なるほど「新種の寄生虫一族」

元ナスダック会長がファンドで4兆円を超えるねずみ講的詐欺。しかも、それに野村ホールディングスやあおぞら銀行が合わせて400億円近い投資をしていたそうです。

マルクスは、株式市場の拡大が「新たな金融貴族を、企画屋たち、創業屋たち、単なる名目だけの重役たちの姿をとった新種の寄生虫一族を再生産する」 ((『資本論』第3部第27章「資本主義的生産における信用の役割」、新日本新書第11分冊、760ページ))と指摘していますが、まさしくこれは「新種の寄生虫一族」そのものです。

金融危機の一方で大型詐欺発覚 被害額4兆円超、日本企業も損失か(MSN産経ニュース)
米巨額詐欺ファンド:野村HD、275億円投資(毎日新聞)
あおぞら銀は投資残高124億円 ナスダック元会長のファンド(NIKKEI NET)

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志位委員長、こんどは『サンデー毎日』に登場!!

『サンデー毎日』2008年11月30日号

『サンデー毎日』11月30日号(11月18日発売)に、志位和夫・日本共産党委員長が登場しています。

題して、「志位和夫共産党委員長が糾す ルールなき資本主義」。3ページにわたって、志位委員長へのインタビューを掲載しています。

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最多272億円!! 1728社でサービス残業

24日発表された2007年度のサービス残業(残業代未払い残業)は、100万円以上の未払い残業代を支払った企業だけで1728社、総額は272億円で過去最悪。

サービス残業が厳しく摘発されるようになった、ということもあるかも知れませんが、これだけサービス残業が問題化しているにもかかわらず、まったく改善される気配がありません。マルクスは、「資本は、社会によって強制されるのでなければ、労働者の健康と寿命にたいし、なんらの顧慮も払わない」 ((『資本論』新日本新書、<2>、464ページ))と指摘しましたが、日本の企業・資本家はホントにそのとおりです。

サービス残業、未払い指導は最多の1728社 07年度)NIKKEI NET)
残業代不払い:07年度は272億円(毎日新聞)
金融・政策/07年度是正額 最多の272億円 サービス残業歯止めなし(FujiSankei Business i.)

厚生労働省の発表資料はこちら↓。
厚生労働省:監督指導による賃金不払残業の是正結果―2007年度は約272億円―

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ドイツで『資本論』が売れているらしい

米紙「ワシントンポスト」に、こんな記事が出ていました。ドイツでマルクス『資本論』が売れているそうです。

Karl Marx's book sells as Germany economy sinks – The Washington Post
経済危機の中、マルクスの『資本論』が売れ行き伸ばす: AFPBB News

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鹿が清水を慕いあえぐように…

アメリカに端を発した金融危機は、欧米で銀行間短期市場がほぼ途絶するなど、貨幣恐慌の様相を呈してきました。

ということで、あらためて貨幣恐慌について、マルクスがどんなことを言っていたか、ふり返ってみました。

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"マルクスは正しかった" 英国教会大主教が発言

イギリス国教会の大主教が、マルクスを評価する発言をした、というニュース。

英国の大主教、投機を批判/虚構が生んだ富/“マルクスは正しかった”(しんぶん赤旗)

Spectator紙に載ったというイギリス国教会大主教の発言は、こちら↓。

Face it: Marx was partly right about capitalism | The Spectator

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"資本主義はまだ死んではいないが、アングロ・サクソン金融は弱体化した"

英Telegraph紙9月23日付(インターネット版)が、「資本主義はまだ死んでないが、アングロ・サクソン金融は弱体化した」と題する記事を掲載。

Telegraph.co.ukのサイトから
「マルクスが生きていれば、過去の痛みを取り除こうとする試みはうまくいかないと認めただろう」というキャプション付きでマルクスの胸像の写真を載せたTelegraph.co.ukのサイト

ウェブサイトの記事には、マルクスの胸像の写真が載せられて、"Karl Marx would recognise that trying to ease former pain doesn't work"(マルクスが生きていれば、過去の痛みを取り除こうとする試みはうまくいかないと認めただろう)というキャプションがついています。

Financial Crisis: Capitalism is not dead yet, but Anglo-Saxon finance is looking weak – Telegraph.co.uk

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地震が起きたとき、工場はフル操業だった…

公開するのをすっかり忘れてました…。(^_^;)

岩手県北部地震が起きたのは、深夜0時24分。しかしそのとき、トヨタ系子会社の関東自動車工業の工場では、1,300人が仕事の真っ最中だった。

マルクスは『資本論』で、機械の導入が労働時間の制限をなくして、深夜労働、24時間連続労働をもたらすと指摘しているが、まさにそのとおりの事態だった訳である。

各企業の生産設備などにも被害、夜勤作業打ち切りも(読売新聞)

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江波戸哲夫、マルクスを語る

日経新聞の話題ばかりで恐縮ですが、これも昨日の日経新聞夕刊にのっていたもの。

作家の江波戸哲夫氏が、「最近、日を置かずして会った複数の旧友が、揃ってマルクスの名を口にしたので、驚くとともに合点もした」と言って、マルクスと資本主義の限界?!について論じています。

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『資本論』第1部 第25章

「近代的植民理論」と題した章。

第24章「いわゆる本源的蓄積」の最終節第7節「資本主義的蓄積の歴史的傾向」の末尾で、いわゆる“否定の否定”が述べられたところで、資本主義から「協業と、土地の共有ならびに労働そのものによって生産された生産手段の共有」を基礎とする「個人的所有」の再建が明らかにされて、資本主義から未来社会への移行が明確にされた。だから、話はここで“大団円”となるはずなのに、なぜかそのあとに第25章が…。

ということで、これまで「付け足し的」な章と思って、テキトーにしか読んでこなかったのですが、あらためてつらつら読んでみると、これが意外といろいろ大事なことが書かれていました。いや?、面目ない… (^_^;)

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「ライン新聞」編集部へのマルクスの手紙

『前衛』誌上で、不破哲三氏「講座 マルクス、エンゲルス革命論研究」の掲載が始まりました。昨年おこなわれた研究講座の「誌上再現」ということになっていますが、連載第1回ですでに、研究講座のときよりさらに詳しく突っ込んで書かれている問題が出てきます。

その1つに、「ライン新聞」を舞台にしたマルクスの活動があります。マルクスは、1842年4月から「ライン新聞」に論説を掲載し始め、同10月には主筆として編集に全責任を負うことになりました。これによって、「ライン新聞」は面目を一新されました。

同紙でマルクスがたたかう目標としたものの1つに、プロイセンの検閲制度があります。そのために、マルクスは戦術も注意深く考えたのです。論文では、そのことを示すマルクスの手紙が2つあると指摘されていたので、その手紙を読んでみました。

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使用価値か、効用価値か(続き)

すでに書いたように、『哲学の貧困』での「使用価値」の使用例をもって、「使用価値」の初出とすることができるかどうかについては、もう少し検討が必要なようです。

以下、大月全集版『哲学の貧困』で「使用価値」となっているところを、第1章第1節の範囲で、フランス語と対照してみました(フランス語は旧メガ第6巻収録の『哲学の貧困』で確認)。

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それは使用価値か、効用価値か?

マルクスが「使用価値」という言葉を初めて使ったのは『哲学の貧困』だと前に書きましたが、しかし、よくよく調べてみると、はたしてそれは「使用価値」といえるのか? そんな疑問がわき起こってきました。

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『資本論』、「大学生がよむ50冊」に選ばれる

今朝の「産経新聞」に、東海大学湘南キャンパスで、古今東西の名作から大学生の読むべき50冊を選ぶというシンポジウムが開かれ、マルクス『資本論』が50冊のなかに選ばれた、という記事がありました。それで、いろいろ検索してみたら、東海大のホームページに、このシンポジウムの記事を発見。

それを読むと、シンポジウムが開かれたのは5月31日。シンポジウムのなかで、いろいろ議論して50冊を選んだようです。

文芸創作学科のシンポで「大学生がよむ50冊」を選定しました(東海大学)
学生が読むべき50冊 定番から異色作まで 川上未映子ら選定(産経新聞:イザ!)

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マルクス『1857-58年草稿』を読む(その4)

『1857-58年草稿』で、「使用価値」はどこに登場するか。大月版『資本論草稿集』第2分冊の事項索引で調べてみた。

マルクスが『57-58年草稿』で、使用価値について詳しく論じたのは、第1分冊314?315ページ。「資本としての貨幣にかんする章」の「貨幣の資本への転化」の「2 流通から生じる交換価値は自己を流通の前提とする、また流通のなかで自己を保持するとともに、労働を介して自己を倍化させる」のなかの部分。

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マルクス『1857-58年草稿』を読む(その3)

さて、大月版『資本論草稿集』第1分冊には、『57-58年草稿』以外に、3つの文献が収められている。

  • バスティアとケアリ
  • 序説
  • ダリモン『銀行の改革について』

経済学草稿といえる部分が始まるは、p.112から。ただし、マルクスの問題意識としては、ダリモン批判以来の「労働貨幣・時間票券」論が続いている。

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