地方紙の憲法社説を読む

憲法記念日を前に、地方紙が掲載した憲法問題にかんする社説をながめてみました。

北海道新聞は、「民主主義国家として再出発した戦後日本の否定」「侵略したアジア諸国への背信行為」と、安倍首相の姿勢を真正面から批判。東京新聞は、自衛隊の存在と9条とをともに認める国民世論を「優れたバランス感覚」と評していますが、それは、曖昧模糊とした「バランス」ではなく、「かつて戦場となったアジア諸国が日本を不戦国と見てくれるのも、武力行使の歯止めができるのも9条があってこそ」という前向きのもの。「9条が再び見直される時代になった」と結論づけています。神奈川新聞は、9条だけでなく、13条、19条、21条などのいわゆる市民的自由の問題、それに25条、生存権の問題でも、憲法が脅かされていることに警鐘を鳴らしています。

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「立て万国の貧困者」 AERAがワーキングプアの特集

AERA(4月2日号)が「立て万国の貧困者、ワーキングプアの大逆襲」という特集を掲載しています。

記事の中心は、「スポット(日雇い)派遣」などの実態と、青年ユニオンなど、若者の労働組合結成の動きを紹介したものですが、はじめに出てくる、人材派遣会社フルキャストの正社員君の働きぶりも、かなり悲惨。毎日、100本以上の電話をかけ、会社の3連泊、4連泊も当り前、昼も夜もコンビニ弁当で、残業代も出てない様子…。トホホの生活です。

立て万国の貧困者 ワーキングプアの大逆襲(AERA)

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重すぎる国保料 “国保が貧困をつくる”

古いニュースですが、共産党の小池晃政策委員長が、国民健康保険の滞納問題を国会でとりあげたなかで、国保料の負担が非常に重くなっていることを指摘していました。

たとえば、夫婦2人+子ども2人、年収280万円の自営業者のケース。大阪市だと、こういう世帯の年間の国保料が45万円(月3万7500円)にもなるのです。このほかに、介護保険料8万円、国民年金保険料が夫婦で約34万円、所得税、住民税が4万円、これらを差し引くと、可処分所得は189万円(月15万円ほど)にしかなりません。全国で一番国保料の高いのは大阪・守口市だと、国保料は年53万円(月4万円以上)にもなるそうです。

また、1984年と比較してみると、国保世帯全体では、平均所得が約180万円から165万円に減少する一方で、国保料は、1人当たり3万9000円から7万9000円に倍増。1世帯当たりでも、10万3000円から15万2000円へ1.5倍化しているといいます。

まさしく、「国保が貧困をつくり、ワーキングプアをつくる」実態です。

安心してかかれる医療体制へ 参院予算委 小池政策委員長の総括質問(しんぶん赤旗)

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フルキャスト、「日雇い派遣」にも有休保証

「日雇い派遣」というのは、派遣に登録しておいて、電話一本で、今日はこっち、明日はあっちと、1日かぎりの仕事を受けて働いている人のこと。昔なら、いわゆる「立ちんぼ」と同じ。

で、大手人材派遣業者のフルキャストが、こうした日雇い派遣の人たちにも有給休暇を保証するとの合意を、労働組合と結んだというニュース。やっぱ、労働組合ってすごいなぁ…

「日雇い派遣」にも有給休暇保証 フルキャスト労使合意(朝日新聞)

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読んでます 『ワーキング・プア』

デイヴィッド・K・シプラー『ワーキング・プア アメリカの下層社会』(岩波書店)

岩波書店から先月邦訳が出た『ワーキング・プア』。すぐに買い込んで読んでいるのですが、ちっちゃい活字で上下2段組、しかも全体で390ページもあって、なかなか読み終わりません。(^_^;) それでも200ページを超えたから、なんとか半分は読み終わったというところです。

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新年の社説を読む

新年の新聞各社の社説を眺めてみました。

念頭の社説というのは、各社とも力を入れているせいか、かえって、力が入りすぎて議論が上滑りになっていることがあります。しかし、今年の念頭社説についていえば、経済格差の問題を論じたものとともに、平和や憲法9条の問題で安倍政権に批判を提起する論評が目立ちました。

社説[「憲法」で考えたい]九条の理念守ってこそ(沖縄タイムス)
07年、もっと前へ 「世界一」を増やそう 挑戦に必要な暮らしの安全(毎日新聞)
何を変え 何を守るか*1*「国とは」を問い直すとき(北海道新聞)
何を変え 何を守るか*2*格差と貧困への対策急務(北海道新聞)
社説:ことしの日本外交 「非軍事」で存在感示せ(秋田魁新聞)
「戦後体制」のよさは守り抜こう 次代に何を伝えるか(西日本新聞)
「ぼんやりした不安」/国と自分を見つめ直すとき(河北新報)

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池内了先生が産経新聞で正論を吐く!

宇宙物理の池内了先生が、今日の産経新聞「正論」欄に登場。一瞬びっくりしましたが、書かれていることは、非常にごもっとも。まさしく正論です。

史上最長の好景気が続いていると言われるのに、庶民には実感が乏しいのはなぜか。池内先生は、大企業や富裕者を優遇し、年金負担や医療費などを引き上げて低所得者に負担を押しつける政府を批判するとともに、「人間の使い捨て政策が大手を振っている」と指摘。「現在の好景気は低賃金労働を踏み台にした仇花」「長期的には国家を衰微させることにしかならない」と厳しいご意見です。

【正論】総合研究大学院大学教授・池内了 「賃金デフレ」の時代に思う(産経新聞)

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最近買った本

しばらく整理してませんでしたが、ここらでまとめておきます。哲学あり、歴史あり、経済学あり、小説ありで、相変わらず僕の読書傾向は不明です。(^_^;)

  • 子安宣邦『宣長学講義』(岩波書店、11月刊)
  • 伊東光晴『日本経済を問う 誤った理論は誤った政策を導く』(岩波書店、11月刊)
  • 宮島喬『移民社会フランスの危機』(岩波書店、11月刊)
  • 加藤周一『「日本文学史序説」補講』(かもがわ出版、11月刊)
  • 朝日新聞取材班『戦争責任と追悼 歴史と向き合う<1>』(朝日選書、11月刊)
  • エ・ビスコム・ラボ『WordPress サイト構築スタイルブック』(毎日コミュニケーションズ、11月刊)
  • 井上勝生『シリーズ日本近現代史<1> 幕末・維新』(岩波新書、11月刊)
  • 長谷川恭男・杉田敦『これが憲法だ!』(朝日新書、11月刊)
  • 門倉貴史『ワーキングプア』(宝島社新書、11月刊)

とりあえず、ここまでが11月刊行分。10月以前刊行分は続く…。

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こんどは『週刊東洋経済』がワーキングプアを特集

『週刊東洋経済』2006年9月16日号

『週刊ダイヤモンド』に続いて、東洋経済新報社の『週刊東洋経済』9月16日号が「日本版ワーキングプア 働いても貧しい人たち」の特集を組んでいます。

目次から拾ってみると

  • シャープ液晶工場 復活の象徴「亀山」の“逆説”
  • 若き「請負」労働者たちの“喪失” 正社員でも派遣でもなく…
  • 日系2世「女性ブローカー」の告白 「ブラジル人の真実」
  • 学校に行かない子どもたち 10代前半のブラジル人
  • 深夜製造の「コンビニ弁当」は誰がつくるのか?
  • 外国人研修生という名の“奴隷”
  • ワーキングプアの改正は可能だ!

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アメリカのワーキング・プアの実態 『ニッケル・アンド・ダイムド』

バーバラ・エーレンライク『ニッケル・アンド・ダイムド アメリカ下流社会の現実』(東洋経済新報社)

昨日の日経新聞の書評欄でも取り上げられていましたが、アメリカの“ワーキング・プア”(働きながら貧困から抜け出せない低賃金労働者のこと)の生活を実体験した著者のルポです。

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