ガザ撤退計画に進展か?

イスラエルの最大野党労働党が、シャロン首相の与党リクードとの連立に同意しました。シャロン政権は、ガザ地区撤退計画を発表してから連立与党から右派諸党が離脱し、少数政権に転落していました。

ガザ撤退を支持する労働党との連立で、政権基盤が強化され、撤退計画が進展する可能性もあります。しかし、どこまでイスラエルの軍事強硬路線に歯止めがかかるのか、過大な期待は禁物かも知れません。

イスラエル労働党、連立に同意 ガザ撤退計画に弾み – asahi.com

続きを読む

米、北朝鮮の体制打倒を目指さず

2期目を目指すブッシュ政権が、対北朝鮮政策の基本路線として、金正日体制の転覆をねらうのでなく、現体制の継続を前提とした「体制変革(レジーム・トランスフォーメーション)」を目指す方針を固め、北朝鮮、韓国には通告済みだと、朝日新聞が報じています。

外交交渉である以上、相手国の体制転覆を方針にしたのでは交渉になりません。その意味でアメリカ政府の方針転換は当然のことといえますが、それによって、一部の政治家やメディア、評論家の“北朝鮮をぶっ潰せ”と叫べばいいみたいな論調の道理のなさが、あらためて示されたとも言えます。

ブッシュ政権、金体制の転覆目指さず 北朝鮮に伝達(朝日新聞)
続きを読む

だからミサイル防衛システムなんて、そんなにうまくいかないんだって

ブッシュ政権が2004年内の実戦配備を目指していたミサイル防衛システムですが、15日に地上配備型迎撃ミサイルの飛行実験に失敗。その結果、同システムで初の実戦配備を目指していたアラスカ州フォートグリーリー基地の地上配備型迎撃ミサイル六基の稼働が来年にずれ込むことが明らかになりました。

米ミサイル防衛、稼働は来年にずれ込み・米軍スポークスマン(NIKKEI NET)
続きを読む

台湾のハンセン病元患者が補償を求め提訴

台湾のハンセン病元患者が、ハンセン病補償法にもとづく日本政府への補償請求を退けた厚生労働省の処分を不服として、処分取り消しの訴えを起こしました。

植民地支配の下で、国内の隔離政策に従って、強制隔離しておきながら、いまになって「外国人」であることを理由に補償しないというのは矛盾しているとしか言いようがありません。

台湾の元患者も集団提訴 ハンセン病隔離の補償求め(共同通信)
続きを読む

「毎日」、盧武鉉大統領へのインタビュー掲載

17日付「毎日新聞」が、韓国・盧武鉉大統領へのインタビューを掲載しました。それを読むと、盧武鉉大統領がしっかりした原則をもって自らの考えを話していることがよく分かりますね。以前、大統領選前に書かれた『私は韓国を変える』(青柳純一、青柳優子訳、朝日新聞社)を読んだときも、その点で非常に新鮮な印象を受けたことを覚えています。

韓国大統領 一問一答(毎日新聞)
続きを読む

『丁玲自伝』

丁玲自伝

昨日(正確には一昨日)買ってきた丁玲著『丁玲自伝』(東方書店)ですが、今日(正確には昨日…あ〜面倒くさい)読み終えてしまいました。

同書は、丁玲が1933年に上海で逮捕され国民党によって3年間余り幽閉されていた時代のことを書いた「暗黒の世界で」(原題は『魍魎世界』)と、1957年の「反右派闘争」から「文化大革命」の時期の体験を書いた「風雪に耐えて」(原題は『風雪人間』)の2部構成です。

とくに上海で幽閉されている時期に、国民党によって、「丁玲は裏切った」というデマが流され、それが「反右派闘争」や「文化大革命」の時期に「右派」の証拠として持ち出されるなど、苦労を重ねることになります。しかし本書では、そうした境遇で苦しむ自分の気持ちとともに、そのとき、そのときのさまざまな人との出会い――そのなかには、裏切りや挫折もありますが、思いやりある人々との出会いがていねいに書かれていて、あらためて、革命運動というものはそうした人々の思いによって支えられ、継承され、発展していくものなのだということを強く感じました。

【書誌情報】著者:丁玲 Ding Ling/書名:丁玲自伝 中国革命を生きた女性作家の回想/訳者:田畑佐和子/出版社:東方書店/発行:2004年10月/INBN4-497-20415-4/定価:本体2400円+税

米国務副長官、やや軌道修正?

昨日、小池百合子沖縄北方担当相との会談で、経済制裁発動に慎重姿勢を見せたと報道されたアーミテージ国務副長官が、平沼赳夫・拉致議連会長との会見で、「アメリカは決して消極的ではない」と、態度を「軌道修正」させたと報道されています。

しかし、「段階を踏んでおこなうことが大事」と述べたほか、制裁をおこなうかどうかはあくまで日本政府の問題として、アメリカ政府から「経済制裁をやるべし」とは絶対に言わないという立場は変わっていません。、安倍晋三・自民党幹事長代理の「経済制裁で一挙解決」発言などには同調しない態度は明確。そこがポイントでしょう。

北への経済制裁、基本的に支持…米国務副長官(読売新聞)
続きを読む

米国務副長官、経済制裁に慎重

北朝鮮に対する経済制裁が取沙汰されていますが、アーミテージ米国務副長官は、制裁発動に慎重であるべきだとの考えを示しました。訪米して会談した小池百合子沖縄北方担当相が明らかにしたもの。

小池百合子担当相は、「制裁カードとして見せていることが有効だ。実際にやれば大変だ」とかタイミングの問題として理解したみたいですが、アメリカが関心を持っているのは、日本が経済制裁を発動することで6カ国協議の枠組みが壊れるのではないかということ。その立場から、日本の“暴走”を牽制したものと思います。

拉致問題については、北朝鮮の交渉担当者も、拉致を実行した諜報機関の協力が得られないと言っており、北朝鮮指導部が、諜報機関にメスを入れてでも、この問題の解決を図るという決断をしない限り、先への展開が望めない状況になりつつあります。その意味で、日本側の「交渉」の質も、これまでとは異なる段階に踏み込まざるを得なくなっていると思います。

米国務副長官 「北朝鮮は不誠実」 小池担当相と会談 経済制裁には慎重(西日本新聞)
続きを読む

改憲案より撤収案

今日の東京新聞、谷政幸・論説委員の「政理整頓」。「改憲案より撤収案だね」と題して、曰く、

 ――物書きの立場からすると、活字になった小泉首相の「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」という発言はいただけない。東京新聞でこういう記事を書いたら、読者に分からんと、書き直しを命じられる。小泉流の修辞法の典型だ。
 ――「国益」の名前で自衛官600人が「予断を許さぬ」イラクにさらに1年。撤収のメドも曖昧では、派遣隊員やその家族が気の毒だ。政治が思考ストップなら、自衛官は自衛せよ。撤収マニュアルに遺漏はないか精査を。改憲案づくりに手を貸す暇などないのだ。

 小泉首相のちゃらんぽらん「派遣延長」決定だけでなく、自衛隊幹部の改憲案づくりへも厳しい御批判。なかなか、ピリッと効いたコメントです。

NHKの世論調査

NHKの世論調査で、小泉首相の靖国神社参拝を是とする意見(「続けた方がよい」46%)が否とする意見(「やめた方がよい」38%)を上回る結果が出ました。

しかし、記事をよく読むと、質問のなかで「小泉総理大臣が『これまで参拝してきたのは、心ならずも戦禍に倒れた人たちへの慰霊の気持ちと不戦の誓いを新たにするためだ』と述べたことについてどう考えるか」と言っており、ほとんど誘導尋問。これじゃあ「理解できる」と答える人が多くなるのは当たり前です。

同じ世論調査で、自衛隊のイラク派遣1年延長について「賛成」28%、「反対」62%。また、小泉首相が説明責任をはたしたかどうかでは「果たした」21%、「果たしていない」71%という結果が出ています。

“靖国参拝は継続を”46%(NHKニュース)

NHK世調 内閣支持率44%(NHKニュース)
続きを読む

アメリカ政府の正体見たり

イラク戦争開始前に、アメリカ政府が、アメリカに従わず、「大量破壊兵器保有を裏付ける証拠はない」と主張しつづけたIAEA(国際原子力機関)のエルバラダイ事務局長の電話を盗聴していたと、ワシントン・ポスト紙が12日付で報道。

米がIAEA事務局長の電話盗聴と報道 イラン核問題 (朝日新聞)
続きを読む

看護師の流出

フィリピンから日本への看護師の労働派遣が認められるようになるということで、フィリピンでは、医師が看護師になって「海外流出」する動きが生まれているというニュース。

以前、インドの看護師がアメリカなどへ「流出」しているという話もニュースになっていました。途上国にしてみれば、社会的な費用をかけて養成したのに、医師・看護師になったとたん、海外へ行かれてしまったのではたまったものではありません。逆に、先進国の側からいえば、養成のためのコストを負担することなく、医師や看護師が調達できる訳で、言い方を変えれば、アメリカや日本など先進国が、自国が負担すべき医師・看護師養成のコストを途上国に押しつけている、ということができます。

比の医師、看護師になり海外へ 「高収入で安定」と(朝日新聞)
続きを読む

中国への無償ODAって、こんなに少なかったのね

対中国ODAの見直しが声高に主張されています。ODAというと、何となく“タダでくれてやる”的なイメージがありますが、無償援助はわずか52億円でODA全体のわずか5%。残り大部分(約967億)は円借款です(※)。

※中国向けODA開始(80年度)から2003年度までの累計3兆3000億円のうち、円借款は3兆472億円にたいし無償援助は1416億円(4.3%)。「毎日」12/14付による。

円借款というのは、お金を“やる”のではなく、低利とはいえ利子を取って資金を“貸す”もの。その資金で、日本企業から物資を購入する場合もあって、その場合は回り回って日本企業の利益にもなるわけです。しかも、谷口誠著『東アジア共同体』(岩波新書)によれば、中国は、この借款をきちんきちんと返しているとのこと(※)。“中国は経済成長したのに、いつまでも日本からODAをもらおうとして、けしからん!”というイメージとは、実は、まったく違っているということです。

※「毎日」12/14付によれば、2003年度は借款967億円にたいして償還額1058億円ということで、差し引きで日本は中国からお金を返してもらっているのです。

対中ODA、数年内に「無償資金」打ち切りへ(読売新聞)
続きを読む

過ちて則ち改むるに憚ることなかれ

PLOのマフムード・アッバス新議長が、アラファト前議長時代のPLO指導部がイラク旧フセイン政権のクウェート侵攻を支持したことを謝罪しました。

過ちては則(すなわ)ち改むるに憚(はばか)ること勿れ
[論語学而] 過ちを犯した時は、躊躇(ちゅうちょ)することなく速やかに改めよ。[三省堂『大辞林』]

PLO新議長、クウェートに謝罪/イラクの侵攻支持で(読売新聞)

続きを読む

読み応えのあるblog(2)

南米の新聞記事を翻訳紹介しているブログです。日本のマスメディアがほとんど報道しないような記事がたくさんあって、参考になります。

ラテンアメリカから見ると
http://la-news.cocolog-nifty.com/lanews/
サイトの趣旨として、「インターネットで入手出来るラ米諸国のニュースから、ラ米の国々にとって、日本の何にニュース性があるのか、アメリカとどのように付き合おうとしているのか、そのようなことを少しずつ紹介していきたいと思います」と書かれています。

【本日のBGM】ラフマニノフ:交響曲第2番 op.27/指揮:ワレリー・ゲルギエフ/演奏:サンクトペテルブルク・キーロフ歌劇場管弦楽団/録音:1993年1月/発売:PHILIPS 438 864-2

「南米共同体」設立を宣言

8日、南米12カ国の大統領らが出席する第3回南米首脳会議が開かれ、「南米共同体」の設立を正式に宣言しました。

それにしても、日本のマスコミは、この動きをまったく報道していません。Googleニュースで検索する限り、引っかかったのは、「河北新報」と共産党の「しんぶん赤旗」だけ。あとは、「サンパウロ新聞」と「ニッケイ新聞」、それに北京放送(china radio international)という海外発の日本語メディアでした。

「南米共同体」を設立/12カ国大統領ら宣言/「EU例に共通通貨も」(しんぶん赤旗)
続きを読む

中国原潜の領海侵犯、グアムからの帰路

朝日新聞は、7日付で、日本政府関係者の話として、領海侵犯した中国海軍の原潜が、グアム島周辺を一周した帰路であったことを明らかにしました。

そのこと自体は領海侵犯事件の直後から言われていたことだと思いますが、記事を詳しく読むと、実は、自衛隊と海上保安庁、米軍は、10月に同原潜が青島を出発したときから追跡していたし、日本の領海を侵犯する数日前からP3Cで追跡。海上保安庁は、浮上した原潜の撮影もしていたということです。だとしたら、今回の「領海侵犯」騒ぎは“やらせ”としか言いようがありません。

結局、こんどの領海侵犯は、米軍偵察の帰路に米軍の追跡を振り切ろうとして間違って日本領海に侵入してしまったというあたりが「真相」なのではないでしょうか。「朝日」は、「今後、太平洋海域で、中国と日米との間で海軍力の競合がより強まることも予想される」と書いていますが、中国の狙いはあくまで米軍にあると考えた方が現実的でしょう。

領海侵犯の中国原潜、直前にグアムへ 米軍牽制、訓練か(朝日新聞)

続きを読む

ブッシュ再選と6カ国協議

asahi.comに、韓国元外相の孔魯明氏の発言が掲載されています。ブッシュ再選やライス大統領補佐官にたいする評価はともかく、韓国から見れば、北朝鮮の核開発問題をどう解決すべきと考えているか、非常に分かりやすいものと思います。

日本では、北朝鮮問題というと、即、「拉致」問題となってしまいがちですが、国際社会のこうした議論にも目を向けて、核問題の解決のなかで、日本の問題も解決していくという総合的視野が求められているのではないでしょうか。

ブッシュ氏再選で北朝鮮は…(孔魯明・韓国元外相) asahi.com
続きを読む

ラムズフェルドの訪問に米兵の不満爆発

ラムズフェルド米国防長官が、激励のつもりでクウェートの米軍基地を訪問し、兵士2000人との直接対話にのぞんだところ、「兵士がなぜごみ捨て場で、さびついた金属や被弾済みの強化ガラスをあさり、車両に取り付けなくてはいけないのか」「州兵は正規兵より悪い装備を渡されている」「駐留任期の延長をいつまで続けるのか」など次々に苦情をあびたそうです。

これも、米軍のイラク駐留の泥沼化の反映と言うことができるでしょう。

イラク米兵 不満爆発/国防長官 クウェートで2000人と対話(東京新聞)
続きを読む

航空自衛隊、武装米兵1200人を空輸

自衛隊機が、武装した米兵1200人を輸送していたことが判明しました。

武装した兵士の前線への配備は、どうみたって戦闘作戦の一環。それを自衛隊機でやったということは、自衛隊が米軍の軍事作戦行動の一環に組み込まれていると言うことです。

武装米兵ら1200人空輸 空自機の輸送、全容判明(共同通信)
続きを読む