専門編集委員も不破講義「明快」と

先日、「毎日新聞」の岩見隆夫氏が「出色」と評価した不破さんの原発事故講義。こんどは、今朝の「毎日新聞」コラム「水説」で、専門編集委員の潮田道夫氏が、雑誌『世界』6月号の柳澤桂子さんの論文とともに不破さんの講義にふれ、「明快」と感想を述べています。曰く――

「使用済み核燃料の最終処分問題を放置したまま原発の運転を続けた結果、高濃度放射性廃棄物が限界にまで積み上がっている。それが不破さんの憂慮するところ」
「原子力で発電を開始する以上、最終処理問題にケリをつけておくべきなのは言うまでもない」

潮田氏の結論もきわめて「明快」です。

水説:核のゴミ捨て場:毎日新聞

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どうして東電を残さなければならないのだろうか

東京電力の救済策に関連して、枝野官房長官が銀行の債権放棄を求める発言をしたのにたいして、金融界から反発が続いている。

しかし、あれだけの事故を起こし、損害賠償だけでも莫大な金額にのぼり、さらに福島第1原発の最終的な廃炉・解体処分までさらに何十年、いったいいくら費用がかかるか分かりもしない現状を考えれば、東京電力は事業継続は事実上不可能だろう。にもかかわらず、国から資金を出させて生きながらえさせて、自分たちの融資した資金を回収しようというのは、あまりに虫が良すぎる。株にせよ社債にせよ、それは「儲け」を期待しての経済行為。自分たちの予測が外れた以上、当然、投資した金は返ってこず、損をこうむる――それが資本主義というものだ。

「東京電力はつぶせない」なんていうことはない。電力供給は、新会社をつくって、そこに現在東電がもっている発電・送電施設を全部移せばいい。現在の東京電力の発行済み株式は、約16億株、時価総額6100億円。原発周辺の住民の方々がこうむった被害を考えれば、100%減資で資本家たる株主のみなさんがその程度の負担をしても当然ではないだろうか。

オフレコ発言が示す真実:東京新聞
クローズアップ2011:東電賠償枠組み決定 不透明な「国民負担回避」:毎日新聞
東証社長「東電は政府の会社ではない」 官房長官を批判:日本経済新聞

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福島第一原発1号機はメルトダウンしていた!!

福島第一原発1号機の圧力容器の状態拡大福島第一原発1号機の圧力容器の状態(朝日新聞)

福島第一原発1号機の圧力容器の状態拡大福島第一原発1号機の圧力容器の状態(朝日新聞)

福島第一原発の1号機で、水位計を修理した結果、格納容器内の水が、正常であれば燃料棒が完全に水の外に出ているところまで下がっていたことが判明。しかし、燃料棒が完全に露出しているのであれば、もっと深刻な事態になっているはずで、したがって、燃料棒が溶け、燃料の大部分が崩れて握力容器の底に溜まっていて、その状態で水につかっていて冷却されているらしい。

僕は前々から疑問で仕方なかったのだが、つねづね「原子炉はいまこういう状態になっている」と言われるけれど、実際には、「計器の数値がこれこれになっている」というだけで、あとはそれを解釈(原子力村のみなさんお得意の「評価」)して、「こういう数値になっているということは、原子炉内がこういう状態になっているはずだ」と推定していたにすぎない。正常に稼動しているときならまだしも、現在のような異常な状況のもとでは、原子炉内で実際に何が起こっているかは、だれにも分からないし、だれも分かっていないのだと思う。「最高の技術の粋を集めて」などと言っきたが、実態はそんなものだった。原発をやめるにせよ続けるにせよ――僕は原発依存のエネルギー政策から根本的に脱却すべきだと思っているが、そうではなくてこれからも原発は必要だという立場の人であっても、今後は、われわれの管理能力はその程度のものだということをわきまえて考えていく必要があると強く思う。

核燃料の大半溶け圧力容器に穴 1号機、冷却に影響も:朝日新聞

ところで、東日本大震災の津波によって、茨城県の東海第二原発でも一時大変深刻な事態になっていて、通常であれば1日程度で完了する「冷温停止」に3日半もかかっていた。その過程を、今朝の「朝日新聞」が詳しく紹介していた。もし津波がもう少し大きくて、東海第二原発の非常用電源が全部止まっていたら、あるいは非常用炉心冷却システムが2系統とも停止していたら…。

東北電力の女川原発も、非常に大きな津波被害を受けた。もしかすると、われわれは、実は福島だけでなく、茨城でも宮城でも同時に原発事故に直面させられていたのかも知れないのだ。今回そうならなかったことを感謝するとともに、次もそう幸運にみまわれると期待するわけにはいかないことも肝に銘じておかなければならないだろう。

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これは読むべし 『日本の科学者』6月号

『日本の科学者』2011年6月号

日本科学者会議が編集・発行する『日本の科学者』6月号が届きました。

緊急特集として「東日本大震災における原子力災害」が取り上げられています。特集の論文は、次の4つ。

  • 清水修二:福島第一原発事故の影響――被災地からの現状報告
  • 深尾正之:福島第一原発で何が起こったのか?
  • 沢田昭二:放射線による内部被曝――福島原発事故に関連して
  • 生井兵治:「安全神話」に根ざす事故対応体制の決定的欠如

編集後記によれば、4月2日の編集委員会で緊急特集を企画することが決まり、原稿依頼、執筆、校閲、原稿改訂までわずか8日間でまとめられた、とのこと。しかしそこまでして特集した値打ちのある企画です。

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効率重視の農業 転換を―毎日新聞で東大・鈴木宣弘教授

「毎日新聞」2日付で、東京大学の鈴木宣弘教授が、東日本大震災の「復興」と称して「今こそ大規模化の好機だ」「それをモデルにTPPも推進できる」とする議論にたいして、「現場の農業者が『どうやって経営を再建するか』と悩んでいる時に誠に不見識で心ない極論」「大災害によって可能になるような大規模化がどうして全国モデルになるのか」と批判している。

「風評被害」についても、「一方で福島県産や茨城県産の農産物を都会で直売すると、大勢の人が集まって買っていく」と指摘して、「一部企業が出荷停止対象外の野菜まで購入を打ち切ったことは残念」と指摘して「食品の加工・流通・販売に携わる企業の姿勢も問われている」と提起している。傾聴に値する指摘だ。

復興に向けて:東日本大震災 東大農学生命科学研究科教授・鈴木宣弘さん:毎日新聞

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政治家がこのようなことを発言してはならない

民主党の小沢一郎・元代表が、福島原発事故について、「決死隊を送り込むことを政治決断せよ」と発言したそうだ。

しかし、たとえ国家であっても、現場で作業にとりくむ人たちに向かって「死んでもいい」と強制する権利はない。安全な場所にいる政治家が、こういうことを言い立てるなどということは絶対にあってはならないことだ。

原発は「政治決断で決死隊を」 民主・小沢氏が対応批判:東京新聞

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東電副社長が原発事故は「人災」と認める

東京電力の皷紀男副社長が、福島県飯舘村を訪問して、住民に直接謝罪。そのなかで、「個人的」と断りつつ、原発事故は「人災だ」と認めました。

東電副社長“事故は人災”:NHKニュース
【放射能漏れ】「結婚して子供産みたい」 東電の住民説明会で怒り、困窮の声:MSN産経ニュース
東電の回答に怒号 飯舘村での住民説明会:福島民報
東日本大震災:福島第1原発事故 東電副社長、飯舘で謝罪 住民怒号、長期的な補償を:毎日新聞

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内閣官房参与・小佐古氏が抗議の辞任

福島原発事故にたいおうするために内閣官房参与に任命された小佐古敏荘氏が、政府の対応は「場当たり的」として辞任。

政府の対応が実際どうなのかは、オイラに分かるわけもないが、校庭の放射線量の基準(年間20ミリシーベルト以下)については、すでに日本弁護士連合会が「見直し」を求めていた。

東日本大震災:小佐古・内閣官房参与辞任 線量基準の決定過程批判:毎日新聞
東日本大震災:小佐古・内閣官房参与の辞任表明文要旨:毎日新聞
日弁連、学校の線量見直し求める 会長「安全性に問題」:共同通信

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福島の農民ら東電本社に抗議

一昨日、マスメディアでも大きく取り上げられた、福島県の農家のみなさんによる東京電力への抗議行動。実は、農民連(農民運動全国連合会)が呼びかけたものだったんですね。

「原発を止めてほしい」「もとの土を返してほしい」――本当に心に迫る訴えです。

福島第1原発:福島の農民ら350人 東電へ抗議:毎日新聞

そして、メディアではいっさい報道されませんでしたが、農水省交渉のあと参議院議員会館で開かれた決起集会には、日本共産党の志位和夫委員長が参加して激励のあいさつをおこなっています。

原発事故―「人災」と認め、全面賠償・仮払いを 志位委員長のあいさつ:しんぶん赤旗

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やっぱり涙なしには読めません

『議会と自治体』5月号

『議会と自治体』5月号

日本共産党の発行する雑誌『議会と自治体』5月号が届きました。巻頭の特集は東日本大震災、岩手の斉藤信県議、宮城の福島かずえ仙台市議、福島の宮川えみ子県議などが被災現地の様子を報告されていますが、読みながらこみ上げてくるものが押さえ切れません。

すでに震災からは1カ月以上たっていますが、被災直後から地域を回り、住民の要求を聞いて回っている議員さんのリポートだけに、被害の実態や、避難者の置かれた状況の深刻さが非常にリアルに伝わってきます。未曾有の事態のなかで、住民の安心・安全のために駆け回る地方議員さんには、本当に頭が下がります。

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超高層ビルは振幅1m以上、13分間揺れ続けた!

東日本大地震のとき、新宿の超高層ビルが振幅1メートル以上で、 13分間も揺れ続けたそうです。

1メートルというと、ちょうど事務机の横幅ぐらい。それぐらいを揺れ続けるのだから、固定されていない本棚などがあったら、大変な事態になっていたかも知れません。建物自体は構造的にもっても、そのなかで仕事をしている人間たちは、本棚や机といっしょにシャッフルされてしまったのでは、ひとたまりもありません。あ〜 くわばら、くわばら…

3・11大地震時の新宿高層ビル 大きく、ゆっくり13分揺れ続ける:J-CASTニュース
震災で東京都庁が損傷、超高層に「想定外」はないか:日本経済新聞

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日本の原子力行政のそもそもを問う

日本共産党の不破哲三・衆議院議員(当時)が1976年1月30日の衆議院予算委員会でおこなった質問

1976年1月30日の衆議院予算委員会議事録

不破さんが質問した1976年というのは、原子力発電の発電量は約400万kW(現在の1割以下)で、それを10年ほどで4900万kW、約12倍に拡大・増設しようという時期でした。

そういうときに、不破さんは、頭から「反原発」で反対するのではなく、もしそういうふうに大量に原発を新増設しようというのであれば、大量の温排水の影響がどうするのか、大量にうまれる放射性廃棄物(「死の灰」)をどう処理するのか(そもそも処理できるのか)、かりに放射性廃棄物が処理できたとしても、それで生まれたプルトニウムの管理ができるのか? そうした点はいったいどうなっているのかを、一つ一つただして、原子力発電を推進しようというのに、安全を確保する体制、放射性廃棄物を処理する体制がまったくできてないではないか、ということを追及しています。

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東京電力「工程表」のむなしさ

備忘録。燃料棒に溶融が起こっているであろうということは、すでに前から言われていたこと。ニュースなのは、保安院が「初めて」認めた、というところにあるだけ。いまさら、事態が悪くなったわけでもない。結局、どうしてこれまで認めてこなかったのか? それが危機管理のやり方として妥当だったのか? ということにつきる。

燃料棒の溶融、保安院が初めて認める 内閣府に報告:朝日新聞

ところで、東京電力は、どうして17日に「工程表」を発表したのだろうか。事故収束のためには冷却機能の回復は不可欠。そして、冷却機能を回復させるには原子炉建屋内の作業が不可避。だとすれば、原子炉建屋内の放射線レベルの測定なしには収束の見通しは立たないはず。それにもかかわらず、「工程表」を発表してから、ロボットを投入したのはなぜだろうか。そう考えてみれば、「6〜9カ月で収束」という「工程表」が、実際には東京電力の(そして政府の)「願望表」でしかないことが分かる。

原子炉安定に6〜9カ月 東電、原発事故収束へ工程表:中日新聞
福島原発の原子炉建屋、高い放射線量 事故収束へ課題:日本経済新聞

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不都合なことは「想定しない」 これが原発の常識?

「東京新聞」が、東京電力が2002年と04年のアクシデントマネジメント評価報告書で、水素爆発の可能性は考慮する必要がないとしていたと報道しています。

燃料棒が露出するような過酷事故が発生するような事態になったときに、「格納容器内は不活性ガスの窒素で満たされている」という前提がそのまま通用すると思っているのでしょうか? 普通に考えたら、むしろ、窒素ガスが外部に漏れた事態まで想定するものではないのか、と思います。結局、不都合なことは「想定しない」というだけのことじゃないんでしょうか。

そして、そんな評価報告書を唯々諾々と認める原子力安全・保安院、原子力安全委員会って、いったい何なんでしょうか?

水素爆発「考慮必要なし」 福島原発2報告書:東京新聞

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気になるCM

サントリーの新CMなんですが、ほんと、いまの希みは、元の普通の生活をという「ささやかな幸せ」だけ。計画停電のあの夜、見上げた東京の星空の美しさを思い出しながら。

いつかは、上を向いて歩けるように…。

『見上げてごらん夜の星をA』篇 60秒 サントリーチャンネル サントリーCM・動画ポータルサイト

福島大 放射線マップを公表

福島大学の放射線計測チームが、福島県内の放射線レベルを2平方キロメートルごとに細かく観測し、マップを作成・発表しました。

東日本大震災:福島第1原発事故 福島大教員計測、放射線マップ作製:毎日新聞

福島大学が発表したマップはこちら↓から手に入れることができます。

福島県北部エリア放射線レベルマップ:福島大学放射線計測チーム

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30キロ圏外でも年間30ミリシーベルト以上 仏研究所が発表

共同通信によると、フランスの放射線防護原子力安全研究所(IRSN)が、福島第1原発の事故で放出された放射性物質による1年間の推定積算被曝量を示す地図を公表したそうです。

【放射能漏れ】30キロ圏外でも30ミリシーベルト超 仏研究所、年間被ばく量推定 – MSN産経ニュース

ということで、この推定地図を探してみました。それがこれ↓。

年間推定積算被曝量(IRSN)

年間推定積算被曝量(IRSN)

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福島原発事故、レベル7に

福島原発の事故について、政府が、国際的な事故評価尺度(INES)でレベル7に該当すると発表した。

新聞などでは「チェルノブイリ級」という見出しが踊っているが、もちろん、福島原発事故の現状がチェルノブイリ原発事故と同じかそれ以上の深刻な被害を与える事態になっているという意味ではない。

福島原発事故、最悪「レベル7」 チェルノブイリ級に:朝日新聞
福島事故 最悪のレベル7:東京新聞

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元原子力安全委員長らが緊急提言

福島第1原発の現状は、なお深刻な事態が続いている。それについて、1日、日本原子力学界の元会長や原子力安全委員会の元委員長らが連名で「緊急建言」を発表した。事故直後の東京電力の情報隠しも明らかになった。

原発事故、国内の経験総動員を…専門家らが提言:読売新聞
東日本大震災:福島第1原発事故 1号機、初日夜から圧力容器内の水位低下:毎日新聞

日本学術会議も、4日付で第2次提言「福島第一原子力発電所事故後の放射線量調査の必要性について」を、5日には第3次提言「東日本大震災被災者支援・被災地域復興のために」を明らかにした。

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