横浜事件再審、「免訴」の判決

横浜事件の再審・横浜地裁は、9日、被告遺族に「免訴」の判決を申し渡しました。

「免訴」とは、検察官の公訴権がないことを理由に犯罪事実があったかどうかの判断そのものをおこなわず、裁判手続きを打ち切るもの。つまり、いったん治安維持法違反の「有罪」とされた犯罪事実が取調官の拷問による嘘の自白にもとづく嘘の「事実」であった、つまり、犯罪事実はなかったという判断を、横浜地裁は下さなかった、のです。
もともとこの再審自体が、「無罪を言い渡すべき新証拠がある」(東京高裁)として始まったもの。裁判官は独立して判決を下すとはいえ、司法としての責任を放棄したもので、残念でなりません。

横浜事件、免訴の再審判決 横浜地裁、拷問の事実に言及(朝日新聞)
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罰金が軽すぎない?

インサイダー取引は、「刑事告発が必要なほど悪質ではない違反行為」なんでしょうか?

ばれても、インサイダー情報で儲けた分だけ課徴金として払えば許されるなら、インサイダー取引は“やり得”ということになってしまうと思うのだけれど…。

初の課徴金納付命令、証取法違反でネット関連社員に(読売新聞)
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「えひめ丸事件」とは何だったのか

『えひめ丸事件』(新日本出版社)カバー

『えひめ丸事件』(新日本出版社)を読み終えました。というか、ずっと前に読み終えていたのですが、いろんな思いが僕の中で渦巻いて、なかなかブログに感想を書き込めないでいました。でも読んでいていちばん強く思ったのは、この本を読んで初めて、「えひめ丸事件」がどういう事件だったか分かった、ということです。この本がなかったら、「えひめ丸事件」の真相を知らないままだったのではないかと思えるほどです。

米軍による事件・事故は、この間の横須賀の事件、八王子のひき逃げ事故など、いろいろありますが、しかし、えひめ丸事件は、訓練とはいえ米軍の正規の作戦行動中に引き起こされた事故だという点で、はるかに重大な意味を持っています。
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ヒューザーが自治体やイーホームズを提訴

ヒューザーの小嶋社長が自治体やイーホームズを提訴。

小嶋社長の思惑はともかくとして、裁判で、建築確認機関の責任を徹底的に解明すること自体は、事件の真相解明に役だつのではないかと思ったりもするのですが…。

ヒューザー、18自治体に139億円の賠償請求(朝日新聞)
ヒューザーがイーホームズを名誉棄損提訴(日刊スポーツ)
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京大アメフト元部員、集団強姦で逮捕

名門の京大アメフト部を引退した4年生が、女性を泥酔させた上で集団で強姦した事件。

いまどきの若い連中なら、あっちこっちで似たようなことをやっているのでは?という面と(それ自体、情けない限りなんですが)、体育会系の名門クラブで似たような事件が繰り返されるのはどうしてかという疑問。両面での追求を期待したい。

京大アメフット元部員3人逮捕、女子大生を集団強姦(朝日新聞)
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JR西、またも保線作業員をはねる事故

JR西日本で、またもや、保線作業員が作業中に列車にはねられる事故が発生。

JR西日本では、2002年11月に、線路内に立ち入って電車にはねられた高校生を救護中の救急隊員が特急列車にはねられるという事故がありました。共同の記事によれば、線路で作業中に起こった事故は、民営化後、これまでに5件あり、7人が犠牲になっているといいます。なぜ同じような事故が繰り返されるのか、憤りに耐えません。

JR宝塚線の断線事故で、安全第一の企業に生まれ変わることを約束したはずなのに、なぜ、こうした事故を繰り返すのか? しかも、今回の事故でも、JR西日本が真っ先に発表したのは、「現場が勘違いしていたのではないか」という現場に責任を押しつける発言。JR宝塚線の脱線転覆事故の時に、事故原因が分からないうちに置き石説を流したりしたのと、少しも変わっていないのではないでしょうか。

JR特急が保線区員4人はね、2人死亡…伯備線(読売新聞)
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不覚にも

『えひめ丸事件』(新日本出版社)カバー

今日は、朝から肉体労働な一日。右肩の痛みを気にしつつ、本棚やらロッカーやら中に詰まった荷物やらを軽トラに積んで運びました。事務所の前が、先週土曜日の雪がかちんこちんに凍ったままで、つるつる滑るので、荷物の積み卸しの足下が危なっかしい…。しかも、うちの事務所のビルのエレベーターが狭いので、なかなか荷物が上手く入ってくれません。四苦八苦の一日でした。(^^;)

さて、帰りの電車の中で、『えひめ丸事件』(新日本出版社、1月刊)を読み始めました。先日、訳者・共著者のサイン入りの本をいただいたものです。

えひめ丸事件というのは、もう5年前になりますが、2001年2月9日、愛媛の宇和島水産高校の生徒たちがのりこんだ実習船えひめ丸が、ハワイ沖で米海軍原子力潜水艦グリーンビルに衝突され沈没した事件です。助かった生徒や乗組員の証言から事件を再現した第1章を読んでいて、通勤電車の中であるにもかかわらず、涙がこみ上げるのが我慢できず、思いっきりずずず〜〜〜っとやってしまい、隣のOLに不審がられてしまいました。(^^;)

世の中には、絶対に読むべき本と、仕方なく読む本と、できれば読みたい本と、読まなくて良い本とがあるのだと思うのですが、この本は、文句なく絶対に読むべき本です。詳しい内容はまたあらためて紹介したいと思いますが、本書からは、事件によって被害を受けた人々にあくまで寄り添おうという気持ちと、理不尽な事件に対する深い憤りが伝わってきます。

【『えひめ丸事件』関係で書いたもの】
『えひめ丸事件』 東京新聞「こちら特報部」で大きく取り上げられました!
「えひめ丸事件」とは何だったのか

【書誌情報】書名:えひめ丸事件――語られざる真実を追う/著者:ピーター・アーリンダー/翻訳・共著者:薄井雅子/出版社:新日本出版社/出版年:2006年1月刊/定価:本体2200円+税/ISBN4-406-03236-3

ライブドア堀江貴文社長、逮捕

予想以上の展開の早さですが、検察に社内メールを押さえられたようなので、隠しようがないということでしょうか。

それにしても、株式交換による企業買収というのは、余りにヤクザな手法だという他ありません。

ライブドア:堀江社長ら逮捕 証取法違反容疑で東京地検(毎日新聞)
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取り除かれていなかった危険部位

輸入が再開されたばかりの米国産牛肉ですが、成田空港に到着した牛肉の中から、危険部位の脊柱が混入していたことが発見されました。

今回は脊柱が見つかったため、危険部位の除去がきちんとおこなわれていなかったことが分かりましたが、脊柱が混入していないからといって、危険部位が確実に除去されているとは限りません。あらためて、米国産牛肉の輸入再開を認めた食品安全委員会の「条件」なるものの信頼性が問われます。

輸入米国産牛肉に危険部位混入(読売新聞)
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証券取引法違反で家宅捜査は想定外?

東京地検特捜部が、ライブドア本社とホリエモンの自宅を証券取引法違反の容疑で家宅捜査。

やっぱりこれは、想定外の出来事なんでしょうねぇ? (^^;)

時系列でニュースを追っかけてみると、最初、NHKニュースが午後4時のニュースで、「東京地検が証券取引法違反容疑でライブドアを家宅捜査する」と報道。その直後にライブドアはこの報道を否定。実際には、午後6時半頃に、東京地検によるライブドア本社の家宅捜査が始まったようです。
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横須賀米兵、女性殺害を認める

神奈川県横須賀市で3日に発見された女性殺害事件で、キティーホーク乗組員の米兵(複数)が、米軍の取り調べに殺害を認める供述をおこなっていることが明らかに。

小泉首相は、米軍に規律保持を求めたそうですが、規律保持を求める前に、まず犯人の引き渡しを要求するのが日本の総理大臣のつとめでは?

横須賀の女性殺害、米兵が犯行認める供述(朝日新聞)
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耐震強度の計算って、こんなにいい加減でいいの?

構造計算書の偽造が問題になっていますが、再調査で耐震強度がどれぐらいあるか、結果に食い違いがあるという朝日新聞の記事。ちゃんと計算しても、耐震強度は47%から94%までまちまち。そもそも耐震強度の計算って、実はこんなに適当だったということ?

耐震強度、「どの調査信じれば?」 結果の食い違い多発(朝日新聞)
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構造計算の偽造

いまやっているNHKの特集番組で言っていたこと。

  • 日本ERIでは、担当者の約3分の2が、姉歯建築士の図面を見て、柱が細い、などの疑問をもっていたという事実。
  • しかし、日本ERIは、構造計算ソフトを持っていなかったという事実。

最初の点は、「偽造」に関して言えば、かならずしも「見抜けない」といった高度なものではなかったということを意味するのではないでしょうか。それを見抜けなかったということは、審査機関に審査能力がなかったということに他なりません。1級建築士が計算した結果を審査するのだから、誰だって、審査機関の職員は1級建築士以上の能力を持った人がやっていると思うはず。しかし実際はそうではなかった訳で、あきれるばかりです。

2つめの点は、審査機関は構造計算のプロセスが適正に行なわれているかどうかの確認をおこなっているだけで、建物の安全性、耐震性そのものは審査していないということを意味します。これは、イーホームズの社長も繰り返し言っていることで、詰まるところ、いまの建築物の構造計算の審査制度が、実は審査制度ではないという問題が浮き上がってきます。建築審査・確認制度全体を、もう一度、土台から検討し直してみる必要があるのではないでしょうか。

グルだわな、これは

総研の所長が「構造計算屋を変えるだけでコストが下げられる」と直筆の文書を配っていたことが明らかに。で、実際、総研が「それなら大丈夫」と太鼓判を押した構造計算屋で建築したホテルは、姉歯のおじさんの構造計算書偽造で、現在、休業中。

これがグルでなくて、いったい何がグルなんだ? 共謀罪をつくるなら、こういうのに適用しろ!

「設計者変えコスト減」 耐震偽装で総研所長が直筆文書z(中日新聞)
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立川ビラ弾圧事件、高裁で有罪判決

市民運動家が、立川市内の自衛隊官舎にビラを配布したことを「住居侵入」とした事件で、東京高裁が、一審の無罪判決を破棄して、罰金刑の有罪判決。

一般論としては、「表現の自由」を理由にして他人の住居や敷地内に立ち入ってよいという訳にはいかないというのは言うまでもないこと。しかし、禁止の張り札をしているとはいっても、日常的にピンクチラシその他商売向けのチラシが配られていても放置されている状態で、なぜ、イラク派兵反対のビラ配布だけが住居侵入罪として「軽微ではない」とされるのか。

検察は、住民の平穏が侵害されたというが、別に各戸を回って、直接、官舎住人に抗議活動をおこなった訳でもなく、新聞配達員や宅配業者、それに商業チラシ配布などで、通常、外部の人間が立ち入っているのと同じように立ち入っただけで、なぜ、それが平穏の侵害になるのか。その点の具体的な立証が必要だ。

それから、もう1つ。自衛隊官舎に自衛隊のイラク派遣反対のビラをまくのは「いやがらせだ」というけれど、官舎には自衛隊員以外だって生活している。自衛隊員の家族だからといって、イラク派遣に賛成だとは限らない。ビラを受け取るか受け取らないかを決める権利は、個々人が持つものであって、それを管理者が一律に排除するのは、国民の「ビラを受け取る自由」を侵害するものである。

立川反戦ビラ配布 市民運動3人に逆転有罪(東京新聞)
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ついに木造個人住宅でも

マンション構造計算書の偽造問題ですが、ついに個人の木造住宅でも構造図の偽造が発覚。

大事なことは、ここで自治体がチェックして偽造を発見したこと。行政が、実際に、こういう点検をやる能力を持っていたからこそ、問題が発見できたのです。

しかし、構造計算のチェックはすでに民営化されていて、たとえば大阪府では9割が民間でチェックされています。こういう事態があと何年か続いたら、構造確認する能力など、行政から消えてしまう可能性大です。そうなると、いざ事件が起こったときに、行政は問題を調べることもできません、ということになりかねません。

こういう基準チェックを民間にゆだねることが何故問題なのか、今度の事件はそのことを分かりやすく示していると思います。

個人住宅でも姉歯事務所の偽造発覚(読売新聞)
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デルの虚偽採用

コンピュータ会社のデルが、デル・リアルサイトで働く労働者を、デル自身が雇ったように見せかけながら、実は別会社に雇わせて、そこから派遣をさせていたという事件。以前にも紹介しましたが、今日の東京新聞「こちら特報部」が詳しく紹介しています。

こちら特報部 デル社虚偽採用疑惑のウラ 面接は社員、名刺も使えた(東京新聞)

この事件、この労働者Mさんが本気で訴えなければ、たぶん“派遣で、そういうこともあり”ということになっていたのではないでしょうか? デルは、Mさんにたいし「うちは外資系だから」といって、残業代も支払わず、社会保険にも加入せず、という違法労働をやっていたわけです。
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住居侵入は「軽微」で起訴見送り

世田谷区の警視庁職員官舎の集合ポストに共産党の「しんぶん赤旗」号外を配布したとして、厚生労働省職員が住居侵入容疑で現行犯逮捕された事件で、東京地検は、国家公務員法では起訴したものの、住居侵入容疑については「事案が軽微」だとして起訴を見送りました。

公務員の「政治的行為」というなら、自民党の官僚出身議員を、それこそ大臣が音頭をとって官庁ぐるみで応援する方が、よっぽどひどい「政治的行為」でしょう。それにたいし、休日に、職務とは全然無関係に、政党機関誌号外を配布することがなぜ犯罪に問われなければならないのでしょう?

なんにせよ、集合ポストにビラを投函するために団地などの敷地内に立ち入ることは、住居侵入だとしても「軽微」であって、起訴するまでにはあたらないということを、東京地検自身が認めたということは大事な結論です。

厚労省職員を在宅起訴 共産党機関紙の号外配布(共同通信)
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