岩波科学ライブラリーの最新刊の1つ。倉谷うらら『フジツボ 魅惑の足まねき』。
フジツボと言われると、みなさんはどんなイメージをもたれるでしょうか? 本書でも紹介されていますが、「ビッシリ、ベッタリ、気持ち悪い」などなど。ところが、これがフジツボ研究者に言わせると、「可愛い、チャーミング、繊細、わくわくする、蠱惑的」等々。著者は、フジツボに敬愛をこめて、これをFと呼んでいます。
で、そのフジツボ、分類学的にはいったい何の仲間なのか?
岩波科学ライブラリーの最新刊の1つ。倉谷うらら『フジツボ 魅惑の足まねき』。
フジツボと言われると、みなさんはどんなイメージをもたれるでしょうか? 本書でも紹介されていますが、「ビッシリ、ベッタリ、気持ち悪い」などなど。ところが、これがフジツボ研究者に言わせると、「可愛い、チャーミング、繊細、わくわくする、蠱惑的」等々。著者は、フジツボに敬愛をこめて、これをFと呼んでいます。
で、そのフジツボ、分類学的にはいったい何の仲間なのか?
今月の岩波新書の1つ、川崎健さんの『イワシと気候変動』。めちゃくちゃ面白いです。
イワシとかサバ、ニシンなどがある時期やたらにとれたかと思うと、突然さっぱりとれなくなった――というのは、ときどき聞く話ですが、なぜとれなくなるのか?
実は、日本近海だけでなく、世界中のあちこちの海域で、何十年か周期で、ある種類の魚が大量に獲れたり獲れなくなったり、あるいは魚種が入れ替わったりしています。しかも不思議なことに、その周期が日本近海と、たとえばカリフォルニア沖とでぴったり同期していたりするのです。
でも、どうして?
新型インフルエンザ「疑い例」の検査から、通常の季節性インフルエンザが現在も流行している可能性が浮かび上がってきています。
実際、これまでの「疑い例」は、いずれも季節性インフルエンザ。4月末時点の推定では、患者は17万人にもなるそうです。「インフルエンザは冬のもの」という思い込みはやめて、あらためてうがい・手洗いをしっかりやることにします。(^_^;)
季節性インフル、今も流行? 新型「疑い例」から相次ぎ判明(NIKKEI NET)
A型の季節性患者は推定17万人 新型感染の疑い今後も(共同通信)
ハヤカワ文庫で『素粒子物理学をつくった人びと』(上・下)が出ました。親本は、1986年刊の原著の邦訳として1991年に出版されたものですが、文庫版は1996年に出た原著改定版の翻訳となっています。さらに、下巻には、鎮目恭夫さんの「文庫版への訳者あとがき」と、岡村浩さんの付録「その後の素粒子物理の歩みとノーベル物理学賞受賞の日本人の仕事について」が収められています。岡村氏の解説は、本書では、南部陽一郎氏の研究まで取り上げられているので、その後の素粒子物理学の動きを補足してくれるものです。
物理学者へのインタビューをもとに構成された本書。鎮目さんは、「文庫版への訳者あとがき」で、「本書が文庫版として出版されることになったのは、明らかに、昨年度(2008年)のノーベル賞が日本の素粒子物理学者3名に与えられたことの反映」(下、466ページ)と書かれていますが、いえいえ、十分面白いです。(^^;)
松田磐余『江戸・東京地形学散歩』(之潮)。某書店では、日本史(近世史)のコーナーに置いてありましたが、どちらかと言えば地形学の本じゃないのかな〜
とくに第1章「武蔵野台地と東京低地の形成」は、東京の地形がどうやってできたかというお話ですが、話は、およそ12〜13万年前の最終間氷期から、江戸時代以降の人間による埋め立て、戦後の地盤沈下まで、なかなか長大なスケールです。
アメリカでは、進化論を信じると答えた人は39%。25%は「まったく信じない」と回答。また、44%が人類は「過去1万年以内に神が一晩でつくり出した」と考えているそうだ。
う〜む、ここまでひどいとは…。(-_-;)
昨日から、天気予報で「都心でも雪になる」とさんざんと言ってましたが、結局、今朝は雨でした。(^_^;)
ニュースでは、6時前に渋谷で初雪が観測されたと言っていますが、これは霙(みぞれ)。本格的な雪はおあずけのようです。
社会科学で頭が疲れたので、ちょいと気分転換にこんな本を読んでみました。
昔、地研(地学研究部)だったときに、それなりに地学関係の本も勉強したつもりでしたが、あらためて読んでみて、プレートテクトニクス理論と火山の研究とが、ここまで密接につながってきていることにびっくりしました。(^^;)
横浜方面うろうろ中に、いろいろ本を読みましたが、その中の1冊。サブタイトル「気候変動の謎に迫る」とあるとおり、地球的規模での気候変動を取り扱った本ですが、いま問題になっている「地球温暖化」問題を直接取り扱ったものではありません。
むしろ、そうした議論の前提になっている地球の気候変動のメカニズムそのものを探るために、数千年単位から数万年単位で地球の気候がどんなふうに変わってきたか、それがどのように研究され、解明されてきたかを紹介した本です。
岩波現代文庫の10月新刊で、松井孝典氏の『新版 地球進化論』(左)が出ていたので、さっそく買って読んでみました。もともと1988年に出た本ですが、それに「その後の進展が著しい部分」が書き足してあります。だから、1970年代に天文ファンだった僕にしてみると、自分が勉強したときからどんなふうに研究がすすんだかが分かって面白かったのですが、「1988年7月、旧ソ連は火星の衛星フォボスに探査機を飛ばし、それを探査する『フォボス計画』を予定している」という文章が出てきたりして、頭が錯乱しそうになります。(^_^;)
しかし、塵を含んだガスからどうやって惑星が形成されるのか、その説明が全然分かりませんでした。それで、買ってきたのが右の井田茂氏の『異形の惑星』(NHKブックス、2003年刊)。
ノーベル賞受賞で、益川さんも小林さんもあっちこっちの対談やインタビューに登場されていますが、そのなかでも、いろいろと大事なことを言っておられます。気のついたかぎりで、ピックアップしておきます。
1つめは、「日本経済新聞」の本日付朝刊にのった益川さんへのインタビュー。坂田昌一氏から学んだことについて、かなり立ち入って答えておられます。
ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんは、「9条科学者の会」の呼びかけ人の1人でもあります。今朝の「日経新聞」でも、そのことは紹介されていましたが、「毎日新聞」夕刊では、「気骨の平和主義」という大見出しで、益川さんの平和主義を紹介しています。
2008年のノーベル物理学賞を、素粒子理論研究の南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授、小林誠・高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)名誉教授。益川敏英・京都大学名誉教授が受賞。
益川さんと小林さんは、名古屋大学の坂田昌一門下。坂田氏は、エンゲルス『自然弁証法』やレーニン『唯物論と経験批判論』などに学んで、物質の階層性という考えにたって、素粒子といえども究極の物質ではなく、さらにその中に下位のレベルの物質があると考えました ((益川氏は、たとえば「赤旗」1984年7月14日付で、次のように語っておられます。
「素粒子が、さまざまな性質、特徴、法則性を持っているのは、その背後にそれらの担い手の物質が必ず存在するに違いないと考えていたからです。この考え方は名古屋大学の坂田昌一博士が、以前から提起されていたものです。坂田博士は素粒子を『天体、物体、分子、原子、原子核、素粒子……と続く物質の無限の階層の1つに過ぎない』『現象の背後に必ず物質の裏づけがある』ととらえていました。この考え方の背景には『電子といえどもくみつくせない』という物質の無限の階層性と認識の相対性を指摘したエンゲルスやレーニンと同様の唯物弁証法の物の見方がつらぬかれています」、「唯物弁証法と自然科学の研究方法との関係は非常に奥深いもので、今後もさらに追求する必要があると思います」))。
ノーベル物理学賞:益川教授ら日本人3氏に授与(毎日新聞)
「受賞あるなら今年だと」=「理論屋」に笑顔も?益川教授(時事通信)
熱血漢の益川、クールな小林=性格の「対照性」、独創理論生む?ノーベル賞(時事通信)
【ノーベル物理学賞】素粒子物理学の世界に金字塔「小林・益川理論」(MSN産経ニュース)
ヨーロッパ合同原子核研究機関(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)がいよいよ稼働。1つはヒッグス粒子が見つかるかどうか。もう1つは、標準理論で説明できない現象が見つかるかどうか。はて、どうなりますやら…。楽しみです。(^_^;)
「生命とは、タンパク質の存在様式である」とはエンゲルスの言葉 ((正確には、「生命とは蛋白体〔Eiweißkörper〕 の存在の仕方である。そして、この存在の仕方で本質的に重要なところは、この蛋白体の化学成分が絶えず自己更新を行なっている、ということである」(エンゲルス『反デューリング論』新日本出版社、古典選書シリーズ<上>、118ページ)。タンパク質はドイツ語でProteinもしくはEiweißstoff。EiweißkörperのEiweißは卵の白身という意味、Körperは「物体」「肉体」という意味、あるいは「気体」「液体」という場合の「体」に相当する語なので、直訳すれば文字どおり「蛋白体」です。エンゲルスは、これに続けて、「蛋白体とは、ここでは現代化学上の意味に解している。そして、現代化学は、この名前のもとに、普通の卵白に似た組成をもったすべての物質――別名でプロテイン物質とも言われている――を総括している」(同前)と言っているので、ここではエンゲルスが蛋白体=タンパク質の意味で使っていることは明白です。))ですが、この本を読むと、あらためて、“生命ってタンパク質なんだなぁ〜”と実感します。
DNAの2重らせん構造とか、DNAの4つの塩基コードがRNAに転写され、それにしたがってアミノ酸が合成され、そのアミノ酸が結びついてタンパク質がつくられる――高校の生物で習ったのは、まあだいたいこのあたりまで。しかし実際にはそんな単純ではなかったのです。
アミノ酸がずら〜〜っとつらなったもの(ポリペプチド)が、くねくねと折りたたまれて3次元の構造をとって、初めてタンパク質として活動するようになります。そのときに、ポリペプチドがうまく折りたたまれるのを助ける特別のタンパク質が、また存在しているのです。つくづく生命って、よくできてますねぇ〜 (^_^;)
左上から、山本紀夫『ジャガイモのきた道』(岩波新書)、伊藤章治『ジャガイモの世界史』(中公新書)、大庭健『いま、働くということ』(ちくま新書)、長島誠一『独占資本主義の景気循環』(新評論、古本)。
まずジャガイモ本が2冊。伊藤氏の『世界史』は今年1月の出版で、山本氏の『きた道』はこの5月に出たばかり。内容的にも、ジャガイモの原産地であるアンデスでのジャガイモづくりから始まって、それがヨーロッパから世界と日本へどう広がったという同じテーマを扱っている。こんなことになったのは、今年が国際ポテト年だからか。
大学や国立研究所など14機関の研究チーム「温暖化影響総合予測プロジェクト」が地球温暖化が日本国内にどんな影響をおよぼすか、被害予測結果を発表しました。
2030年の日本、被害年1兆円増――14機関共同研究(毎日新聞)
2030年、集中豪雨相次ぐ 温暖化の影響予測(中日新聞)
温室ガス排出このままなら…白神ブナ林、今世紀末に消滅も(読売新聞)
記者発表の内容は、↓国立環境研のホームページから読むことができます。
記者発表 2008年5月29日 地球環境研究総合推進費戦略的研究プロジェクト「温暖化影響総合予測プロジェクト」成果発表のお知らせ? 地球温暖化「日本への影響」?最新の科学的知見? ?
超新星爆発をとらえた映像(NASAのホームページから)
アメリカとイギリスの研究チームが、超新星爆発の瞬間を観測することに成功!! これまでは超新星爆発が起こって星が明るくなった段階で、初めて発見され、観測されていました。今回の観測はもちろん偶然の産物なんですが、お見事でした。
この観測で、超新星爆発は2段階にわたっておこり、最初にX線が放出されたことが判明。これまでの理論による予測が裏付けられたというのも、興味深い結果です。
左=リー・スモーリン『迷走する物理学』(ランダムハウス講談社)、右=ピーター・ウォイト『ストリング理論は科学か』(青土社)
「超ひも理論」について、疑問を投げかける本を2冊読みました。
理論的な中身を僕が紹介することはできませんが、両書に共通しているのは、「超ひも理論は、検証しうる予測を何も示さない」ということ。およそ、理論が正しいかどうかを論じるためには、その理論に基づいて何らかの予測をおこない、それが実験的に検証される(もしくは検証されない)ことが必要です。ところが…