731部隊の生体実験の証拠文書を公開

中国で、日本の731部隊がおこなった生体実験にかんする証拠が発見され、公開されたそうです。どんな資料なのか知りたいものです。中国には、まだほかにもいろいろと旧日本軍関係の資料が残っていると思われます。調査と研究の進展を期待します。

日本軍731部隊の生体実験の証拠確保(朝鮮日報)
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興梠一郎『中国激流』

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岩波新書の新刊、興梠一郎氏の『中国激流 13億のゆくえ』を読み終えました。『現代中国 グローバル化のなかで』(岩波新書、2002年)に続く2冊目の本です。

著者は、序章「岐路に立つ改革」の最初の小見出しを「改革の臨界点」としていますが、“まさしくいままさに中国「改革」は臨界点にある”――つまり、爆発寸前のぎりぎりの状況に至っている。これが、本書をつらぬく著者の主張です。実際、爆発寸前のぎりぎりの様子が、中国各地の大小様々な事件によって、生々しく?描き出されています。

しかし、一読した印象では、「生々しい」はずの事件やデータが、実は2年前や3年前のものであったりするため、ちょっと混乱させられます。そのなかには、すでに中国の党や政府自身も、問題の深刻さを認識して、いろいろ対処し始めているものもある(そのこと自身は、著者も書いている)ので、いろいろな問題が噴出していること自体は分かっても、党や政府が、中国全体をどこへ導こうとしているのか、中国の「改革」自体をどこへ向けようとしているのかがわかりにくいという印象を受けました。変化の早い中国だけに、このあたりはもう少し整理してほしかったと思いました。
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中国広州、旧日本軍毒ガス弾で住民被害

中国南部の広東省広州市で、3人が、旧日本軍の遺棄した毒ガス兵器による被害。

すでに日中政府間で、旧日本軍の遺棄毒ガス兵器の処理については合意していますが、しかし、まだ処理施設も建設されていないし、中国全体でどれだけの遺棄毒ガス兵器があるかも分かっていません。

旧日本軍毒ガスで3人被害、外務省陳謝 中国・広州(読売新聞)
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ODAって、結局、日本企業の進出をバックアップするものだったのね

ついこの間、もう中国にはODAを出さないと言ったはずなのに…。中国高速鉄道に新幹線方式が採用されるためだったら、なりふり構わず、ということです。

いろいろ恩着せがましく言ってましたが、日本のひも付きODAというのは、結局、ODAをネタに日本企業の進出を後押していたということですね。

中国新幹線にODA 政府、採用なら供与方針(産経新聞)
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呉儀副首相が帰国した原因…でしょうねえ、やっぱり

「呉儀副首相、アジア地域協力で講演」でも指摘したことですが、その後、武部・冬柴両与党幹事長の訪中での模様が報道されました。

たぶん武部幹事長は、あまりよく考えもせずに「内政干渉だ」と言ったのだろうと思いますが、日中平和友好条約で日中両国が「内政不干渉」を約束し合っている以上、確たる論拠もあげられないままの「内政干渉」発言はまったく不用意。さらに、日本がサンフランシスコ講和条約で連合国にたいして極東裁判判決を受け入れたことを根拠に、「A級戦犯を神として崇め奉ることが国内問題だというのか」と詰め寄られたのでは、だれも反論できないでしょう。

中国側は、日中関係をおもんばかって(日中関係を前向きに打開していくというのは、日中首脳会談での合意事項だから)、こうしたやりとりをメディアには公表しないことにしたのだと思います。さらに、もしこのまま呉儀副首相と小泉首相が会談しても、靖国問題で衝突することにもなりかねないと考え、「急用が出来た」という口実で会談を見送ることにした。このあたりが実情ではないでしょうか。

にもかかわらず、日本側で、与党幹事長代理が「非礼」だといい、外相が「常識はずれ」と言い出したのでは、もはや穏便にはすまないでしょう。もちろん、「中国となんかつきあわなくていい」と言うのは勝手です。しかし、またぞろここで日本側から「中国は非礼だ」と言い出したら、「日中関係を前向きにやっていこう」という合意を日本側から覆すことになります。そうなれば、日本という国は一貫した外交方針を守ることさえ出来ない国だと見られるだけ。町村外相や安倍幹事長代理、それになりより当の小泉首相ご本人は分かってらっしゃるんでしょうかねぇ…。

「内政干渉」発言に中国が反発 訪中の武部幹事長と応酬(朝日新聞)
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元軍属、中国での化学兵器遺棄の証言へ

旧日本軍の遺棄毒ガス兵器損害賠償訴訟で、旧軍属の男性が、終戦間際に実際に化学兵器遺棄に携わった体験を証言することに。

旧日本軍遺棄化学兵器の除去については、すでに日中政府間での合意にもとづき、自衛隊が作業にあたっていますが、裁判の争点は、組織的遺棄の有無。実際に遺棄作業に携わった人の証言は初めてだそうです。

中国毒ガス訴訟:元日本軍属の男性が法廷での証言決意(毎日新聞)
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平頂山事件、二審も虐殺の事実を認定

平頂山事件というのは、1932年9月16日未明に起きた日本軍による虐殺事件。住民が中国側の抗日軍に協力していたとして、村民を集め機関銃による銃撃を浴びせて虐殺、翌日、遺体を焼き、崖を崩して虐殺の事実を隠したもの。

訴訟では、国側は、原告が主張するような事件があったか否かを含め一切争わなかったため、一審判決は原告の主張に沿って事実を認定。二審も、この一審判決を踏襲しました。

平頂山事件、生存中国人の控訴棄却 東京高裁(読売新聞)
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日中韓、どうつきあうか

少し古くなったけれど、「朝日新聞」4月27日付で、日中韓の共同世論調査の結果が報道されています。

一番の問題は、お互いの好感度。

好き 嫌い どちらでもない
日本が 韓国を 15 22 61
中国を 10 28 60
韓国が 日本を 8 63 29
中国を 20 24 56
中国が 日本を 8 63 29
韓国を 47 7 45

別に中国や韓国に嫌われてもいいという人もいるかも知れませんが、経済的にいえば、いまの日本経済は中国向け輸出の拡大などで、どうにかこうにかやっと息をついている状態。
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胡錦濤主席の発言

日中首脳会談の後、胡錦濤主席が日中関係について発言。
反省とお詫びを口にした以上、小泉首相にはそれを守る責任があります。再び、中国から「また日本は約束を破った」と言われないように…。

追記:中華人民共和国駐日本国大使館のホームページに掲載された新華社電を追加しました。(4/25)

胡主席 歴史問題で日本を批判(NHKニュース)
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日中関係の解決に何が必要か

日中関係を前向きに打開するために何が必要か。私は別に、あれかこれか、日本が間違っているなら中国が100%正しい、といった二者択一的な議論をしている訳ではありません。
私の「歴史認識」は、中国の歴史認識とも異なっているし、小泉首相やかんきちさんの歴史認識とも異なっています。それを、どれが正しく、どれは間違っていると断定しようなどというつもりは、まったくありません。

しかし、日本と中国が外交関係を結ぶときに表明した立場は、きちんと守るべきだといっているだけです。具体的には、

1つは、首相の靖国神社参拝はおこなわないことを明らかにすること。政府閣僚が、侵略戦争を美化したり、侵略戦争・植民地支配の被害がなかったかのような言動をおこなわないこと。

2つに、台湾問題についても、日米の「共通の戦略目標」として取り扱うやり方は改めること。
日台関係について、「1つの中国」の立場を取るというのは、台湾との一切の交流を断てということではありません。1998年の共同宣言で日本政府が表明し、中国も合意したように、「日本は、引き続き台湾と民間及び地域的な往来を維持する」という立場を守るということです。

私が、日中関係の問題として希望しているのは、こうしたことです。

日系企業は嫌われる?

20日の「東京新聞」のこちら特捜部で、日本企業の中国人スタッフの扱いや現地へのとけ込み方に問題があるのではないかという記事を掲載していました。

かつて、1970年代にインドネシアで反日暴動が起きたときも、背景には、日本企業が現地従業員を差別したり現地スタッフに権限を与えないなどの不満がありました。こういう問題の検証って、やっぱり重要ですね。

反日を助長? 日本企業の“作法”とは(東京新聞)
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日中関係の基本について

ところで、前にも書いたことですが、中国側が日中関係の出発点だと強調している「3つの政治文書」というのは、以下の通りです(いずれもリンクは外務省のページにつながります)。

これらは、日中両政府が合意し署名した文書であり、現在起っている日中関係の諸問題についても、日本政府は、これらの原則に則って解決すべきです。
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「反日」デモ問題で中国側の見解

中国の党および政府が「反日」デモ問題で、無届けデモや破壊行為の取り締まりの方針を明らかにしました。

この問題について、中国政府および党の見解がわかる報道記事・資料などを集めてみました。

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大橋英夫著『現代中国経済論』

大橋英夫著『現代???経済論』

大橋英夫氏の『現代中国経済論』(岩波書店)を読みました。

日本人の書く中国論は、中国「脅威」論だったり、あれこれの事例をあげた「崩壊」論だったりと、およそ初めっからバイアスのかかった著作が多いのですが、この本は、「改革開放」政策のもとで中国経済がどうなっているか、全体を俯瞰しつつ、発展の方向性と問題点を率直に指摘しています。

その内容は、目次をみてもらった方が早いかも。

  • 序章 全面的な「小康」社会の実現に向けて
  • 第1章 経済成長の検証
  • 第2章 経済改革の深化
  • 第3章 市場経済の制度化
  • 第4章 国有経済の退出
  • 第5章 経済格差の拡大
  • 第6章 「社会安全網」の構築
  • 終章 「全球化」と構造調整

で、面白いのは、第6章「社会安全網」の構築が、「現代中国経済論」の“落としどころ”になっていること。
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