これまた、『資本論』の本筋の理解には、まったく影響しない、非常に細かな問題ですが、『資本論』第1部第13章「機械と大工業」の原注91(新日本出版社、上製版645ページ、新書版第3分冊648ページ)に、1850年頃から登場した「機械的道具の製作のための機械」の例として、次の5つの機械が列挙されています ((この部分は、新書版から上製版になるときに、一部訳語が変更されていますが、それは問題ではありません。))。
…たとえば、(1)自動ボビン製造機、(2)梳綿用針布製造機、(3)杼製造機、(4)(5)ミュール紡錘およびスロッスル紡錘の鍛造機… 〔(1)(2)などは引用者による補足。以下同じ〕
で、問題はこの(3)「杼製造機」。「杼」(ひ)とは、機織り機で、上下に動く経糸のあいだを、往復して緯糸を通す装置のことです。人が足で踏む機織り機で、パッタンパッタンやるたびに、シュッシュッと左右に緯糸を通すアレです。
ちなみに、織機の構造については、こちらを参照のこと。→織機 – Wikipedia
原文は“Maschinen zum Machen der Weberlitzen”ですが、実は困ったことに、いくら独和辞典をひいても Litze に「杼」という意味がまったく出てこないのです。