首脳会談は出来たけれど

安倍首相が中国を訪問。「戦略的互恵」の関係や、胡錦濤国家主席の訪日などで合意。

しかし、中国側からは「政治的障害を取り除いてほしい」と明言され、日本側も「適切に対処したい」と回答した以上、次、首相の靖国参拝が明らかになれば、責任を問われるのは日本側です。この約束を守って、靖国参拝はきっぱりやめてほしいと思います。

日中首脳会談 胡国家主席来日などで合意(日テレNEWS24)
中国政府 靖国参拝などで安倍首相を高評価(日テレNEWS24)

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中国ウォルマートに労働組合

世界最大の大型小売店チェーンのウォルマートは、従業員を「アソシエート(仲間)」と呼び、本拠地アメリカはもちろん、その他の国の店舗でも労働組合を絶対につくらせず、数々の不当労働行為で裁判沙汰になったこともしばしばという企業。

そのウォルマートに、世界初の労働組合ができたというお話です。
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笑える話

文春新書『歴史の嘘を見破る』(中嶋嶺雄編)のなかで、「中国に『対支21カ条要求は屈辱だ』と言われたら」という設問に、岡崎久彦氏が反論を書かれています。しかし、まったく反論になっておらず、いささか気の毒になってしまうほどです。(^_^;)

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東シナ海ガス田開発問題を考える

東シナ海での中国によるガス田開発について、興味深い論文を見つけたので、ちょっと紹介しておきます。

その論文は、昨年(2005年)の『週刊東洋経済』10月1日号に掲載された「非常識な日本側の要求 中国と共同開発交渉を」という論文。筆者は、元石油資源開発取締役の猪間明俊氏。

猪間氏は、おおむね次のようなことを指摘されています。

 国連海洋法条約は2つの規定を定めている。1つは、いわゆる中間線で、陸地から200カイリの各国のEEZ(排他的経済水域)が重なり合う場合、その中間線をもって境界とするという規定。もう1つは、国土の地形・地質的自然延長としての大陸棚はそれに接する国のものという規定。日本は中間線を主張し、中国は東シナ海の大陸棚と「沖縄トラフ」までの権利を主張している。つまり、中間線と沖縄トラフとの間の海域が、日中両国の「係争海域」である。
 海洋法条約の2つの規定には相反するものがあるが、どちらの規定を優先するかは決められていない。したがって、関係国の話し合いで決するか、国際司法裁判所に判定してもらうしかないが、世界的には「自然延長論がやや優勢」で、「司法裁判に持ち込むと中国側に有利な判決が出て、日本は係争海域の権利を失うおそれがないとはいえない」。(要旨)

ここまでは、海洋法条約の一般的な理解。以下が、石油資源開発のプロとしてのご意見。
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次期首相の日中・日韓関係改善を求める声

キャンベル元国防次官補代理が、米政府は日中関係・日韓関係の解決にむけて日本に働きかけるべきだと発言。

米国:日本に注文「次期首相は中、韓関係により注意を」(毎日新聞)
靖国取り上げる可能性少ない(NHKニュース)

↑NHKニュースの見出しは「靖国取り上げる可能性少ない」になっていますが、ニュースの中で、キャンベル元国防次官補の発言を取り上げ、外交関係者の間で、日中関係改善のために日本政府にはたらきかけるべきだとする動きがあることを紹介しています。
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すべての外国首脳が「中国、韓国はおかしい」と批判? 小泉首相の問題発言

小泉首相が、「外国の首脳はすべて私の言っていることを理解している。『小泉さんは正しい』『中国、韓国はおかしい』と言っている」として、中国、韓国を批判。

しかし、本当にすべての外国首脳が「中国、韓国はおかしい」と発言したのでしょうか? なかなかそんなことは考えにくいのですが、もし本当にそうなら、政府・外務省はその証拠を示す必要があります。

たとえば、2004年12月に来日したドイツのシュレーダー首相は、小泉首相との会談で「中国、韓国はおかしい」と言ったのでしょうか? 今年2月にはシュタインマイヤー外務大臣が訪日していますが、ドイツの外相が小泉首相の靖国参拝に理解を示したのでしょうか?

すべての外国首脳が「中国、韓国はおかしい」と言っている、という発言が、もし立証されないとなれば、それは、小泉首相の毎度の「放言」ということではすみません。嘘デタラメで中国、韓国を侮辱したうえ、世界に向かっては「日本という国には外交の信義がない」ということを示す大失態です。絶対に曖昧にできない大問題。国会やメディアの追及を期待します。

首相、靖国参拝で「中国、韓国はおかしい」(産経新聞)
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アメリカが中国の環境問題で協力強化へ

アメリカは、ジョンソン環境保護庁長官が訪中し、北京オリンピックに向け中国政府と環境問題で協力関係を強化する方針。

日本には、公害対策技術では世界トップだとの自負があったと思いますが、「政冷経涼」関係が続いている間に、ちゃっかりアメリカが中国市場に食い込もうとしている、ということですね。いくら「日米同盟が大事だ」と言ってみたところで、アメリカは、全然気にしてないようです。(^_^;)

米中が環境面で協力強化を(NHKニュース)
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米国の対中戦略をめぐる議論

昨日の「朝日新聞」のオピニオン欄で、アメリカ総局長の加藤洋一氏がアメリカの国防大学が主催した「中国の影響拡大に関する会議」なるものの議論を紹介しています。

紙面にはゼーリック国務副長官の写真が大きく出ていたので、昨年ゼーリック氏によって明らかにされたブッシュ政権の対中方針を取り上げているのかと思ったのですが、結局、アメリカの中でも中国の台頭をどうみるか議論があるという話で、ちょっと期待はずれ。それでも、加藤氏が次のように指摘しているのは、もっともなご意見。
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ゼーリック国務副長官、日中関係の悪化懸念を表明

ゼーリック国務副長官が、日中関係の悪化に懸念を表明。

米政府が、日中関係の悪化に懸念を表明していることは、以前から、このブログでも紹介してきましたが、今回ゼーリック副長官は、対立緩和のために日中韓の歴史共同研究の仲介を申し出ました。
相当本気みたいですねぇ?

<米国務副長官>日中双方に緊張緩和の努力促す(毎日新聞)
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ユン・チアン『マオ 誰も知らなかった毛沢東』下

ユン・チアン「マオ 誰も知らなかった毛沢東』について、記事を書いていましたが、下巻を走り読みし始めた段階で書いたもので、きちんと評価できていなかったので、全部削除しました。感想については、改めて掲載します。(2006/02/06)

「三すくみ」なのか?

日本経済新聞の春原剛・編集委員が、歴史認識問題での日中の対立にたいするアメリカ政府の態度をとりあげて、こんな論評を書いています。

NET EYE プロの視点:靖国巡る日米中の「三すくみ」関係(12/12)

米政府が日中関係の悪化に懸念を持っていること、そしてその背景に米の対中国政策の見直しがあることに着目したのはさすが。しかし、それが「三すくみ」だというのはどうだろうか。中国を重要な「ステークホルダー」として位置づけようという米政府にとって、日中関係が悪化して、どんな「漁夫の利」があるというのか。日米の同盟関係の強化を、対中圧力なんぞに使われたら、迷惑するのは米政府でしょう。だからこその懸念表明だと思うのだけれど、どうだろうか。
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米政府は、何故、日中韓の歴史問題を憂慮するのか

小泉首相の靖国参拝問題に関連して、アメリカの政府や議会から、日本の戦争を「自衛戦争」「アジア解放の戦争」とみなすいわゆる“靖国史観”にたいする批判が投げかけられていますが、なぜ米政府などが、日中韓の歴史問題に関心を示すのか? 昨日の読売新聞「地球を読む」に載ったアーミテージ前国務副長官の論評は、その背景を伺わせていると思います。

ここでは、アーミテージ氏がこの論評全体で言わんとしていることについてのコメントは省略しますが、氏は、歴史問題について、こう述べています。
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中国の王毅大使、防衛大学校で講演

駐日中国大使の王毅氏が、10月26日、日本の防衛大学校で講演しました。中国脅威論があることを念頭に、中国が今どこに向かおうとしているか、中国政府の立場を分かりやすく語っています。

人言を信となし、止戈を武となす――防衛大学校での王毅大使の講演(中華人民共和国駐日本国大使館)
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米政府の対中政策

アメリカが、対中政策を転換させていることについて、共産党の「しんぶん赤旗」が精力的に紹介しています。なぜ共産党が?と思われるかも知れませんが、日本の商業メディアは、こういうニュースをなかなか取り上げようとしません。いまのアメリカが、対日関係と対中関係とどちらに力を入れているか、考えてみればすぐ分かりそうなものなのですが…。

中国をパートナーと認識/「封じ込め」は誤り/米国務省副報道官(「しんぶん赤旗」)
米中関係「建設的に」/両首脳 高レベル交流維持(「しんぶん赤旗」)
米国の対中政策/経済関係強まるもと/けん制しつつ関与促進へ(「しんぶん赤旗」)
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アメリカの対中政策

今年9月21日、米国務副長官のロバート・ゼーリック氏が対中政策にかんする演説を行ないました。livedoorニュースで記事が配信されています。

米中関係は対立よりも協調路線に転換すべき=ゼーリック国務副長官(livedoor ニュース)

米中関係は対立よりも協調路線に転換すべき=ゼーリック国務副長官

【ライブドア・ニュース 09月22日】? XFN-ASIAによると、ロバート・ゼーリック米国務副長官は21日、民間団体主催の夕食会で、米国が中国を国際システムの「責任ある利害関係者」となるため、一段の努力を行うべきだと述べ、成長を続ける中国からは対立ではなく、協調を引き出すべきだと主張、30年間続いた中国を世界と統合する政策から一歩踏み出すべきだと語った。ゼーリック副長官はまた、「国際ルールに適応し、新世紀の課題に他国と共に当たっていこうとする中国との関係を強化したい」と述べた。米政府の中国との戦略的対話の中心人物であるゼーリック副長官のこうしたコメントは、当初中国を「戦略的ライバル」と見ていたブッシュ政権の対中政策の変化を反映している。【了】
ライブドア・ニュース 山中泉記者 2005年09月22日15時38分

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関志雄『中国経済のジレンマ』

関志雄『???経済のジレンマ』(ちくま新書)

著者の関志雄(カン・シユウ)氏は、1957年香港生まれ。東大大学院を卒業し、現在、野村資本市場研究所シニアフェロー。これまでに『円と元から見るアジア通貨危機』(岩波書店、1998年)、『共存共栄の日中経済 「補完論」による実現への戦略』(東洋経済新報社、2005年)などの著書と、『中国未完の経済改革』(樊綱著、岩波書店、2003年)の翻訳などがあります。今年5月には、『中国経済革命最終章―資本主義への試練』(日本経済新聞社)も刊行されていて、本書は、その簡約版といったところでしょうか。

第1章から第3章までで、「改革開放」政策の概要を紹介。第4章から第7章までで、外資導入、国有企業民営化問題、国有銀行改革、人民元切り上げという中国経済の当面する改革課題を明らかにしています。最後の2章は、こんごの発展方向を明らかにしたもので、第8章では国内の「調和のとれた発展」という問題を、第9章では、対外的な「平和台頭」論をとりあげています。
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