エジプトの歴史

山口直彦『エジプト近現代史』(明石書店)

山口直彦『エジプト近現代史』(明石書店)

第2次世界大戦以後のエジプトの歴史を調べようと思ったが、インターネットでエジプトの歴史にかんする文献を探してみると、ほとんどがピラミッドやクレオパトラ、ツタンカーメンのお話ばかり。ようやく見つけたのが、これ。

山口直彦『エジプト近現代史』(明石書店、2006年)

全部で350ページ近くある本ですが、第2次世界大戦後となると最後の50ページほど。書かれたのがちょうど5年前、前回の大統領選挙でムバラクが再選された直後。だから、サダト、ムバラクの時代は10ページほどしかなく、詳しいことはほとんど分からない。(^_^;)

それでも、第2次世界大戦あたりからの歴史をメモってみると、おおよそこんなところ。

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エジプトはどこへ向かうか

ムバラク大統領が失脚したエジプト。とりあえず権力を掌握した軍は、憲法を停止し、議会を解散した。ムバラク体制を支えてきた憲法と議会なのだから、それは当然のことだろうが、しかし、内閣は、ムバラク前大統領が1月31日に任命したシャフィク内閣がそのまま居座っている。そして全権を握った軍そのものが、実はムバラク体制を支えてきた一番の立役者なのだから、民主化を求める改革は、まだ第一歩を踏み出したばかりといえる。

すでに、カイロ市内では賃上げを求める集会やデモ行進が始まっているし、銀行員による幹部追放要求も出されているようだ。こうした動きに、軍がどう対応するのだろうか。

カイロで政府職員ら大規模デモ:徳島新聞
エジプト軍警察 広場に残る抗議行動参加者に対し強硬策も辞さず: The Voice of Russia
エジプト:熱気冷め、不協和音 警官隊デモに市民怒声:毎日新聞
エジプト:待遇改善求め警官らがデモ:毎日新聞
エジプト:景気刺激策を取りまとめへ―停滞する経済の活性化目指す:Bloomberg.co.jp
民主制度を機能させられるか―全権掌握のエジプト軍部:WSJ.com
憲法停止、議会も解散=政権保持は6カ月―市民生活、正常化へ・エジプト軍政:時事通信

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ムバラク大統領が辞任、権限は軍最高評議会へ

ムバラク大統領が辞任を発表し、大統領権限は軍の最高評議会に移譲されたことは、はしなくもムバラク政権が軍事政権だったことを示すことになった。

大統領権限 軍の最高評議会に:NHKニュース
ムバラク・エジプト大統領が辞任、軍に権限委譲 | Reuters

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いよいよ…か?

ムバラク大統領が国営放送を通じて、権限を副大統領にゆずると演説。しかし、辞任はあくまで拒否。

これにたいして、首都カイロをはじめとしてエジプト各地で大規模なデモが行われているようだ。大統領はカイロを脱出したそうな。いよいよ…かもしれない。

大規模デモ始まる 緊迫の情勢:NHKニュース
エジプト全土でデモに百万人:徳島新聞
【エジプト騒乱】ムバラク氏、首都脱出 BBCなど報じる:MSN産経ニュース
エジプト大統領、即時辞任を拒否 権限は副大統領に委譲:日本経済新聞

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さて、中東諸国はどうなるか

さて、相撲騒ぎより大事なのは中東情勢。チュニジア、エジプトだけでなく、イエメン、ヨルダンでも政権交代を求める街頭活動が盛んになっている。しかし、専制とか貧富の格差ということでいえば、中東には、もっと深刻な国がいくらでもある。形式的な議会さえ存在しない王国だって、まだまだある。中東諸国が本格的に「国民が主人公」の政治に踏み出して、偏在する冨をもっと広く国民が享受できるようになったら、どれほど世界政治が変わることだろう。アメリカが、イスラエルといっしょになって中東を支配して、特定の国を目の敵にするようなことは、もはや通用しなくなる時代が、いよいよ近づいているのかも知れない。

しかし、さしあたりは、それぞれの国内の動きがどうなっていくのか。注目すべきは、どういう政治勢力がどんな要求をかかげて登場するか、なのだが、アメリカ目線でしか世界情勢を見ようとしない日本のマスメディアでは、さっぱり分からない。

イエメン大統領、2年後退陣を表明 世襲制にも反対:AFPBB News
イエメンで大規模反政府デモ、チュニジアから波及:AFPBB News
反政府デモ続くヨルダン、国王が首相更迭:AFPBB News
ヨルダン:デモ継続呼びかけ 収束は不透明:毎日新聞

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救援物資まで妨害するイスラエル

パレスチナのガザに世界から送られてきた援助物資を、イスラエルが検問所で通せんぼしているというニュース。

そのため日本が援助した毛布も、まだガザには届いていないという。日本もなめられたもんです!!

ガザ 停戦後も支援十分届かず(NHKニュース)

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人類の正義が中東において実現しますように

ライヴ・イン・ラマラ バレンボイム指揮:ウエスト=イースト・ディヴァン・オーケストラ

今年のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートの中継を見ていたら、バレンボイムのこんな活動が紹介されていました。知っている人には前から有名な話だったのでしょうが、CDが出ているというのは初めて聴きました。

ということでさっそく買い込んできました。

Live in Ramallah, Daniel Barenboim & West-Eastern Divan Orchestra : Warner Classics WPCS-11909

バレンボイムが、イスラエルとアラブ諸国の若者からなるウエスト=イースト・ディヴァン・オーケストラを率いてイスラエル・パレスティナ自治区のラマラでおこなった2005年8月のコンサートのライブ盤です。

中東和平:ウィーン・フィル指揮者、新年演奏会で共存訴え(毎日新聞)

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読み始めました。オルハン・パムク『雪』

オルハン・パムク『雪』(藤原書店)

2006年ノーベル文学賞を受賞したオルハン・パムクの『雪』です。

以前から、「トルコの小説って、珍しいなぁ…」と思って気にはなっていたのですが、ノーベル賞をとったということで、読んでみることにしました。(^_^;)←けっこうミーハー

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レバノン封鎖解除、イスラエルは拒否

停戦が成立して一段落したようなレバノン情勢ですが、イスラエル軍はまだレバノン封鎖を解除せず、レバノン国内から撤退もしていません。また、イスラエル軍は、停戦直前にクラスター爆弾を大量に投下したことで批判が起こっています。

イスラエルがレバノン南部に集束爆弾、不発10万発(読売新聞)
国連総長のレバノン封鎖解除要請、イスラエルが拒否(読売新聞)
アナン氏、「ほとんどの停戦違反はイスラエル軍側」(朝日新聞)

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イスラエル軍の空爆で、避難民ら約60人が犠牲に…

もとはといえば、ヒズボラに捕まった2人のイスラエル兵の奪還から始まった作戦ですが、すでにそれをはるかに上回る犠牲を出してしまっています。

これにたいし、イスラエル政府は、国連の求める72時間の停戦を拒否。さらに10日?2週間程度の作戦継続を主張しています。

レバノン空爆、子ども37人含む54人死亡(読売新聞)
イスラエル軍レバノン南部空爆 米・ライス国務長官、イスラエルのオルメルト首相と会談(FNN Headline)

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イスラエルのガザ侵攻中止決議、アメリカが拒否権

イスラエルに、パレスチナ自治区ガザ侵攻の停止などを求める国連安保理決議案に、アメリカが拒否権を行使。

公海上へのミサイルの発射に制裁を主張しておきながら、実際に人が殺されているのに、なぜ拒否権なのでしょうか。

イスラエルのガザ侵攻中止決議案、米の拒否権で否決(読売新聞)

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パレスチナ選挙、ハマスが過半数を獲得

ハマス=テロ集団という図式で見ているだけでは、パレスチナ問題の解決は不可能。ハマス自身も、議会選挙への参加をきっかけに、武装闘争一本槍からの変化を望みたい。

しかし何より求められるのは、イスラエルが武力による占領政策をやめること。ハマスの“勝利”は、そうしたイスラエルの強硬路線が招いたものだと思うのですが。

ハマスが勝利宣言、内閣が総退陣 パレスチナ選挙(CNN)
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ガザ撤退計画に進展か?

イスラエルの最大野党労働党が、シャロン首相の与党リクードとの連立に同意しました。シャロン政権は、ガザ地区撤退計画を発表してから連立与党から右派諸党が離脱し、少数政権に転落していました。

ガザ撤退を支持する労働党との連立で、政権基盤が強化され、撤退計画が進展する可能性もあります。しかし、どこまでイスラエルの軍事強硬路線に歯止めがかかるのか、過大な期待は禁物かも知れません。

イスラエル労働党、連立に同意 ガザ撤退計画に弾み – asahi.com

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過ちて則ち改むるに憚ることなかれ

PLOのマフムード・アッバス新議長が、アラファト前議長時代のPLO指導部がイラク旧フセイン政権のクウェート侵攻を支持したことを謝罪しました。

過ちては則(すなわ)ち改むるに憚(はばか)ること勿れ
[論語学而] 過ちを犯した時は、躊躇(ちゅうちょ)することなく速やかに改めよ。[三省堂『大辞林』]

PLO新議長、クウェートに謝罪/イラクの侵攻支持で(読売新聞)

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アラファト議長が死去

パレスチナ解放機構(PLO)とパレスチナ自治政府のアラファト議長が亡くなりました。

アラファト氏は、「パレスチナの不死鳥」と言われたことがあったように、政治的に何度も失脚しそうになりながら、その都度復活。パレスチナ民衆からはパレスチナ解放の象徴と見なされてきました。10年前には、イスラエルのラビン元首相と暫定自治で合意。イスラエル国家の存在を認めた上での自治・独立の路線を現実化させました。

しかし、ラビン首相の暗殺いらい、イスラエル側が強硬化したたため、その暫定自治合意も大きな困難に直面しています。ブッシュ政権の、「テロにたいする先制攻撃」戦略がイスラエル強硬派を増長させていることも大きな要因になっています。

<パレスチナ>アラファト議長が死去(毎日新聞)
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国連総会、イスラエルの分離壁撤去を決議

イスラエルが建設を進めている分離壁の撤去を求める国連総会決議が、150カ国の賛成で採択されました(加盟国総数は191カ国)。分離壁は、国際司法裁判所の勧告的意見によって「国際法に違反する」と指摘されていたもの。アメリカ、イスラエル、オーストラリアなど6カ国が反対、カナダなど10カ国が棄権、日本は賛成しました。

国連特別総会:イスラエルによる分離壁撤去決議案を採択(毎日新聞)
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イスラエルの分離壁建設は違法

国際司法裁判所が、9日、イスラエルがヨルダン西岸地域に建設している分離壁を「国際法違反」と断定し、「解体」を勧告する意見を明らかにしました。

国際司法裁判所の「勧告的意見」は法的拘束力を持ちませんが、今回の提訴は昨年12月の国連総会の決議にもとづいておこなわれたもので、同意見は、各国政府にたいし「壁建設によって生じた不法な事態を承認しない義務を負う」と指摘、国連安保理と国連総会に「不法自体を終わらせるために」取るべき行動を検討するように勧告しています。