ベネズエラ革命の息吹

今夜は、日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(日本AALA)の「ベネズエラ革命と国際連帯」という講演会を聴いてきました。

講師は、駐日ベネズエラ大使のイシカワ・セイコウ氏。ご両親とも日本人で、御本人も外見はまるっきり日本人。といっても、講演はもちろんスペイン語でしたが。

まず驚いたのは、この大使が1972年生まれで、つい先日33歳になったばかりということ。なんという若さ! ベネズエラの大学卒業後、ハーバード大学の大学院でマーケティングなどを勉強し、マネージメントの会社に就職していたところを、2000年8月の大統領選挙でチャベス現大統領が60%の支持で再選されたあと、自らもベネズエラ革命に飛び込み、外交官となり、駐日経済・貿易参事官などを経て、今年8月から駐日大使になったという経歴。司会者の方が「革命をすすめている国ならではの息吹を感じる」と言われていましたが、まったくその通りです。

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米政府の日中関係憂慮

日経新聞が、「これでは日本がアジアで孤立しないか」との社説をかかげ、小泉首相の対アジア外交姿勢を批判したことは、昨日、紹介(「日経が小泉外交を批判する社説を掲載」)しましたが、日経がこうした方向に舵を切り替えるきっかけとなった記事を見つけました。

それは、17日付の日米首脳会談にかんする解説記事。ブッシュ大統領が日中関係に言及したことにたいして、「首相の靖国神社参拝には言及しなかったものの、米政府内にある日中対立への懸念を念頭に、関係改善に期待感を示したものとみられる」と指摘しています。

米大統領、日中改善に期待(日経新聞)
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中国の王毅大使、防衛大学校で講演

駐日中国大使の王毅氏が、10月26日、日本の防衛大学校で講演しました。中国脅威論があることを念頭に、中国が今どこに向かおうとしているか、中国政府の立場を分かりやすく語っています。

人言を信となし、止戈を武となす――防衛大学校での王毅大使の講演(中華人民共和国駐日本国大使館)
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米政府の対中政策

アメリカが、対中政策を転換させていることについて、共産党の「しんぶん赤旗」が精力的に紹介しています。なぜ共産党が?と思われるかも知れませんが、日本の商業メディアは、こういうニュースをなかなか取り上げようとしません。いまのアメリカが、対日関係と対中関係とどちらに力を入れているか、考えてみればすぐ分かりそうなものなのですが…。

中国をパートナーと認識/「封じ込め」は誤り/米国務省副報道官(「しんぶん赤旗」)
米中関係「建設的に」/両首脳 高レベル交流維持(「しんぶん赤旗」)
米国の対中政策/経済関係強まるもと/けん制しつつ関与促進へ(「しんぶん赤旗」)
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「親切なクムジャさん」

親切なクムジャさん

日曜日、イ・ヨンエ様主演の最新作、「親切なクムジャさん」を見てきました。

児童誘拐・殺害の犯人として捕まったクムジャさん。事件の残虐さとともに、犯人の美貌に、韓国社会は大きな衝撃を受けます。やがて13年の刑を終えて、彼女は出所。外では、教会のみなさんが待ってくれていたのですが、それを冷たく無視して去っていきます。クールで、どこか世を捨てたみたいなところがあって、どこが「親切」なんだろう?と思ってみていくと、カットバックで、刑務所時代の彼女の様子が描かれます。

赤いアイシャドーに真っ赤なハイヒールで、颯爽と歩くイ・ヨンエ様の美しさ。刑務所の中での、模範囚としてひっつめ髪にしたお顔も素敵ですが、顔にかかる髪をかきあげ、煙草をくゆらす、ちょっと厭世的なイ・ヨンエ様の妖しい美しさも見事です。

さて、なんでイ・ヨンエ様、じゃなくて、クムジャさんが刑務所の中で親切だったかは、徐々に明らかになります。18年前の誘拐事件の真相は…? 犯人は? 刑務所時代の仲間を訪ねていくクムジャさんの目的は?

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アメリカの対中政策

今年9月21日、米国務副長官のロバート・ゼーリック氏が対中政策にかんする演説を行ないました。livedoorニュースで記事が配信されています。

米中関係は対立よりも協調路線に転換すべき=ゼーリック国務副長官(livedoor ニュース)

米中関係は対立よりも協調路線に転換すべき=ゼーリック国務副長官

【ライブドア・ニュース 09月22日】? XFN-ASIAによると、ロバート・ゼーリック米国務副長官は21日、民間団体主催の夕食会で、米国が中国を国際システムの「責任ある利害関係者」となるため、一段の努力を行うべきだと述べ、成長を続ける中国からは対立ではなく、協調を引き出すべきだと主張、30年間続いた中国を世界と統合する政策から一歩踏み出すべきだと語った。ゼーリック副長官はまた、「国際ルールに適応し、新世紀の課題に他国と共に当たっていこうとする中国との関係を強化したい」と述べた。米政府の中国との戦略的対話の中心人物であるゼーリック副長官のこうしたコメントは、当初中国を「戦略的ライバル」と見ていたブッシュ政権の対中政策の変化を反映している。【了】
ライブドア・ニュース 山中泉記者 2005年09月22日15時38分

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靖国参拝で平和国家日本のイメージを崩してよいのか?

米コロンビア大学のジェラルド・カーティス氏が「東京新聞」11月6日付で、「靖国参拝で国益損失」と題して、小泉首相の靖国参拝を論じています。少し古い記事ですが、紹介したいと思います。

カーティス氏は、「どの国でも、国のためになくなった兵士に対し、それぞれのやり方で敬意を払っている。だから、それを日本の指導者がどのようなやり方でするかということに、外国人が口を挟むべきではないと思う」と述べた上で、「だが」といって、次のように指摘しています。

 だが、靖国神社が戦死者を祭るだけの神社でないことが問題である。靖国は、戦死者を祭ると同時に、軍国主義時代に兵士たちを戦争に行かせた政府の政策を正当化しようとする特別な神社である。
 8月初めに、私が訪問した際、靖国神社にある博物館「遊就館」で、「大東亜戦争」を起こした日本の軍事行動をたたえる映画を上映していた。真珠湾攻撃は自衛のための先制攻撃であり、アジア大陸で戦ったのはアジア解放のための崇高な行動だといわんばかりである。靖国神社が発信しようとする政治的メッセージに、日本の軍国主義の被害にあった国ぐにが無関心であるはずはない。日本の首相を初め多くの政治家が、どうしてこの神社を参拝するのか、その動機と目的を疑うのは当然だと思う。

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今年の「年次改革要望書」は?

関岡英之氏の『拒否できない日本』いらいすっかり有名になったアメリカ政府の「年次改革要望書」ですが、これまで毎年10月には提出され、アメリカ大使館のホームページに日本語仮訳が公開されていたのに、今年はまだ公開されていないと、Take A Deep Breath:奪われる日本で指摘されていたので、ちょいと調べてみました。

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第2次日韓協約 日本側の軍事的圧力を示す史料が見つかる

1905年に結ばれた第2次日韓協約(韓国側では乙巳条約)。日本が韓国の外交権を取り上げ、ソウルに統監府を設置、10年後の韓国併合につながった条約ですが、その締結の際に、日本側が韓国駐留軍の軍事力にものをいわせて圧力をかけていたことを示す史料が、荒井信一氏によって明らかにされました。

1つは、当時の駐韓アメリカ公使の国務長官宛報告書。報告書は、韓国駐留日本軍が交渉会場を固めていたことを指摘し、「韓国皇帝に日本の要求を拒むことは不適当だと思わせるためにも使われた」と報告。
もう1つは、陸軍省の「明治三十七八年戦役陸軍政史」で、長谷川司令官が条約に反対する韓国の閣僚らの動きを封じるため、憲兵に動静を厳しく監視させ、韓国の軍部大臣を呼び、「最後の手段が何か、あえて詳しく言わないが」と告げたとのこと。

日韓協約交渉、日本軍が韓国側の行動制約か 米公使指摘(朝日新聞)
日韓協約交渉、日本側が武力で圧力 シンポで発表(朝日新聞)
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映画「ヴェニスの商人」

ヴェニスの商人(チケット)

原作ウィリアム・シェイクスピアの、言わずと知れた「ヴェニスの商人」ですが、マイケル・ラドフォード監督にかかると、こんなになるのか!と唸らされる作品です。(今年23本目)

ベニスの商人アントーニオ(ジェレミー・アイアンズ)は、親友のバッサーニオ(ジョセフ・ファインズ)が求婚するために金を貸すことにするが、あいにく彼の全財産は船の上。やむをえず、商売敵のユダヤ人シャイロック(アル・パチーノ)に頼むことに。シャイロックは、もし期限までに金を返せなければ保証人アントーニオの肉1ポンドをもらうという証文と引き替えに、金を貸すことを認めた。バッサーニオは、その金で、見事、金持ちの貴族の娘ポーシャ(リン・コリンズ)との結婚を果たすが、アントーニオの船が難破し、借金が返せなくなる。日頃、アントーニオから「ユダヤ人」「異教徒」と蔑まれていたシャイロックは、証文どおり、アントーニオの肉1ポンドを要求し、裁判に訴える……。

ヴェニスは商業でなりたっている都市であり、何よりも契約を守ることが「正義」とされていた。それゆえ、期限までに金を返せなかったのだから肉1ポンドを寄こせというシャイロックの訴えを、頭から退けることができない。誰もが、シャイロックの勝ち、アントーニオはこれでお終いだと思ったとき、ポーシャ扮する若い法学博士が見事な裁きを申し渡し、アントーニオが救われることはあまりにも有名。

しかし、そう単純にいかないところが、この映画のすごいところ。(以下、ネタばれあり…っていても、筋はもともと誰もが知っていることなのですが)

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まだ下がるだけの余裕があったのね 米個人貯蓄率

アメリカ国民の貯蓄率がさらに低下したという調査を、サンフランシスコ地区連銀のシニアエコノミストが公表したそうな。2000年以降の平均はわずか1.9%。

国民経済統計から言うと、貯蓄=投資。今のアメリカは、外国からの資金流入でなんとかやっているということ。その1番の原因は財政赤字であることは、言うまでもありません。

米個人貯蓄率の低下、退職者の増加で将来深刻な問題に=地区連銀(ロイター)
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関志雄『中国経済のジレンマ』

関志雄『???経済のジレンマ』(ちくま新書)

著者の関志雄(カン・シユウ)氏は、1957年香港生まれ。東大大学院を卒業し、現在、野村資本市場研究所シニアフェロー。これまでに『円と元から見るアジア通貨危機』(岩波書店、1998年)、『共存共栄の日中経済 「補完論」による実現への戦略』(東洋経済新報社、2005年)などの著書と、『中国未完の経済改革』(樊綱著、岩波書店、2003年)の翻訳などがあります。今年5月には、『中国経済革命最終章―資本主義への試練』(日本経済新聞社)も刊行されていて、本書は、その簡約版といったところでしょうか。

第1章から第3章までで、「改革開放」政策の概要を紹介。第4章から第7章までで、外資導入、国有企業民営化問題、国有銀行改革、人民元切り上げという中国経済の当面する改革課題を明らかにしています。最後の2章は、こんごの発展方向を明らかにしたもので、第8章では国内の「調和のとれた発展」という問題を、第9章では、対外的な「平和台頭」論をとりあげています。
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米下院外交委員長が小泉首相の靖国参拝に懸念の書簡

米下院外交委員会のヘンリー・ハイド委員長(共和党)が、加藤良三駐米大使に書簡を送り、小泉首相の靖国参拝について「アジア諸国間の対話が疎外されるとしたら残念だ」と懸念を表明。

この間、アメリカは一貫して小泉首相の靖国参拝が、日米関係を中心としたアメリカの対アジア政策に悪影響を及ぼすことへの懸念を表明しています。さて、アメリカ大好きな小泉さん、アメリカのご意向にどうする?

靖国参拝による対話疎外に懸念 米下院外交委員長が書簡(朝日新聞)
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小泉首相の靖国参拝を批判する米紙社説(part3かな?)

ウニさんが、「壊れる前に…: 小泉首相の靖国参拝を批判するボストン・グローブ社説」で紹介していますが、米ボストン・グローブ紙10月23日付が、小泉首相の靖国参拝を批判する社説を掲載。

社説は、中国や韓国の厳しい批判を紹介したあとで、アジア太平洋経済協力会議フォーラムをや初のアジア・サミットをひかえ、鳥インフルエンザやテロリズム、核拡散、エネルギー資源をめぐる紛争などで地域的な協力が必要なときであると指摘しつつ、次のように結んでいます(拙訳)。

他のアジア諸国民の感情を尊重することに対する小泉の鈍感な拒絶は、ただ不都合なだけではない。それは、日本人を、公平でないとはいえ、隣国人たちの歴史的経験の真実を受け入れる気がないかのように描き出す。

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ナイ元米国防次官補が小泉首相の靖国参拝を批判

東京新聞が、小泉首相の靖国参拝問題について、元米国務次官補のジョセフ・ナイ教授にインタビュー。ナイ教授は、「国際的影響力に与えるマイナスを無視した思慮に欠ける行為」と批判。日本は「政治家たちが戦争時代の過去と正面から向き合うことを避けているため、他のアジア各国と完全に和解し切れておらず、うまくいっていない」と指摘しています。

元米政府高官 異例の批判/靖国参拝 ナイ教授に聞く(東京新聞)
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米軍の戦時作戦統制権を韓国返還へ

朝鮮戦争以来、米軍が持っている韓国軍の「戦時作戦統制権」の返還を韓国が求めている問題で、ラムズフェルド米国防長官は「協議を適切に加速」することで合意。

共同演習を繰り返し、共同作戦体制を強化し、米軍との一体化を進めるばかりのどこかの総理大臣とは大違い。

米韓、戦時作戦統制権の韓国返還「協議を適切に加速」(NIKKEI NET)
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読み終えました 申京淑『離れ部屋』

申京淑『離れ部屋』(集英社)

16日のブログに申京淑さんの『離れ部屋』を読み始めたと書きましたが、今朝の通勤電車の中でようやく読み終えることができました。

小説の始まりで、作者は「これは事実でもフィクションでもない、その中間くらいの作品になりそうな予感がする」と書き、お終いでもう一度「これは事実でもフィクションでもない、その中間くらいになったような気がする」と書いています。実際、なかなか不思議な具合にストーリーは展開します。

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