これが問題の答弁書

米国産牛肉の輸入再開問題に関連して、中川農相の責任問題で話題となっている政府答弁書は、これです。ちなみに、答弁書の差出人は「内閣総理大臣臨時代理国務大臣 安倍晋三」となっています。

衆議院議員川内博史君提出BSE問題に関する質問に対する答弁書(2005年11月18日)

問題の箇所は、答弁書の九の(1)についてで、次のように、はっきり、「輸入再開以前に」担当官を派遣して現地調査を実施することが必要」と書かれています。

九の(1)について

 厚生労働省及び農林水産省においては、米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合には、輸入再開以前に、また、輸入再開後も定期的に、担当官を派遣して米国における我が国向け牛肉等に係る食肉処理施設(以下「対日輸出施設」という。)に対する現地調査を実施することが必要と考えている。具体的には、米国政府による対日輸出施設の監督状況、日本向け輸出証明プログラムに規定する品質管理プログラムの文書化の状況、SRMの除去の実施状況、月齢二十月以下の月齢証明についての遵守状況等について現地において確認したいと考えている。

「再開することとなった場合」という書き方は、当然ながら、輸入再開が決定したならば、実際に輸入が再開されるまでの間に調査をおこなう、ということを念頭に置いたものだと考えられます。
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中川農相居直る 米国産輸入牛肉、事前の現地調査せず

中川昭一農相が、米国産牛肉の輸入再開前に現地調査をおこなうとの政府答弁書を守らず、再会決定前の現地調査を行なわなかった事件。

「お詫びしたい」とは言いながら、「お詫び」の中身は、答弁書からその後政府の認識が変わったことの説明が不足したというもの。事前の現地調査をしなかったこと自体については問題ないと、農相だけでなく小泉内閣全体で居直ってます。

中川農相、現地調査しなかった…米国産牛肉の輸入問題(サンスポ)
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男系論の時代錯誤

女系も認めるという皇室典範の改正をめぐって、「日本会議国会議員懇談会」が反対を決議。

「男系による皇位継承の伝統を根本的に改変する」というけれど、現在の憲法になって、天皇の地位は根本的に変わったことをお忘れのようです。現行憲法の成立によって、男系男子による「万世一系」の皇統という「伝統」は否定され、天皇の地位は、あくまで「国民の総意」によるものとなったのです。「国民の総意」以外のもの――男系男子による「血統」などを持ちだして、天皇の地位を正当化しようという人たちは、まず日本国憲法を勉強し直してください。

皇室典範改正案の成立不透明 超党派議連が反対決議(北海道新聞)

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麻生外相、「天皇の靖国参拝を」と発言

麻生外務大臣が、名古屋市内の講演で天皇の靖国参拝が一番だと発言。

「天皇陛下万歳」といって死んだ人々を「英霊」として祀ってあるからこそ、靖国神社への首相や天皇の参拝が問題なのだということが、まったく分かっていないようです。

麻生外相「天皇の靖国参拝実現を」(中国新聞)
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アーミテージ米前国務副長官が、自衛隊の5月イラク撤退に理解

アメリカのアーミテージ前国務副長官が、日本テレビの単独インタビューに答えて、イギリス、オーストラリアの撤退にあわせて自衛隊が撤退することに理解を示したそうです。

米・アーミテージ前国務副長官 自衛隊の5月のイラク撤退に理解(日テレNEWS24)
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ゼーリック国務副長官、日中関係の悪化懸念を表明

ゼーリック国務副長官が、日中関係の悪化に懸念を表明。

米政府が、日中関係の悪化に懸念を表明していることは、以前から、このブログでも紹介してきましたが、今回ゼーリック副長官は、対立緩和のために日中韓の歴史共同研究の仲介を申し出ました。
相当本気みたいですねぇ?

<米国務副長官>日中双方に緊張緩和の努力促す(毎日新聞)
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日本経団連・奥田碵会長ら社外取締役に

日本経団連会長の奥田碵氏と、経済同友会元代表幹事(終身特別顧問)の牛尾二郎氏が、新しく発足した日本郵政株式会社の社外取締役に就任。

経済財政諮問会議の民間議員として、郵政民営化の先頭に立っておいて、民営化されたら、ちゃっかりその社外取締役におさまるなんて、あまりに都合良すぎませんか?

西川社長を正式選任へ 日本郵政会社の創立総会(中国新聞)
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消費税を1%上げればGDP0.4%減

日本総研の試算で、消費税を1%ひきあげた場合、GDPが0.4%減少することが明らかに。

消費税を10%引き上げた場合、年収1234万円の世帯で年収の6.2%の負担増になるのにたいし、年収347万円の世帯では10.5%の負担増に。消費税の逆進性も確かめられたことになります。

消費税1%上げでGDPは0.4%減…日本総研試算(読売新聞)

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理屈は後からついてくる

額賀防衛長かんが、弾道ミサイル防衛に関連して、自衛隊が収集した情報をアメリカに提供し、それが米軍の武力行使につながったとして、「一般的な情報交換の一環」なら集団的自衛権行使にはあたらないとの解釈を発表。

弾道ミサイルが飛んでくるという情報は、「一般的な情報」なのだろうか? 弾道ミサイル迎撃のための情報交換は「一般的」なんだろうか? いまや情報抜きに軍事は考えられないが、どうやら日本だけは例外のようだ。

弾道ミサイル 日米情報共有へ(NHKニュース)
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靖国参拝を争点にすべきでない…?

小泉首相が、靖国問題を総裁選の争点とすべきでないと発言したそうですが、総裁選で靖国参拝を公約に掲げて争点化したのがご自分だったことをお忘れになったんでしょうか?

それからもう1つ。首相の靖国参拝は、いまや外交上の大問題。それをどう解決するか明らかにしないまま総裁を選んでも、政治的には意味がないのでは?

小泉首相、「靖国」争点化否定 総裁選「選挙の顔」重視(朝日新聞)
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小泉首相の靖国発言に関する社説

小泉首相が年頭記者会見で自らの靖国参拝について「外国政府が心の問題に介入するのは理解できない」と批判したことについて、各紙の社説などを調べてみました。

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武器使用の規則を決めるより、武器を使わなくてすむための方針を

産経新聞が、防衛庁が自衛隊の交戦規則に武器使用を明確な任務として明記することを決めたと報道。

報道では、領空侵犯機が抵抗した場合への応戦などのケースが上げられています。領空侵犯機への武器使用を「武器の防護」という理由で公認しようというのも奇妙な論理ですが、それ以上に奇妙なのは、こうした動きの背景として、「中国軍機の防空識別圏への侵入」を上げていることです。

防空識別圏は、日本側が領空の外に設定したラインです。そこを超えて中国軍機が飛んできたからといって、中国軍機が日本の領空を侵犯したわけではありません。東シナ海にあるガス田施設も日本が主張する経済領域の外側にあって、したがって、中国軍機の飛来を日本の領空侵犯への対処と同列に論じることはできません。

しかも実際には、自衛隊機だって頻繁に中国のガス田施設の偵察飛行をおこなっています。自分が飛んでいくのには何の問題もなく、相手が飛んでくるのには脅威だというのは、国際社会に通用する議論ではありません。

東シナ海領空侵犯 武器使用の「任務」明記 防衛庁、戦闘機応戦を強化(産経新聞)
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竹中総務相、消費税10%以上引き上げを主張

消費税10%強。強というのがどれぐらいか不明だが、自民党内部の検討では13?15%程度という数字も出ている。15%を10%強というのも相当に強引だが、名目成長率3%以上というのは、相当に現実離れした数字では? それでようやく10%強に押さえられるというのだから、現状のままなら消費税20%は必至。

財源不足は消費税で、という発想になると、結局、この範囲の議論から抜け出せなくなってしまう。

デフレ克服し消費税率10%強に抑制 竹中総務相(産経新聞)

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ヒル米国防次官補、靖国問題での日中・日韓関係の悪化に懸念を表明

ヒル米国防次官補が、5日記者会見し、そのなかで、小泉首相の靖国神社参拝問題をめぐって日中・日韓関係が悪化していることに米政府の懸念を表明しました。

日経新聞によれば、ヒル国務次官補は、明言はしなかったものの、米政権内部に小泉首相の靖国参拝に批判的な意見があることを示唆。毎日新聞が報道したように、「米国には仲介の意思がないことを改めて明確にした」というのも、同じように、小泉首相の靖国参拝そのものを容認するつもりがないからでしょう。

米国務次官補、日本に中韓と関係改善を促す(日経新聞)
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横須賀米兵、女性殺害を認める

神奈川県横須賀市で3日に発見された女性殺害事件で、キティーホーク乗組員の米兵(複数)が、米軍の取り調べに殺害を認める供述をおこなっていることが明らかに。

小泉首相は、米軍に規律保持を求めたそうですが、規律保持を求める前に、まず犯人の引き渡しを要求するのが日本の総理大臣のつとめでは?

横須賀の女性殺害、米兵が犯行認める供述(朝日新聞)
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靖国問題への言及を隠してもらった日本

昨年11月の日米首脳会談で、小泉首相の靖国参拝問題が話し合われたにもかかわらず、日本政府が米側に要請して、公表を避けていたことが明らかに。

米政府が、この間、日本の対中関係悪化に不満を持っていることはもはや公然の事実。米政府に要請して一時的に問題を隠すことはできても、問題の根本的解決にはなりません。

「靖国」公表避ける 日本、首脳会談で米に要請(産経新聞)
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米政府が日本に手渡した今年の「年次改革要望書」

12月7日に、米政府が日本政府たいして今年の「規制改革要望書」を提出したことは前に紹介しましたが、駐日米大使館のホームページで、その日本語訳全文が読めるようになりました。

経済・通商関連(在日米国大使館)

↑ここから「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書 (2005年12月7日)」をクリックしてください。PDFファイルが開きます。

ひき逃げしても、公務中ならいいのか?

米軍の女性兵士が、22日、八王子市内で小学生3人をはねたまま逃走。30分後に逮捕されたが、「公務中」だったということで、日米地位協定にもとづき即日釈放されていた、という事件。

公務中っていったって、別に戦闘中だったわけじゃない。なのに、なぜ特別ルールを適用しなければならないのか?

女性米兵がひき逃げ、逮捕も「公務中」で即日釈放(読売新聞)
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今年の「年次改革要望書」

関岡英之氏の『拒否できない日本』(文春新書)ですっかり有名になった「年次改革要望書」ですが、今年の分が、12月7日、米政府から日本政府に提出されました。ただし、まだ日本語訳は公表されていません。最近、随分と話題になったので、ひょっとしたら公表しないつもり…なのかな?

日本政府に規制改革要望書を提出(駐日アメリカ大使館ホームページから)
郵政民営化で重ねて注文 米、規制改革で対日要望書(共同通信)

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