「満州はドイツの権益を譲り受けた」――安倍晋三氏、珍説を開陳

サンデープロジェクトで、自民党の安倍晋三幹事長代理と共産党の志位和夫委員長とが対決。そのなかで、安倍氏は、「満州は攻め入ってつくったわけではない」「満州の権益は、第1次大戦で日本がドイツの権益を譲り受けた」と発言していました。

しかし、第1次世界大戦で「戦勝国」として、日本が中国から取り上げたドイツ権益は山東省の青島・膠州湾地域のもの(ベルサイユ講和条約第4篇8款、参照)。日本が中国につきつけた「対華21カ条要求」でも、山東省のドイツ権益以外に、日本が寄こせと要求したドイツの権益はありません。それに、そもそもドイツは「満州」(中国東北地方)に「権益」など持っていなかったのですから、もともと譲り受けようもなかったのです。

安倍晋三ともあろうお方が、この程度の知識で「歴史問題」を論じていたとは…。「無知(無恥?)より強いものはない」。あれこれいう前に、まず歴史のお勉強をしましょう。
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週刊雑誌の「靖国」特集

『エコノミスト』(毎日新聞社)8月2日号と『AERA』(朝日新聞社)7月25日号が、それぞれ靖国問題の特集記事を載せています。

どちらの特集でも、たとえばグアムで生存していた横井庄一さん(72年帰国)やフィリピン・ルバング島で「任務」を続けていた小野田寛郎さん(74年帰国)なども、戦死したものとされていたため、靖国神社の神様を記したものとされる「霊璽簿」に名前と戦死場所、日時などが記載されている、という興味深い事実が紹介されています。
ちなみに、この問題について、靖国神社側は「名簿に名前は載っていても、亡くなっていないから魂が来ていなかった。だから最初から合祀されてはいなかった」という立場をとっているそうです。「いちど名前を載せた以上、分祀はできない」という一方で、「名前は載っていても、合祀されていない」など、実に融通無碍な理屈ですねぇ…。
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民主党、多国籍軍への参加認める素案を提示

国連安保理決議に基く多国籍軍など、「など」って何? PKO法とはどこが違う? 自衛隊とは別組織にするということだけれども、武器は? 武装はどうするつもり? 武装していくなら別組織にしたところで、自衛隊の海外派兵そのもの。

これだけの記事では、何も分からん。だれか、素案の全文を教えてくれ?!

多国籍軍参加へ素案提示 民主、武力行使に制限(共同通信)
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山崎拓・自民党前副総裁は「起訴相当」

日歯連不正献金事件で、東京第2検察審査会は、自民党前副総裁の山崎拓衆議院議員を「起訴相当」とする議決をおこないました。

問題は、日歯連が、山崎前副総裁に3000万円、自見庄三郎元郵政相、木村義雄元厚生労働副大臣(どちらも衆院議員)に1000万円献金をしておきながら、それを自民党の政治資金団体「国民政治協会」宛5000万円の献金として処理したこと。政治資金規正法違反の「迂回献金」にあたる訳です。他の2議員がいずれも「不起訴不当」なのにたいし、山崎拓氏については「起訴相当」としたのは、当時、自民党幹事長という立場にありながら政治資金規正法の趣旨をふみにじったことを重くみたということです。

日歯事件で3千万迂回献金疑惑「山崎拓氏、起訴相当」(読売新聞)

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「訓練の中止要請できない」

米軍都市型戦闘訓練施設での実弾射撃訓練に抗議する沖縄の稲嶺知事の要請にたいし、政府は、「訓練の中止の要請はできない」の回答。いったい、どこの国の政府なのやら…。

知事が政府に直訴 政府「訓練の中止要請できない」(琉球朝日放送)

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民主党「財政健全化プラン」

14日、民主党が「財政健全化プラン」(中間報告)を了承。発表された「プラン」を見ると――

「第1改革期間」(最初の3年間)の歳入増項目として、「控除(扶養・配偶者・配偶者特別)廃止(1.9兆円)」があげられています。これは、いま政府税調(石弘光会長)が打ち出して大問題になっている「サラリーマン増税」と基本は同じです。また、この期間に、「年金目的消費税」を創設するとしています。
社会保障費については、昨年12月に確認された「『財政健全化プラン』策定にあたっての基本方針」で、すでに「各年度の社会保障に係わる予算の伸び率は、GDPの伸び率以下に抑制する」となっています。

第2改革期間(第1改革期間終了後の5年間)には、「必要な財源を確保するため、税制の抜本的改革を行う。その際、『公平・中立・簡素』の原則をふまえつつ、広く、公平に負担を求めることとし、また経済活動・民間活動の拡大・促進に配慮する」としています。「公平・中立・簡素」とか「広く、公平に負担」というのは、政府税調や日本経団連などが、消費税増税、所得税累進制緩和(つまり金持ち減税)、課税最低限度の引き下げなどを主張するさいにもちだす口実です。
また「経済活動・民間活動」に配慮するというのが、庶民の暮らしへの配慮でないことはいうまでもありません。ここでいう民間=大企業であり、日本経団連などが要求している法人税引き下げを実現しますよ、ということを財界にむかって約束しているわけです。

8年間で基礎的収支黒字化 民主が財政再建プラン(河北新報)

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フィナンシャルタイムズ紙の「靖国史観」批判

靖国神社の「日本の戦争は正義の戦争だった」という特異な歴史観について、ニューヨークタイムズ、USAトゥデーの記事を紹介しましたが、こんどは英紙フィナンシャル・タイムズが、7月19日付で「アジアの騒ぎ――まさに地域経済が統合されるときに、ナショナリズムが高まる」という記事を掲載。そのなかで、靖国神社の特異な戦争観について、次のように書いています。

The Yasukuni museum next to the shrine shamelessly glorifies Japan’s war record and glosses over such “incidents” as the Nanjing massacre, but the mixed and sometimes acerbic responses recorded in the visitors’ books suggest that many Japanese remain unconvinced.

拙訳で概略を紹介すると――

神社に隣接する靖国博物館〔遊就館のこと〕は、恥知らずにも、日本の戦争の記録を美化し、南京大虐殺のような“事件”についてごまかしている。しかし、来館者ブックに記録された、様々なそして時には辛辣な反応は、多くの日本人が依然として納得してないことを示唆している。

フィナンシャルタイムズ紙の記事全体は、日本だけを批判したものではなく、中国や韓国の「ナショナリズム」も問題にしています。そういう立場からのものであっても、靖国神社・遊就館がおこなっている「日本の戦争は正義の戦争だった」という主張は、「恥知らず」なものとしか言いようのないものだと批判されているところに、この記事の妙味があります。

FT.com / Home UK – A stir in Asia: nationalism is on the rise even as the region’s economies intertwine
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郵政民営化で郵便振替の料金はどうなる?

僕は、インターネットで古本をよく買っていますが、そういうときの代金の支払いは、ほとんど郵便振替です。現在、この郵便振替は、郵便局のATMで自分で操作すれば、手数料60円です。これがもし民営化されて、銀行並みになったら、どうなるでしょう。

自分が口座を持っている銀行と、振込先の銀行が同じ銀行というのが一番安くすむケースですが、それでも、キャッシュカードを使ってATMから振り込むにせよ、インターネットバンキングで振り込むにせよ、ともかく自分で操作するのが一番安い方法ですが、それでも105円かかります。

自分が口座を持っている銀行と、振込先の銀行が違う場合は、もっと高くつきます。

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G4案共同提案国、アジアからは…

国連改革枠組み決議案(G4案)の共同提案国は、G4を除く23カ国。それを地理的に分類すると…。

※その後、リトアニアとマーシャルが共同提案国に参加し、共同提案国はG4を除いて25カ国になりました(「日経」7/12付による)。

アジア(3カ国)
アフガニスタン、ブータン、モルディブ
ヨーロッパ(11カ国12カ国)
ベルギー、チェコ、デンマーク、フランス、グルジア、ギリシャ、アイスランド、ラトビア、ポーランド、ポルトガル、ウクライナ、リトアニア
大洋州(6カ国7カ国)
フィジー、キリバス、ナウル、パラオ、ソロモン、ツバル、マーシャル
中南米(3カ国)
ハイチ、ホンジュラス、パラグアイ

※リトアニアとマーシャルはその後共同提案国に参加。
(注)地理的区分は、外務省ホームページの「各国・地域情報」の分類による。

ということで、日本はアジアから3カ国の賛同しか得られなかったのとは対照的に、ドイツがヨーロッパ11カ国12カ国から賛同を得ていること(しかも、そのなかにはベルギー、フランス、ギリシャ、ポーランドなど、かつてナチス・ドイツの被占領国が含まれていること)が目立ちます。

安保理拡大枠組み決議案、共同提案国は23 G4が提出(朝日新聞)

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沖縄 米軍都市型訓練施設で実弾演習

米軍が、沖縄・金武町にある米軍キャンプハンセンの都市型戦闘訓練施設で実弾射撃演習を強行したのにたいし、19日、金武町で超党派の県民抗議集会が開かれ、1万人が参加しました。

民家からわずか300メートルのところで実弾をつかった訓練をやるんですよ。ほんとにめちゃくちゃです。本土では、ほとんど取り上げられなかったニュースですが、地元の琉球新報も沖縄タイムズも号外まで発行して取り上げた大きな事件です。僕ら本土の人間は、まずそのことを受け止める必要があると思いました。

【速報】訓練阻止へ怒り結集 金武町で抗議県民集会 米軍都市型訓練施設(琉球新報)
「都市型」に1万人抗議/金武町で県民集会 党派超え撤去要求/政府姿勢を批判(沖縄タイムス)

そして、こっちがQAB琉球朝日放送の、当日のニュース映像です。当時のニュースの概略を活字化してますが、動画を見てもらえれば、当日の集会の様子がもっと生々しく伝わってきます。
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靖国史観――アメリカのメディアの反応

「日本の戦争は正しかった」とする“靖国史観”派にたいするアメリカのメディアの報道を2つ紹介します。

1つはニューヨークタイムズ紙6月22日付の記事、もう1つは、USAトゥデー紙6月23日の記事です(抄訳)。

日本のために無罪判決を求める戦争神社
ニューヨークタイムズ6月22日付

 靖国神社は、日本の軍国主義の過去を再評価しようとする動きの象徴的中心であり、日本と近隣諸国との関係悪化の核心に横たわっている。……

 靖国の戦争博物館〔遊就館のこと――訳注〕は、「参戦によってアメリカ経済は完全に復興した」と言うことによって、アメリカが大恐慌から逃れるために、日本に真珠湾攻撃を強要したと主張する。博物館で上映されている「私たちは忘れない」というビデオは、アメリカの戦後の日本占領を「無慈悲」なものと描き出している。しかし博物館は、日本自身のアジア占領には言及していない。たとえば南京大虐殺について、博物館は、中国人司令官を非難し、日本の活動によって「市内では、市民が再び平和な生活を送れるようになった」とつけくわえている。……

 靖国史観は、ほとんどのアジア人やアメリカ人が受け入れることのできないものである。

東京の神社がアジア中の怒りの的
USAトゥデー紙6月23日付

 数十年前、帝国の日本軍に占領され、じゅうりんされた中国、韓国その他のアジア諸国は、小泉首相の挑戦的な靖国参拝が、血塗られた過去へ反省を示すことを日本が拒否していることの象徴であるとみている。問題は、1978年に靖国神社が……第2次世界大戦後国際法廷によって有罪を宣告された14人の「A級」戦犯を、ひそかにまつったことである。
 靖国神社をめぐる(そして、日本の戦争中の残虐行為をもみけそうとする教科書をめぐる)論争は、日本にとって外交上の結果をもたらしつつあり、アジア中の神経を逆なでしている。……

 靖国神社のウェブサイトは、1941年の真珠湾攻撃と中国・東南アジアの侵略をこんなふうに説明している。「国の独立と平和を維持し、全アジアを繁栄させるために、日本は戦争を余儀なくされた」。靖国神社は、悪びれることなく、14人の戦犯を「連合軍のでっちあげ裁判で戦犯の汚名をきせられ」た殉難者だと描いている。

ニューヨークタイムズ紙の記事は、すでに有料検索の対象になっています。
USA TODAY紙の記事はこちらから。→USATODAY.com – Tokyo shrine a focus of fury around Asia

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首相の靖国参拝についての世論調査

首相の靖国参拝についての世論調査2つ。

1つは、今日の「毎日新聞」。「小泉首相が今後も靖国神社参拝を続けることに賛成ですか?」の設問に、賛成39%にたいし反対51%。毎日新聞がこれまで実施してきた世論調査では、賛成派が46%(昨年12月)→39%、反対派は41%(同)→51%へと逆転。“潮目”の変化は明瞭です。

小泉首相の靖国神社参拝賛成派と反対派の推移
(「毎日」7/19付 、数値は単位%、元の記事では折れ線グラフ)

04年12月 05年4月 6月 7月
支持派 46 42 41 39
反対派 41 45 50 51

国立追悼施設についての調査では、「戦争で亡くなった人」全体を追悼する「無宗教の施設」というところがポイント。ここが守られないと、追悼施設の性格がおかしくなります。

もう1つは、四国新聞が報道していた「輿論科学協会」の調査。「今年は参拝を見送るべきだ」が66%を占めています。東京の大学生204人を対象にしたアンケートということで、調査対象が少ないですが、大学生対象の調査として注目されます。同時に、小泉内閣「支持」が60%、というのは、僕にはよく分かりませんが…。

世論調査:国立追悼施設「賛成」が63%(毎日新聞)
「見送るべきだ」66%/首相靖国参拝、学生に調査(四国新聞)
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在日米軍再編>横田の管制権返還、自衛隊と共同使用

米軍横田基地の管制業務、日本に返還。航空自衛隊の航空総隊司令部が横田に移転し、基地を共同使用。管制業務は自衛隊が引き継ぐらしい。

といっても、横田コプランの全空域が返還されるわけではなく、民間に開放されるのはその一部だけらしい。横田基地をなくさない限り、空域の全面返還は実現しないと言うことです。

横田の管制権、返還で日米大筋合意…民間機に一部開放(読売新聞)
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一発食らわせればいい、ではすまない話…

すこし古いニュースですが、北朝鮮の寧辺原子力発電所を米軍が空爆して破壊したときに、どれぐらいの影響がおよぶか、韓国軍当局がシミュレーションしていたことが明らかになったと、「朝鮮日報」が報道しています。

それによれば、半径10?50キロ以内では、80?100%の人が死亡、日本を含む400?1400キロ圏でも被曝量は5rem、国際放射線年間被曝許容基準値の10倍に達するとのこと。

“一発食らわせてやればいい”とではすまない話です。

寧辺の原子炉2個破壊時は、日中も大規模な被害(朝鮮日報)
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靖国神社の歴史観は政府談話と相いれない

今日の「読売新聞」の論点欄で、元駐米大使の栗山尚一氏が「反日デモの教訓 過去を直視する勇気必要」と題して、首相の靖国参拝問題について意見を述べられています。

栗山氏は、まず10年前の政府談話(いわゆる村山談話)を紹介し、これは「自虐的なものではない」「若い世代はぜひ……この談話の意味と背景を学んでほしい」と指摘。続けて、こう書かれています。

 筆者は、政府の責任ある立場にいるものの靖国参拝には異論がある。韓国や中国が反対しているからでも、戦没者の慰霊が大切と思わないからでもない。同神社の博物館(遊就館)の展示などに示される歴史観が、政府談話の認識と相いれないと考えるからである。

外務事務次官、駐米大使などの歴任された方が、このように靖国問題の本質をずばり真正面から批判されているのは、重要な指摘だと思います。

それほど言うなら、プライドもってサマワへ行けば?

「従軍慰安婦はなかった」発言の中山文科相が、自分を支持してくれたメールを得々と紹介したそうな。

しかし、「戦地にある不安定な男の心をなだめ、一定の休息と秩序をもたらした存在と考えれば、プライドを持って取り組むことが出来る職業だった」とは! そこまでいうなら、ぜひともこのメールを送ったというご本人がサマワへ行って、男性自衛隊員の心をなだめられたらどうだろう? いや、自由と民主主義のために果敢に闘っているアメリカ兵(男性)のためにも、プライドある仕事に励まれたらいかがだろうと言いたくなるぐらい、馬鹿げた発言。それを得意げに紹介する政治家はなにをか言わんやです。

ちなみに、産経やら読売は、この部分を報道していません。これも、メディアとしていかがなものか。

慰安婦発言支持のメール、中山文科相「感銘受けた」(朝日新聞)
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