昨日のニュースになりますが、原子力安全委員会の班目委員長が、東京電力の福島原発事故に関連して「第2、第3の防護手段がないといけない」と述べて、「まさに人災だ」と発言したそうです。
しかし、その「第2、第3の防護手段」ができているのかどうかを審査し、点検するのが、あなたの仕事だったのでは? それをやらずに「人災」だといわれても困ります。
昨日のニュースになりますが、原子力安全委員会の班目委員長が、東京電力の福島原発事故に関連して「第2、第3の防護手段がないといけない」と述べて、「まさに人災だ」と発言したそうです。
しかし、その「第2、第3の防護手段」ができているのかどうかを審査し、点検するのが、あなたの仕事だったのでは? それをやらずに「人災」だといわれても困ります。
本日のメディアでいっせいに取り上げられている日本政府のIAEA閣僚会議への報告書というのは、これ↓。
原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書:首相官邸ホームページ
報告書本文だけでも200ページを超えるべらぼうな長さだし、専門用語や略号がいっぱい出てきて、とても素人には読めないけれども、原子力発電所の設計上のリスクマネジメントについて「確率論的安全評価」がどうしたこうしたと散々書いた挙句、結論として、次のように述べられているのには、残念ながら、呆れてしまった。
以上のように、リスク情報の活用について我が国の取り組みは諸外国の情勢と比較して十分とは言えない状況にあった。(IV-9)
要するに、「確率論的安全評価」によって十分危険性は考えてありますよと、あれだけ散々言ってきたのに、結局、それは不十分でした、ということだ。不破さんは、先日の講義で、電力会社と日本の原子力行政が「安全神話」に浸りきってきたと批判しているけれど、まさにその実態がここに示されていると思う。
引き続き、日本共産党の各地の県委員会、地区委員会、あるいは地方議員や党員のみなさんが、被災地へボランティアにでかけています。「しんぶん赤旗」にはあまり記事が出てきませんが、ブログを探してみると、ほんとに北は北海道から南は沖縄まで、全国各地から駆けつけております。
まず、日本共産党奈良県委員会。福島県いわき市へ、25人が参加しました。
救援ボランティア報告1 福島県いわき市に到着 | それいけ!宮本次郎
救援ボランティア報告2 沿岸部の壊滅的な光景に言葉をなくす | それいけ!宮本次郎
救援ボランティア報告3 避難所の体育館は | それいけ!宮本次郎
こちらは、いわき市で受け入れた側の藤川しゅく子さん(福島県議)のブログ。
藤川しゅく子―西日本から連日のボランティア・・・日本共産党ボランティアセンター
日本共産党の植木こうじ都議(中野区)は、中野地区委員会のみなさんと7人で石巻へ。
日本共産党都議団ホームページ 植木こうじ 都政レポート
東京・港地区委員会からは、いのくま正一前区議が1ヶ月の予定で5月末から石巻に入っています。そして、そこへ5月31日から6月3日まで、港区から4人の区議さんをふくむ8人がボランティアに駆けつけました。
東京港のボランティアが到着、明日は炊き出しと物資のおとどけ – いのくま正一ブログ
日本共産党震災ボランティア(第一次)今夜「石巻」へ出発 – 星野たかしブログ
墨田地区委員会では、ボランティアの報告会が開かれ、2次、3次のボランティア派遣をめざすそうです。
こんにちは 日本共産党墨田地区委員会です : ボランティア報告会
こんにちは 日本共産党墨田地区委員会です : 私も石巻にボランティアで行ってきました
「メルトダウン」(炉心溶融)が最悪の事態だと思っていたら、上には上(下には下?)がありました。核燃料は、溶けて圧力容器の底にたまっているのでなくて、圧力容器から外に漏れ出して格納容器内にたまっているのだそうだ。
ところで、政府がIAEAに提出する報告書の内容。東京新聞が要旨を掲載している。
要旨だから不正確かも知れないが、最低でも1つウソがある。「放射性物質の放出に備え原子力災害対策本部長の首相が避難と屋内退避を指示」とある。なるほど原子力緊急事態宣言そのものは3月11日午後4時36分に発令されているが、官房長官が記者会見して3km以内の住民の避難と3〜10kmの住民の屋内退避の指示を発表したのは同日午後7時44分 ((内閣府のホームページ記載の時刻。毎日新聞がインターネットで第一報を掲載したのは同午後8時9分。))。この時点では、すでに放射性物質は外部に漏出していた。
にもかかわらず、記者会見で官房長官がしゃべったのは、「これから申し上げることは予防的措置」「現在のところ、放射性物質による施設の外部への影響は確認されていない」「直ちに特別な行動を起こす必要はない」「あわてて避難を始める必要はない」「原子炉そのものに今問題があるわけではない」というものだった。
先日、保安院が発表した解析では、すでにこの頃にはメルトダウンを起こしており、午後8時頃には圧力容器が破損していた。つまり、この時点で「放射性物質の放出に備え」て避難や退避指示を出していたこと自体が間違っていたのであって、本来ならば、「放射性物質が漏出した可能性があるので」避難や屋内退避を指示すべきだったのだ。
原子力安全・保安院が、東京電力福島第一原発事故で放出された放射性物質の量について、これまでの37万テラベクレルから77万テラベクレルに修正した。まあ、2カ月以上にたって「実は炉心がメルトダウンしてました」というぐらいだから、いまさら驚きもしない。
ただ、注目すべきは、原子力安全委員会が原発周辺で計測された放射線量などから放出量の逆算したのにたいして、「保安院は炉内の状態から試算」したという記事。つまり、原子力安全・保安院は、4月上旬になっても、なお炉心の状態について正確につかむことが出来ていなかった、ということだ。もちろん、現在、性格につかんでいるかどうかも分からないが。
炉心の状態が正確に分かってないなら、そりゃ、やることなすこと、うまくいくはずもない。まずは、東京電力に全部生データを出させて、全国の研究者や専門技術者の英知を結集して、いま炉心がどうなっているか、それをはっきりさせるべきだろう。それなしには、「その場しのぎ」以上のことは不可能。事故収束などおぼつかない。
6月2日までに集まった義援金は2513億円。阪神大震災のときに集まった義援金1759億円を大きく上回っています。
ところが、そのうち被災都道県に送られたのは822億円。そして、実際に被災者に支給されたのは287億円のみ。全体の11%にしかなりません。被災3カ月になろうというのに、なんでこんなに遅いのでしょうか?
「日本経済新聞」は、6月2日付で、「検証その時」と題し、見開き2ページを使って東京電力福島原発事故の検証記事を載せている。
右ページでは、「福島原発事故 地震発生100時間」として、1号機から4号機まで、それぞれについて地震発生からの事故の経過をふり返っている。
左ページでは、「原子炉で何が 残る謎」として、次の3つの疑問をあげている。
そして「日本経済新聞」の結論は、「耐震性、万全と言えず」「早い段階で予測か」「状況認識の誤り響く」というもの。
本日付「東京新聞」の「こちら特報部」。福島県二本松市が、独自に、住民の内部被曝の調査をおこなうことを決めた、という記事ですが、そのなかにこんな記述が。短くて全体が分かりませんが、もしこの数字が本当なら、かなり深刻な事態です。
長崎大学病院の分析によると、福島県に派遣された長崎県職員や被災地からの避難者など、3月中に現地にいた87人のうち、約4割が内部被曝していたという。
福島原発の労働者以外でも、内部被ばくが広がっているのは確実だ。(「東京新聞」2011年6月4日付朝刊「こちら特報部」)
記事でも指摘されているように、内部被曝についても早急な住民検査が必要でしょう。
東京電力福島第一原発1号機の原子炉建屋内で、配管の周辺から湯気が立ち上り、放射線量が最高で4,000ミリシーベルト毎時に達していることが明らかに。これは、3分余りで作業員の被曝限度(250ミリシーベルト)を超え、15分間で急性放射線障害の症状が出るほどの高レベル。
残念ながら、この状態では、1号機の原子炉建屋内での作業は不可能だろう。東京電力が「今後、継続して監視する」と言っているのも、監視する以外には出来ることは何もない、ということだろう。
1号機内で4000ミリ・シーベルト:読売新聞
地震翌朝、原発敷地外に放射性物質 保安院公表遅れ:日本経済新聞
高濃度汚染水の放射能量、72万テラ・ベクレル:読売新聞
東電、海水浄化を9日から実施 福島第1原発:日本経済新聞
いま話題の、京都大学工学部原子工学科卒、日本共産党衆議院議員の吉井英勝さんの最新著『原発抜き・地域再生の温暖化対策へ』(新日本出版社)です。
昨年10月に発行された本ですが、実は、吉井さんがこれまであちこちの雑誌などに書かれた論文集かと思って、こんどの原発事故が起こるまで手にとってみることもしていませんでした。しかし、読んでみたら、全然違っていて、吉井さんが長年暖めていた構想にしたがって全編書き下ろされたもの。原発の危険性だけでなく、地球温暖化対策のエネルギー政策を地域経済の再生と結びつけて、どう具体化していくかが、一つ一つ分かりやすく解き明かされていて、一気に読んでしまいました。
くり返しますが、本書は昨年10月に書かれたもの(上の写真の帯は最新のですが)。ところが、本書を読んでいると、原発事故が起きたあとの現在にそのまま重なる話ばかりでした。たとえば、「はじめに」ではすでに原発トラブルによる電力不足のことが書かれています。東京電力がたびたびくり返してきた事故隠しの問題や、電力会社、原発メーカー、官僚などの「利益共同体」の話も出てきます。核廃棄物の最終処理の問題、廃炉の難しさなども明らかにされていて、つくづく今度の事故が「想定外の津波」でたまたま起こったなんていうものでないことを思い知らされました。
今朝の「朝日新聞」(6月1日)の「オピニオン」欄で、専修大学教授の田村理氏が、「国会は憲法通りの仕事をしなさい」と題して談話を寄せている。
不信任案提出騒動に、「国会は、少なくともいまは被災者救済や復興、原発対策に集中すべき」と述べる田村氏の趣旨は、被災者救援・復興、原発対策に「こういう法律が必要だ」と思うなら、内閣任せにせず、国会議員は自分で法案をつくって自分で成立させればよい、そもそも憲法は国会を「唯一の立法機関」と定められている、「復興基本法」にせよ、子どもの年間被曝量の問題でも、“国会の場で、国民が見ている前で、きっちり議論して決めるべきだ”というのだ。
「議員のみなさんは首相を交代させることにエネルギーを使うより、憲法が定めたように自分たちで政策をつくり政府にやらせる。そこにエネルギーを使いませんか」――ごもっともな主張だろう。
さらに、田村氏は「議会は、一人の王様には任せきれない、みんなで決めよう、ということから生まれました」「戦後、各国がとってきた行政とその長に建言を集中するべきだという考え方が、僕には破綻して見える」とも指摘されている。
日本国憲法では、国会はただ「唯一の立法機関」であるというだけでなく、「国権の最高機関」だと定められている(ともに第41条)。憲法前文では「そもそも国政は、国民の厳粛な信託による」と規定されている。いまこそ国会議員、政治家諸氏は、この意味を真剣に考えなければならない。
先日、日本共産党の志位委員長が、菅首相に「大震災・原発災害にあたっての第2次提言」を提出した(5月17日)。その提言は、こちらから読むことができる。
復興への希望がもてる施策、原発からの撤退をもとめる――大震災・原発災害にあたっての提言(第2次):しんぶん赤旗(2011年5月17日)
私がこの提言を読んだとき、ある意味「当たり前」のことだけど、やっぱりこれが一番大事だと思ったのは、志位さんが、冒頭で、まず被災者、避難所の状況がどうなっているか、何に困って、どうしてほしいと願っているのか、政府の責任で実態を把握して、改善をはかるためにあらゆる努力をおこなうように求めていることだ。ほかにもいろいろな要求、要望もあるけれど、この当たり前のことができていない――そこをずばり提起しているのがうれしかった。
自民党・公明党が、菅内閣にたいする内閣不信任案を衆議院に提出した。
今回の内閣不信任案にたいして、世論は、一方では、震災でも原発事故でも菅内閣の対応を不満に思い、もっとスピーディーな、もっと被災者の心に寄り添い、原発の不安にこたえてくれる支援や対応を望んでいる。そして、「はたして、菅内閣にそれができるのか」という疑問も持っている。しかし他方で、自民党・公明党や、民主党小沢グループの動きを、「いまはそんなことをやっている場合じゃないだろう」と強い怒りにもにた気持ちで眺めている。
原発事故にかんしていえば、そもそも「安全神話」に浸りきって、原子力発電所の震災や津波対策、あるいは事故が起きたときの避難対策を怠ってきたのは、歴代の自民党・公明党内閣だ。それを棚に上げて、やみくもに「倒閣」に持ち込もうとする動き(これを永田町では「政局にする」という)は、無責任のきわみとしか言いようがない。
だからこそ、世論調査をみても、「不信任案」には賛成、反対が拮抗しているのだ。
そんななか、共産党が本日、急遽記者会見をして、不信任案の採決には棄権するとの態度を発表した。先日、「自公と立場は違うが、菅内閣を信任できないのは明らか」として賛成の態度を表明したが、正直言って、それで「いま、そんなことをやっている場合か」という有権者の不満(怒り?)にこたえられるのだろうかと心配だった。もとより菅内閣を信任できないことは明らかだが、被災者や避難者をそっちのけにして「政局」に持ち込もうという自民党・公明党の側にも大義や道理があるわけでない。
そういう場合には、棄権とか退場とか、いろんな手があるじゃないかと思っていたので、棄権の方針は大歓迎だ。
IAEAの報告書が、福島第一原発の事故の原因を「巨大地震に伴う津波」だったとしたからといって、すべてを「想定外」の津波のせいにして片付けてもらっては困る。巨大津波が想定外でなかったこと、津波に対する備えがまったくなかったことなどの責任はもちろんだが、M9を超える地震そのものによる被害はどうだったのか。とりあえず制御棒が入って緊急停止したのは確かだが、だからといって地震だけならなんの問題もなかったと片づけることはできない。激しい地震動による施設の損傷はなかったのか、それが致命的なものでなかったのかどうか、厳密な検証が必要だ。
その点で気になるのが、今朝の「東京新聞」が報じた「こちら特報部」の「『津波で暴走』怪しく」の記事。1号機では津波がくる前に、冷却水の配管からの「漏洩」が起きていたし、2号機では注水系統の異常を知らせる警報が鳴っていた。震災翌日になっての3号機の急激な圧力低下も問題だという。
IAEAの報告書を「錦の御旗」にして、なんでもかんでも「想定外の津波」のせいにすることは許されない。
緊急時(!)迅速(!!)放射能(!!!)影響予測(!!!!!)ネットワークシステムの予測結果というのを探すと、原子力安全委員会のサイトへ飛ばされたかと思うと文部科学省のサイトへと飛ばされ、なかなかお目当てのものにたどり着けませんでした。
で、ようやく見つけたのがこれ↓。5月28日以降の予測結果が載せられています。
IAEAの調査団の報告書案の内容が明らかになったとNHKが報道。概略だろうから、たとえば「事故直後に実際にとられた対応策以上のことが現実的に実行可能だったとは考えにくい」という評価はどういう意味なのか分かりにくいところもあって、報告書の評価は正式の報告書の発表を待って、きちんと議論する必要がある。
しかし、津波の想定が過小評価だったこと、原子力発電の規制機関を独立させるようにというIAEAの勧告が日本政府によって守られなかったことを問題点として指摘しているというのは、日本の原発推進体制の根本的な問題点を指摘したものといえる。
東京電力の社員2人が250ミリシーベルトという、今回の福島原発事故で引き上げられた年間被曝線量の限度を超える放射線を被曝している可能性が高いことが明らかに。
原発事故収束のために働いているみなさんには、本当に心からの敬意を表わしたいが、東京電力は、地下に溜まった汚染水を確認せず、作業員を突っ込ませて被曝させたり、線量計なしで現場作業をさせたり、重要免震棟で働いていた女性の被曝線量が限度を超えていたことがあとで分かって慌てて退去させたり、ともかく失態続き。もはや労働者の安全管理をおこなう資格も能力もないことは明白。かりに原子力発電が必要だとしても、東京電力には、原発の運転・管理をやってほしくないし、やらせてはいけないのではなかろうか。
東電社員2人、線量限度超え被曝した可能性:読売新聞
福島第1原発:被ばく量は数百ミリシーベルトか 東電社員:毎日新聞
被ばく検査 対象の40%以下:NHKニュース
入院の必要なしと診断=内部被ばくの東電社員2人―放医研:時事通信
福島第1原発:東電社員被ばく 甘い対策に現場は悲鳴:毎日新聞
こんどの事故で、初めて原発に不安を持った、原発についてもっと知らなければと思った方にも、おすすめの1冊です。
原子炉で生まれる「死の灰」(放射性廃棄物)とはどんなものか、原子力発電のしくみ、放射線被曝の影響、核燃料再処理やプルトニウム管理の難しさ、などなど、基本から1つ1つ取り上げて順々に説明されているので、読めば、原子力発電が「未完成の技術」をかかえた危険なものであることが必ず分かると思います。
共産党の全国各地の地方議員のみなさんや、地域の支部、地区の植民職員のみなさんが、救援物資をたずさえて、続々と被災地にボランティアに出かけています。1つ1つは、数人だったり、数日だったりしますが、それでも、全国各地の共産党が、被災地のそれぞれの地域を担当して、継続的な支援を予定しています。
「しんぶん赤旗」ではあんまり紹介されていませんが、議員のみなさんのブログから拾ってみました。
こちらは、23日から、福島県いわき、勿来にボランティアに出かけた神戸市の味口俊之市議のブログ。
味口としゆき 雑記帳 福島県へボランティア(1日目)
味口としゆき 雑記帳 福島県ボランティア2日目
味口としゆき 雑記帳 福島県ボランティア3日目
味口としゆき 雑記帳 福島県ボランティア最終日
東京・葛飾区の中村しんご区議ら11名は、第1次のボランティアとして、宮城県石巻にある日本共産党の東部地区委員会へ。
葛飾ボランティア第一次派遣 – こんにちは 中村しんごです
墨田地区委員会からは3人が第1次ボランティアとして、やはり石巻へ。
こんにちは 日本共産党墨田地区委員会です : 第1次ボランティア出発
こんにちは 日本共産党墨田地区委員会です : ボランティアが無事石巻から帰京
東京電力の福島原発事故で、チェルノブイリ原発事故のさいに居住禁止になった区域と同レベルの土壌汚染地域が、福島県内600平方kmにわたっていることが分かったというニュース。
東日本大震災:福島第1原発事故 土壌汚染、県内600平方キロに――NUMO研究員:毎日新聞
600平方kmというと、ほぼ東京23区に匹敵する面積。そのほかに農業禁止となった区域と同じレベルの土壌汚染地域が700平方kmあって、あわせると1300平方kmになる。
先日の講義で、不破さんは、原子力発電は、<1>原子炉の構造がそもそも不安定、<2>使用済み核燃料の後始末ができない「未完成」で危険な技術と指摘したけれども、1300平方kmもの土壌の汚染除去が必要というのは、まさに放射性廃棄物の後始末ができないという原発の根本的欠陥が大規模に現われたものではないだろうか。
「いまさら、何を言う」という感じもしなくはないが、「日本経済新聞」におもしろい記事が載っていたので、貼り付けておこう。
1つは「大機小機」(5月24日付)。「東電問題を考える視点」と題して、金融機関に東電向け債権放棄を促す発言が政府首脳からでていることに異を唱えたコラムなのだが、そのなかで、コラム子は、民間電力会社に原子力発電という「国策遂行の役割を担わせた」のだから政府が責任をとるべきだという。つまり、税金を投入して東電を救済し、金融機関が債権放棄などせずにすむようにせよ、というわけだ。なるほど、さすが財界の新聞だけのことはある。
それでも、そのなかで、こんなことを認めざるを得なくなっている。
地震・津波などの自然災害に耐える安全対策、使用済み核燃料や廃炉などの恒久的で安全な処理・処分、不可抗力の大事故が起きた際の損害賠償への備え。こうした費用を織り込めば、原発は安上がりな電源ではなく、民間企業の手に負えるものでもない。
そう、「原発は安上がり」なんていうのは、まったくのデタラメだったのだ。そんなことは、原発建設に反対する人たちは、昔から主張していた。しかし、政府と東京電力と財界が、そんな意見にお構いなしに、そのデタラメを振りまき続けてきたのだ。「日本経済新聞」自身はどうだったのか? そのことを棚に上げて、いまごろ突然、「民間電力会社に国策遂行の役割を担わせた」政府の責任を言いつのってみても、なんの説得力もないではないか。
「原発は安上がり」というのは嘘だった。「日本経済新聞」がそのことを認めたという事実は、それでも記録しておくに値するかも知れない。