意訳すれば、「形勢逆転、貧困国が富裕国にお説教」というところ。

で、どういう記事かというと、その週末に開かれたIMFと世界銀行の会議で、アルゼンチン、シリア、コンゴなどを中心とする貧困国26カ国のグループ(G26)は声明を発表し、そのなかで、米サブプライムローン問題に見られるように、いまや先進国こそが世界経済の不安定性の要因となり、発展途上国こそ世界経済の安定要因になっていると指摘したことを取り上げ、IMFや世界銀行の会議といえば、先進国が発展途上国の援助を議論するところだったのに、いまやそれが逆転したというのです。

Tables Turned: Poor Countries Wag Fingers at Rich Ones(The New York Times)

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いよいよ原油100ドル時代へ

ニューヨークの原油先物価格が、とうとう1バレル=100ドルを突破。

直接的な値上げ理由はいろいろあるだろうが、この高騰は、サブプライムローン問題による金融市場の不安から投機的資金が原油市場に流入していることにある。しかし、さらに遡れば、中東情勢の不安定化による「先行き不安定」感がある。日本経済の“安全保障”という立場からいっても、アメリカ言いなりでは何の展望も生まれないだろう。

NY原油、連日の100ドル台 株・ドル急落、金急騰(朝日新聞)
原油高、日本経済に重し(NIKKEI NET)

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さらに、まだまだ続くサブプライム問題

サブプライム問題は落ち着くどころか、次々と巨額な損失を計上する企業が現われています。FRB議長は、損失は全体で1500億ドル(約17兆円)にのぼる可能性があると指摘。

米証券大手のモルガン・スタンレーが37億ドル(約4200億円)の損失を計上。独保険最大手のアリアンツは約940億円。日本のあいおい損保は252億円。ベルギー・オランダ系の金融大手フォルティスは1億2000万ユーロ(約200億円)。米AIGは24億5000万ドル(約2800億円)。

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