小泉首相が年頭記者会見で自らの靖国参拝について「外国政府が心の問題に介入するのは理解できない」と批判したことについて、各紙の社説などを調べてみました。
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日経が小泉外交を批判する社説を掲載
日経新聞が、ついに! 小泉首相の対アジア外交姿勢を批判する社説を掲載(11月20日付)。靖国参拝について、「このままでは日本はアジアで孤立することにならないか」との疑問を呈しています。
日米首脳会談についての社説
内閣支持率
第3次小泉改造内閣の発足に合わせて、マスコミが内閣支持率の世論調査を実施。日経56%、共同60%、読売51%など、いずれも高い結果が出ています。
しかし、その中身を見ていくと、なんでこれで支持率高いの?というものばかり。
読売新聞が「戦争責任」で世論調査
読売新聞社が「検証・戦争責任」で世論調査を実施。
まず気がつくのは、質問事項が非常に意図的なこと。
たとえば、戦争責任についての質問では、「先の大戦に踏み切ったり、敗北に追い込まれたりした責任など、いわゆる『戦争責任』」という書き方をして、明らかに、戦争責任を開戦責任あるいは敗戦責任に限定する意図を色濃くにおわせています。アジア諸国を侵略した「責任」は、まるで視野にないかのようです。で、このように「戦争責任」を限定しておいた上で、「戦後、十分に議論されてきたと思いますか」などと質問したのでは、肝心の侵略戦争の責任についての議論は雲散霧消していきます。
また、先の戦争について、「中国との戦争、アメリカとの戦争(イギリス、オランダ等連合国との戦争も含む)は、ともに侵略戦争だった」とか「中国との戦争は侵略戦争だったが、アメリカとの戦争は侵略戦争ではなかった」と質問していますが、仮にアメリカやイギリス、オランダとの戦争が侵略戦争でなかったと考えたとしても、フィリピンやマレーシア(英領マライ)、インドネシア(蘭領インドシナ)の国民からすれば、日本の戦争は侵略そのものだったという考えは、当てはまる選択肢がありません。ベトナムへの侵略は、例示項目からもまったく抜け落ちています。
アジア諸国民への加害についての質問にいたっては、「日本人はいつまで責任を感じ続けなければならないと思いますか」と、頭っから「責任を感じる必要はないのに…」という意図が見え透いています。
こういう意図的な世論調査であるにもかかわらず、興味深い結論もいくつか見ることができます。
- 中国については、侵略戦争であったと認める人が68.1%と3分の2を超えること。それにたいして、対中戦争についても対米英戦争についても「侵略戦争だとは思わない」という回答は10.1%しかない。ある意味、侵略戦争かどうかという議論については、“大勢は決した”ということです。
- アジア諸国民への加害については、意図的な質問にもかかわらず、ともかく「責任を感じる」という人が47.0%を占め、「もう感じなくてよい」44.8%を上回っていること。
- 靖国問題についても、「国が戦没者を慰霊、追悼する場所」として、いまのままの靖国神社でよいとする回答が41.5%を占め、一見すると一番多いように見えますが、「A級戦犯を分祀した靖国神社」「靖国以外の新しい追悼施設」など、ともかく現在の靖国神社は不適切だとする回答が合わせて50.6%を占め、多数となっています。ちなみに、靖国神社は「英霊」の「顕彰」をおこなっているのであって、戦没者の追悼・慰霊をしているわけではないので、第1の選択肢は根本的に間違ってるのですが。
首相の靖国参拝の世論調査をどう見るか
小泉首相の靖国参拝について、朝日新聞と共同通信が世論調査を実施。
朝日の調査では、参拝したことについて「よかった」42%、「参拝するべきではなかった」41%で、「賛否が二分」としています。共同通信も、「参拝してよかった」48.1%に対し「参拝すべきではなかった」45.8%で、9月の調査(「今年は見送るべきだ」53.0%、「今年も参拝すべきだ」37.7%)とは「賛否が逆転した」としています。
しかし、同じ共同通信の世論調査で、次期首相に望む対応では「参拝すべきではない」45.9%、「参拝すべきだ」37.5%で、9月調査とあまり変わっていません。つまり、今回の参拝は認めつつも、将来に向けては「参拝すべきではない」というのが世論の多数ということなのでしょうか。
首相靖国参拝、賛否は二分 中韓との関係「心配」65%(朝日新聞)
靖国参拝、支持が上回る 共同通信緊急世論調査(共同通信)
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小泉首相の靖国参拝で社説
国民投票法案、慎重審議を求める社説
自民・公明は、衆議院に憲法特別委の設置を強行し、憲法改正に向けて「国民投票法案」の審議を開始するとしています。前に「愛媛新聞」の社説を紹介しましたが、ほかにも慎重審議を求める社説がいろいろ出されているので、集めてみました。
改憲派が鬼の首を取ったかのようにもちだす「立法不作為」論について、北海道新聞は「これまで国民投票法がないために改憲ができなかったわけではない。国民の間に『改憲の必要はない』という共通認識があったからだろう」とずばり批判しています。河北新報の社説は、国民投票の手続きを定める法律は必要だという前提に立つものですが、「国民投票運動や報道の在り方は最大限に自由でなければならない。首長選や議員選とは全く異なる。公選法の規定に準じて規制することなどは論外と言うしかない」という指摘は、問題の本質をずばり指摘したものといえます。
国民投票法案*なにも急ぐことはない(北海道新聞 10/10)
国民投票法案/「報道の自由」が大前提だ(神戸新聞 10/7)
国民投票法案 腰を据え丁寧な論議望む(熊本日日新聞 10/7)
国民投票法案・本質部分の論議が先だ(琉球新報 10/3)
憲法特別委/国民投票法案は先走らずに(河北新報 10/3)
拙速な審議は願い下げだ 国民投票法案(西日本新聞 9/25)
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自衛隊のイラク派遣延長反対77%
毎日新聞の世論調査。イラクへの自衛隊派遣について「延長すべきでない」が77%で「延長すべき」18%を大きく上回る。また、衆院選の結果については「満足」52%の一方で「自民議席多すぎ」が68%を占めるといった複雑な側面も。
憲法9条「変えるべきでない」が62%
毎日新聞が実施した世論調査で、憲法9条について「変えるべきでない」が62%を占め、「変えるべきだ」30%の2倍を超えました。
憲法全体について「改正すべきかどうか」を尋ねると、改正「賛成」が58%、「反対」が34%で、改正賛成が多数を占めるのですが、9条に限ると、「変えるべきでない」が圧倒的多数だということです。20代で「変えるべきでない」が7割を超えたというのも印象的。9条改憲推進派にとっては、衝撃的な結果でしょう。
日本の政治「良い方向に」6割、小泉首相に期待感
読売新聞の世論調査。総選挙の結果をうけて、これから日本の政治は良い方向に向かうという人が59%に上るそうな。う〜む……
愛媛新聞社説「国民投票法案 世論に耳を傾けて慎重審議を」
愛媛新聞(9/25付)は、自民、民主、公明3党が特別国会で国民投票法案を審議する憲法調査特別委の設置を決めたことに、懸念を表明する社説を掲載しました。
テレビ視聴率と投票行動
読売新聞の調査によると、テレビを長時間見る人ほど、総選挙で自民党に投票した率が高い、という結果が出たそうです。
日本国民であることの誇り
「読売新聞」の世論調査。
「日本国民であることを誇りに思いますか?」の質問に、「思う」88%、「思わない」11%、また「国の役に立ちたい」と「思う」が68%を占める。
しかし他方で、日本が侵略されたら「安全な場所へ逃げる」が35.4%でトップ。「武器を持って抵抗する」は16.6%しかない。「世界の中の日本について」では「他国の顔色をうかがっている国」が73.6%、「国民の利益について」でも「国の指導者たちが、自分たちの利益を優先しがちな国」が72.9%、「国家戦略について」でも「明確な長期目標や国家戦略にかける国」71.4%という結果。
これで、なんで「誇り」に思えるのか不思議…。
郵政民営化重視40%の正体は?
テレビ東京のニュースによれば、小泉内閣の支持率が58.9%に上昇。同時に、総選挙の投票で郵政民営化を重視するという回答が40%だったとか。しかし、「重視する」というだけでは、郵政民営化賛成なのか反対なのか不明だからなぁ…。
小泉内閣支持率は上がるが、郵政重視は10%
日テレの世論調査。小泉内閣支持率は、56.4%で先月より8%も上昇。しかし、郵政民営化については、「すぐに民営化を進めるべき」30.5%にたいし、「もっと慎重に検討するべきだ」は58.1%。また、小泉首相の政治手法についても、「評価できる」38.1%にたいし「強権的・強圧的で評価できない」が43.6%と、かならずしも小泉首相のやっていることが評価されているわけではない。総選挙でもっとも重視する政策でも、トップが年金や医療・介護37.7%で、郵政民営化は10.1%しかない。
ということで、実に不思議な結果。なんでそうなるか、理解する鍵は、42.9%がこんどの総選挙は「郵政にかかわらず今後の日本の進路を問う選挙」と答えているあたりにありそう。
間違った戦争だった43%
毎日新聞の世論調査で、日本のさきの戦争について「間違った戦争だった」と答えた割合は43%。「やむを得なかった戦争だった」29%を大きく上回った。
戦争調査:「間違った戦争だった」43% 毎日新聞実施(毎日新聞)
戦争調査:世代間の差、浮き彫りに 戦争の風化が進む(毎日新聞)
郵政解散をめぐる世論
毎日新聞が、郵政問題にかんする世論調査を発表。
郵政「民営化」法案について、否決された場合に小泉首相が「解散」することに賛成53%の一方で、今国会での成立に「こだわる必要はない」が52%という結果。両立しがたい結果のように見えるけれども、自民党議員の「造反」への支持が高くない(評価する41%、評価しない53%)ことから考えると、答えは、郵政国会のゴタゴタに嫌気がさしているところにありそうな気がします。
世論調査:郵政解散「賛成」53%、内閣支持は過去最低(毎日新聞)
毎日新聞世論調査:衆院の議席増、「民主に」35% 自民は25%――郵政解散時(毎日新聞)
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首相の靖国参拝についての世論調査
首相の靖国参拝についての世論調査2つ。
1つは、今日の「毎日新聞」。「小泉首相が今後も靖国神社参拝を続けることに賛成ですか?」の設問に、賛成39%にたいし反対51%。毎日新聞がこれまで実施してきた世論調査では、賛成派が46%(昨年12月)→39%、反対派は41%(同)→51%へと逆転。“潮目”の変化は明瞭です。
小泉首相の靖国神社参拝賛成派と反対派の推移
(「毎日」7/19付 、数値は単位%、元の記事では折れ線グラフ)
04年12月 | 05年4月 | 6月 | 7月 | |
支持派 | 46 | 42 | 41 | 39 |
反対派 | 41 | 45 | 50 | 51 |
国立追悼施設についての調査では、「戦争で亡くなった人」全体を追悼する「無宗教の施設」というところがポイント。ここが守られないと、追悼施設の性格がおかしくなります。
もう1つは、四国新聞が報道していた「輿論科学協会」の調査。「今年は参拝を見送るべきだ」が66%を占めています。東京の大学生204人を対象にしたアンケートということで、調査対象が少ないですが、大学生対象の調査として注目されます。同時に、小泉内閣「支持」が60%、というのは、僕にはよく分かりませんが…。
世論調査:国立追悼施設「賛成」が63%(毎日新聞)
「見送るべきだ」66%/首相靖国参拝、学生に調査(四国新聞)
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靖国神社の首相参拝、52%が中止を
「朝日新聞」の世論調査によると、52%が首相の靖国参拝について「やめた方がよい」と回答。「続けた方がよい」は36%。昨年11月の調査では「続けた方がよい」38%、「やめた方がよい」39%で拮抗していたのと比べると、世論の動向はほぼはっきりしたといえるでしょう。