「電話作戦」を業務委託するのは公職選挙法違反

問題となったのは、NTT関連企業に報酬を支払う約束で「電話作戦」(個別に電話をかけて支持を訴える)をおこなったこと。選挙活動は、支持者が無報酬でおこなうのが原則。報酬を支払うとして企業に委託し、アルバイトを使ってやることは許されません。

それより問題なのは、最高裁判所が上告を棄却し、判決が確定したにもかかわらず、宮城2区の今野東議員が、「間違ったことをやったとは思わない」といって議員辞職しないことです。国会議員が司法の最終判断を無視するというのは、「三権分立」をふみにじるものとも言えます。

「法律の恣意的な運用を正す」として公職選挙法の改正を目指すとした民主党の川端幹事長にいたっては、判決が確定したにもかかわらず「あれは犯罪ではない」と開き直るもので、公党としての責任が問われます。

百日裁判 最高裁が上告棄却 鎌田氏、議員辞職へ(河北新報)
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イラク派遣延長反対58%、小泉首相「説明不足」76%

「朝日」世論調査(18、19日実施)によると、自衛隊のイラク派遣延長について「反対」58%で、「賛成」31%を大きく上回りました。また、小泉首相が説明責任を「果たしている」は15%しかなく、「果たしていない」は76%に達しました。

●イラク派遣延長に…

賛成 反対
31% 58%

●小泉首相は説明責任を…

果たしている 果たしていない その他・答えない
全 体 15% 76% 9%
派遣延長賛成 32% 60% 8%
派遣延長反対 6% 88% 6%

派遣延長、首相の説明「不足」76% 朝日新聞世論調査
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座間の米陸軍司令部、指揮権は極東有事に限る?

在日米軍再編をめぐる11月の日米審議官級協議で、キャンプ座間に移転したあとの米陸軍第1軍団司令部は、極東有事の場合に限って作戦指揮権をもつとの方針が提示されていたことが明らかになりました。

しかし、第1軍団に所属する部隊が「極東」外に派遣されることはありうるとの立場で、その場合は第1軍団司令部の指揮から外れるので「極東条項」に抵触しないという理窟になっていると「毎日」記事は指摘しています。要するに、第1軍団司令部のもとにおかれた部隊は、極東に限定されずどこへでも作戦出動する、ということです。

在日米軍再編:座間の陸軍司令部 指揮権は極東有事に限定(毎日新聞)
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どうして「一気に解決」なのだろう?

北朝鮮「制裁」論の急先鋒、安倍晋三・自民党幹事長代理が「レベル5を発動し、一気に解決させるという手もある」と発言したそうですが、実際の問題として、どうやって「一気に解決させる」というのかよく分かりません。

外交問題は交渉を通じて解決するしかないのだから、「意味がない」と思う相手であっても、「制裁あるのみ」と席をけってしまえば、こちらの負け。もちろんだからと言って、ただ「話し合いましょう」と言うだけが交渉でないことも自明のことで、そこで外交的な「かけひき」が生まれるのです。ところが、まだ「かけひき」も始まってないうちから、与党幹部が「交渉は意味がない! 制裁だ!」と言って回るのは、「下策中の下策」だと思うのですが。

<安倍晋三氏>経済制裁、「レベル5で一気に解決も手だ」(毎日新聞)
北との交渉継続「意味がない」=安倍自民幹事長代理(毎日新聞)
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米国務副長官、やや軌道修正?

昨日、小池百合子沖縄北方担当相との会談で、経済制裁発動に慎重姿勢を見せたと報道されたアーミテージ国務副長官が、平沼赳夫・拉致議連会長との会見で、「アメリカは決して消極的ではない」と、態度を「軌道修正」させたと報道されています。

しかし、「段階を踏んでおこなうことが大事」と述べたほか、制裁をおこなうかどうかはあくまで日本政府の問題として、アメリカ政府から「経済制裁をやるべし」とは絶対に言わないという立場は変わっていません。、安倍晋三・自民党幹事長代理の「経済制裁で一挙解決」発言などには同調しない態度は明確。そこがポイントでしょう。

北への経済制裁、基本的に支持…米国務副長官(読売新聞)
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米国務副長官、経済制裁に慎重

北朝鮮に対する経済制裁が取沙汰されていますが、アーミテージ米国務副長官は、制裁発動に慎重であるべきだとの考えを示しました。訪米して会談した小池百合子沖縄北方担当相が明らかにしたもの。

小池百合子担当相は、「制裁カードとして見せていることが有効だ。実際にやれば大変だ」とかタイミングの問題として理解したみたいですが、アメリカが関心を持っているのは、日本が経済制裁を発動することで6カ国協議の枠組みが壊れるのではないかということ。その立場から、日本の“暴走”を牽制したものと思います。

拉致問題については、北朝鮮の交渉担当者も、拉致を実行した諜報機関の協力が得られないと言っており、北朝鮮指導部が、諜報機関にメスを入れてでも、この問題の解決を図るという決断をしない限り、先への展開が望めない状況になりつつあります。その意味で、日本側の「交渉」の質も、これまでとは異なる段階に踏み込まざるを得なくなっていると思います。

米国務副長官 「北朝鮮は不誠実」 小池担当相と会談 経済制裁には慎重(西日本新聞)
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「教授会自治」の認められない大学なんて…

毎日新聞東京版によれば、東京都は、来年4月に「首都大学東京」に変更させられる都立大学について、学則の変更を表明。「首都大学東京」発足後も2010年度まで存続する都立大学の教授会は総長・学部長選出や教員人事の権限を失うことになります。

「教授会自治」は、大学の自治、学問の自由を保障する制度的基盤。教授会自治のないところに、学問の自由なし。学問の自由のないところに、学問なし。ということで、制度的にも“石原直営カルチャースクール”化がすすめられつつあります。

がんばれ、都立大学!
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家計負担増、来年度は1兆1000億円

日経新聞によれば、家計の負担増は、来年度だけで、

  • 定率減税の半減による国民全体の税負担増は約1兆6500億円。そのうち、2005年度注の負担増は2000億円。
  • このほかに、配偶者特別控除の廃止など、すでに確定している増税分が4000億円。
  • 今年10月以降の社会保障費の引き上げで5000億円

で、あわせて1兆1000億円にのぼるという。

さらに、2006年度には、定率減税分で1兆4000億円に社会保障費を含め、あわせて2兆1000億円の負担増になるという。

また、65歳以上のうち所得が125万円以下の個人住民税の非課税措置も2006年度から撤廃されるという(12/14付「東京」)。「住民税非課税」は、介護保険の保険料・利用料の減免措置の基準にもなっているので、それをあわせると高齢者世帯にはさらに重い負担になるだろう。

すでに、高額所得者の所得税最高税率は60%から37%に引き下げられている。法人税の最高税率も42%から30%に軽減された。これによる税の減収は20兆円とも言われており、それを放置したまま、定率減税の廃止など低所得者への課税強化は、租税の在り方そのものを否定するものと言わざるをえない。

改憲案より撤収案

今日の東京新聞、谷政幸・論説委員の「政理整頓」。「改憲案より撤収案だね」と題して、曰く、

 ――物書きの立場からすると、活字になった小泉首相の「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」という発言はいただけない。東京新聞でこういう記事を書いたら、読者に分からんと、書き直しを命じられる。小泉流の修辞法の典型だ。
 ――「国益」の名前で自衛官600人が「予断を許さぬ」イラクにさらに1年。撤収のメドも曖昧では、派遣隊員やその家族が気の毒だ。政治が思考ストップなら、自衛官は自衛せよ。撤収マニュアルに遺漏はないか精査を。改憲案づくりに手を貸す暇などないのだ。

 小泉首相のちゃらんぽらん「派遣延長」決定だけでなく、自衛隊幹部の改憲案づくりへも厳しい御批判。なかなか、ピリッと効いたコメントです。

NHKの世論調査

NHKの世論調査で、小泉首相の靖国神社参拝を是とする意見(「続けた方がよい」46%)が否とする意見(「やめた方がよい」38%)を上回る結果が出ました。

しかし、記事をよく読むと、質問のなかで「小泉総理大臣が『これまで参拝してきたのは、心ならずも戦禍に倒れた人たちへの慰霊の気持ちと不戦の誓いを新たにするためだ』と述べたことについてどう考えるか」と言っており、ほとんど誘導尋問。これじゃあ「理解できる」と答える人が多くなるのは当たり前です。

同じ世論調査で、自衛隊のイラク派遣1年延長について「賛成」28%、「反対」62%。また、小泉首相が説明責任をはたしたかどうかでは「果たした」21%、「果たしていない」71%という結果が出ています。

“靖国参拝は継続を”46%(NHKニュース)

NHK世調 内閣支持率44%(NHKニュース)
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中国への無償ODAって、こんなに少なかったのね

対中国ODAの見直しが声高に主張されています。ODAというと、何となく“タダでくれてやる”的なイメージがありますが、無償援助はわずか52億円でODA全体のわずか5%。残り大部分(約967億)は円借款です(※)。

※中国向けODA開始(80年度)から2003年度までの累計3兆3000億円のうち、円借款は3兆472億円にたいし無償援助は1416億円(4.3%)。「毎日」12/14付による。

円借款というのは、お金を“やる”のではなく、低利とはいえ利子を取って資金を“貸す”もの。その資金で、日本企業から物資を購入する場合もあって、その場合は回り回って日本企業の利益にもなるわけです。しかも、谷口誠著『東アジア共同体』(岩波新書)によれば、中国は、この借款をきちんきちんと返しているとのこと(※)。“中国は経済成長したのに、いつまでも日本からODAをもらおうとして、けしからん!”というイメージとは、実は、まったく違っているということです。

※「毎日」12/14付によれば、2003年度は借款967億円にたいして償還額1058億円ということで、差し引きで日本は中国からお金を返してもらっているのです。

対中ODA、数年内に「無償資金」打ち切りへ(読売新聞)
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朝三暮四

来年度、定率減税を半分に縮小することで自民・公明が合意。「景気に悪影響」などの意見でいろいろ紛糾しましたが、結局、政府税調の当初の主張通り、2006年度廃止に向けて来年度半減させるということで決着。「朝三暮四」というより「元の木阿弥」というべきか。

【朝三暮四】ちょうさんぼし
〔「列子{黄帝}」などに見える故事。狙公(=猿回し)が猿にトチの実を朝に三つ、暮れに四つ与えるといったら猿が怒り出したので、朝に四つ暮れに三つやるといったところ猿が喜んだというもの。
(1)表面的な相違や利害にとらわれて結果が同じになることに気づかぬこと。
(2)うまい言葉で人をだますこと。[広辞苑]

【旧の木阿弥(もくあみ)】
(戦国時代、筒井順昭が病死したとき、嗣子順慶がまだ幼かったので、遺言により、声が順昭に似ていた南都の盲人木阿弥をほのぐらい寝所に置いて順昭が病気で寝ているようにみせかけ、順慶が長ずるに及んで初めて順昭の死を世間に知らせ、木阿弥はもとの市人となったという故事から) いったん良くなったものが、再びもとのつまらないさまにかえること。苦心や努力も水泡に帰して、もとの状態にもどってしまうこと。[広辞苑]

05年度に半減で合意へ 定率減税で自民、公明(共同通信)
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新防衛大綱決定

10日、新しい防衛大綱と中期防が閣議決定されました。

今回の防衛大綱の特徴は、1つは、海外活動を自衛隊の「本体業務」に格上げすること。もう1つは「多様な事態への対処」ということで、米軍のミサイル防衛システム(MD)への参加を決め、テロ対策を名目にした部隊強化に踏み出したこと。

日本への「本格的な侵略事態生起の可能性は低下」と言うなら、日本は軍縮に向かうべきです。にもかかわらず、「新たな脅威」を押さえるために自衛隊は米軍に協力して積極的に海外へ出て行こうというのは、まったく矛盾しています。米軍との一体化を進めれば、ますます日本は「テロ」の標的にされる危険性が高まるだけです。

また、中国との関係でも、東アジアにどのような安全保障環境をつくるのかという大きな方向がないので、結局は、「中国脅威論」を言いつのって、相互緊張を高めるだけ。かつてはソ連の脅威、こんどは中国、北朝鮮の脅威と、脅威をあおり立てるのが防衛政策ではありません。

<新防衛大綱>決定 ミサイル攻撃に弾力対応、安保政策転換(毎日新聞)
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自民党・武部幹事長がまたまた暴言

自民党の武部幹事長が、またまた暴言・失言を乱発しました。

1つ目。犯罪の凶悪化や教育現場の荒廃にたいして「一度自衛隊に入って、サマワみたいなところに行って活動したら3カ月で人間性が変わる」と発言したそうな。こんな言い分がウソ、デタラメであることは、自衛隊員や元自衛隊員の犯罪が増えてることだけ見ても明白。自衛隊で根性たたき直せというなら、まず1億円の献金を記載しなくても平気という政治家からどうぞ。

2つ目。同じく、犯罪の凶悪化や教育の荒廃について、「憲法や教育基本法を改正しても簡単に変わらない」とも発言。それなら、憲法や教育基本法の改悪をやめろ!

3つ目。サマワに視察に行ったときにムサンナ州警察本部を訪ねなかったとして、同警察本部長が批判していることにたいし、「そんなに自治警察が整備されていると思っていなかった」と釈明した。…って、言うじゃな〜い 要するに、あんたがイラクのことを見くびってたっていうことでしょ、斬り〜〜〜!

それにしても、このオジサン、どうしてこう次から次へと暴言や失言を繰り返して、平然としてられるんだろう…? こんなのを幹事長にした奴の気が知れない。

サマワに行けば人間性直る 犯罪凶悪化で自民・武部氏(共同通信)
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航空自衛隊、武装米兵1200人を空輸

自衛隊機が、武装した米兵1200人を輸送していたことが判明しました。

武装した兵士の前線への配備は、どうみたって戦闘作戦の一環。それを自衛隊機でやったということは、自衛隊が米軍の軍事作戦行動の一環に組み込まれていると言うことです。

武装米兵ら1200人空輸 空自機の輸送、全容判明(共同通信)
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20代で「続ける」が4割…

11月末の朝日の世論調査。小泉首相の靖国参拝について、「続けた方がよい」38%、「やめた方がよい」39%で拮抗していますが、気になるのは、30代、40代では「やめる」の方が多かったのに対し、70歳以上と20代で「続ける」が4割を占めたこと。70歳以上はともかく、20代でこういう主張の方が多いというのは、やはり真剣に考えなければならない。

首相の靖国神社参拝、賛否二分 本社世論調査(朝日新聞)
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米軍司令部の座間移転 陸自との関係強化ねらい

米軍再編で、米陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)のキャンプ座間への移転がとりざたされていますが、米側の狙いは「米陸軍と陸上自衛隊との関係強化」を主な狙いにあげていることが判明した、と朝日新聞が報道しています。

方向としては、先日の日経新聞での米国防科学技術委員長インタビューと、方向としては共通しています。米軍が日本の基地から地球大に作戦行動を展開するというのも、もちろん問題ですが、米軍と自衛隊との「一体化」はもっと問題といえます。

米軍司令部座間移転「陸自と関係強化」 日米協議で説明 – asahi.com : 政治
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さて、アホは誰か?

麻生総務相が、定率減税縮小にたいし「同じことを2度やったらアホ」と批判したと報道されています。

1997年に、橋本内閣が消費税増税などをやろうとしたとき、「9兆円の負担を国民に押しつけるもの」と批判したのは日本共産党不破委員長(当時)でした。そのとき、“聞く耳持たぬ”と頑なに増税・負担増路線を突き進んで、回復し始めていた景気をどん底に落としたのは、当の自民党でした。

それとは別に、定率減税廃止をぶち上げた政府税調の石会長は、財政学界で何の学問的権威も業績もない「アホ」です(昔、先輩から「石先生に財政学を勉強したなんて言ったら、バカにされるぞ」と言われました)。

「同じことやったらアホ」総務相、定率減税縮小に慎重(読売新聞)
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在日米軍再編、来年2月にも「戦略合意」へ

米大統領選のため一時中断していた在日米軍の再編問題ですが、来年2月に日米安全保障協議委員会(2+2)での「戦略合意」にむけて動き始めました。

「戦略的合意」なんて言ってますが、要は、米軍基地をどこに移転させるかという議論から入ると、移転先の反対が起こるので、具体的な移転計画を後回しにして、まず米軍の世界的再編の方向をまず両政府で確認し、日本政府の協力を約束するところから始めようということです。

アメリカに、在日米軍基地の「価値」を高く売りつける絶好のチャンスなんですが(――もちろん僕は、そんな「高く」売りつけるより、米軍に出ていってもらった方がよっぽどいいと思ってますが)、すすんで対米協力を謳うところから始めようというのですから、日本政府にはそんなつもりはさらさらないようです。

在日米軍再編、2月にも「戦略合意」(NIKKEI NET)
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サマワの治安は安定(ただし、自分の行った時だけね)

 ピンポンパ?ン! 本日のサマワ方面の「治安」予報です。本日のサマワは、「治安安定」、ただし時々砲撃があるでしょう。(^^;)

サマワ滞在5時間半、自衛隊の車両で市内をちょろっと見て回っただけで、「治安は安定している」と言ってみても、余震と余震の間に現地入りして「地震は起きてない」というようなもの。誰も信用しないでしょう。派遣延長の閣議決定にむけた「セレモニー」にすぎないというのが分かっていても、あらためて、国民を小馬鹿にしたやり方に腹が立ちます。

派遣延長にあらためて意欲 サマワ視察後の大野長官(共同通信)
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