大量破壊兵器は保有していなかった

イギリスの独立調査委員会が、イラク戦争が始まる前のイラクの軍事力にかんする情報は間違っており、「フセイン元大統領は使用可能な大量破壊兵器はおそらく保有していなかった」との報告書を発表しました。ブレア首相は、“フセイン政権は大量破壊兵器を持っている”というだけでなく“45分で配備できる”といっていたのですが……。
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イラク戦争 大量破壊兵器の脅威は誤り

米上院情報特別委員会(パット・ロバーツ委員長=共和党)が、9日、CIAが曖昧な情報をもとにイラクの大量破壊兵器を脅威と結論づけていたことは「誤り」だったと断罪する報告書を発表。報告書は500ページ以上にわたるもので、大量破壊兵器の脅威という結論は「合理性に欠け、入手した情報に照らしても証明できるものではない」「情報分野の分析官、収集担当、管理者らは、あいまいな証拠をもって大量破壊兵器計画があると最終的に評価した。大量破壊兵器開発計画は存在しないという証拠を過小評価もしくは無視した」として、「誇張された」情報で結論づけたと批判しています。また、フセイン政権とアルカイダとの関係についても「証拠はない」と指摘しています。

イラク大量破壊兵器:CIA情報は誤り アルカイダ支援も否定―米上院情報特別委(毎日新聞)
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フィリピンがイラク撤退表明

フィリピン大統領府報道官が、10日、イラクに派遣されている同国部隊(51人)を8月20日に撤退させると表明。8月20日は、もともと現在派遣している部隊の駐留期限とされていたもの。

イラクでは、現在、フィリピン人男性が武装勢力に拘束され、武装勢力は11日までに部隊を引き揚げなければ男性を殺害すると警告しています。

フィリピン:イラク撤兵を発表―人質事件、影響か(毎日新聞)
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最上敏樹氏の指摘

イラク「主権移譲」問題について、ICU教授の最上敏樹氏が「東京新聞」7/7夕刊で論文を書かれています。曰く、

国際法の知識を持つ者なら、この言葉に多少とも違和感を覚えずにはいられないだろう。戦争が合法だった時代ならばともかく、今やそれが違法になり、他国の軍事占領も原則としてありえなくなった。だから、いままで主権を奪っていたと言い、それを移譲すると言っても、それが法的にどう説明できるのか、専門家であればあるほど、よく分からなくなるからである。

最上氏は、1700人以上にのぼる職員を抱えた米国大使館が米英占領当局(CPA)にとって替わり、占領軍が多国籍軍と名前を変えるだけで、「形式的に『占領』は終わるかもしれないが、実質的には何も変わらない」と指摘されています。

では、「主権が移譲されて、なおかつ占領が実質的に終わらないのだとすれば、いったい主権とは何なのだろうか」と問われ、次のように“20世紀の主権論”を展開されています。すなわち……
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大量破壊兵器は見つからない

イギリスのブレア首相が、6日、イギリス下院委員会で、イラク戦争の「理由」とされた大量破壊兵器について「今後とも見つからない可能性を受け入れなければならない」と発言したそうです。ただ、同首相は「大量破壊兵器がかつて存在したのは明白」とし、「隠したり、処分したと考えられる」とも述べたそうです。

しかし、「かつて存在した」ことは当然としても、問題は、イラク戦争開戦直前の一定の時期に、本当に大量破壊兵器が存在したのかどうかです。事実、改選前の時期には、国連査察などによって大量破壊兵器の処分がすすんでいました。にもかかわらず、アメリカとイギリスはなお「隠している」「大量の大量破壊兵器を持っている」と主張したはず。それを、いまになって「処分したのではないか」などと言い出すのは、「大量破壊兵器の存在」という開戦の口実が破綻したことを事実上認めたものといえます。
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誰と「了解」したのか?

自衛隊の多国籍軍参加にあたって、自衛隊は多国籍軍の指揮はうけないという日本と米英政府との「了解」なるものが、ようやく公表されました。しかし、発表された文章は、日本の公使と相手国政府高官との「了解」というだけで、相変わらず、「了解」に達した相手が誰なのか不明です。
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アメリカ国家調査委員会報告書

9・11同時多発テロをめぐるアメリカの国家調査委員会の報告書が16日発表されましたが、同報告書は、アルカイダとフセイン政権との間にアメリカへのテロ攻撃にかんして「協力したことを示す証拠は一切ない」と結論づけています。

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連合国は占領軍!

イラク連合国暫定当局(CPA)が5月に実施した世論調査の結果。APの資料らしい……。

●連合軍は?

解放軍 2
平和維持軍 3
占領軍 92
その他・分らない・無回答 3

●連合軍の駐留期間について

即時撤退 41
恒久的政権が選出されて以後 45
安定のため連合軍が必要と考える限り 6

●連合軍なしにイラク警察・軍が治安を維持できる可能性は?

可能性は高い 62
ある程度できる 25

さらに、「連合軍が即時撤退した方がイラクは安全になる」が55%という結果も出ています。イラクを“占領”しているCPA自身の調査でも、イラク国民から連合軍の占領統治にノーが突きつけられたということです。

CPA世論調査結果(英語、Microsoft PowerPoint HTML版)

自衛隊の多国籍軍参加

今日、自民党、公明党が多国籍軍への自衛隊の参加を了承しました。

自衛隊は多国籍軍の指揮下に入るわけではないというのがその理由ですが、実は、6月15日にマクレラン米大統領報道官が記者会見して、自衛隊は「ポーランド、英国、イタリアの各軍隊と同様に」自国の指揮系統のもとにあると発言するとともに「多国籍軍全体は米司令部によって監督される」と指摘しました。つまり、米司令部によって監督される多国籍軍の統一された指揮の下にあるポーランド軍や英軍やイタリア軍と同じように、自衛隊も米司令部の監督の下に置かれるということです。英軍だって、ポーランド軍だって、もちろんイギリス本国、ポーランド本国が撤退を決めれば、いくら統一指揮下にあったとしても撤退できるし、撤退するというのは当然のことです。そういう意味で、各国軍隊はつねに各国政府の指揮下にあります。

小泉首相や自民・公明政府が頼みの綱としている「自国の指揮権」はそういう“当たり前”のことでしかなく、他方で、多国籍軍が米司令部の監督下に置かれるというのも“当たり前”のことなのです。もちろん、自衛隊の「参加」にあたって、日本政府があれこれの条件をつけることはありえます。その結果として、日本政府の知らないところで自衛隊が突然別方面に出動させられたり、戦闘行動に動員されるということはないと思いますが、しかし、同じサマワで同じように活動している多国籍軍の他の部隊が「武装勢力」に襲撃されたときに、自衛隊だけ宿営地に戻って閉じこもっているということは「多国籍軍」の一員としては不可能だということです。
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毎日新聞の世論調査

同じく毎日新聞の電話世論調査。自衛隊を多国籍軍に参加させると、小泉首相がサミットの場での日米首脳会談で突然発表したことについては、従来の政府見解を踏み越えるところもあって、与党内からも不満が出ていますが、しかし、その点だけで議論してみても、所詮、“アメリカ言いなり”の枠組みの中での“タイミング”をめぐる議論でしかありません。「多国籍軍への参加」に問題があるからこそ、“まず最初にアメリカに”ということが問題になるのです。

●自衛隊の多国籍軍参加は?

全体 男性 女性
賛成 33% 36% 30%
反対 54% 53% 56%

それより、面白いのは年金改革法をめぐる世論調査の方です。

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オランダ軍は来年3月で撤退

オランダ政府が、イラクに派遣しているオランダ軍を来年3月で撤退させると表明しました。
オランダ軍がサマワ市周辺の治安維持を担当しているというのが、自衛隊がサマワ現地で武力行使をしないでいられる前提になっています。そのオランダが撤退すれば、いったい誰が自衛隊の活動を保証してくれるのでしょうか? 自分でサマワ市の治安維持を図ろうとすれば、武力行使に及ぶ可能性はきわめて大きくなります。人道援助活動(と称して、基地に立てこもってやっている効率悪い「給水活動」)ができなくなるだけでなく、撤退することさえできなくなる可能性も…。どうするつもりなんでしょう。

自衛隊の多国籍軍参加

小泉首相が、サミットで、イラクに派遣中の自衛隊を、来月以降「多国籍軍」に参加させると表明。

現在でも、イラクに派遣された自衛隊の指揮権は曖昧なままですが、多国籍軍に参加したとき、自衛隊の指揮権をどうするつもりなのでしょうか? もしそれを多国籍軍にゆだねるのであれば、治安活動を担う多国籍軍への参加は、自衛隊の海外での武力行使を容認することになるし、自衛隊だけ治安活動に参加しないなら多国籍軍への参加とはいったい何なのか?

多国籍軍というのは、国連決議にもとづいて設立されるものであり、現在の自衛隊の「有志連合」への参加のように曖昧なやり方は許されないはず。いったい小泉さんはどうするつもりなんでしょう?

イラクで日本人ジャーナリストが犠牲に

イラクで、日本人のフリージャーナリスト橋田信介さん(61歳)と元NHKディレクターの小川功太郎さん(33歳)の2人が銃撃を受け、犠牲となったそうです。残念でなりません。

ちょうど、この1月に出たばかりの橋田さんの本『イラクの中心でバカとさけぶ』(アスコム刊)を読んでいたところ(というか、正確には読もうと思って買って積ん読になっていたところ)だったので、とても衝撃的でした。この本を読むと、この文章がかなりぶっ飛んでいて、これが61歳のオッサンの書く文章かと思ったりしますが、しかし、テレビに映っているご本人はいたって真面目で、丁寧な語り口のおじいさんでした。日本国内では、サマワは戦闘地域かどうかとか、国際貢献すべきかどうかなど、さまざまに議論されているけれども、実際イラクでは何が起こっているのか、それを見なくちゃわかんないだろう!という気概というか、ジャーナリスト魂というか、気迫を感じます。

橋田さんは、日本人人質事件のあとの「自己責任」という口実で被害者たちがバッシングにあっているということを知ったとき、イラクから奥様に電話をして、自分が人質になっても社会や政府に「助けてください」と言うな、本人は覚悟して行ったと言え、と話されたそうです。それでかどうかは分かりませんが、今日、事件のことを質問されて、奥様は「本望でしょう」ときっぱり答えられていました。

だけれども、だからといって今回の事件を「覚悟していたんだから、いいじゃないか」ということにはして欲しくありません。橋田さんがいちばん伝えたかったことは何か。戦争というのは、実際に人が死ぬことなのだという“事実”を、橋田さん自身が身をもって実証したということは残念でなりません。何がイラクの治安をここまで悪化させたのか、何が日本人ジャーナリストや日本人ボランティア活動家たちを危険な目に遭わせているのか。そのことを考えずにはいられません。

イラク問題

ポルトガルのサンパイオ大統領がイラク戦争を批判
「予防戦争という異論のあるドクトリンにもとづいて、国連による正当性の保障のない軍事介入を決定したことにたいして、歴史が審判を下すだろう」。(しんぶん赤旗、4/27付)

スペイン世論調査
スペインの新聞ペリオディコの世論調査(25日付)で、新政権のイラク撤兵支持が73.3%。撤兵反対は18%。ムンド紙の調査(26日付)では、支持67%、反対23%。