哲学者の梅原猛氏が、今日の「東京新聞」夕刊の「思うままに」で、『字統』など漢字の研究で有名な白川静氏の文化勲章受章の祝賀会の話を書かれています。
最後に、めったに現代政治のことを語らず、人の悪口をいわない白川氏の口から人の悪口が漏れた。それは靖国参拝をやめようとしない小泉首相への批判である。「罪を憎んで人を憎まず」という孔子の言葉を引用して靖国参拝をやめようとしない小泉氏に白川氏はよおど腹の虫がおさまらなかったのであろう。首相の靖国参拝はあの戦争でひどい目にあった中国人の心を深く傷つけるものであるが、その行為を孔子の言葉を用いて弁解するなどとは言語道断であり、日中の友好関係に致命的な打撃を与えるものと氏は思ったのであろう。[東京新聞 2005年5月30日夕刊]
「罪を憎んで人を憎まず」というのは、被害者が加害者に向かっていう言葉であって、加害者の側が被害者に向かっていう科白ではありません。ご本人は、孔子を引き合いにだせば中国だって反論しにくかろう…と思ったのか、あるいは、自分の知識をひけらかしたかったのか分かりませんが、まったくもって「言語道断」というほかありません。
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