読売日響 グラズノフ交響曲第2番ほか

締め切りも終わったし、選挙も終わって、ともかく音楽が聴きたいと、サントリーホールへ行き、当日券で読売日響の定期演奏会を聞いてきました。

【演奏会情報】

  • グラズノフ:英雄の思い出のエレジー(作品8)
  • グラズノフ:交響曲第2番 嬰ヘ短調(作品16)
  •     (休   憩)
  • タネーエフ:カンタータ第2番〈詩篇の朗読〉(作品36)

指揮:ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー/ソプラノ:斉藤紀子/メゾ・ソプラノ:加納悦子/テノール:経種廉彦/バリトン:小森輝彦/合唱:東京音楽大学
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生活保護は国の責任

高知市の岡崎誠也市長が、朝日新聞「私の視点」欄で、生活保護財源を国から地方に転嫁する議論にたいして、意見を述べられています。

「受給者の多くは65歳以上の高齢者と障害者、傷病者」、この三者で生活保護の約90%を占める、母子世帯も9%で、「実際に働ける『稼働世帯』は2.4%しかない」という高知市の実情を踏まえて、こう指摘されています。

 高知市の国民年金受給世帯の割合は、この5年で約26%増えたし、高齢者の単身世帯も5年前に比べると1.2倍に増えている。その結果、年金だけで何とか暮らす高齢者が病気になって医療費の自己負担などができなるケースや、夫が亡くなった後、妻が単身で生活し、やむなく生活保護を受けるといったケースが目立っている。……
 それなのに厚生労働省は福祉の分野で金科玉条のように「自立支援」を強く打ち出している。だが、高知市の実例で示した通り、働ける年齢層の生活保護受給世帯は3%にも満たない。自立支援だけでは、保護率急増に対応できない。

こういう現実を無視して、「地方の負担を増やして生活保護の受給率を引き下げようなどというのは本末転倒だ」という指摘は、まったく正論です。

マスコミ論調 総選挙の結果をどう見るか(12)

経済学者の松原隆一郎氏(東大教授)が、今日の「毎日」で、こんなことを書いています。

 もともと国民は郵政民営化の中身に関心がない。……この関心のない層が小泉支持に回った。投票率の高さがこのことを示している。
 国民にとって今回の選挙が魅力的に映ったのは、郵政民営化の中身というよりも、有権者自らが意志決定に参加できる参加型だったからだ。小泉さんは「郵政改革イエスかノーか」と単純化し、有権者は分かったような気持ちになって、自分たちが決める雰囲気になっていった。

さらに、小泉首相の「小さな政府」論について、松原氏は、こう指摘されています。

 小泉さんの政治は市場化を進める方向にある。郵政民営化は誰のために行うのか。小泉さんの市場化は大銀行、大企業、外資のための独占市場主義だ。そうじゃなくて公共財で最低の生活保障をする、より公正な資本主義が必要だ。

小泉「市場化」は大銀行、大企業、外資のため。なるほど、その通りです。

政府税調の「論点整理」は自営業者も対象

「朝日新聞」のインタビューで、石弘光・政府税調会長は、6月に政府税調が出した「論点整理」は、サラリーマン増税ではないと、こうのたまわっています。

 論点整理は自営業者向けの税制などにも触れている。サラリーマンのみを対象としたわけではない…。[朝日新聞9月14日付、10面]

要するに、自営業者も増税するからサラリーマン増税ではないという理屈。お見事…
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定率減税、2007年度全廃へ

谷垣財務大臣、定率減税の2007年度全廃方針を打ち出しました。

しかし、選挙直後のいまそれを打ち出すのなら、なぜ総選挙中に公約しなかったのでしょうか? 結局、「争点隠し」だったということを自分で認めた格好です。

総選挙後、小泉内閣がまずやると決めたことは、自衛艦のインド洋派遣の延長と定率減税の廃止。――これが自民党大勝の結末なのです。

定率減税、07年全廃の方針示す 財務相と政府税調会長(朝日新聞)

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有権者の投票動向 総選挙の結果をどう見るか(10)

朝日新聞が、各県ごとに出口調査の結果について報道した記事を集めてみました。

「自公協力」に一定の成果(朝日新聞・岩手)
無党派 自民党に投票、倍増39%(朝日新聞・埼玉)
有権者何を選んだ? 出口調査分析(朝日新聞・兵庫)
自民系に票流れる/本社出口調査(朝日新聞・山梨)
出口調査から見る<上>/小選挙区(朝日新聞・山口)
小選挙区出口調査(上)(朝日新聞・福島)
自民、無党派に食い込む 本社出口調査分析(朝日新聞・福岡北九州)
無党派層、自民に流れ/本社出口調査(朝日新聞・岡山)
無党派層37%自民に(朝日新聞・静岡)
出口調査/無党派層自民へ流れる(朝日新聞・滋賀)

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有権者の投票動向 総選挙の結果をどう見るか(9)

日経新聞社のネット調査によると、公示直前に「民主党支持」とした人の24%が実際には他党に投票。自民党支持でも16%が他党に投票していたことが明らかに。

衆院選ネット調査、内閣支持率54%に上昇・日経世論調査(日経新聞)
民主支持層の24%「他党に投票」 日経世論調査(日経新聞)
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選挙直後の世論調査 総選挙の結果をどう見るか(8)

総選挙の結果が明らかになった直後の世論調査があちこちで報じられています。

「読売」の調査では、自民党圧勝「よかった」が49%を占め、内閣支持率も61%にアップした一方で、自民党の獲得議席数については「少ない方がよかった」が56%、強引な手法をとるのではないかと不安視する人が63%を占めています。

内閣支持率61%、過半数が“勝ち過ぎ”…読売調査(読売新聞)
本社世論調査 自民の勝因「小泉首相」58%(朝日新聞)
内閣支持率59%に上昇 衆院選自民大勝39%が歓迎 全国世論調査(中日新聞)
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今週の「九条の会」(9月13日まで)

先週、インターネットで流れていた各地の「九条の会」の動きを報じたニュースをピックアップしました。

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英・豪軍、サマワ撤収を検討

サマワ周辺の治安維持を担当している英軍、豪軍がサマワからの撤収を検討していることが明らかになりました。英軍は「サマワは治安が安定しているから撤収する」と言っている、というのですが…。

しかも、これは「1、2か月前」にイギリス、オーストラリアから連絡があったというのです。にもかかわらず、それを国民には全く隠したまま、総選挙では、自衛隊の撤退問題にまるっきり頬かむりした訳で、二重三重に許されませんね。

英・豪軍、サマワ撤収を検討…自衛隊駐留に影響(読売新聞)
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有権者の投票動向 総選挙の結果をどう見るか(7)

毎日新聞の出口調査から(9月13日付10面)

●比例代表で主要5党はどこから得票したか

自民党 自民支持層 民主支持層 無党派層
今回 75% 5% 14%
前回 81% 1% 12%
民主党 自民支持層 民主支持層 無党派層
今回 17% 52% 23%
前回 20% 44% 27%
公明党 自民支持層 民主支持層 公明支持層 無党派層
今回 29% 3% 48% 13%
前回 21% 3% 54% 14%
共産党 自民支持層 民主支持層 共産支持層 無党派層
今回 9% 7% 51% 25%
前回 8% 4% 56% 24%
社民党 自民支持層 民主支持層 社民支持層 無党派層
今回 13% 14% 37% 27%
前回 9% 7% 49% 29%

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財界はどう動いたか 総選挙の結果をどう見るか(4)

トヨタが、愛知・自民党を全面応援。「東京」も「自民躍進に“トヨタ効果”?」の記事を載せているが、「読売」はもう少し詳しい。15の選挙区すべてに部課長クラスを派遣、決起集会に幹部社員1万人を動員、奥田会長自身がグループ企業に出向いて支援を依頼した、等々。

「王国 愛知」揺らぐ 小選挙区 自民、名古屋でも議席(読売新聞)

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マスコミ論調 総選挙の結果をどう見るか(3)

マスコミというほどではありませんが、今日の「日刊ゲンダイ」(13日付=12日発行)の見出しを紹介しておきましょう。

まず両1面ぶち抜きの見出しはこれ。

この国の民主主義は死んだ
もはや何も言うことなし。この選挙結果は狂気の果てだ。
全く情けなかった民主党、これからこの国の暗黒の10年が必ず始まる

で、2?3面に続く記事の中見出しはこれ。

▼岡田民主党は四分五裂で野党は無力化、自民党独裁の最悪事態
▼ヌエ公明党は小泉政権から吹っ飛ばされる
▼自民党に投票した若年層はその悪い報いで酷い目に遭うだろう
▼驕る平家は久しからず、勝ちすぎ小泉自民党を待ち受ける罠
▼郵政民営化が成立しても、12年後の民営化実現という喜劇的事態
▼狂人首相が勝ち誇ってこの国はどんな事になるのか、世の中のお先真っ暗
▼小泉首相は1年後に辞めるというがそれから先はどうなるのか
▼この国の選挙民の政治水準は一体どうなのか
▼本紙としてはもはや何も言うことなし、これから先、生きるのが辛い大多数の庶民とヌレ手でアワの一部サギ集団に二分化されて、アメリカと同じになっていいのか
▼この国の選挙民の政治水準では選挙など何回やっても民主主義は確立されないムダであることが分かった

他方で、「夕刊フジ」では、漫画家のやくみつる氏がこんなコメントを寄せています。

 怒りを通り越して無力感でいっぱいだ。……小泉という1人のタレント候補に入れてしまった。「改革」というワンフレーズにコロリとやられ、投じる1票が改革に寄与するように思ってしまったのだろう。政治家は愚直でよく、石部金吉たるべきなのに、まじめなやつより面白いやつが勝つということだ。4年間の信を問うこともできず、こんなことでいいのか。[「夕刊フジ」2005年9月13日付=12日発行]

総選挙の結果をどう見るか(2)

とりあえず、分けて考えよう。

  1. 誰が、どういう理由で、自民党に投票したか。有権者の動向。
  2. 小泉首相は、いつ、どんな見通しにもとづいて、解散・総選挙を決めたのか。そして、どんなふうに「郵政」解散を演出していったのか。
  3. 自民党は、圧勝したことによって、あれこれの政治課題(増税、社会保障の切り捨て、憲法など)を、今後どんなふうにやろうとするのか。
  4. これから、自民党政治とどんなふうたたかっていったらよいのか。

ということで、少しずつ考えてみたい。

投票結果 総選挙の結果をどう見るか(1)

とりあえず、各党の比例ブロックの得票を過去の選挙と比較してみました。

主要5政党のみ、各比例ブロックの得票の合計を、2004年参院比例区得票、2003年総選挙比例ブロック得票合計と比べてみました。今回の総選挙の数字は、選管確定票が分からないので、とりあえずNHKのホームページの総選挙特集のページに載っているものを利用。上段が得票数、下段が得票率です。

主要5政党の得票・得票率の変化
2005年総選挙 2004年参院選 2003年総選挙
自民 25,887,798 16,797,686 20,660,185
38.2% 30.0% 35.0%
民主 21,036,425 21,137,457 22,095,636
31.0% 37.8% 37.4%
公明 8,987,620 8,621,265 8,733,444
13.3% 15.4% 14.8%
共産 4,919,187 4,362,573 4,586,172
7.3% 7.8% 7.8%
社民 3,719,522 2,990,665 3,027,390
5.5% 5.4% 5.1%
投票総数 67,811,069 55,931,785 59,102,827

これをみて分かるのは、過去の選挙に比べて、今回の自民党票が大きく増えていること。2004年参院選と比べると、投票率が上がった分、全国で投票総数は1200万票増えていますが、そのうち900万票が自民党に投ぜられています。その限りで、小泉流「郵政」解散作戦は“してやったり”ということになります。

しかし他方で、民主党は議席を大きく減らしたけれども、得票ではそれほど減っていません。共産党、社民党も、若干ですが得票を増やしていることが分かります。

また、自公で衆議院の議席の3分の2以上を占めたと言っても、得票率で言えば自公合わせて51.5%で、5割をわずかに超えただけ。2003年の“小泉ブーム”といわれた総選挙のときでも、自公合わせると49.8%だったのですから、めちゃくちゃ支持が増えたという訳ではありません。このあたりは、やっぱり「小選挙区制」による“マジック”といえます。

もちろん、自民+公明だけで衆議院の3分の2以上を占めたという結果は重大であることは言うまでもありませんが。