ドイツ総選挙、野党のキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU・CSU)が与党社会民主党(SDP)を抜いて第1党になったとニュースが流れていますが、よくよくみたら、CDU・CSUだって前回比23議席減のマイナス。連立相手の自由民主党(FDP)が伸びたとはいえ14議席増なので、野党連合全体でもマイナス9議席。
他方、与党はというと、SDPが前回比29議席減、90年連合・緑の党が4議席減で、こちらは33議席のマイナス。
ドイツ総選挙の暫定開票結果
政党 |
議席数 |
得票率 |
キリスト教民主・社会同盟 |
225(248) |
35.2%(38.5) |
社会民主党 |
222(251) |
34.3%(38.5) |
自由民主党 |
61(47) |
9.8%(7.4) |
左翼党 |
54(2) |
8.7%(4.0) |
90年連合・緑の党 |
51(55) |
8.1%(8.6) |
( )内は前回2002年の結果。左翼党の前回は民主社会主義党の議席数。※朝日新聞9/20付より
それから、SDPとCDU・CSUとの議席伯仲は、前回も同じ。前回は、得票率はどちらも38.5%で、議席はSDPが3議席上回っていました。だから、その限りでは、前回総選挙と結果はあまり変わっていません。
今回が前回と大きく異なるのは、新しく誕生した左翼党が54議席を獲得したことです。そのため、与党連合、野党連合ともに議席を減少させる結果になったのですが、野党連合はもちろん与党連合も、いまのところは左翼党を連立の相手にはしていません。まあ、シュレーダー政権の「改革」路線を嫌ってSDPを割ってでた勢力を含む左翼党も、与党連合と組むつもりはないでしょうが…。その結果、与党連合も野党連合も過半数に届かないという状況が出現した訳です。
この結果を冷静に見れば、むしろ、今回の総選挙の政治的な意味としては、CDU・CSUが事前の優勢を保てなかったことに注目すべきでしょう。それが、CDU・CSUの社会保障切り捨て、消費税増税という公約のせいかどうか、今後の報道と分析を待ちたいと思います。
独新政権、連立協議が焦点に 野党連合も過半数届かず(朝日新聞)
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