大量破壊兵器は保有していなかった

イギリスの独立調査委員会が、イラク戦争が始まる前のイラクの軍事力にかんする情報は間違っており、「フセイン元大統領は使用可能な大量破壊兵器はおそらく保有していなかった」との報告書を発表しました。ブレア首相は、“フセイン政権は大量破壊兵器を持っている”というだけでなく“45分で配備できる”といっていたのですが……。
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新聞の紙面から

日本軍「慰安婦」の金順徳(キム・スンドク)さんが、6月30日の午後1時55分に亡くなられたそうです。(今日、新聞の投書欄を見ていて、初めて気がつきました)
金順徳さんは日本政府の公式謝罪を求める裁判を起こすとともに「ナヌムの家」で生活しながら、自らの体験を証言されていました。ご冥福をお祈りします。

ガーナ、チャド、スーダンなど西アフリカを中心に、ポリオが再び増えているそうです。WHOが6月22日に緊急声明を発表。ポリオ対策として使われている生ワクチン(ウィルスを弱体化させたワクチン)から、ウィルスが遺伝子変異を起こして流行を起こしているとか。

イラク戦争 大量破壊兵器の脅威は誤り

米上院情報特別委員会(パット・ロバーツ委員長=共和党)が、9日、CIAが曖昧な情報をもとにイラクの大量破壊兵器を脅威と結論づけていたことは「誤り」だったと断罪する報告書を発表。報告書は500ページ以上にわたるもので、大量破壊兵器の脅威という結論は「合理性に欠け、入手した情報に照らしても証明できるものではない」「情報分野の分析官、収集担当、管理者らは、あいまいな証拠をもって大量破壊兵器計画があると最終的に評価した。大量破壊兵器開発計画は存在しないという証拠を過小評価もしくは無視した」として、「誇張された」情報で結論づけたと批判しています。また、フセイン政権とアルカイダとの関係についても「証拠はない」と指摘しています。

イラク大量破壊兵器:CIA情報は誤り アルカイダ支援も否定―米上院情報特別委(毎日新聞)
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フィリピンがイラク撤退表明

フィリピン大統領府報道官が、10日、イラクに派遣されている同国部隊(51人)を8月20日に撤退させると表明。8月20日は、もともと現在派遣している部隊の駐留期限とされていたもの。

イラクでは、現在、フィリピン人男性が武装勢力に拘束され、武装勢力は11日までに部隊を引き揚げなければ男性を殺害すると警告しています。

フィリピン:イラク撤兵を発表―人質事件、影響か(毎日新聞)
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イスラエルの分離壁建設は違法

国際司法裁判所が、9日、イスラエルがヨルダン西岸地域に建設している分離壁を「国際法違反」と断定し、「解体」を勧告する意見を明らかにしました。

国際司法裁判所の「勧告的意見」は法的拘束力を持ちませんが、今回の提訴は昨年12月の国連総会の決議にもとづいておこなわれたもので、同意見は、各国政府にたいし「壁建設によって生じた不法な事態を承認しない義務を負う」と指摘、国連安保理と国連総会に「不法自体を終わらせるために」取るべき行動を検討するように勧告しています。

最上敏樹氏の指摘

イラク「主権移譲」問題について、ICU教授の最上敏樹氏が「東京新聞」7/7夕刊で論文を書かれています。曰く、

国際法の知識を持つ者なら、この言葉に多少とも違和感を覚えずにはいられないだろう。戦争が合法だった時代ならばともかく、今やそれが違法になり、他国の軍事占領も原則としてありえなくなった。だから、いままで主権を奪っていたと言い、それを移譲すると言っても、それが法的にどう説明できるのか、専門家であればあるほど、よく分からなくなるからである。

最上氏は、1700人以上にのぼる職員を抱えた米国大使館が米英占領当局(CPA)にとって替わり、占領軍が多国籍軍と名前を変えるだけで、「形式的に『占領』は終わるかもしれないが、実質的には何も変わらない」と指摘されています。

では、「主権が移譲されて、なおかつ占領が実質的に終わらないのだとすれば、いったい主権とは何なのだろうか」と問われ、次のように“20世紀の主権論”を展開されています。すなわち……
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大量破壊兵器は見つからない

イギリスのブレア首相が、6日、イギリス下院委員会で、イラク戦争の「理由」とされた大量破壊兵器について「今後とも見つからない可能性を受け入れなければならない」と発言したそうです。ただ、同首相は「大量破壊兵器がかつて存在したのは明白」とし、「隠したり、処分したと考えられる」とも述べたそうです。

しかし、「かつて存在した」ことは当然としても、問題は、イラク戦争開戦直前の一定の時期に、本当に大量破壊兵器が存在したのかどうかです。事実、改選前の時期には、国連査察などによって大量破壊兵器の処分がすすんでいました。にもかかわらず、アメリカとイギリスはなお「隠している」「大量の大量破壊兵器を持っている」と主張したはず。それを、いまになって「処分したのではないか」などと言い出すのは、「大量破壊兵器の存在」という開戦の口実が破綻したことを事実上認めたものといえます。
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誰と「了解」したのか?

自衛隊の多国籍軍参加にあたって、自衛隊は多国籍軍の指揮はうけないという日本と米英政府との「了解」なるものが、ようやく公表されました。しかし、発表された文章は、日本の公使と相手国政府高官との「了解」というだけで、相変わらず、「了解」に達した相手が誰なのか不明です。
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アメリカ国家調査委員会報告書

9・11同時多発テロをめぐるアメリカの国家調査委員会の報告書が16日発表されましたが、同報告書は、アルカイダとフセイン政権との間にアメリカへのテロ攻撃にかんして「協力したことを示す証拠は一切ない」と結論づけています。

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連合国は占領軍!

イラク連合国暫定当局(CPA)が5月に実施した世論調査の結果。APの資料らしい……。

●連合軍は?

解放軍 2
平和維持軍 3
占領軍 92
その他・分らない・無回答 3

●連合軍の駐留期間について

即時撤退 41
恒久的政権が選出されて以後 45
安定のため連合軍が必要と考える限り 6

●連合軍なしにイラク警察・軍が治安を維持できる可能性は?

可能性は高い 62
ある程度できる 25

さらに、「連合軍が即時撤退した方がイラクは安全になる」が55%という結果も出ています。イラクを“占領”しているCPA自身の調査でも、イラク国民から連合軍の占領統治にノーが突きつけられたということです。

CPA世論調査結果(英語、Microsoft PowerPoint HTML版)

4人の食卓

4人の食卓 チョン・ジヒョンが酥??的?

結婚を目前にしたインテリア・デザイナーのジョンウォンは、新居となるマンションに婚約者が用意した4人がけのテーブルに、ある晩、地下鉄車内で母親に毒殺された2人の幼女の姿を見ます。そこに、その子どもがどうやらみえるらしい女性ヨン(チェン・ジヒョン)が現われます。

韓国製ホラー映画です。「猟奇的な彼女」で一躍日本でも人気となったチョン・ジヒョンが、全く違うタイプのキャラクターを演じています。

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シルミド Silmido

ようやっと映画「シルミド」を見てきました。

う〜ん、とてもじゃないですが、感想を一言では書けません。かなり衝撃的な映画です。軍隊とか国家指令とかいうものの無情さというのもあるでしょう。南北分断の“現実”というものもあるかも知れません。それにたいして、男の友情とか、上官と部下との信頼とか、いろいろ考えることもできるでしょう。でも一番ずんと来るのは、やっぱり事件から30年以上たってこういう映画が作られたという事実だと思いました。

韓国の文化は“恨(ハン)”の文化だといわれますが、それは日本語の「恨む」というというのとはだいぶニュアンスが違って、むしろ「嘆き、悼む」というようなものではないかと思いました。

もう1つ。最後に、特殊部隊のメンバーが自分たちの名前を書くシーンが出てきます。「名前で呼ばれる」「名前を記憶する」ということがどれだけ大切なことなのか、そのことも印象に残りました。

韓国映画を楽しむ

といっても、別に今日韓国映画を見てきたというわけではありません。実を言うと、「シルミド」をみようと映画館に行ったのですが、レディース・デーで行列ができていたのでそのまま帰ってきました。(^^;)

今日の「毎日」夕刊の記事によれば、「冬のソナタ」のおかげでNHKは昨年度だけでDVD、ビデオ関連で25億円、その他の関連グッズなどで10億円、合わせて35億円の売り上げをあげたそうです。ファン10万人とすると、1人3万5000円のお買いあげ……、ほんとにご苦労さまです。日本での「冬ソナ」人気のおかげで、いまや韓国でも「ヨン様」という言葉が市民権を得たとか。ただただ驚き入るばかりです。

ところで、昨日のNHK教育のハングル講座で、映画「シルミド」の主演であるアン・ソンギホ・ジュノが、映画のもとになった「シルミド」事件(1971年)について語っていましたが、その内容が非常に印象的でした。

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自衛隊の多国籍軍参加

今日、自民党、公明党が多国籍軍への自衛隊の参加を了承しました。

自衛隊は多国籍軍の指揮下に入るわけではないというのがその理由ですが、実は、6月15日にマクレラン米大統領報道官が記者会見して、自衛隊は「ポーランド、英国、イタリアの各軍隊と同様に」自国の指揮系統のもとにあると発言するとともに「多国籍軍全体は米司令部によって監督される」と指摘しました。つまり、米司令部によって監督される多国籍軍の統一された指揮の下にあるポーランド軍や英軍やイタリア軍と同じように、自衛隊も米司令部の監督の下に置かれるということです。英軍だって、ポーランド軍だって、もちろんイギリス本国、ポーランド本国が撤退を決めれば、いくら統一指揮下にあったとしても撤退できるし、撤退するというのは当然のことです。そういう意味で、各国軍隊はつねに各国政府の指揮下にあります。

小泉首相や自民・公明政府が頼みの綱としている「自国の指揮権」はそういう“当たり前”のことでしかなく、他方で、多国籍軍が米司令部の監督下に置かれるというのも“当たり前”のことなのです。もちろん、自衛隊の「参加」にあたって、日本政府があれこれの条件をつけることはありえます。その結果として、日本政府の知らないところで自衛隊が突然別方面に出動させられたり、戦闘行動に動員されるということはないと思いますが、しかし、同じサマワで同じように活動している多国籍軍の他の部隊が「武装勢力」に襲撃されたときに、自衛隊だけ宿営地に戻って閉じこもっているということは「多国籍軍」の一員としては不可能だということです。
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人身売買防止の「基準を満たさない」国

これも今日の新聞から。

米国務省が、人身売買に関する年次報告を発表。女性や子どもを性産業に従事させるために強制的に売買したり、渡航させたりするなどの行為があると指摘された131カ国を、さらに4つにランク付け。日本は、その下から2番目の「第2分類 要監視リスト」に載せられたということです。

前に、韓国映画「パイラン」に関連して浅田次郎「ラブ・レター」のことを少し書きましたが、ああいう小説が「泣ける」小説として許容されているというところに、客観的にあるいは国際的にみて――ということは、著者浅田次郎氏の意図とは関係なく――、管理売春やそのための人身売買、犠牲となる外国人女性にたいする私たちの“甘さ”が現れていると思います。
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毎日新聞の世論調査

同じく毎日新聞の電話世論調査。自衛隊を多国籍軍に参加させると、小泉首相がサミットの場での日米首脳会談で突然発表したことについては、従来の政府見解を踏み越えるところもあって、与党内からも不満が出ていますが、しかし、その点だけで議論してみても、所詮、“アメリカ言いなり”の枠組みの中での“タイミング”をめぐる議論でしかありません。「多国籍軍への参加」に問題があるからこそ、“まず最初にアメリカに”ということが問題になるのです。

●自衛隊の多国籍軍参加は?

全体 男性 女性
賛成 33% 36% 30%
反対 54% 53% 56%

それより、面白いのは年金改革法をめぐる世論調査の方です。

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横田勇人『パレスチナ紛争史』

知り合いから“何かパレスチナ問題について適当な本を知らないか?”と聞かれ、本屋でパラパラ立ち読みして、「とりあえず…」と横田勇人著『パレスチナ紛争史』(集英社新書、5月刊)を紹介したのですが、紹介した責任上(?)、この本を読みました。著者は、日本経済新聞の記者で、カイロ支局長を務めたこともある中東担当の国際部記者です。で、結論からいうと、かなりしっかりしたお薦めの本です。
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オランダ軍は来年3月で撤退

オランダ政府が、イラクに派遣しているオランダ軍を来年3月で撤退させると表明しました。
オランダ軍がサマワ市周辺の治安維持を担当しているというのが、自衛隊がサマワ現地で武力行使をしないでいられる前提になっています。そのオランダが撤退すれば、いったい誰が自衛隊の活動を保証してくれるのでしょうか? 自分でサマワ市の治安維持を図ろうとすれば、武力行使に及ぶ可能性はきわめて大きくなります。人道援助活動(と称して、基地に立てこもってやっている効率悪い「給水活動」)ができなくなるだけでなく、撤退することさえできなくなる可能性も…。どうするつもりなんでしょう。

自衛隊の多国籍軍参加

小泉首相が、サミットで、イラクに派遣中の自衛隊を、来月以降「多国籍軍」に参加させると表明。

現在でも、イラクに派遣された自衛隊の指揮権は曖昧なままですが、多国籍軍に参加したとき、自衛隊の指揮権をどうするつもりなのでしょうか? もしそれを多国籍軍にゆだねるのであれば、治安活動を担う多国籍軍への参加は、自衛隊の海外での武力行使を容認することになるし、自衛隊だけ治安活動に参加しないなら多国籍軍への参加とはいったい何なのか?

多国籍軍というのは、国連決議にもとづいて設立されるものであり、現在の自衛隊の「有志連合」への参加のように曖昧なやり方は許されないはず。いったい小泉さんはどうするつもりなんでしょう?