こういう態度が不信を招くのだが…日中首脳会談後の小泉首相の発言

日中首脳会談を終えた小泉首相が、来年以降の靖国神社参拝の継続を示唆する発言。

中国を侵略した「A級戦犯」を神と祀る神社に、総理大臣が参拝しておいて、それを「都合の悪い問題が起きても、関係発展の支障にならないように」と言っても、それは“虫が良すぎる”というものでしょう。首脳会談の場では「中国側の立場は理解した」と発言したと伝えられていますが、その舌の根も乾かぬうちに、こういうことが平気で発言できる小泉首相は外交を担う資格なしとしか言いようがありません。

それにしても、この問題で検索してみると、あっちこっちのブログの書き込みは全体として質が悪いですねえ。読売新聞なんぞに乗せられて、「内政干渉だ」「独裁国家が何を言う」「靖国問題を持ち出せばいいと言うものではない」等々。「これまで日本は何度も謝罪してきた」というのもありましたが、ドンガンドンガン騒音をまき散らす隣家に抗議して、一方で「謝罪」しながら、騒音も出し続けたら、誰が「謝罪」を真に受けるでしょうか? 靖国参拝問題は、外交のルール、原則の問題。侵略戦争の「戦犯」を神と崇めつつ、中国や韓国、東南アジア諸国との友好関係の発展が望むべくもないことは明らかだと思うのですが。

靖国参拝の継続示唆 首相、大局的に中国と協力(共同通信FLASH24)
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日中首脳会談で靖国参拝中止を求められた小泉首相

APECの場を利用して、小泉首相と胡錦濤・中国国家主席との首脳会談が行われました。

小泉首相は「小泉首相は日中間の相互理解の必要性を強調し、共通の利益を発展させたい」と述べたそうですが、日中相互理解にとって一番の懸案事項である日本の総理大臣の靖国神社参拝問題については、胡錦濤主席から「靖国参拝が日中の政治停滞、困難の原因だ」とズバリ指摘されたのにたいし、持論をくり返すだけ。国家主席からまともに靖国参拝問題を持ち出され、日本政府にはもはや“逃げ場”がなくなったかっこうです。

日本政府にしてみれば、中国海軍潜水艦の領海侵犯問題で、悪くても“相打ち”にできると思っていたのかも知れません。しかし領海侵犯問題は、すでに中国側の「遺憾」の表明で外交上は解決済み。また、東シナ海のガス田開発問題でも、もともと中国側が日本側の主張する「中間線」を超えてない以上、「対立」は日本の政治家があおっているだけのもの。この問題でも、それ以上、日本側から主張する中身もなく、終わらざるを得ませんでした。

胡錦濤首相からは、あらためて中国政府として日中関係を重視していること、その「立場」として、あらためて(1)3つの政治文書(1972年の国交正常化共同声明、78年の平和友好条約、98年の共同宣言)の順守。「歴史を鑑(かがみ)として未来に向かい、大局に立って関係を発展させる」立場、(2)地域国際問題での協力、(3)相互理解と信頼関係の促進、(4)共通利益を踏まえた経済交流の促進、の4点(これは中国政府が従来から主張していること)が示されました。これにたいし、日本側は靖国参拝問題を問われ、そもそも日中関係を、日本政府がどういう立場で進めようとしているのか、その根本が問われたかっこうになったのではないでしょうか。

靖国参拝・原潜問題で応酬 日中首脳、チリで会談 – asahi.com : 政治
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「英霊にこたえる会」が、靖国参拝違憲判決を下した裁判官に不当圧力

今年4月、小泉首相の靖国参拝訴訟で、「参拝は違憲」とする判決を下した福岡地裁の裁判官にたいして、「英霊にこたえる会」が裁判官弾劾を求める訴追請求状6千通余を提出しました。産経新聞は、「市民団体」という見出しを掲げていますが、「英霊にこたえる会」は市民団体などとは言えません。

しかしもし、個々の裁判の判決内容を理由に裁判官が訴追されるようになれば、裁判官は時々の政権に逆らう判決が下せなくなります。訴追委員会に持ち出されるというだけでも、相当な圧力になるでしょう。司法の独立と中立性を侵害する不当な圧力は絶対に許されません。

3裁判官の罷免請求6036通 市民団体、靖国参拝ねじれ判決(産経新聞)
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町村外相の靖国発言について中国が論評

9/28の町村外相の発言にたいし、中国外交部報道官がコメントしました。外相本人の発言については「確認していない」として直接的な言及は避けつつ、原則的な態度をゆるがせにしないとの態度を表明しています。

日本首脳の靖国参拝問題を論評 外交部報道官–人民網日文版–2004.09.29
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これが「普通の感覚」か?

小泉首相の靖国参拝について、新しく大臣になった町村信孝外相が、「それぞれの国には、それぞれの慰霊の仕方がある。日本では、亡くなった人はすべて神であるとの死生観を持つのが普通の感覚ではないか」と述べて理解を示しました。

「亡くなった人はすべて神である」と言うけれど、靖国神社には、戦闘の犠牲となった一般市民や、軍人でも天皇に背いた人物(たとえば西郷隆盛)などは祀られていません。だから、靖国神社に祀られることはけっして「普通の」日本の死生観ではないのです。

靖国参拝問題:小泉首相の参拝、「普通の感覚」と理解――町村外相(MSN-Mainichi INTERACTIVE)
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相当の困ったちゃん

小泉首相が、来年も靖国神社に参拝すると発言したことに、中国政府が厳重な抗議をおこないました。日中の歴史問題は、先のアジアカップでも大きな問題になりましたが、その直後の首相の発言には本当に呆れるとしか言いようがありません。

スポーツの場にああいう形で政治を持ち込んだことには賛成できませんが、日本が、中国侵略の歴史に真摯に向き合い、その誤りを反省し、率直に謝罪の気持ちを表わすことは、日中友好と交流発展にとって欠かせないことです。にもかかわらず、自民党などの政治家による、反省を欠いた発言がくり返されることは、中国側からみれば、本当日本は侵略戦争の反省に立っているのか疑わせるに十分なものです。とくに今回の小泉首相の発言は、かなり意図的、分かって発言しているものだけに、相当悪質です。ここまで厳しい批判も当然といえます。

「挑発的」と強い不快感 中国、靖国参拝継続に(共同通信)
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