アメリカ国務省日本部長のケビン・メア氏が昨年12月、国務省内でおこなった講演の内容を共同通信が暴露した。
アメリカ政府当局者の発想からすれば、政府間で普天間基地の移転について合意をしているにもかかわらず、それが実現する気配もみえない、というのは理解しがたい事態なんだろう。だから、「合意は日本文化」「日本でいう合意とは、ゆすりのこと」という一種の「日本異質論」に行き着いたわけだ。そして、「日本異質論」に行き着けば、「沖縄の人はごまかしとゆすりの名人」「怠惰」という侮蔑的な発言にいたるのは、ある意味当然だろう。
しかし、そもそも彼の認識の根本が間違っている。共同配信記事では省略されているが、メア氏は、もともと普天間は田畑の真ん中だったのに、基地の周辺に住宅を建て、人口が増えるのを沖縄県人が放置したのが悪い、と語っている ((【追記】その後、8日18時13分に配信された共同通信の記事(メア日本部長の発言録要旨:共同通信)では、「普天間はもともと田畑のなかにあった」云々の発言も紹介されている。))。だから、問題解決のために移設で合意したのに、文句をいうのはけしからん、ということになるのだ。
しかし、彼の認識は根本的に間違っている。もともと沖縄の米軍基地は、沖縄占領直後に住民を収容所に強制収用し、その間に県民の土地を勝手に基地にしてしまったのだ。だから、沖縄の人は誰だって、できれば米軍基地はなくなってほしいと思っている。そこで、歴代自民党政権は、何とかカネで「合意」をとりつけてこざるをえなかった。それを「ごまかしとゆすり」というなら、それは、「日本の安全保障のため」といって沖縄に基地を押しつけてきたアメリカ政府と、それに付き従ってきた自民党政権との「ごまかし」が生み出した政治のゆがみといわなければならない。
そこが、沖縄米軍基地の問題と伊丹空港との違うところなのだ。