原発の津波被害について、日本共産党の吉井英勝衆議院議員(比例・近畿ブロック)が、2006年に、スマトラ沖地震の大津波を踏まえて、国会で質問していました。
まず3月1日の予算委員会での質問。このなかで、吉井議員は、冷却水が失われたときに崩壊熱を除去する機能が失われるとどうなるか、対策を考えておく必要がある、と追及しています。
衆議院会議録情報 第164回国会 予算委員会第七分科会 第2号
このとき答弁した広瀬研吉・資源エネルギー庁原子力安全・保安院長(原子力安全・保安院は現在は経済産業省所管)は、沸騰水型(福島第1は沸騰水型)の場合は「原子炉停止時冷却系で原子炉の崩壊熱を除去する」との考え方を示し、それは、原子炉から出てきた水蒸気を用いて、蒸気タービンで原子炉隔離時冷却ポンプを動かし、いま話題の「サプレッションプール」(2号機で異音がしたといわれる圧力抑制室のこと)の水で冷却をするというやり方で、「これが機能すると考えております」と答弁していました。
つまり、このとき、冷却水が失われてもサプレッションプールを含む「原子炉停止時冷却系」が機能する、という想定を原子力安全・保安院はしていたわけです。
しかし、現実には、電源が失われたため、その「原子炉停止時冷却系」が機能せず、現在の事態に立ち至っています。実は、このときの質問で吉井議員は、さらに「大規模地震でバックアップ電源の送電系統が破壊され、循環ポンプ機能そのものが失われた場合には、炉心溶融も起こりうる」と指摘して、それを念頭に置いた対策を求めていました。
政府や原子力安全・保安院が、吉井議員のこの指摘をまともに考えていれば、もう少し今の事態が違っていたかも知れません。