15日の民主党と自民・公明党の「合意」をうけて、各紙がいっせいに社説を掲げたが、「朝日」「毎日」「読売」が判で押したように「決められない政治」からの脱却だといって、礼賛している。
全国紙はいつから大政翼賛会になったのか?
社説:修正協議で3党合意―政治を進める転機に:朝日新聞デジタル
社説:民自公修正合意 「決める政治」を評価する:毎日新聞
社説:一体改革協議 修正合意へもう一段歩み寄れ : 読売新聞
15日の民主党と自民・公明党の「合意」をうけて、各紙がいっせいに社説を掲げたが、「朝日」「毎日」「読売」が判で押したように「決められない政治」からの脱却だといって、礼賛している。
全国紙はいつから大政翼賛会になったのか?
社説:修正協議で3党合意―政治を進める転機に:朝日新聞デジタル
社説:民自公修正合意 「決める政治」を評価する:毎日新聞
社説:一体改革協議 修正合意へもう一段歩み寄れ : 読売新聞
ILOの「世界労働レポート2011」World of Work Report 2011を見ていて、こんなグラフを発見しました。3%の富裕税による税収効果(2010年、単位10億ドル)です。
これによると、日本の場合は税率3%で年間4470億ドル、今日のレートで換算すれば約3兆7000億円の増収が見込めるというのです。3.7兆円といえば、消費税1.5%分ぐらいに相当します。財政再建のために増税は避けられないというなら、消費税増税の前に、まずこの程度のことは考えてほしいものです。
古川元久・経財相が、「2%程度の緩やかなインフレの達成」を全力でめざすと発言。
2%程度の緩やかなインフレ達成に向けて努力=経済財政担当相 | Reuters
デフレ脱却のためのターゲット・インフレ論だけれども、通貨政策でデフレを脱却できるというのは勘違いもいいところ。
消費税増税についての「読売新聞」の世論調査。見出しでは、消費増税「必要」が63%となっているが、内実をみると、そう単純ではない。
消費税率を2014年4月に8%に引き上げ、その後2015年10月に10%まで引き上げる政府方針について、「財政がさらに悪化しないように、政府の方針通りに引き上げるべきだ」と答えたのはわずか16%。「8%に引き上げるのはよいが、10%への引き上げは経済状況を見て判断すべきだ」29%、「経済状況が好転しない場合は、8%に引き上げる時期を遅らせるべきだ」31%、「引き上げは必要ない」17%と、77%が政府方針に注文をつけている。
朝日新聞と日本経済新聞が世論調査を実施。
消費税増税について、朝日新聞では「賛成」34%にたいし、「反対」57%。日経新聞でも「賛成」36%にたいし、「反対」56%と、いずれも「反対」が過半数を占めた。
共同通信の世論調査で、野田内閣の不支持率が初めて50%を超えました。
主要な理由は、いうまでもなく消費税増税。「賛成」(「どちらかといえば賛成」を含む)45.6%にたいして「反対」(「どちらかといえば反対」を含む)52.9%を占めただけでなく、野田首相は「十分説明していると思うか」の問いに、「説明している」(「十分説明している」「ある程度説明している」)23.9%にたいし「説明していない」(「あまり説明していない」「全く説明していない」)74.4%にのぼっています。
内閣不支持 初の50%超 世論調査 増税74%「説明不足」:東京新聞
女性宮家 6割超支持 世論調査 ほぼ全世代で前向き:東京新聞
野田内閣の2011年「置き土産」みたいな消費税増税案。「毎日新聞」には、こんな記事が出ていました。
消費税10%なら:「夫婦と子ども2人」現役世代に打撃 – 毎日新聞
これによると、2015年の現役世代の可処分所得は、消費税の増税、その他諸々の増税・負担増で、こんなに減ります。
世帯年収 300万円 500万円 800万円 1000万円 1500万円 40歳以上(夫婦子ども2人) 所得の減少額 24 31 41(43) 71(50) 85(67) うち消費税負担増 11 17 25(26) 29(32) 42(45) 40歳未満単身世帯 所得の減少額 12 19 29 35 うち消費税負担増 10 16 24 29 ※単位・万円。現役世代は働き手は1人と想定し、カッコ内に共働き世帯を表示。
[毎日新聞2011年12月31日付]
300万円世帯で24万円、月2万円もの負担増。1500万円世帯でも85万円、およそ月7万円の負担増になります。それだけ確実に消費は落ち込むわけで、景気の悪いこの時期に一体なんでこんなとんでもないことをやるのかとあらためて思います。
日本経済新聞の世論調査。
まず第1に、野田佳彦内閣の内閣支持率。「支持する」が36%で、前回調査(11月末)から15ポイント急落。「支持しない」は14ポイント上昇で53%とあり、野田内閣発足後初めて支持率を上回った。
第2に、東京電力福島第一原発の事故について、78%が野田内閣の「事故収束」宣言に納得できないと回答していること。
第3に、消費税増税にかんして、2010年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げる政府案に「賛成」38% vs.「反対」53%で、反対が過半数を占めている。さらに、前回調査と比べると。「賛成」は7ポイント減、「反対」は6ポイント増で、消費税増税は具体化されるにつれて、どんどん不人気になっている……。
本日の「日本経済新聞」の「大機小機」。立場はまるきり違うけれど、これを僕なりにいえば、
という3点を指摘したものだと思うのだが、どうだろうか。
2大政党制で政権交代と言うけれど、自民党と民主党、同じじゃないか! と思っていたら、当事者からもその通りという証言が飛び出しました。
大和総研の試算によれば、子ども手当の見直し、復興増税や厚生年金保険料の引き上げなどで、2年後の手取りが60万円も減ることが明らかになったというニュース(といってももう2週間も前のだけど)。
景気が悪い中で、そんなに国民負担を増やせば、消費はますます冷え込んで、契機はもっと落ち込むことは必至です。
朝日新聞デジタル:2年後の手取り、60万円減も 増税案など前提に試算
大和総研の試算というのは、こちら↓。
みなさんは、「朝三暮四」という故事をご存知でしょうか。このニュースを聞きながら、それを思い出しました。
復興増税9.2兆円に圧縮 政府・民主案、税外収入上積み:日本経済新聞
【朝三暮四】
[列子黄帝] 春秋時代、宋の狙公(そこう)が、手飼の猿にトチの実を与えるのに、朝に三つ暮に四つとしたところ猿たちは少ないと怒り、朝に四つ暮に三つとしたら大いに喜んだという故事。
<1>目前の違いにばかりこだわって、同じ結果となるのに気がつかないこと。朝四暮三。
<2>口先でうまく人をだますこと。
(岩波書店『広辞苑第4版』CD-ROM版,1995年)
被災地の復興に財政的支援が必要なことはわかります。しかし、法人税増税といっても、「法人減税をしたことにして、その分増税する」というもので、実際には増税ゼロ。しかも、増税期間はわずか3年で、3年後にはしっかり減税されます。それにたいして、国民には、所得税の増税が10年間、個人住民税の増税が5年間も続くのです。復興財源として必要なのは国税のはずなのに、どうして地方税である住民税が増税されるのでしょうか?
民主党との協議で、国民から不満の声が出ることに配慮したのか、住民税の増税を2014年6月に先送りしたというのは、まさしく「朝三暮四」。国民を狙公の猿のようにバカにした話です。
富裕税導入の動き、イタリアとポルトガルだけかと思ったら、フランスでも、首相が50万ユーロ以上の所得にたいして「特別貢献税」3%を課税すると表明しておりました。
ヨーロッパで、最富豪層のなかから「われわれに増税を」の声が起こっていることは前に紹介したとおりですが、イタリア政府は、財政再建に向けて富裕税の導入を決めた。当初は、50万ユーロ(約5400万円)以上の所得に3%の特別課税といわれていたが、30万ユーロ(約3240万円)以上に引き下げられたというニュースも流れている。
おもしろいのは、ベルルスコーニ政権が、いったんは富裕税の導入を断念したのだが、そのことが伝わると国債価格が急落!! 結局、市場に不信感を突きつけられる形で、政府は、富裕層への増税に踏み切らざるをえなくなったのだ。
いまや「財政再建は富裕層への増税で」が市場の声。野田さんも、それに耳を傾けてはいかが?
イタリア、財政再建へ富裕層向け課税:日本経済新聞
G7、欧州危機封じ焦点…9日から仏で開催:読売新聞
NY市場 イタリア、富裕税の課税最低限を30万ユーロに引き下げへ:Klugクルーク
富裕税はイタリアだけではない。ポルトガルも、年間利益が150万ユーロ(約1億6000万円)以上の企業に3%、富裕層には2.5%の付加税を課すことを決定した。
昨日、日刊「しんぶん赤旗」を読もう(6)で紹介した、欧米の大富豪たちが、「われわれに増税を」と主張しているというニュース。関連する記事を集めてみました。
1本目は、ドイツの富豪グループの動きを報じた英紙ガーディアンの記事。2本目は、投資家バフェット氏がニューヨークタイムズ紙に寄稿した「超富豪を甘やかすのをやめよ」。3本目は、イタリア・フェラーリの社長が「金持ちはもっと税金を払うべきだ」と主張したという記事のようです。
これからぼちぼち訳してみたいと思います。
Tax us more, say wealthy Europeans | The Guardian
Stop Coddling the Super-Rich – NYTimes.com
Montezemolo : I am rich it is right that you pay more | Ferrari Ferrari
今日の「しんぶん赤旗」でおもしろかった記事。
まず、「原発マネー」の連載から。
関西電力大飯原発がある福島県おおい町。実は、同町に1986年に5億円の寄付があった。それいらい長年巨額の寄付金が流れ込んでいるというのです。町当局は、この5億円で基金をつくり、町内各地区に年間最大で180万円を配布。集落のお祭りや旅行、清掃などに使われています。もちろん、出所は不明です。
また、現在はおおい町に合併した旧名田庄村では、関西電力の揚水発電所の話が持ち上がったことがありました。計画は、2005年に立ち消えとなったのですが、すると、関電が「迷惑料」として1億5000万円の現金を支払うと申し出たそうです。ただし、条件は「寄付金」として出所を公表しないこと。
美浜原発のある美浜町では、2006年度一般会計に12億3000万円、2007年度は10億2000万円の寄付金が「匿名」であったといいます。
「毎日新聞」と共同通信がそれぞれ世論調査を実施。
原発について、「毎日新聞」の調査では、「今すぐ廃止すべきだ」と「時間をかけて減らすべきだ」を合わせると、85%が縮小・廃止を求めている。「毎日新聞」は、何を勘違いしたのか、「『時間をかけて減らすべきだ』との回答が74%に上り、『今すぐ廃止すべきだ』(11%)を大きく上回った」と書いているが、現在の対決点は、「今すぐ廃止」か「時間をかけて減らす」かではなく、原発を減らす、あるいはなくす方向に踏み出すのか、それとも当面は維持するのか、というところにある。そう考えると、「今すぐ廃止」より「時間をかけて減らすべき」が大きかったというまとめ方はおかしい。対比すべきは、それら85%の「脱原発」にたいして「減らす必要はない」が13%しかなかったことだ。
共同通信の調査では、ストレートに原発のぜひについて質問した項目はないが、菅首相がとなえた「脱原発依存」について、次の首相がこの方針を引き継ぐべきかどうかで、「賛成」(「どちらかといえば賛成」を含む)が75.5%で、「反対」(「どちらかといえば反対」を含む)の20.2%を大きく上回っている。
国民世論として、原発を「減らす・廃止する」という方向ははっきりしている。問題は、政治がそれに答えていないこと。民主党の次期代表選でも、争点?として取りざたされているのは、「増税」と、小沢一郎議員の「処分」の取り消しだけ。なんという不甲斐なさ。この点では、「毎日」調査で、「社会保障や震災復興の財源として」という断り書きつきで「消費税などの増税」について、「賛成」41%にたいし、「反対」56%と反対が上回ったこと。しかも、こういう質問では、いつも頼まれもしないのに天下国家の問題だとして賛成に回る人がおおい男性についても、「賛成」44%対「反対」54%で、10ポイントも反対が上回っている。
毎日新聞世論調査:原発「時間かけ削減」74% 社会保障・復興で増税「反対」56%:毎日新聞
毎日新聞世論調査:菅内閣の総括 震災対応「評価せず」7割 退陣「遅すぎる」過半数:毎日新聞
「子ども手当」について、上限860万円で所得制限を設けることで、民主党と自民党・公明党の実務者協議で「たたき台」がまとまったというニュースが流れている。
自民党・公明党にしてみれば、民主党の「目玉」公約だった「子ども手当」に「傷」をつけ、それによって民主党の「マニフェスト」のデタラメぶりを印象づけたいという思惑があるので、まだまだこれでまとまるかどうかは不明だが、そんななかで、「しんぶん赤旗」が興味深い記事を載せていた。
子ども手当見直し 支援・節約にならない 佐々木議員が批判:しんぶん赤旗
子ども手当でたたき台、上限860万円:TBS News-i
共同通信の世論調査で、菅内閣の支持率が19.9%と、先月中旬の調査から12.3ポイントも下落して、政権発足後最低となったそうだ。実は、このブログでもあれこれのメディアの世論調査を詳しく紹介していたが、もういまさら菅内閣の支持率が下がった、下がったと書いてみても仕方がないと思ったので、しばらく取り上げてなかった。しかしそれにしても、支持率32.2%から19.9%へという下がり方は異常だ。
興味深いのは、「一体改革に伴う消費税率引き上げ」についての調査。「どちらかといえば」を含めて賛成55.9% vs 反対41.9%。その差は14ポイント。メディアが消費税増税を大合唱する割には、意外と小さかった。さらに、消費税を増税するとして、税率何%が適切かを聞いても、一番多いのは「8%程度」47.3%で、「15%程度」は4.7%しかない。財界は17%への引き上げを要求しているが、とても世論が受け入れるような数字ではない。
民主党・菅政権が、参院選で大敗した。テレビでも、「消費税を上げられたらかなわんから」と話す有権者がいたが、菅首相が唐突に言い出した消費税増税にたいする有権者の反対が大きかったことは間違いない ((民主党自身、消費税増税方針の年度内決定を先送りする動きが出ている(「読売新聞」2010年7月13日付)))。
ところが、「毎日」のアンケート調査によると、当選した新参議院議員の6割が消費税率引き上げに賛成している。
民主党に代わって勝利した自民党にいたっては、回答者32人中、「消費税率引き上げ」に反対なのは1人のみ。残り31人は全員賛成。しかも、「衆院選前にも消費税を引き上げるべき」だという議員が12人もいるのだ。公明党も、当選した8人全員が消費税引き上げに賛成している。
今度の選挙では、「消費税を上げられたら困る」と思って、自民党の候補者に一票を投じた人も少なくなかっただろう。しかし、自民党の実態は、民主党以上の消費税増税派なのだ。
消費税増税派やめてほしいと思って、自民党に投票された有権者の皆さん、自民党はあなたの期待を裏切るかも知れません。くれぐれも、ご用心、ご用心。