本屋さんでたまたま見つけた物理にかんする新刊書2冊。左は、一昨年ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんが、高校の物理の先生たちを中心とした自主サークル(「東京物理サークル」)の合宿で素粒子論について語ったもの。右は、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊さんの自伝的な読み物。
これから真面目に勉強させていただきます。
ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんの最新著。ノーベル賞受賞記念講演を含む講演やインタビューなどを集めたものです。面白いです!! 編集を担当した方から一昨日いただいたのですが、一気に読んでしまいました。(^^;)
ハヤカワ文庫で『素粒子物理学をつくった人びと』(上・下)が出ました。親本は、1986年刊の原著の邦訳として1991年に出版されたものですが、文庫版は1996年に出た原著改定版の翻訳となっています。さらに、下巻には、鎮目恭夫さんの「文庫版への訳者あとがき」と、岡村浩さんの付録「その後の素粒子物理の歩みとノーベル物理学賞受賞の日本人の仕事について」が収められています。岡村氏の解説は、本書では、南部陽一郎氏の研究まで取り上げられているので、その後の素粒子物理学の動きを補足してくれるものです。
物理学者へのインタビューをもとに構成された本書。鎮目さんは、「文庫版への訳者あとがき」で、「本書が文庫版として出版されることになったのは、明らかに、昨年度(2008年)のノーベル賞が日本の素粒子物理学者3名に与えられたことの反映」(下、466ページ)と書かれていますが、いえいえ、十分面白いです。(^^;)
ノーベル賞受賞で、益川さんも小林さんもあっちこっちの対談やインタビューに登場されていますが、そのなかでも、いろいろと大事なことを言っておられます。気のついたかぎりで、ピックアップしておきます。
1つめは、「日本経済新聞」の本日付朝刊にのった益川さんへのインタビュー。坂田昌一氏から学んだことについて、かなり立ち入って答えておられます。
ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんは、「9条科学者の会」の呼びかけ人の1人でもあります。今朝の「日経新聞」でも、そのことは紹介されていましたが、「毎日新聞」夕刊では、「気骨の平和主義」という大見出しで、益川さんの平和主義を紹介しています。
2008年のノーベル物理学賞を、素粒子理論研究の南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授、小林誠・高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)名誉教授。益川敏英・京都大学名誉教授が受賞。
益川さんと小林さんは、名古屋大学の坂田昌一門下。坂田氏は、エンゲルス『自然弁証法』やレーニン『唯物論と経験批判論』などに学んで、物質の階層性という考えにたって、素粒子といえども究極の物質ではなく、さらにその中に下位のレベルの物質があると考えました ((益川氏は、たとえば「赤旗」1984年7月14日付で、次のように語っておられます。
「素粒子が、さまざまな性質、特徴、法則性を持っているのは、その背後にそれらの担い手の物質が必ず存在するに違いないと考えていたからです。この考え方は名古屋大学の坂田昌一博士が、以前から提起されていたものです。坂田博士は素粒子を『天体、物体、分子、原子、原子核、素粒子……と続く物質の無限の階層の1つに過ぎない』『現象の背後に必ず物質の裏づけがある』ととらえていました。この考え方の背景には『電子といえどもくみつくせない』という物質の無限の階層性と認識の相対性を指摘したエンゲルスやレーニンと同様の唯物弁証法の物の見方がつらぬかれています」、「唯物弁証法と自然科学の研究方法との関係は非常に奥深いもので、今後もさらに追求する必要があると思います」))。
ノーベル物理学賞:益川教授ら日本人3氏に授与(毎日新聞)
「受賞あるなら今年だと」=「理論屋」に笑顔も?益川教授(時事通信)
熱血漢の益川、クールな小林=性格の「対照性」、独創理論生む?ノーベル賞(時事通信)
【ノーベル物理学賞】素粒子物理学の世界に金字塔「小林・益川理論」(MSN産経ニュース)