「男女共同参画白書」(その2)

「男女共同参画白書」2006年版を見ていて気づいたこと。

全体版20ページの第1-特-21図「雇用形態の内訳別年齢階級別雇用者比率(女性)」です。こう書くと難しいですが、要するに、年齢別に、働いている女性がどれぐらいの割合を占めているを、正社員、パート・アルバイト、その他に分けて、グラフにしたものです。

グラフ 雇用形態の内訳別年齢階級別雇用者比率(女性)

全体として、働いている女性の割合(雇用者比率)が上がっているのはよいのですが、1982年と2002年を比べてびっくりするのは、20?25歳を中心に、正社員の比率がぐっと減っていること。かつてはほとんど正社員だったのに、いまはパート・アルバイトが大きく増えているのが分かります。他の年齢でも、全体として働く女性の割合が増えているのに、正社員の比率はほとんど変化していません。要するに、若い世代では正社員の比率が減り、他の世代でも、働く女性が増えたのはほとんどパート・アルバイトだということです。

これって、女性が働きやすい環境の整備が、実はそれほどすすんでない、ということを示しているのではないでしょうか?
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「男女共同参画白書」

「男女共同参画白書」2006年版が発表されました。

資料は多岐にわたるので、いろいろ分析してみる価値あり。男女共同参画とは全然関係ないけれど、全体版11ページの「第1-特-図11」をみると、1995年から2005年の10年間に、「平均週間就業時間60時間以上」という男性就業者の割合が、とくに30歳?45歳で著しく増えていることが分かります。週間就業時間60時間以上といえば、1日平均12時間以上ということ。子育て真っ最中のはずの世代の男性が、こんなに働かされていては、「少子化」が深刻化するのも当たり前でしょう。

白書は、こちらから。
内閣府男女共同参画局 白書・調査・統計

「労働力不足、女性の再就職で緩和」 男女共同参画白書(朝日新聞)
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職場のセクハラ増加中…

宮城労働局によれば、2005年度のセクハラ被害相談は139件で、2年間で2倍以上に。
セクハラで一番多いのは、上司が職場や酒席、出張などの場で体を触ったり抱きついたりするというもの。あ〜、情けない…

職場のセクハラ2年で2倍に 宮城労働局調査(河北新報)
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雇用は増えても非正規が9割…

総務省の労働力調査詳細結果(2006年1?3月期)によれば、雇用者は前年同期比79万人増。しかし、正社員の増加はわずか7万人。非正規社員が72万人増で、雇用増の9割以上が非正規雇用であることが明らかに。また、雇用者全体に占める非正規雇用の割合は、33.2%で過去最高に。

総務省「労働力調査詳細結果(2006年1?3月期平均)」
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マクドナルドに労働組合結成

マクドナルドに労働組合が結成されました。とりあえず愛知県など6県200人だそうですが、店長からアルバイトまで加入できます。

店長の長時間労働・サービス残業、アルバイトの有休未消化など、課題はたくさんあります。

日本マクドナルド:労組結成 大手ファストフード業界で初(毎日新聞)
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統計は正確に理解しよう

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」(通称:毎勤統計)の2005年度確定値が発表されたということで、「正社員、9年ぶり増加」などというニュースが流れています。

正社員9年ぶり増加、給与もプラス転換 05年度勤労統計(FujiSankei Business i.)

しかし、毎勤統計でいう「一般労働者」は正社員ではありません。政府の別の統計では、2005年に「正規の職員・従業員」(いわゆる「正社員」)が前年比36万人減、「パート・アルバイト、派遣社員、契約社員等」(いわゆる「非正社員」)は69万人増という結果も出ています。統計を読む場合は、それぞれのカテゴリーの定義を確認して、正しく用いることが大切です。
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職場での女性差別にかんする記事2つ

職場・仕事での女性差別にかんして、興味深い記事が2つあったので紹介しておきます。

1つは、22日付「日経」夕刊15面の「住友系3社 差別訴訟が残したもの」という記事。
もう1つは、今日の「東京新聞」朝刊8面の「働く女性は今」の記事。

「日経」の記事は、住友電気工業、住友化学工業(現住友化学)、住友金属工業の女性社員たちが賃金・昇進などでの差別を訴えた裁判が、全部「実質的勝訴」的内容で和解したことをとりあげ、「十年にわたって争われてきた男女賃金差別訴訟が残したものは何か」と問いかけ、検証したもの。
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個人の収入格差「拡大した」が6割強

連合総研の第11回「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート」の調査結果概要が明らかに。

「景気回復」を反映して、今後の賃金見通しはプラスに転じたとのことですが、個人間の収入格差が「拡大した」との回答が63.6%を占めています。収入格差を拡大させた要因としては

  • 「パート・派遣労働など非正規雇用の増加」51.1%
  • 「失業や就職難などで収入のない人が増えた」43.7%
  • 「企業間の業績格差の拡大などにより賃金の差が拡がった」42.5%
  • 「成果主義的な賃金制度の導入などで賃金の差が拡がった」35.4%

など。

No11勤労者仕事と暮らしアンケートについて(連合総研)

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まだまだなくならない残業代未払い

残業代未払いのニュースをピックアップ。国立大での残業代未払い事件が3件。独法化にともなって新しく労基法の対象になったという事情があるみたいですが、国の機関が残業代未払いではねぇ… (^_^;)

東北電力の未払い賃金20億円はデカイぞ?

長大が残業代6700万円未払い 労基署2回勧告(西日本新聞)
残業代未払い数億円に 九州大学(RKB毎日放送)
新潟労基署:休日勤務の教員に手当未払い 新潟大に是正勧告(毎日新聞)
残業代約20億円が未払い 東北電力社員の3割が対象(共同通信)

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指定管理者制度で自殺?

指定管理者制度の導入にともなって、この4月から、鎌倉市の鎌倉芸術館の管理運営が民間に移りましたが、それまで管理運営にあたっていた市外郭団体の事務局長が自殺していたそうです。

<官から民へ>指定管理者制度で犠牲者:神奈川県鎌倉市(JANJAN)
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仏政府、若者雇用政策を撤回

フランスのドビルパン首相が、全国的なデモやストライキなど激しい抗議を呼び起こしていた「青年雇用政策」(CPE)の撤回を発表。

国民の反対が強ければ政策を変更する――考えてみれば当たり前のことですが、日本と比べると、とても新鮮に思えてくるのは、やっぱり民主主義の伝統の違いでしょうか? 私たち日本人も、フランスの若者たちに負けないような社会的反撃力を持ちたいものです。

仏政府、若者向け雇用策を撤回――学生や労組「勝利」宣言(日経新聞)
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フランス大統領、若者雇用法の修正を指示

フランス全土で、若者を2年内なら自由に解雇できるという「初期雇用契約」(CPE)を含む雇用法にたいする反対運動が広がっていますが、シラク大統領は、法案への署名・公布をおこなうと表明。ただし、自由に解雇できる試用期間を1年に短縮、解雇時にはその理由を知る権利を明示するよう法案修正を指示しました。

若者雇用法に署名へ 仏大統領、修正を指示 (共同通信)

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ILO事務局長が警告「世界は前例のない雇用危機」

ILO(国際労働機関)の報告で、世界の失業者が1億9200万人に達しているということは、以前、このブログでも取り上げました(→「世界の失業者は1億9180万人、半分は若者」)。
今日の「東京新聞」夕刊で、そのことがさらに詳しく紹介されています。

世界の失業者1億9200万人 「前例のない雇用危機」
前年比220万人増 半数は15?24歳

 全世界の失業者が、1年前より220万人増えて、過去最高の1億9200万人に達していることが、ILO(国際労働機関)の報告で明らかになった。約半数は、15?24歳の若者で占められているという。ILOのソマビア事務局長は、「前例のない雇用危機」と警告している。
——

 ILOのソマビア事務局長は、今年1月末にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラムの年次総会で「世界は前例のない雇用危機の状態にある」と警告する声明を発表した。
 声明の中で事務局長は、世界の雇用危機はその市場や所有に与える影響の点からますます大きな懸念材料になってきており、世界全体の民主主義の信頼性に対する脅威であるとしている。
[東京新聞 2006年3月14日夕刊]

で、世界の雇用危機を示す根拠として、事務局長があげたのは、つぎのような事実。
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3人に1人が自宅でサービス残業

労働政策研究・研修機構の調査で、労働者の3人に1人が仕事を自宅に持ち帰り、サービス残業を行っていることが明らかになりました。

3人に1人 家でサービス残業(NHKニュース)

報告書はこちらから。
調査シリーズ No.14 『日本人の働き方総合調査結果』―多様な働き方に関するデータ―

この調査を見ると、自宅への仕事持ち帰りだけでなく、いろいろ問題が浮かび上がってきます。

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札幌銀行がサービス残業で2億円の賃金不払い

札幌銀行で、サービス残業で札幌中央労基署の勧告を受け、社内調査を行った結果、2年間で約2億円の賃金が不払いになっていたことが判明。

同行は、2年前にもサービス残業が発覚し、今回で是正勧告は2度目。「是正した」といいながら、サービス残業体質は改善されていなかったようです。

<サービス残業>650人に2億円の賃金不払い 札幌銀(毎日新聞)
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フランスの若者は怒ってるぞ!

仏で新雇用政疥??対のデモ

フランスでは、政府の雇用対策をめぐって、学生の抗議行動が広がっている。

2年間の試用期間なら自由解雇できるという制度をつくって、はたして雇用促進策になるのかという問題。日本でも、インターンシップなどという制度が作られたりしているけれど、「試用期間」だけ雇って、終われば“ハイ、さよなら”だけになる危険性は大。もっと正攻法の雇用拡大策をすすめて欲しいものです。

何にせよ、おかしいと思ったことがあるなら行動する。そこんところは、フランス人を見習いましょう。(^_^;)

仏全土で学生・労働者ら反政府デモ、首相支持率最低に(読売新聞)

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過酷な長距離トラック運転手

岩手県産業保険推進センターが長距離トラック運転手1377人を調査したところ、30.6%が月80時間以上の超過勤務、うち16.3%は月100時間以上の超過勤務であることが明らかになったという。

そして、超過勤務時間の長い人ほど、睡眠障害が多く、運転中に激しい眠気に襲われることがあるという。まあ、その結果自体は誰だって予想がつくけれど、輸送業界ではそれが常態化しているようです。

こんな状態で長距離トラックが走り回っているわけで、恐ろしくなります。

超過勤務多い運転手ほど睡眠障害、乗務中に睡魔(朝日新聞)
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「正社員が足りない」企業が30%に

厚生労働省の調査によると、正社員が足りないとする企業が全体の30%に上ったとのこと。

へー、景気が良くなってんだ?、と喜んでいるだけではダメ。要するに、これまで正社員を減らしすぎてきたということ。また、「足りない」からといって、はたして企業がすぐに正社員を増やすかどうかは分かりません。企業は「即戦力」志向を強めており、限られた「即戦力」予備軍の中での採用拡大で終わってしまう可能性もあります。

正社員の人手不足感も強まる(NHKニュース)
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若者の雇用実態

北海学園大の先生が、若者の雇用実態を調査。

男性正規雇用労働者の大半が「1週間の労働時間は50時間超」で「サービス残業があった」と回答。また、離職理由としては、過労で倒れたとか、残業の強制など、「働かされ過ぎ」が上げられた。また、職業訓練の機会を与えないまま、企業側が「即戦力」を求める傾向も、若者の就職を困難にしていることも判明したという。

より大規模な調査をおこなうとのこと。結果に期待したい。

若年者雇用:大規模実態調査へ 企業の課題も――北海学園大・川村講師/北海道(毎日新聞)
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父親が育児参加してるかどうかじゃなくて…

今朝のNHKニュースでやってた話。東京、ソウル、北京、上海、台北の5つの都市で比べると「東京の父親が一番子育てに参加していない」というのですが、よく聞いてみると、父親の帰宅時間が全然違う!

北京、上海は午後6時台(さすが社会主義国!)、台北が午後7時台、ソウルは午後8時台だというのでだいぶ遅いなぁと思っていたら、東京の場合は、なんと午後11時台が一番多くて、午後10時以降に帰宅する父親が40%を占めるというのです。

子育て世代のお父ちゃんの4割が、毎晩、午後10時以降に帰宅って、それじゃあ子育てに参加できないのは当たり前。世の社長さん、少子化対策、将来の消費者を増やすために、子育て世代のお父ちゃんは、せめて7時には家に帰してあげましょう。

東京の父親は育児負担せず(NHKニュース)

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