日本青年会議所「靖国DVD」のシナリオを読んでみた

日本共産党の石井郁子議員の国会質問で明らかになった日本青年会議所の「靖国DVD」(「近現代史教育プログラム『誇り』」)。そのシナリオを読んでみました。

靖国神社で2人が語り合う内容の日本青年会議所作製のDVD「誇り」(しんぶん赤旗)

プログラムの進め方では、日中戦争については「当時中国は内乱状態にあり日本が中国の内乱に利用され、支那事変は仕組まれた戦争であったことを中心に説明する」、対米開戦についても「戦争を避けようとした内閣の努力も虚しくアメリカの最後通牒によって戦争が始まったことなどを重点的に説明する」などと強調されており、靖国神社・遊就館の展示そっくりの内容です。

日本青年会議所は、「様々な誤認・誤解を生んでいる」「過去の戦争を肯定するものでも、軍国主義を賛美するものでもありません」と弁解に努めていますが、事実にも反するし、結論として、あの戦争は「自存自衛の戦争だった」「アジア解放の戦争だった」と子どもたちに教え込もうという意図は明白です。

↓DVDのシナリオをふくむ「近現代史教育プロジェクト」の資料はこちらから。
近現代史教育プロジェクト(日本青年会議所)

靖国DVD/推進の日本青年会議所会頭/審査機関メンバーに/石井議員追及(しんぶん赤旗)

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自衛隊がイラク派兵反対の市民・団体を監視

日本共産党の志位和夫委員長が公表した自衛隊の内部資料。イラク派兵に反対する市民、団体、ジャーナリストの活動を克明に調査・記録していたもので、集会、デモ行進の写真もあり、こうした集会・デモなどに身分を隠して潜入し情報収集していたことが明らかに。

ということで、志位委員長の記者会見全文はこちら↓
自衛隊による違憲・違法の国民監視活動を告発する/2007年6月6日 日本共産党幹部会委員長 志位 和夫

で、自衛隊の内部資料そのものも、共産党のホームページで公開されている。全部で166ページもあるので印刷するのも大変だけれども、集会やデモ行進だけでなく、わずか数名程度の宣伝、署名、ビラ配りまでチェックしている。さらに、どんな演説をしていたか、どんなビラをまいていたか、横断幕のスローガンやシュプレヒコールの内容まで、克明に記録されていて、驚きます。こんなのは、新聞記事などから集めることは不可能。つまり、宣伝や集会などの場所に、実際に自衛隊員が出かけていって、何をしゃべっているか、どんなビラをまいているか、しっかりチェックしているということです。これを世間では「監視」といいます。

自衛隊は「法令範囲内の任務」と言っているが、行政機関が、本人に無断で、個人の名前まで記載して、勝手に政治的傾向のレッテル貼りをして情報を収集・集積するのは、明らかに個人情報保護法に違反する。

共産党が公表した自衛隊内部資料を見たい人は、こちらから↓。
入手資料一覧(PDF形式)

自衛隊が「市民」監視 批判的289団体・個人 内部文書を共産党入手(東京新聞)

↓自衛隊の「情報保全隊」って何、というのはこちら。
ワードBOX 情報保全隊(西日本新聞)

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年金不明5000万件というけれど……

年金の該当者不明記録が5000万件あるといわれていますが、これはあくまで一部のサンプル調査から推計したもの。他方で、昨日、国会で明らかにされた数字では、時効撤廃によって補償されるのは25万人分、950億円だという。

5000万件と25万人――どう考えても、数字が違いすぎる。もちろん、1人で年金記録が複数あるということが問題なのだが、それでも1人で10個、20個も年金記録があるということはあまり考えられない。また、すでに死亡した人の分がそんなにむやみやたらにあるとも思えない。そうすると、5000万件の不明記録の大部分が誰の年金かわからないままで終わってしまう、ということになるのではないだろうか。

年金記録漏れ、時効分25万人で950億円…社保庁試算(読売新聞)

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松岡農水相が自殺

現職閣僚の自殺は初めて。事務所経費問題では強気の答弁をくり返していましたが、緑資源機構の官製談合事件では相当苦しい立場に追い込まれていたもよう。27日には、自民党の金子一義衆院予算委員長から「辞職すべき」と言われたほどで、こうなってみると、金子氏の発言もたんなる個人的感想ではなかったのかも知れません。

しかし、安倍首相は、直前まで「問題なし」と弁護していた訳で、その責任はいっそう大きなものがあります。
それから当然のこととして、これで「政治とカネ」問題に“フタ”では困ります。

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経済財政諮問会議、民間議員が個人住民税の引き上げ要求

民間議員というけれど、日本経団連の御手洗会長が含まれています。要するに、財界・大企業として、個人住民税(均等割)を引き上げて、その分、法人税やら法人住民税などは引き下げてくれということです。

「個人住民税引き上げを」と民間議員=地方消費税拡充では対立?諮問会議(時事通信)

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自民党はなぜ地方首長多選禁止をしたがるのか?

自民党が、知事・政令市長の多選禁止法案の検討を始めることに。

しかし、なぜ自民党は、地方首長の多選禁止をやりたがるのか? 理由は簡単。

多選禁止法案検討へ 知事・政令市長2期か3期まで 自民:政治(東京新聞)

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靖国派が「価値観外交」議連

自民党の若手・中堅議員が「価値観外交を推進する議員の会」を結成。

「価値観外交」とは聞き慣れない言葉ですが、「自由、民主主義、人権の尊重、法の支配」という価値観にもとづいた外交をすすめるというのだ。しかし、その実体は、いわゆる靖国派の集まり。会長の古屋圭司氏は、「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の会長でもある。郵政民営化に反対したが、靖国派ということで、復党が認められたクチ。顧問の中川昭一政調会長はいうまでもない。

その主張も、外交にとどまらず、靖国参拝、教科書、「300日規定」の見直し反対などなど、ほとんど言いたい放題の状態。ジェンダー・バッシングの先頭に立っている山谷えり子首相補佐官や稲田朋美氏、西川京子氏もメンバー。

「親安倍」43人が派閥横断の外交議連(朝日新聞)
保守系議連に31人参加(NIKKEI NET)

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防衛施設庁、沖縄・辺野古沖への機器設置を強行

沖縄の米軍普天間基地の移転先とされている名護市辺野古で、基地建設に反対する住民たちが座り込むなど抗議するなか、防衛施設庁は、海上保安庁の巡視船や自衛隊員まで動員して、基地建設のための調査機器の設置を強行しました。

作業車両の進入を阻止しようと漁港入り口で座り込む反対派の市民ら=18日午前5時50分ごろ、名護市・辺野古漁港(伊藤桃子撮影):沖縄タイムス

那覇防衛施設局のチャーター船を取り囲む反対派のカヌー=18日午前10時15分、名護市辺野古沖約3キロの海上:沖縄タイムス

潜水作業に自衛隊 国、機器設置に着手(琉球新報)
調査船囲み阻止行動 辺野古の海緊迫(琉球新報)
反対派、必死の抵抗/辺野古調査(沖縄タイムス)

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産経新聞、従軍慰安婦への軍関与を裏づける

産経新聞が、第二次世界大戦中に作成された米陸軍の資料として、従軍慰安婦の管理・運営に日本軍が関与していたことを裏づける資料を報道しています。

慰安婦「契約の下で雇用」 米陸軍報告書、大戦時に作成(産経新聞)

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靖国供え物 「支持せず」が多数

日本テレビの世論調査。

安倍首相が、靖国神社の例大祭に総理大臣名で供え物をした問題について、「支持する」42.0%にたいし「支持しない」46.8%で、不支持が上回った。また、靖国神社がA級戦犯を「合祀」している問題について、「見直す必要があると思うか」の質問に、「思う」58.5%が「思わない」31.9%の2倍近くになりました。

2007年5月定例世論調査(日本テレビ)

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本当は「謝罪」していなかった安倍首相

従軍慰安婦問題で、訪米した安倍首相がブッシュ大統領にたいして「謝罪」した報道されているが、実は、安倍首相は「謝罪」は表明しなかった。そんな仕掛けを、毎日新聞の金子秀敏・専門編集委員が紹介している。

その仕掛けはこうだ。

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「美しい日本をつくる会」は美しくない…

日本会議の別働隊の1つとして、「美しい日本をつくる会」というのが今年2月に発足している。

この会の特徴は、これが、いわゆる「ジェンダー・フリー」攻撃にとどまらず、自民党なども賛成して成立したはずの男女共同参画社会基本法を攻撃の的にしていること。

設立趣意書(昨年10月)では、「社会や学校の乱れの原因は、共産主義的フェミニズムに根ざした男女共同参画社会基本法」「個人の人格を破綻させ家庭を壊す男女共同参画社会基本法を廃棄しなければ、遠からずわが国は亡国の危機に直面する」などとしている。

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靖国供物問題をメディアはどう論じたか

安倍首相が靖国神社の例大祭に真榊の供え物をしていた問題で、新聞の論説を眺めてみました。

北海道新聞は、「道理のない宗教的行為」だとする社説を掲載。「供え物の奉納も参拝も宗教的行為である」「もし首相が『この程度だったら中国も韓国も反発するまい』と考えているのなら、浅慮である」と批判。さらに、安倍首相が「供物をそなえたかどうかもコメントしない」としたことにたいしても、「不誠実な態度」「首相には説明責任がある」と指摘しています。

中国新聞も社説で、「サカキの鉢植えにつけられた木札には『内閣総理大臣 安倍晋三』と書かれていた。……これで私人の立場だと言えるのか」と批判しています。

毎日新聞は、「否定も肯定もしない」という安倍首相の「あいまい戦略」に中心をおいて批判的な社説を掲載した。外交上の問題とともに、政教分離原則との関係でも疑問を呈しています。社説とは別に、大きな特集記事も掲載(「靖国神社:首相の例大祭供物問題 論争再燃が必至」)していますが、ここでも「あいまい路線」の「是非が内外で問われる」、「『宗教的意義』が焦点」というスタンスは明確です。

朝日新聞の社説は、「靖国神社は、隣国を侵略し、植民地化した戦前の軍国主義のシンボルだ。その歴史はいまもなお神社内の戦争博物館『遊就館』で正当化されている」と指摘。外交、政教分離の問題だけでなく、靖国神社の本質論に踏み込んでいます。ただし、残念ながら“半歩踏み込んだ”という程度で終わっていますが…。

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つじつまが合ってません!!

NHKの職員が酔っぱらって、路上で女性に抱きつき胸を触ったという事件。面白いのは、本人が「よく覚えていない」と言いながら、同時に「言いたくない」と言っていること。しかし、「言いたくない」というのは、何か「言いたくない」ことをやったということを「覚えている」という証拠。

NHKアナ強制わいせつ 逮捕(NHKニュース)

同じようにつじつまが合わないのは、靖国神社の春の大祭に「真榊」を供えていたことが明らかになった安倍首相のコメント。

参拝の場合と同じように「否定も肯定もしない」と答えて終わらせるつもりだったのでしょうが、記者から「供え物には『内閣総理大臣 安倍晋三』とあります。否定のしようがないのではありませんか」と突っ込まれ、しどろもどろの答弁になってしまいました。

 否定はしていません。あの?、否定も肯定もしないということで申し上げているわけだ。(「朝日新聞」2007年5月9日付)

否定はしないが、否定も肯定もしない、とはいったいどういう意味なんでしょうか?

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第2次アーミテージ報告を読んでみた

第2次アーミテージ報告の翻訳が、憲法改悪反対共同センターの「憲法をめぐる動き」コーナーに【翻訳資料】として紹介されています。

URLは以下のとおり。

http://www.kyodo-center.jp/ugoki/kiji/070216armitage.htm

で、あらためて読んでみて気がついたのだけれども、「アーミテージ報告」というのは、日本のために出されたものではなく、あくまでアメリカの利益をめざして、そのために日米同盟をどうしたらよいかという立場から書かれている、ということ。

たとえば、冒頭からこう書かれている。

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靖国神社にかんするニュースあれこれ

安倍首相が、靖国神社の春の例大祭に供物。ポケットマネーとはいえ、「内閣総理大臣」の肩書きは如何。そして、遺族会の勉強会で過半数がA級戦犯の分祀容認と、毎日新聞がスクープ。

首相が靖国神社に供物 先月、春季例大祭に合わせ(東京新聞)
日本遺族会:A級戦犯分祀、勉強会の過半数が容認(毎日新聞)

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愛国心が強いほどアジアへの「反省必要」

昨年12月に朝日新聞が実施した世論調査について、『AIR21』に詳細な結果が報告されていました。

それによると、「自分に愛国心がどの程度あると思うか」の質問に、20%は「大いにある」、58%が「ある程度はある」と回答。「あまりない」「全くない」は合わせて20%しかありませんでした。注目されるのは、同時に質問した、アジアにたいする歴史認識についての回答です。

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石原知事の無責任発言

石原都知事が、阪神・淡路大震災で、知事の自衛隊出動要請が「遅くて2000人が死んだ」と発言したことにたいし、当時の兵庫県知事の貝原氏が反論。

石原知事の発言にいかに根拠がないかは、毎日新聞の「記者の目」欄で、同紙記者が詳しく明らかにしています。

しかし、それ以上に重大なのは、当の石原さんが、27日の記者会見で、この問題について「佐々淳行さん(元内閣安全保障室長)の受け売り。詳しくは佐々さんに聞いてください」と発言したこと。こんな人物が首都東京の防災行政の責任者かと思うと、怖ろしくなります。

記者の目:石原・都知事の阪神大震災発言(毎日新聞)
前兵庫知事、「石原発言見当違い」 阪神大震災巡り反論(朝日新聞)
自衛隊出動要請「遅れた」 大震災で石原知事再び(熊本日日新聞)

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東洋町長選、反対派の沢山保太郎氏が当選

もはや札束で誘ってみてもダメだと言うこと。田舎のことなので、「町を二分した選挙でしこりを残す結果となった」みたいなことが書かれるだろうけど、選挙結果を見る限り、町は二分されてはいない。投票率9割近くで、得票は2倍以上にひらいた訳だから、反対の声は文字どおり有権者の過半数を超えている。

核のごみ処分場白紙に/反対派当選、応募撤回(四国新聞)

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