合わない統計数字

経済理論学会の季刊『経済理論』2007年10月号に、金沢大学の伍賀一道氏が「間接雇用は雇用と働き方をどう変えたか」という論文を書いておられます。政府の統計資をつかって、こんにちの「間接雇用」(労働者派遣および、偽装請負を含む労働者供給事業)の実態を明らかにされています。

そのなかで、なるほどと思ったのは、総務省「事業所・企業統計調査」をつかった次の表です。

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『資本論』第3部第30章(続き)

第30章の続きです。

前にも書いた通り、まず問題の提示。それに続いて、新書823ページ2行目からのパラグラフ。ここは、言ってみれば、第29章で明らかにされた架空資本の復習の部分。たとえば「諸債務の蓄積でさえ資本の蓄積」のように見える、というのは「信用制度のなかで起こる歪曲の完成」だ(823ページ)などなど。

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『資本論』第30章を読み始めました

第30章?第32章は、前にも紹介したとおり、マルクスが「III)」として一まとめに書いた部分。したがって、エンゲルスの章節区分にこだわらず読んでゆくことが必要です。

で、第30章の冒頭、マルクスは「信用制度に関連してわれわれがいま取り組もうとする比類なく困難な問題」として、次の2つの問題をあげています(822ページ)。

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あり方いろいろ(続き) existierenをどう訳すか

牧野広義『「資本論」から哲学を学ぶ』(学習の友社)

学習の友社から、こんな本が出ました。まだ読み始めたばかりですが、『資本論』第1部にそって、マルクスが弁証法的に論を展開している部分をとりあげて、弁証法的なものの見方、考え方、あるいは論述の展開の仕方について解説をくわえられています。

ということで、いま少しずつ読み始めているところですが、それはそれとして、「おっ」と思ったのは、「まえがき」に書かれた「凡例」の部分です。

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『資本論』第10分冊を読了

時間がかかっているのは、途中、別な本を読んだりしたこともありますが、第3部第5編にはいって、マルクスの論述も込み入ってきたし、草稿からのエンゲルスの編集も輻輳して、すらすらとは行かなくなってきたため。

しかし、現代経済を考える上では、信用論が一番おもしろい部分の1つ。当時の信用制度の発達を理論的に解明し、イギリス経済の現実にせまってやろうというマルクスの意気込みみたいなものが感じられて、わくわくするところでもあります。

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遠山茂樹『福澤諭吉』

一昨日から、遠山茂樹先生の『福澤諭吉』(東大出版会)を読み始めています。初版1970年で、「近代日本の思想家」シリーズの1巻として出版されたものです。シリーズで最後まで未刊となっていた『吉野作造』(松本三之介著)が、来春いよいよ刊行されるということで、既刊分も一括復刊されました。

仕事との関係で、いろいろと日本近現代史の本を勉強しています。福澤諭吉については、これまでまともに勉強したことがありません。しかし、彼をどう評価するかは日本の近代化をどう考えるかという点にもかかわる大事な論点なので、少し勉強してみたいと思います。

これは力作 大杉一雄『日中十五年戦争史』

大杉一雄『日中十五年戦争史』(中公新書)

先日、まろさんからご紹介をいただいた大杉一雄著『日中十五年戦争史』(中公新書)。版元品切れ・重版未定ということで、古本屋で手に入れて、読み終えました。

一言でいって、これはなかなかの力作。一読の価値ありの本です。

著者、大杉一雄氏は、1925年生まれ、東大経済学部卒業後、日本開発銀行に勤務し、その間、アジア経済研究所に出向、という経歴の持ち主。いわゆる専門の歴史研究者ではありません。しかし、なぜ日中は戦わざるを得なかったのか、戦争を回避する可能性はなかったのか、可能性があったとしたら、それを可能性のまま終わらせてしまったものは何か、それを追求した著作です。よく知られた各種資料はもちろんですが、それだけでなく、当時の雑誌などに掲載された政治家や知識人の論文や座談会での発言などを丹念に調べ上げて、いわば当時どんなふうに議論がなされていたかをふくめ再現されているのが特徴。とても勉強になりました。

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渡辺治氏、安倍政権の行き詰まりを批判

日経ビジネスオンラインが、安倍政権の行き詰まりと新政権の課題について、政治学者の渡辺治氏へのインタビューを掲載しています。

渡辺治・一橋大学大学院教授
渡辺治・一橋大学大学院教授

新政権、本当の課題(NBonline日経ビジネス オンライン)

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加藤陽子『満州事変から日中戦争へ』

加藤陽子『満州事変から日中戦争へ』(岩波新書)吉田裕氏の『アジア・太平洋戦争』を先に読み終えて順序が逆になりましたが、岩波新書の「シリーズ日本近現代史<5>」の加藤陽子さんの『満州事変から日中戦争へ』を読み終えました。加藤さんは1960年生まれ、ということで僕より年下ですが、最近活躍の研究者です。

加藤さんが本書で追究したテーマの1つは、戦前の日本では中国が不法行為を働くから報償・復仇として武力を行使したのだと考えられていたとして、なぜ日本はそんなふうに考えるようになったのか、という問題。その中心は、いわゆる「満蒙の権益」なるもので、これが「国際的に認められたもの」であったにもかかわらず、中国がボイコットなど「不当に」侵害した、日本はそれを守るために仕方なく武力に及んだのだ、という議論です。

しかし、加藤さんは、日本の「満蒙特殊権益」がイギリスやアメリカから認められたことはなく、そのことは当時の日本の外交担当者、支配勢力も自覚していたことを明らかにされています。つまり、「満蒙特殊権益は国際法上認められていた」という主張は、実は、日本が戦争に向かうなかで「改変」された「記憶」だったということです。

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伊東光晴氏、関志雄『中国を動かす経済学者たち』を評す

日曜日(9/2)の「毎日新聞」の書評欄で、伊東光晴氏が関志雄『中国を動かす経済学者たち』の書評を書かれていましたが、なかなか的確な書評だと思いました。

で、この書評で、伊東光晴氏は、「理解できない」「わからない」を連発されています。たとえば

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読み終えました 吉田裕『アジア・太平洋戦争』

吉田裕『アジア・太平洋戦争』(岩波新書)吉田裕さんの岩波新書『アジア・太平洋戦争』を読み終えました。8月21日に発売されたばかりですが、一気に読んでしまいました。

対象としているのは1941年12月8日の開戦から1945年8月15日までですが、叙述はその前の日独伊三国軍事同盟の締結(1940年7月)から始まり、次の5章立て。

第1章 開戦への道
第2章 初期作戦の成功と東条内閣
第3章 戦局の転換
第4章 総力戦の遂行と日本社会
第5章 敗戦

この時期を、出来事を追いかけつつ、要所要所で、戦争をめぐる「論」が整理されています。そのため、歴史的な事実関係と、それがどんな意味を持っていたかという「論」とが分かりやすくなっていると思います。

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樫村愛子『ネオリベラリズムの精神分析』

樫村愛子『ネオリベラリズムの精神分析』(光文社新書)

目次だけで7ページもあります。(^_^;) ネオリベラリズムに侵された現代社会をどう分析したらよいか、ラカン派精神分析の立場から、「再帰性」と「創造性」をキーコンセプトにして、切ってみせた本です。フランスなどでの現代思想の展開とともに、小泉「構造改革」や安倍首相の「美しい国」など、日本のいまの政治状況なども念頭に議論が展開されていて、なかなか面白いというのが一番の感想。

同時に、「プレカリテ」「マルチチュード」「マクドナルド化」「動物化」「象徴の貧困」など、現代思想の流行概念が取り上げられていて、ある意味非常に便利な“現代思想入門”になっています。

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無事終了

風邪を引いて、昨日の夜に出かけるのをキャンセルし、今朝は今朝で人身事故による運転見合わせで、いったいどうなるのかと思いましたが、とりあえず無事時間どおり会場に到着。なんとか5時間の講義を終えることができました。

この手の講義をするときいつも困るのは、科学的社会主義、マルクス主義の基本として、かつてのような教科書的な講義ができなくなっているということ。長く自明のこととされていた「通説」的な理解も根本的に見直しがすすんでいるいま、そういう“音を立てて発展しつつある”中身を、そういうものとしてつかんでもらう、というのは、初学者にはなかなか大変なことだと思います。

しかし、今の僕には、そんなふうな講義しかできません。消化不良でアップアップしていた人もいましたが、どうもすみませんでした。僕の講義が分からなくても気にせずに、がんばって勉強&活動してください。m(_’_)m

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はてなの翻訳

『資本論』第3部を読んでいて、はてな?と思う翻訳を見つけました。

第2編「利潤の平均利潤への転化」第11章「生産価格にたいする労賃の一般的変動の影響」のなかの次の一節です。

 労賃の騰貴または下落が必要生活諸手段の価値変動に由来するならば、上述したことの修正が起こりうるのは、その価格変化によって可変資本を増加または減少させる諸商品が不変資本にも構成要素としてはいり込み、それゆえ単に労賃に影響をおよぼすのではないという限りでのことである。しかし、それらの商品が労賃だけに影響する限りでは、これまでの展開だけで、言うべきことはすべて尽きている。(新日本新書版第9分冊、349ページ)

一読して、意味がすぐ分かりますか?

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「最低賃金の引き上げは雇用を減らす」は証明された正しい命題か?

masanoriさんの最賃 – 慢性疲労、ふらふら日記で紹介されていたのですが、↓この論文、面白いです。

新美一正「わが国の最低賃金制度についての一考察?最低賃金は厳格な運用が必要?」(Japan Research Review 2002年11月号 OPINION)

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