子安宣邦氏 ((大阪大学名誉教授、日本思想史学会元会長))の新著『日本ナショナリズムの解読』(白澤社)をさっそく読み終えました。
「日本ナショナリズム」なるものを支えた言説のあり方を、本居宣長から福沢諭吉、和辻哲郎、田辺元、橘樸(たちばな・しらき)へと、フーコー流「知の考古学」的手法を用いて追跡したものです。本居宣長や幕末の水戸学は、子安氏のホームグラウンドで、『古事記』から由緒正しい「やまとことば」を訓み出す宣長の手法の分析などは、くり返し指摘されてきたところですが、この本で、面白いと思ったのは、2つ――福沢諭吉の『文明論之概略』の分析と和辻倫理学にたいする批判です。