有効求人倍率1倍の内容は

有効求人倍率が13年ぶりに1.0倍になったというニュース。景気が回復しつつあることは確かですが、しかし、素直に良かったねと言ってられない現実があります。

毎日新聞が書いているとおり、13年前は失業率2.2%だったのがいまは4.4%。有効求人倍率が1.0に戻っても失業率はなかなか下がらない。そんな状態が定着しつつあります。
また、実際には非正社員の求人が1.58倍と多くて、正社員の求人倍率は0.65しかありません。新規求人数のうち、55%が非正規社員だといいます。これでは求人倍率が上がったからと言って、喜んではいられません。

さらに地方格差。愛知(1.61倍)、東京(1.54倍)にたいし、沖縄(0.41倍)、青森(0.44倍)など。東京を見ていただけでは実態は分かりません。NHKのニュースが、渋谷のハローワークを映しながら「かつては職探しをする人でパソコンは埋まっていたが、いまはまばら」みたいなコメントを流していましたが、あまりの手抜き、ジャーナリズム失格です。

有効求人倍率:13年ぶり1倍台に回復 正社員なお低調(毎日新聞)
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世界の失業者は1億9180万人、半分は若者

ILOが世界の失業者に関する調査結果を発表。世界の失業者は、2005年末で1億9180万人。前年比220万人増。失業率は6.3%だそうです。で、失業者の約半数が若者。さらに、1日の収入が2ドル未満という人が14億人にのぼるそうです。

世界の失業者、半分は若者 ILOの雇用報告が警鐘(共同通信)
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福岡銀行が21億円のサービス残業

福岡銀行が、2年間で約21億円の賃金不払いとなっていたことを公表。

銀行側は「意図的な不払いではない」としているそうですが、日経新聞によれば「出社時間と実際に仕事を始めた時間との間に差を設ける」などしていたそうで、意図的と言われても仕方がないでしょう。93年にも賃金不払いで指導を受けていたとのこと。ますます悪質です。

福岡銀が「時間外」未払い21億円、従業員4600人分(朝日新聞)

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ナフコがサービス残業で「慰労金」2億4000万円支払う

北九州市のホームセンター大手「ナフコ」が、残業代未払いで労基署の調査を受け、総額2億4000万円を「慰労金」のかたちで支払うことに。

労基法違反で書類送検されていたというのだから、相当悪質かも。「サービス残業が実際にあったかどうかは分からないが」というあたりが、いかにも弁解じみていて歯切れが悪い。

サービス残業で「慰労金」 ナフコが2億4000万円支給(共同通信)
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11月の現金給与総額、3カ月ぶりに減少

厚生労働省、毎月勤労統計11月分の速報値を発表。朝日新聞は、現金給与総額が3カ月ぶりに減少したことに注目。それにたいし、日経新聞は、所定内給与額が8カ月連続で伸びていることを取り上げています。

で、大もとの毎勤統計の発表そのものを見てみると、現金給与総額はパート1.2%増にたいし一般労働者1.4%減。この格差が気になる…。

11月現金給与総額は3カ月ぶり減少=毎月勤労統計(朝日新聞)
基本給8カ月連続増・11月の勤労統計(日経新聞)
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トヨタ工場、大雪で操業を一時停止

大雪による交通渋滞などで部品が届かない、ということで、トヨタ自動車が全国20工場の操業を一斉に一時中止。

雪の影響にも驚くけど、年末&クリスマス直前の休日まで操業してたということにもびっくり…。

トヨタ、大雪で夜間の工場操業停止(日経新聞)
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これが「成果主義」の成果?

野村総研の調査によると、上場企業の20?30代正社員の75%が、現在の仕事にたいして無気力感を感じており、3分の1近くが「3年以内に辞めたい」と思っていることが明らかになりました。仕事を通じて成長したと思うかどうかという質問項目でも、42.5%が「あまり成長した実感がない」と回答。

野村総研NEWS RELEASE:2010年の経営戦略は“働くモチベーションの再生”がカギ

この記事のもとになった野村総研の調査は、mambo_no5さんのブログ「マンボな毎日:<野村総研>仕事やる気なし…20?30代正社員の4分の3」で見つけました。ありがとうございます。
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失業率、3カ月ぶりに悪化

10月の失業率が、3カ月ぶりに悪化したというニュース。政府は、一時的な自発的失業者の増加が原因だとしています。まあ、大きくみれば景気は回復傾向にあり、就業者や雇用者も増えています。

しかし問題は、そういうなかで正社員が前年同期比で32万人減と、3期連続で減少しているのに対し、非正規社員は87万人増、11期連続で増加しているということ。つまり、失業は減少傾向にあるとはいっても、増えているのは非正規雇用が中心だということです。はたして、これで本当に景気回復といってよいのでしょうか?

と思っていると、10月のサラリーマン世帯の消費支出が4カ月にプラスになったというニュース。ほほう、やっぱり景気がよくなっているのかとよく読んでみると、世帯主の定期収入は8カ月連続で減少、可処分所得も減少。ということで、本当にこれで国民レベルで景気が回復しているといってよいのだろうか?

10月の完全失業率、4.5% 3カ月ぶり悪化(朝日新聞)
10月のサラリーマン世帯消費支出、4カ月ぶりプラスに(朝日新聞)

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デルの虚偽採用

コンピュータ会社のデルが、デル・リアルサイトで働く労働者を、デル自身が雇ったように見せかけながら、実は別会社に雇わせて、そこから派遣をさせていたという事件。以前にも紹介しましたが、今日の東京新聞「こちら特報部」が詳しく紹介しています。

こちら特報部 デル社虚偽採用疑惑のウラ 面接は社員、名刺も使えた(東京新聞)

この事件、この労働者Mさんが本気で訴えなければ、たぶん“派遣で、そういうこともあり”ということになっていたのではないでしょうか? デルは、Mさんにたいし「うちは外資系だから」といって、残業代も支払わず、社会保険にも加入せず、という違法労働をやっていたわけです。
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古河電気、残業代14億円未払い

ちょいと古いニュースですが、古河電気工業が、今年9月までの2年間で、全国の事業所の製品開発などの分野で残業代14億円余りが未払いになっていたと発表。

「従業員が実際に残業した時間よりも少ない時間を会社側に申告していた」とありますが、上限を設けるなど、会社側が“申告しにくい”環境をつくっていたはず。そこを変えないと、“サービス残業”はなくなりません。

残業代14億円を未払い 古河電気で1700人分(共同通信)
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04年度、226億円のサービス残業代支払わせる

2004年度中に、企業に是正指導されたサービス残業代の総額が226億円にのぼることがあきらかに。総額では前年度より減ったものの、指導をうけた企業は253社増えて1437社に。

<不払い賃金>サービス残業、高水準のまま 指導企業は増加(毎日新聞)

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解雇の「金銭解決」制度について(続報)

厚生労働省が、解雇の「金銭解決」制度の実現を目指していることについては、前にも紹介しましたが、その後見つけた関連情報をまとめておきます。

↓厚労省「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」の報告書はこれ。

↓労働組合関係の意見はこちら。

↓法曹関係。自由法曹団のものは、少し古いですが、昨年10月の段階で提出したものです。

↓経済団体の意見

↓その他。労働政策研究・研修機構の資料は、7月22日に開催された労働政策フォーラム「新しい労働契約法制を考える」の配付資料です。

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佐川急便、「偽装請負」で厚労省から指導受ける

佐川急便が、労働者派遣法違反の「偽装請負」で厚労省から指導を受けていました。取引業者に集配業務をやらせるときに、業務委託の形をとって従業員を出させておきながら、実際には、佐川急便が、それら従業員に直接指揮・命令を出していたということです。

業務請負の場合は、業務を一括して請け負わせているのだから、従業員にどういうふうに仕事をさせるかは、請負元の業者が決定し従業員に指示します。佐川急便が直接従業員に指示を出してはいけないのです。で、佐川急便の側で指示を出して、その指示に従って働かせたい場合は、労働者派遣を受けなければなりません。

派遣の場合は、佐川急便の側に従業員の労働時間の管理義務や労災防止の責任が生じます。しかし、業務請負にすれば、従業員と雇用関係にないので、労災が起きても保障する必要もないし、労働時間を管理する義務もありません。そこで、業務請負の形をとっておきながら、実際には、現場で直接業務上の指示を出すなどということが横行するわけです。これが「偽装請負」といわれるものです。

「下請け」実は「派遣」、佐川急便が偽装請負(読売新聞)

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違法解雇の「金銭解決」は許されない

厚生労働省は、新しい労働契約法の制定をめざすことを大筋了承。

解雇の「金銭解決制度」は、金さえ払えば解雇自由!ということです。絶対に許してはダメです。雇用の権利は、たとえば企業倒産の場合でも、未払い賃金などが労働債権として最優先されるようになっています。もちろん、一方的な解雇にたいし、裁判に訴え、結果として和解し、金銭を受け取って「円満退職」という形をとることがあるとしても、最初から金銭解決が認められるのと、労働者が和解に応じない限り金銭解決できない現状とでは大違いです。

「労使委員会」を労働協議の場に…労働契約法制定へ(読売新聞)
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共産党員への賃金差別に賠償判決

静岡地裁が、スズキの社員が共産党員であることを理由に賃金・昇格差別を受けたとして同社を訴えていた裁判で、賃金差別を認定し、スズキに3522万円の是正判決を下しました。

共産党活動で賃金差別、3522万賠償判決…静岡地裁(読売新聞)
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7月の完全失業率4.4%に悪化

7月の完全失業率(季節調整値)は4.4%で、6月より0.2ポイント悪化。5カ月ぶりに失業率がアップしました。多分日経新聞が指摘するように、多少とも景気が良くなったということで転職する人や新しく職探しをする人が増えたことが要因なのでしょう。

そもそも完全失業率という統計は奇妙なもので、「完全失業者」になるためには、職探しをしていることが条件です。だから、景気がよくなって新しく職探しを始める人が増えると、見かけ上失業率は上がることがあります。

逆もあって、不況・失業がひどくなって、「どうせ探したって仕事はない」と求職活動をあきらめる人が増えれば、統計上は失業率が下がってしまうという奇妙なことも起こります。だから、失業率が上がった下がったというだけではなく、雇用状況全体をみる必要があります。

その点でむしろ問題になるは、就業人口が全体として減っていることです。ちょうど「朝日」8/29付で、慶応大学の樋口美雄氏が次のように指摘していました。

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小泉政権の“サラリーマンいじめ”

テレビが連日、郵政反対派への小泉首相の「刺客」候補擁立を、さも大事件かのように報道していますが、これは最大でも300小選挙区のうちの37選挙区の話。所詮、総選挙の部分の問題でしかありません。

それに比べれば、この日刊ゲンダイの記事。よっぽど、真正面から総選挙の争点を問題にしています。

小泉政権 これだけのサラリーマンいじめ(日刊ゲンダイ)
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デル、違法な採用で書類送検

NHKのニュースでも取り上げられていましたが、コンピュータ会社の「デル」が店頭販売員の採用で、川崎市の本社で面接を行ないながら、実は派遣会社に採用させて、その派遣会社から派遣された形にするという違法行為をはたらいていた事件で、法人としての「デル」そのものと、人事担当の社員(すでに退社)が職業安定法違反(許可を受けずに、就職紹介事業をはたらいた)の容疑で書類送検されることになりました。

採用された販売員にはデルの肩書きの名刺を持たせ、本人が会社に問い合わせるまで、派遣会社の採用であることを隠していたそうな。同様の手口で170人も採用していたというのは、呆れる話。
こんなあくどいことをやっておきながら、職業安定法違反というのも釈然としないけれど、詐欺などで告発すると法人の責任が問えないのでやむを得ないものらしい。ともかく、法人としてのデルの責任が問われたわけだし、社長みずから、社会保険料を払いたくないのでやったことを認めている。販売員が勇気をもって告発にふみきったことに喝采を送りたい。

デルの店頭販売員、自社で面接後に派遣扱いで採用か(読売新聞)
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マクドナルド、未払い賃金の支払いへ

マクドナルドが、勤務時間を30分単位で計算していたのを是正するように、労働基準監督署から指導されました。

労働時間の計算が面倒だからといって、勝手に「切り捨て」は許されないということです。ちなみに、過去2年間にさかのぼって支払われるので、この2年間に短期間でもアルバイトしていた人はぜひ連絡を。

日本マクドナルド株式会社 元クルー・スウィングマネージャー・アルバイトスタッフ・社員の皆様

日本マクドナルド、アルバイトなどに未払い賃金支給へ(NIKKEI NET)

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勤続23年で月給手取り2万2千円とは!

富士火災海上保険の52歳の男性社員が、営業成績によって給与が増減する制度によって、6月の給与が額面11万5000円、手取り2万2000円になったのは憲法違反だ、と仮処分を申請しました。

しかし、3?5月の平均給与が約21万9000円(勤続23年)というのも、あまりにひどい話です。成果主義の名の下に何をやってもいいという訳ではありません。

月給手取り2万2千円は憲法違反 富士火災社員仮処分を申請(東京新聞)
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