「メルトダウン」(炉心溶融)が最悪の事態だと思っていたら、上には上(下には下?)がありました。核燃料は、溶けて圧力容器の底にたまっているのでなくて、圧力容器から外に漏れ出して格納容器内にたまっているのだそうだ。
ところで、政府がIAEAに提出する報告書の内容。東京新聞が要旨を掲載している。
要旨だから不正確かも知れないが、最低でも1つウソがある。「放射性物質の放出に備え原子力災害対策本部長の首相が避難と屋内退避を指示」とある。なるほど原子力緊急事態宣言そのものは3月11日午後4時36分に発令されているが、官房長官が記者会見して3km以内の住民の避難と3〜10kmの住民の屋内退避の指示を発表したのは同日午後7時44分 ((内閣府のホームページ記載の時刻。毎日新聞がインターネットで第一報を掲載したのは同午後8時9分。))。この時点では、すでに放射性物質は外部に漏出していた。
にもかかわらず、記者会見で官房長官がしゃべったのは、「これから申し上げることは予防的措置」「現在のところ、放射性物質による施設の外部への影響は確認されていない」「直ちに特別な行動を起こす必要はない」「あわてて避難を始める必要はない」「原子炉そのものに今問題があるわけではない」というものだった。
先日、保安院が発表した解析では、すでにこの頃にはメルトダウンを起こしており、午後8時頃には圧力容器が破損していた。つまり、この時点で「放射性物質の放出に備え」て避難や退避指示を出していたこと自体が間違っていたのであって、本来ならば、「放射性物質が漏出した可能性があるので」避難や屋内退避を指示すべきだったのだ。